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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[漫画]途方に暮れるほど君が好き。『ディアティア2 マイディア』

ディアティア2 マイディア (書籍扱い楽園コミックス)ディアティア2 マイディア (書籍扱い楽園コミックス)
(2013/01/31)
かずまこを

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   途方に暮れるほど 好きだと思う人ができたんだ

あの「ディアティア」の2冊目、「マイディア」が出ましたよ!
前巻で恋愛漫画好きを狂乱させた、あの!伝説の!(漣周囲調べ)
付き合い始めるまでを描いたのが1巻。今回は付き合い始めてからのイチャラブが全開です。もはや悶絶なくしては読むことはできない!
しかも今回のオビに書かれたコピーもすンばらしい。
「初めて好きになった人が 自分の事を好きだという奇跡。」
まったくだよ!なんて幸福感に満ちた一文だろうか。

付き合いたての高校生の初々しい恋愛模様。ギクシャクしたり、戸惑ったり、うまくいかなくて泣いちゃったり、でも、どうしようもなく好きすぎたり。
そんな不器用で等身大で、どうしようもなく愛おしさを噛み締め楽しめる漫画です。
もちろんダダ甘なばかりで1冊終えてしまうことはなく、盛り上がるドラマがちゃんとあります。とはいえ成分表で表すなら糖分は相当なパーセンテージになっているだろうけれど!
ラブコメというジャンルが好きなら、ぜひ読んでみて欲しい作品です。
好きな人と好き合っているという幸福を、これでもかと見せつける一冊!

前巻→その涙を拭えたのなら。『ディアティア』
当然ながら前作を読んだ上で楽しむが吉。

楽園本誌と楽園WEBで掲載された「マイディア」シリーズと
描き下ろし後日談「ダーリング」などを加えた一冊となっています。



感想を書こうにももう、ニヤニヤした、という事しか伝えようがない・・・。
冗談ぬきで悶え続けて読み終えたので、普通に体力を持って行かれた。
心地よい脳と身体のしびれ・・・それは素晴らしい作品に出会えた証・・・ですよね。読みながらヘドバンやってるような感じだったので首もいたい。
さてそんな訳なのでかわいいかわいい言うだけにしろ、とりあえずまとまった感想にしたいので、俺が悶絶したシーンTOP3を発表するよッ!!
唐突になに始めてんだって感じですね!でも悶絶したシーンをガチで選んでいったら20くらいになっちゃったからこれでも頑張って選び抜いたんですよ!

デデン第3位~
マイディア11

指先ナデナデ!!!

成田も睦子も初々しい姿が楽しいシリーズですが、この場面では睦子が無自覚に成田をドキドキさせているっていう点でちょっとレアかもしれない。
この逆に、成田が無自覚に睦子ちゃんをドキドキさせる場面が一見目立ちますが、実際は成田だってアガってたりする(P18)わけで。
2人揃って緊張したりときめいたりするのもまた美味。しかしこういう一方通行的な胸の高まりというのも、シチュ的に大好物なのである!
というか成田さんのわりといつも余裕っぽい表情がなんとなく気に食わないときもあるので(本人曰くちゃんと自分も緊張してるらしいがそれでもだこの野郎)、女の子にふりまわされる片思い少年みたいなキュートな一面がもっと見たいね!!ハァハァ!!!
「ああ 今 どうして放課後じゃないんだ・・・」という一言にすら、学生カップルならではの感覚が閉じ込められていてこれまた素晴らしい。

デデン第2位!
マイディア12

「全然好きにならないんですけど」!!!!

一見ショッキングなセリフに思えますが、こんなんおねだりじゃねーですかッッたくもぉおおお!!!!もっと頑張ってよ、今何かして欲しいんだよっていうことでしょうかね!もうね!不満を口にしているようで実際は八つ当たりに近い、かわいすぎるおねだりですよ!
このエピソードでは睦子の悩みが描かれていて、彼女自分の「好き」の大きさに自信がもてない。過去に成田に告白していった女の子たちのほうが彼を好きだったんじゃないか、なんて自信喪失しちゃう。
初めてできた恋人でもあり、初めて好きになった人でもあり、二重の戸惑いなんだろうなぁ。私はちゃんと先輩を好きかな、っていうところにクエスチョンが向くのに睦子のいい子っぷりが伺えますよ。こんなに、成田のことをもっと好きになりたがっているんだから。
だから「好き」を確かめたいけど、自分からじゃなかなか動けないし・・・みたいなこの!すごい!乙女感!!
「好きにさせる。だから付き合ってください」とカッコよく告白しておいて彼女をこんな不安にさせちゃう成田さんにはたっぷり反省していただきたい(超理不尽)。

ドンッ!第1位!!
マイディア13

「ちゃんと…白い服着たんですけど…」!!!!!!
ウヒョォオアアァーッ!!はい死んだよ!ココ死んだよ!!
王道も王道・・・オシャレを頑張ったから彼氏に褒めてもらいたい彼女シチュである・・・!だがよくあるかどうかではなく、睦子という女の子がこれを言うということに悶絶悶絶アンド悶絶。
というかこのエピソードはデートが雨で中止になって睦子のおうちデートになるわけですよ!マジで頭おかしくなる極甘エピソードの連打で脳はヘロヘロですよ!そこで追い討ちをかけるラストの強烈な一撃なこのシーンなのですよ!!このエピソードの極めつけがこの一言。俺にできることはぶざまに部屋を転げまわることだけだった。
成田さん出会い頭に顔真っ赤にしてかわいいかわいい感動してたのに、それ言ってあげてないからね。とんだ焦らしプレイですよ!それで睦子ちゃんが仕方なく自分で催促しちゃうという・・・!あー俺は女の子がなにか言って欲しくて自分からモーションかけてくるのが大好きなのか・・・・・再発見だな・・・。

しかもこの白い服はこの1話で完結しません。
この2巻のクライマックスで、二人がちょっとケンカみたことになっちゃうんですが、仲直りのために公園にやってきた時もこの白いワンピースを着ている!
睦子としての歩み寄りの気持ちが現れていたのかなぁと思うと、2度美味しいのです。
気まずくなっちゃったけれど、嫌いなんかじゃないですよ、ちゃんと好きですよ、という事なんじゃないかと。あ~~あぁ~~~(また悶える)



と大きく3つに絞って書いてみましたけど、ほかにも可愛いシーンだらけでどうするんのこれと。ラブコメ好きを狂わせるための兵器なのかと。
モテすぎちゃう成田先輩におもいっきり嫉妬しちゃう睦子かわいいし
ちゃっかりキスのときに目をつぶらない成田先輩セコかわいいし、
そういえば1巻末で初キスのときに睦子の表情を見損ねちゃっているから、その無念を晴らすために見ちゃっているのかな、とか考え出すと結構貧乏性だね成田かわいいな、とか
先輩の誕生日をきこうって手のひらに予定のメモしてる睦子ちゃんかわいいし
デートのためにファッション誌で服選びしてからかわれてかわいいし
電話かけようと思ったら2人同時に着信して繋がらなかったり
ついつい譲り合っちゃって最初うまくデートプラン立てられなかったし
「電話越しの声は近くてあまい」とか浸っちゃう2人とか頭トロけるし
母親に彼氏を紹介するときの睦子ちゃんの緊張顔とかペロペロものだし
先輩に自分の写メをほしがられて抵抗しまくっちゃう恥ずかしがり屋で
頑張って撮った写メには自分の顔隠しちゃうというダメっぷりもかわいすぎるし
メールの返信こないなぁ~ってベッドでごろごろ待ってるのも
もう一回ちゃんと写メ送ってよと頼まれてもやですーって舌出しちゃうのもたまんないし
キスで舌入れられてめっちゃくちゃ慌てて涙目になっちゃうし・・・!
あ、あと思い通りにならないからって睦子押し倒しちゃう成田先輩な。

・・・まぁそんな感じで、可愛いところがいっぱいある漫画なんですよ!
描き下ろしの「ダーリング」では成田先輩、ちゃんと出会ったすぐに褒めてあげられたし、着実な成長が見える!
つーかね・・・髪おろした睦子かわいすぎるよね・・・。とっさに嘘ついてごまかそうとしちゃうけど、すぐに取り消しちゃう恥ずかしがり屋で正直者なところもかわいいな・・・。すぐキスしたがる先輩もしょーもねえけどかわいい・・・。もう「かわいい」しか言えない・・・。



さて頭冷やして、成田先輩の母親の話を。
ここは2巻まで来てようやく表面化した、この作品が抱える闇の要素。

母親は男性依存症っぽいよなあ。自分の息子にすら縋ってしまうくらい、弱くて壊れやすそうな人。物語的につい面倒な人として見てしまう、ちょっとかわいそうなポジションですな。まぁ実際面倒なんだけど。彼女を無視したり払いのけては、成田と睦子は前に進めない。
そしてこの巻だけでも根本的解決はしていないので、もしかしたらこのシリーズのラスボスのような存在として、最後まで課題になるかもしれない。

その子とちゃんと向き合うってことは、その子以外から目をそらすってことでは無いんだよな。
自分の住む世界の中に、新しくそのひとりの女の子を招くってのは、それだけほかの部分の整理整頓をしなくちゃならなかった。
相手に嫌われたくないから、面倒だと思われたくないから、ほんのすこしの距離をおく。そういう姿勢が成田にも睦子にも、でも睦子はそういう状況に不満を抱いていて。
好き合っているのに双方が納得しきれない、というイヤな雰囲気になってしまった。
1巻の初期のころの睦子なんかはわりとストレートにものをいう姿が印象的でしたけど、相手が大切になるほどに、臆病になってしまう部分もある。
で、結構気持ちのがんじがらめになってからのクライマックスは、すごく愛が溢れていて爽快でしたね。開放感というか、許容の心地よさというか。

マイディア14

ダメなところはダメだなとわかったうえで、それでも、ちゃんと好き。
睦子ちゃん、完全に天使。恥ずかしがりながらも、しょうがないんだから、みたいな困り顔でこれを言うのもめちゃくちゃ可愛いし、カッコいいですわ。
せっかく2人なんだから、一緒に笑いたいし、一緒に悩んだりもできるじゃないか、と。この「せっかく2人なんだから」のフレーズの圧倒的な素晴らしいです。

26ページの「大事なこと言わない人」と本編ラストの「大事なこと言わない人!」の、ニュアンスの微妙な違いにドキッとしつつニヤニヤして、素晴らしいラストでしたよ。
ただイチャイチャするだけではない。壁を乗り越えたむこうにある、ギュッとかたく結ばれた絆を見て、自然と顔がほころんでしまうのです。
そしてその後日談「ダーリング」でも・・・もう、幸せすぎますわ、この漫画は・・・。



ということで「ディアティア2 マイディア」の感想でした。
長いこと書いた気がしますがまとめると「この恋愛漫画は最高にニヤニヤできるぞ!」という、ただそれだけなのです。
付き合い始めるまでを描いた作品の、その先。まさにエピローグ好きにはたまらない一冊なのですよ!むしろこれはエピローグではない。ここからが2人にとっての本番なのだ、と!
付き合いたての2人のイチャイチャを見てぞんぶんに心を潤せます。
いかにメイン2人が可愛いかは上で頭をバカにして書いたのでもういいや。
着実な二人の想いが育まれ、関係も進んでいっている様子が最高に愛おしい。

そういえば今回の裏表紙では成田先輩の友人の、名前が出てきていないコワモテのあの男の子が登場しています。実際今回はけっこういい活躍しましたしね。
というか本編の成田先輩とこの友達の絡みっぷりは・・・おや・・・?と思うところもある。描き下ろしでさらに2人のシーンは補完されていて、5話後のラフの携帯選びのシーンとかにもビンビン来た。そういう隠しカップリングも楽しめるよということか!
あと表紙をとった単行本本体の表紙なども素晴らしい。俺の場合は「なんだこれ、流れ星?」→裏面を見る→「エイの尾びれww」というオチで笑いましたが!2人の水族館デートの一幕がキレイに描かれていてお気に入り。薄着だしこれは夏頃のデートの様子でしょうね。

そして朗報。次の楽園から「ディアティア」新シリーズの「ダーリング」が始まるとのこと!まだまだ二人のイチャイチャを見られるぞーうおォォ!!
このまま順調にシリーズを重ねていけば、初ベッドインまでたどり着けるはずだッ!
かつて「やっぱりそのうちキスとかもしたいです」とかいう不届き千万こっ恥ずかしさMAXなキレキレ求愛メールを、しかも彼女への初メールとして送りつけた伝説を残す成田先輩ですよ。
続編でも楽しいことをいっぱいやってくれるに違いないッ!
・・・とは言え流石にそういう行為までこの作品が描いてくれるかは、難しいだろうけど・・・!
まぁともかく、垂涎の出来栄えでございました。期待大の第3シリーズに続く!

『ディアティア2 マイディア』 ・・・・・・・・・★★★★☆
恋愛漫画として凶悪なほどの破壊力を持った一冊。付き合いたての高校生男女の怒涛のイチャつきで頭をバカにできました。愛してるばんざーい!

[漫画]背筋ゾクゾク、脳はクラクラ、阿部共実の多彩なカオス『大好きが虫はタダシくんの 阿部共実作品集』

大好きが虫はタダシくんの―阿部共実作品集 (少年チャンピオン・コミックス)大好きが虫はタダシくんの―阿部共実作品集 (少年チャンピオン・コミックス)
(2013/01/08)
阿部 共実

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   最近どう?最近どうかって?

「空が灰色だから」4巻と同時に発売された、阿部共実さんの初作品集。
日本語がつながらない支離滅裂なタイトルの表題作「大好きが虫はタダシくんの」は、ネット上で騒がれていたこともあり、その時に知って読んだことがある人もいるのでは。
その表題作に加えて、様々な作品を収めた一冊です。
そして、阿部共実先生流の毒とユーモアとカオスが怒涛のように押し寄せる一冊でもあり。
それがどういう意味なのかは「空が灰色だから」読者は悟れる。まぁあんな感じです。クセが強いなぁ・・・どっちみち空灰も充分クセの強い作品なので、どうせ空灰ファンならチェックすべき。
描かれた時期はバラバラっぽいので、この作家さんの活動の軌跡をたどれる内容かも。
もともと「空が灰色だから」がオムニバス形式ですし、ファンはこの単行本も違和感なく楽しめるのではないかと思います。



まず冒頭のカラーページは、「空が灰色だから」のフルカラーエピソード。
単行本では収録されていなかったのでどうするんだろうなーと思っていましたが、この短編集に無事収録されました。
カラーであることを存分に生かした仕掛けの作品で、ニヤリとできます。

「ドラゴンスワロウ」はクールな燕ちゃんと、彼女のファンで後輩のたつみちゃんが主人公のショートコメディシリーズ。たつみの「たつ」と燕を合わせて「ドラゴンスワロウ」ですね。
たつみちゃんの超ハイテンションっぷりと、それを受け流しつつボケつつな燕ちゃんの組み合わせが楽しいですなー。
純粋に「かわいい!」「たのしい!」を満喫できるシリーズです。和む!

タダシくん1

このシーンがとくに好き。シャボン玉に映り込む2人に、2人が囲まれる。
2人だけの世界」ってのを象徴的に表した場面のように感じます。
この作品はメイン2人以外の出番はほぼないですし。

「破壊症候群」は少年チャンピオンでのレビュー作。
バカみたいなパワーを持って、ものの急所を見破る脅威の眼力まで持っている女子高生・凛。ものを壊すことが大好きだけど、壊すと怒られるので力をセーブする毎日。
しかし侵略者が街を襲ってきて、凛は思う存分にその腕をふるい「破壊症候群」である自分を満喫する、というお話。
人助けをする、という大義名分を得て行われるのは、とてもエゴイスティックな破壊行為。少女が気持ちよくなるために敵もビルも壊しまくる様子は、なんかわからないけどすごく高揚感も清々しさもある!
ザコ敵が蹴散らされ、空高く舞い上がっていくシーンはシュールだけどアツいw
「ゾクゾクする」という表現が、珍しく前向きな意味で使える漫画だった・・・!



そんな比較的、安全といえば安全なコメディ仕立ての作品群の連続しますが
単行本のラスト3作は、強烈に極悪。ある意味、ここからが本番か。

「あつい冬」は漫才をする女の子の2人のお話。
なんの説明もなく突然、片方の女の子が、泡になって消える。
ツッコミの女の子は、「なんでやねん」と1人でつっこみ続ける。泡になって消えたことを笑いにしようと頑張って、けして現実を受け入れない。
長いこと1人漫才を続けて、しかしついに彼女の心は折れて、崩れ落ちる。
ツッコミをしながらどんどん表情が歪んでいく女の子とか、見ているこっちの心が折れそうだ・・・。なんの説明もしない、この突き放したバッドエンド感、まさに阿部共実・・・。と思ってもこの傷はなかなかヘヴィーですわ。

「デタジル人間カラメ」本当にゾワゾワした。言語感覚がガラガラと崩れていくような、溶けていくような、非常に不気味な作品。
まず話の筋があるようで無いのが辛い。狂人を描くのではなく、作品そのものが狂っているからどうしようもない。会話が繋がっているんだけどなにかズレているような感覚に、じょじょに違和感を感じたら、ラストではそれが確信に変わる。勘違いなんかじゃない、漫画としての未熟さでもない、明らかに意図されたズレとカオス。

タダシくん3

このシーンとかヤバい。意味がわからない。ただ恐ろしい世界を感じる。
次の表題作「タダシくん」もインパクトある作品ですが、
正直言ってこの「デタジル人間カラメ」も違うベクトルで頭がおかしくなりそうな、
阿部共実エッセンスの濃厚な部分をすくい取った怪作でしょう。
むしろストーリーが成立している分、まだ「タダシくん」のほうが親切。「タダシくん」はそのストーリーに超ド級の毒がもられているので、結局どっちも地獄なんだけれど。

そして「大好きは虫がタダシくんの」は、なかなか語る言葉が見つからない。
うまくコミュニケーションがとれない少女の悲劇を描いたお話。
以前Pixivでアップされた短編なのですが、それがまだ読めます。

タダシ2

会話がうまくできない、それだけで途方もなく傷つく少女。
ここまで病んでいなくても、うまく会話ができなくて変な場の空気にしてしまった経験は何度も自分にあって、その時の申し訳なさやら死にたさやらが一気にフラッシュバックしてきて息が詰まった。
漫画のエンタメ性なんてここにはなくて、ただ目を背けたくなるだけです。個人のトラウマをめっちゃくちゃにエグってくるし、ストーリーとしても救いがなさすぎる。
ずっと同じ表情のまま、冷や汗ダラダラながして、涙をボロボロこぼして・・・。
1人になっても、親友からもらった言葉をただ繰り返す。壊れた機械ように、ただ繰り返して、どこかへ歩いて去っていく。そんなラスト。
こうして感想書くために読み返していても、この悲劇には頭がクラクラする。人によっては読むことを拒絶するだろうこれは。それほどまでに強烈。
しばらく封印しておきたい作品だけど、一度読んだらきっと脳にこびりついて忘れられない。トラウマ量産漫画なんじゃないかこれは・・・。怖すぎる。




「大好きが虫はタダシくんの」の感想でした。
コメディからホラー、悲劇、説明もできない不気味な作品まで。
「空が灰色だから」が好きならば、ぜひ読むべき一冊になっていると思います。エッジの効いた作品が揃っています。
でもそれは「あなたも同じ傷を負うましょうや」というクズいオススメの仕方なので、やっぱり人にはあまりオススメしたくない(結局どっちだよ)
「空が灰色だから」と同様に、人を選ぶ漫画。でも「こういう漫画もあるんだ」ってのを知らしめるためにも意味ある漫画。「デタジル人間カラメ」「大好きが虫はタダシくんの」あたりは、少年漫画として出版されるのはどう考えてもおかしい。でも「空が灰色だから」がまず出たわけだしな・・・。出たからには、やはりいろんな人に読んでもらいたいなぁと、思ってしまうのです。こんな刺激的で禍々しい漫画だとしても。

『大好きが虫はタダシくんの 阿部共実作品集』・・・・・・・・・・★★★★
読む人になにかを残す、という点ではものすごいパワーを持った作品。阿部共実先生のディープな世界をさらに知ることができる一冊、かも。

[漫画]終わったあーっ!?『男子高校生の日常』7巻

男子高校生の日常(7)(完) (ガンガンコミックスONLINE)男子高校生の日常(7)(完) (ガンガンコミックスONLINE)
(2012/12/22)
山内 泰延

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   なあ 彼女ってどうやってもできないね

うおおお、終わってしまった。『男子高校生の日常』最終巻です。
アニメ2期はストック的に遠いだろうけど見てみたいなー、とか思ったらまさかの最終巻。
ガンガンオンラインで読んだときは「マジで最終回!?」とビックリ。タイトル変えて再始動とかするのかなーと待ち。単行本最終巻になにか続編のこと書いてあるかなーと待っていたところ
ほ、ホントに終わった・・・・・・・。
でも確かにここらで幕を閉じておくのも、寂しいけどいいタイミングなのかもなとも思いますね。長くなりすぎってこともなく、いい尺に収まったなと。
さてそんな最終巻の内容をさくっと。



まず、畳み掛けるように文学少女が登場してくれて嬉しい一冊でしたね!
好きなエピソードは、まず100話。
ヒデノリとはしゃいでる文学少女・やっさんはやっぱりかわいい!それを再確認したエピソード。ヒデノリの後頭部に思い切りヒザ蹴りかまして吹き出したw

男子高校生71

クリーンヒット!
やっさんがヒデノリを追いかけるのは何なんだろうな。別に捕まえようとしているんじゃなくて、追いかけっこをしてくれると期待しているだけですかね。
まずさりげなく映画館で隣にすわってる段階で、この娘ストーキングしてるよな!前にもあったけど!で、不意の事態が起きたら慌てちゃうという・・・うむ・・・やはりやっさんが慌てる姿がかわいすぎる。

最終話目前の104,105話は、伝説の文学少女登場回のセルフパロディのようなネタ。自分がこの作品を知ったきっかけのエピソードでもあり、あと純粋に破壊力の高いエピソードなので、こうして何度もネタにされてると嬉しい。
 
男子高校生72

かわいいなぁーやっぱ!正直性的な目で見る!(どうでもいい)。

りんごちゃんの見納めとなる102話もおもしろかったですね。
ここまで爆睡して起きないとなると薄い本のネタができちゃうね。最後の最後までバカだった。最後の話で寝てるだけっていうのもりんごちゃんらしかった・・・!アホかわ!

そして最終話は原点回帰!
ヒデノリ、ヨシタケ、タダクニの3人で部屋でダベる。そうして男子高校生の日常は始まったのです。そしてダベって男子高校生の日常は終わる!
これで終わり!ってことですが編にシリアスな話に行くこともなく、この漫画らしいラスト。一応伏線らしい伏線も回収していくんだけど、えっその伏線?ってのと、えっそういうオチ?という二段構え。なんでもないようにいつも通りの雰囲気で終わっていきました。
そういうのがなんか、この作品らしいなーと微笑ましい。
だっていかにも「これで終わりです!」なんて綺麗な終わりしたら、それこそさよならみたいだしな。だら~っと日常のままってのがよかったです!

描き下ろし漫画では、文学少女やっさんの「で、正直なとこやっさんてヒデノリのこと好きなん?」ってところに突っ込んでいく。最後の赤面まで見届けてホッコリ。
「女子校生は異常」シリーズも、いちおうの着地?
最終的には羽原さんヨカッタネーという・・・感じで・・・たぶん・・・。



さくっと。そんな最終巻でした。
最終巻って書かれてなかったらそう思ってなかったかもしれない内容。
でもまぁ、こういうゆる~い終わり方が、この作品には合っているような。

「男子高校生の日常」もこれで終了です。
WEBコミックの中でも特に成功しているように見えるガンガンオンラインを支えた、このレーベルの代表作だと思うんですよね。この作品だけの功績ではないでしょうけれど、勢いを生んだと思います。
アニメ化までしてWEBコミックとしては相当な知名度を得ましたし
初期から文学少女ネタで話題になってたりしましたね。
作品の面白さはもちろんのこと、そういう意味でも大切な作品でした。

1巻2巻あたりのネタの破壊力が高すぎて、あの時の盛り上がりは後半にいくにつれ薄れていったように感じていたのは事実。
それでも最終巻まで、この作品らしいゆる~っとしたバカらしさがあって気に入ってました。最後まで楽しめました。全7巻。いいくらいだな。だらけて読むのに最適なシリーズ。

『男子高校生の日常』7巻 ・・・・・・・・・★★★☆
いつもどりなノリのまま、アッサリ終わった・・・。
男子高校生よ、バカであれ残念であれ、永遠であれ・・・!!

[漫画]戦う勇気は分け合える。『鉄楽レトラ』3巻

鉄楽レトラ 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)鉄楽レトラ 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
(2012/11/12)
佐原 ミズ

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   殴られたって、構わないんだ。

「鉄楽レトラ」第3巻の感想。
一ノ瀬鉄宇という男の子を中心に、感動的なエピソードが次から次へと投入される大好きな青春漫画。今回もいいお話が揃っています。
3巻の大きなテーマは「友情」なのかなとぼんやり思いました。
それは核となるエピソードの内容が、主人公ら男の子3人組の絆を再確認するものだったから。ケンカみたいなことも起きてしまって、3人の心の繋がりが試されます。
踊りの練習も進んできていて、ストーリーの展開も気になるところですが、まだ3巻では、じっくりとその準備を整えていく。

痛みを超えて、もう1度立ち上がれ。『鉄楽レトラ』1巻
今はまだ遠い君の所に。『鉄楽レトラ』2巻



1巻2巻と主人公、鉄宇のことはたくさん触れられていました。
3巻は彼とともに踊りを習う、友達2人にスポットライトがあてられます。

スペイン舞踊に必要なのはダンスだけじゃない。演奏と、そして歌がなくては。
かつて声楽をやっていたという菊池くんに歌唱を頼むも・・・なんだか拒絶されてしまった。というところから始まります。

菊池くんはその美声で評判となり、聖歌隊でも活躍していた少年。
しかし声変わりでその美声が出せなくなり、周囲からは落胆され―――
そのことが原因で歌うことを拒むようになってしまっています。
それどころか過度な注目を浴びることですぐに心が乱されてしまったり。
強いトラウマから複数の問題を抱えた少年が菊池くん。

もう1人の少年、市川くんはぽっちゃりとした体型と大人しい性格で、そのことをコンプレックスにも思っている様子。
3巻を読んでいてまず思ったのは、「市川くんいい子だわ~・・・!」ということでしたよ。でもやっぱり弱くて。こういう子は応援したいよな。
女の子を助けても逆に「デブ!」とか罵られてるしな・・・。

菊池くん、市川くん。2人の奥深いところがしっかり見えてきます。
何かを持っていたがそれを失った少年。望んでもなにも持てなかった少年。
己の無力感に悩まされる・・・ってのは思春期にゃあるあるかもしれない。
それはなかなかにヘヴィーで落ち込まされるもの。些細なことであっても少年らの心は傷つくわけで。
そんな彼らのナイーヴな心を揺さぶる悪意が、世界には散らばっていて。
世の中にはいい人もいれば、そうでない人もいる。
納得のいかない事も多いけれど、その中でなんとか戦ってやっていくんだろう。

レトラ31

「たった一言の礼にすがって生きる情けない奴なんだ」
「自分に自信の持てない人間は、どう生きたらいいのか分からなんだよ…」

市川くんのこのセリフが心に刺さる・・・。
でも何もないってことはないんだよ、彼が気づいていないだけで。
この3人の中で、誰が1番の人のためにとっさに動ける行動力があるかって。
結局それは自分が必要とされたいがためのものだけど、やらない善よりやる偽善とも言う。
「デブ!」と彼を罵ってきた女の子も、ちゃんと最後にはお礼をしてくれた。
なんであれ、ちゃんと行動できる市川くんはカッコいいんだよ。

あと菊池くんと鉄宇の場面。
塞ぎ込んだ菊池くんにドアをはさんで語りかける鉄宇は名シーンですなぁ。
「僕らが君の事、飽きると思う?馬鹿にするなよ。」
殴られたって構わないとまでいう鉄宇。それはつまり近くにいるってことだから。
もう声も届かないくらい遠くに行かれてしまう方がよっぽど辛い。
彼も1度はどん底まで落ち込んだ人間だった。彼なりに他者の痛みをはかり、その上で傍にいさせてと言う。胸が熱くなるシーン・・・!

レトラ32

3人の絆はさらにぎゅっとかたく。
この巻は3人それぞれが言葉を交わしていく中で、勇気を授け合っていく、補い合っていく展開が見事でした。そう簡単に勇ましくなんてなれないけど、「友達がいるから」ってのは少年たちには十分な理由のはずだ。そうやってプラスに成り合いながら進むのは気持ちがいいものです。
12話の最後のセリフも、いいですよね。「最後、惜しかったね・・・でもなんか、いつか楽しくなるといいよな・・・」って。いやいや、今のきみたち、結構楽しそうだよ!
それでもまだまだ成長して、もっと楽しみたいって貪欲さを見せるその姿勢がいい。



そんなこんなの「鉄楽レトラ」3巻。
今回はメインの男の子3人組についてがメインでした。そのほかにも描かれていることは当然ありましたが、心震えたのはやっぱりこの3人についてだった。
3人揃えばそれぞれが響き合って、のびのび楽しんでいる雰囲気がとても好き。
今回も結構ヘヴィーな出来事がありますが、そこからの再起が気持ちがいいのです。
心が痛くて暖かくて、ほろり泣けてしまうような盛り上がりが味わえる。
挫折と再生をあざやかに描き出していく作品。
ストレートに心を熱くしてくれる、誠実な青春漫画だと思います。

『鉄楽レトラ』3巻 ・・・・・・・・・★★★★
良質な人間ドラマです。「再び立ち上がる」その瞬間を、力強くまぶしく描く。

[漫画]ゆるやかに過ぎさる明治の1ページ。『ちろり』2巻

ちろり 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)ちろり 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
(2012/08/10)
小山 愛子

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   ゆっくり変わってくんだ。

ゲッサンにて連載中の「ちろり」2巻が出ました。
文明開化を迎え、ゆっくりと変わっていく明治日本を描いた作品。
まったりと穏やかに、四季折々の風景の中で暮らす港町の人々。マダムといっしょに喫茶店で働く女の子、ちろりが主人公です。
1巻は何度も読み返しましたねえ。本当に雰囲気のいい作品で。さわやかで情感豊か。

そこは明治の港町。優しさと季節の風を感じる癒し漫画『ちろり』1巻



気に入ったエピソードを書いていく形で。とはいえ二巻収録話も、どれもこれも好きだな。
ストーリーと呼べる筋はほとんどなく、日常の断片的なワンシーンを描き出していく。
2巻は冬から初夏にかけて季節がめぐります。
日常にあるちょっとした楽しみ、驚き、物寂しさ・・・ささやかに感じさせてくれる。小さな小さな、けれど愛しいエピソードたち。「ちろり」という名前はイメージどおりのもの。

第8話「初景色」は元旦。
話してはいけない行事のなか、互いにしゃべりたいのを我慢して笑い合うマダムとちろり。
めずらしく店の外に出ている、オフの2人の様子が描かれていますね。
1年の始まりにしてこんなかわいらしい。楽しい一年になりそうじゃないですか。
ところで「景色」という言葉はじっくり見てみるとすごく綺麗な言葉だと思う。(唐突)

ちろり22

第9話「冬眠る」では万全の心遣いをみせるちろりちゃんの静かな奮闘が。
ここまでくればもう、俺としてはちろりとマダムの年の差百合的な脳が回りだすわけですが・・・。でもこの作品ではあんまりそういう恋愛的な妄想はこないんですよね。読んでるこちらも、心が落ち着いている。
この作品が持つ落ち着きの良さは次の第10話にも現れている。
雪積もる早朝に、ちろりが赤い実をみつけて見とれる、というシンプルな話。
でもちょっとした出来事で心が浮き立つ流れが、まさしくこの作品らしくて好き。
キラキラしたものだったり、ちょっとしんみりしたり、ねぼけていたり・・・いろんな表情が見られるのも楽しいですね。お店にいるときはにこやかを心がけている様子の彼女だけれども、1人きりの時には読者的には結構新鮮な様子を見せてくれる。

ストーリーらしいものはない、と言いましたが続きものエピソードはあるのです。ちろりを気にしている少年が再登場する第10話はこの作品では珍しい、ラブコメの香り漂うお話。
いっぱいいっぱいになっている男の子と、何も知らず涼やかな表情のままの女の子。
そんな微笑ましい一幕が印象的ですが、海の描写も心に残っています。

ちろり21

穏やかな凪の時間。
背景描写がとてつもなくうまい!というわけではないんですが(別に失礼な意味じゃない)
風景を映し出すタイミングのうまさが光る。ハッとさせられるんですよ。
この一瞬の風景が、とても大切なものに思わせてくれる。作品にうまく感情を投入できている感じがして、一体感がきもちよかったです。
この少年はまた登場してきそうですね。ちろりとの関係も楽しみ。

明治という時代を一番に映し出していたのは、第13話「時代」でした。
お使いにでたけれどまよってしまったちろりを描きつつ、明治の街のにぎやかさを見せてくれます。現代からは姿を消した風景がいくつも登場し、ノスタルジックな気分に。
旧来の日本文化を渡来した西洋文化が交じり合う明治の港町。
全てはゆっくりと変わっていくんだ、というメッセージは、作品の背景がいかされています。読者をしんみりさせますよね。昔すぎず、最近すぎず・・・なバランスが明治だとか大正だとかの時代を魅力的に感じさせている気がします。ロマンあるよね。



そういえば1巻のころと比べると、ちょっとずつ絵も変化してきていますね。
なんとなく、艶やかさよりどことない土っぽさを感じられるものに。
個人的には前のものが好きだったかな。でも今も美しいだけじゃない力強さのようなものが湛えられているようでいいものです。
2巻になってメインキャラたちの掘り下げも行われてきました。ちろりもマダムも、よりかわいらしくなってきたと思いますよ!とくにマダムは2巻の書き下ろしが見逃せない。

ちろり23[

ムリはしちゃいけない・・・でも大人な女性がふと見せる子供っぽさって、ときめく!
ちろりの髪型をこっそり真似てみるっていうのも・・・うん、いいよね!

おだやかーにまったりと歩んでいく日常。
こういう癒し系なタイトルは雰囲気のよさが大切だと思いますが、自分はこの作品のはとても好み。ふわっとやすらぎますし、時々きゅっと切なくなることもあります。
明治という時代の空気をしっとり感じさせてくれる。そのうえ軽やかで読みやすい。
風景にしろ人物にしろ、その表情をうまく捉えている作品です。
前にも書いていましたが、1話1話、1コマ1コマを味わううまみがありますね。
今後もゆったりと続いて楽しませて欲しいシリーズです。

『ちろり』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
やっぱり気持ちのいい漫画だ。香る潮風とか寒い雪の朝とか、想像しながら読んでます。

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