[漫画]甘く淡くちょっと切なく過ぎる14歳の日々。『14歳の恋』2巻
14歳の恋 2 (2012/06/30) 水谷 フーカ 商品詳細を見る |
これが恋でないというなら この胸の音に 何と名前がつくだろう
だいぶ書くのが遅れましたが「14歳の恋」2巻の感想です。熟成させすぎた。
感想書くにあたってまたじっくり読み返してみたのですが、はぁー・・・本当に甘酸っぱい。そして存分にニヤニヤしながら悶絶できる!
恋愛アンソロジー「楽園」で連載されている本作は、そのタイトルどおりの思春期まっさかりな男女の恋がやさしく触れ合って読者が爆発する青春漫画。なんじゃそりゃという感じでしょうが、私は奇声を上げるのをこらえながら読んでいます(断言)。
ノスタルジックで軽やかな空気で満ちており、とても雰囲気がいい。
思春期のいじらしい恋心に、なにげない日常が彩られていく。ああ爽やか。
表紙もかわいらしい。意図しているのかな。2人で作る空色のハートマーク。
「2年B組の田中彼方と吉川和樹は、周りに比べて大人っぽい」
この作品を象徴するかのような一節です。
この巻のオープニングをかざる第6話は、この一節をさらに深める形で、14歳の身体にやってくる変化を、そしてそれに戸惑う彼らを描いた内容。
2人がお互いの身体の成長を感じ取るエピソードで、しょっぱなから破壊力バツグンです!
「いつのまに こんなに変わっていたんだろう」なんて、相手の変化にドキマギする。
少年は少女に、少女は少年に。
小学生のころと同じ感覚で触れ合って、でも相手の意外な柔らかさやたくましさを知ってちょっと気まずくなって・・・あああああもどかしい!かわいい!!
で、恐る恐る確かめるように「触っても、いい?」ですよ。顔真っ赤にしちゃって。
相手の身体がこんなに変わっているということにドキドキする彼らですが
でも「自分が大人の身体になってきている」なんて自覚はできていないようで。
いやいや、相手もそうだけど、あなたも自分が思ってるより大人になってるんですよ。
そういう意識と身体のすれ違いやアンバランスさも思春期の愛おしさよジ゙ュルリ
彼方が和樹ののどぼとけを見て大興奮する第8話とかも、微笑ましさで爆発しそう。
主人公2人は相変わらずと言えば相変わらずな青春を直進している横で
2巻はサブキャラクターらの魅力が存分に発揮された内容でもあったと思います。
ガラが悪くてクラスメートの大半は近寄りがたく思っている長井くんですが
彼が日野原先生におちょくられるシーンはいちいちニヤけてしまうw
日野原が隠し持つS属性をうずかせてしまうばかりに、長井くんは結構ヒドい目に・・・。
たしかに長井くんはヒネクレ者なのか、クラスで浮いた存在ですけども、14歳のそれなんてそこの知れたものというか。
いやそこがしれない人や場合もあるだろうけど、長井くんは多分チョロい(色々)。そういうのを簡単に見破れてしまう先生だから出来るんだろうなぁ。
しかし!しかしですよ!2巻でもっともニヤけてしまうシーンはこれですよ!
ぐもーっ!先生ー!!
些細なことで起きた形勢逆転。けれどそんな時にちょっとだけ大切にされて、この照れ顔であります。なんなのこれ。普段の強気なあの先生がこんな・・・・・・乙女か!!乙女だわ!!!
ということで最高にかわいい日野原先生に胸いっぱいになるのです。
そしてここで普段の仕返しなんてできない、根本的な部分でイイコな長井くんにほっこり。
ここにも14歳の恋がある。
そして2巻からの新キャラクター、志木さんも注目したいところ。
周囲にあかせない恋をしているという点で彼方と和樹も切ない境遇ですが、志木のそれはさらに辛いな。彼女のモノローグはいつもチクリと心に刺激がくる。
しかしそれでもひたむきに恋に向かっていく志木さんの姿も、やはり眩しい。
「14歳の恋」というタイトルだけあり、ここにもまた、1つの美しい恋がある。
ちなみに2巻の書き下ろしはこの志木さんが主人公のエピソードで恋におちる瞬間の彼女を見ることができます。このシーンのなんと美しいこと。俺の心のやわい部分がそろそろ悲鳴をあげる。
1コマ1カットそれぞれがハッとさせられるくらい鮮やかにキマる瞬間が多々あって、水谷フーカ先生の漫画の上手さを感じます。なめらかに流れていくような読みやすさと美しさを備えた演出に惚れ惚れします。
水谷フーカ先生といえば「ロンリーウルフ・ロンリーシープ」などの百合漫画群もたまりませんが、個人的には「14歳の恋」は飛び抜けて好きかもしれないなと。
14歳という年齢が持つ不安定さを実に上手に描き出している。悶絶につぐ悶絶である。
主人公だけじゃなくサブキャラたちの活躍も目覚しいのは、記事で書いたとおり。
けれど彼らが特別ではなくて、14歳のみんなそれぞれに変化は訪れている。密かに大きく変わっていく、その只中にある中学生たちは、ノスタルジーを掻き立てられるじゃないですか。
男と女がハッキリしだして、妙に意識しすぎて空回ししてうまくいかなくて・・・そんななんだか痛々しくも甘く懐かしいあの頃が蘇るみたい。あの微妙な空気をうまく閉じ込めています。
この作品はそんなに熱血で膨大なエネルギーを蓄えた作品、というわけではないと思います。あくまで作品事態はとても軽やかで爽やかで、心地いいものです。
けれどこの作品が読者に残していく興奮は、読んだそばから自分自身の中で膨張してはちきれんばかりになっていく。たまらず胸をキュンとさせてくれる。なんかもうたまらなくなる。
14歳の恋は甘くて、苦々しくて、強くて弱くて。素敵。
『14歳の恋』2巻 ・・・・・・・・・・★★★★
この雰囲気、ツボだなぁ。甘く淡く軽やかに、確かに感情を揺さぶる中学生の恋。
[漫画]息苦しい…けれど離れられない私たち。『魚の見る夢』1巻
魚の見る夢 (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2012/09/12) 小川 麻衣子 商品詳細を見る |
でもまだ大丈夫 私たちはまだ普通でいられる…
発売されました!小川麻衣子先生の「魚の見る夢」1巻!
ゲッサンで「ひとりぼっちの地球侵略」も連載している小川先生。こちらは、ボーイミーツガールのきらめきが特徴的な「地球侵略」とは違った雰囲気を持つ作品になっています。
つぼみの漫画なので百合漫画というのは間違いないですが、主人公たちは姉妹関係です。
Yes姉妹百合!設定からしてちょっとインモラルな香りがするじゃないですか・・・!
ということで今日はこの漫画の感想を。
息苦しい・・・けれど離れられない・・・姉妹の「好き」はどこへ向かうのだろう。そんな作品。
姉妹2人ぐらいをしている巴と御影。
母とは死別。父とはあまり会わない。2人きりで日々を生きる。
姉妹や家族というだけ関係を飛びこえて、複雑な感情に心をゆらす2人。彼女たちだけじゃなくいろんな女の子も登場し、ストーリーを彩ります。
というか今後もっとストーリーに絡んでいって面白くなりそうな気配です。
1巻はキャラクターの顔見せや関係の提示を重点的にやっていっていたような感じ。
大きな事件はおきませんが、ゆるやかな時間の中で心の機微が丁寧にえがかれていきます。
まだ見えてこない重要要素もあり(父親のキャラクター像など)、この1巻はやはりキャラクター紹介的内容かなと思います。状況が本格的に動き出すまでをじっくりやっているかのような。
巴と御影。姉妹のすこし歪んだ姉妹関係が本作の注目どころ。
第一話は姉である巴が、寝ているあいだに御影に首輪をはめられるところからスタート。
所有欲を隠そうともしない妹・御影の言動にとまどう戸惑うお姉ちゃんです。
よく知らない人が「巴の親友だ」と言えば激昂。
普段はちょっとクールなような、まだ子供っぽいような・・・結構ふわふわとした性格をしてますが。
最初は巴との2人きりの空間だったからあのサディスティックさが印象的でしたが、学校ではそうでもないらしい。やはり御影にとって巴は特別すぎる存在なんだろう。
姉妹。今は2人だけの家族。唯一無二に強い絆で結ばれている・・・と、信じたい。
だからそのあいだに他者が入り込むのはガマンならないんだろうな。
巴はひそかに家を出ようと考えて受験勉強もがんばっているのですが
御影はそれをそれとなく悟って、勉強がはかどらないような意地悪をしました(第一話)。
なんて迷惑な独占欲・・・!かわいらしいとは、自分はまだちょっと言えないな。
「はっきり言えばいいのに 私のことが邪魔だって」(第5話)
など、自分の行いの悪さには自覚的です。それでも巴を縛ろうとする。そこに心からの切実な想いがあるのは間違いないです。離れていきそうなのがわかるから焦っている。
強くつながりたい妹。そこに家族として以上の情熱を感じて、少しだけ怯える姉。
でも最後には反発しつつも妹を受けとめるのだ。
危なっかしい妹だということは重々分かっているから、心配で心配で仕方なくなる。
縛りつけられるのはいやだけど、近くで見守っていようとする。
姉妹2人、それぞれが望む「最善の姉妹のカタチ」は微妙に異なっています。だからこじれてしまう。
あと現状をどうしたいかで2人は意見が分かれている。
姉の巴は少しずつでも今の歪んだ家族の形を変えていかなければと、あの父親から離れなければと頑張っている。
でも妹の御影はそうではなく、変わることを怖がっている。父親のことは気がかりだけど、今のまま2人きりの日々がずっと続けばと考えている。
そこは第5話でフィーチャーされていますが、5話の結論を読むと、2人がこの先どういう未来に向かっていくのかがわからないなぁ。あんまり明るい未来じゃない気がする。でも薄暗い中で2人身体を寄せ合うのも、またオツかもしれない(ゲスい読者目線で)
こんな風な2人に追い込んだ張本人とも言えるのが、彼女たちの父親。
でもまだ父親がどんな人物かわかりません。ちょこっと登場しますし、彼が姉妹の心を傷つけたことはわかりますが、詳細はまだ見えてこない。
どうも娘の御影に、死んだ妻の面影を見ている?病んでいそうですがさて。
とまぁズブッズブな様相を呈してきちゃった主人公たちですが
彼女たちの友人たちがぞれぞれいい味だしてて好きなのです。
いつもイチャついててほんわかできる先輩カップル、とてもかわいいです。
窮屈そうに愛し合う御影と巴とは違って、奔放におだやかに恋しあっている暖かな感じ!
あと高柳さんはいいキャラクターだなぁ。御影に迫っていく!ガンガン行く!
巴姉ちゃんは押し倒すけど、クラスメイトには押し倒されちゃう御影の図。
巴とのシーンではいつも押せ押せの優位ポジションにいる御影だからこのシーンが好きw
でもこのシーンの御影いいですね。特に口元にある携帯電話。唇をガードしてるかのような。
意図的なのかそうでないのかはともかく、巴以外には真には心を開いていなさそうに見える御影らしい。あと単純にドキドキするよね!この距離感の少女2人ってのは!
でも御影は巴以外にあんまり興味がないので、高柳さんは完全に片思いですよ。
高柳さんは巴に嫉妬心を燃やしていました。彼女がなんかやらかしてくれそうで、楽しみだなぁ。
では全体のまとめなど。
姉妹百合として魅せられる作品になっています。
設定としてのインモラルさはありますが、1巻の段階ではまだギョッとさせられるようなシーンはありません。でもこれから色々とこじれていきそうな予兆は感じられる・・・。
次の2巻で終わるような感じでもないかな。3巻くらいになるかもしれないですね。
これから大きく動いていくであろうストーリーの中で、2人の闇が深まっていくと面白そう。
でも暗くなりすぎるのもアレなので、先輩カップルだとかヤキモチやいちゃう高柳さんとか、いい活躍をしてくれると嬉しいです。
キレイな感情に彩られた作品ではありません。じわじわ蝕まれるようなムードで、静かにゆったりと読んでいたくなる作品です。浸っていたい。
全体的にしっとりと水気を孕んだ、涼やかな雰囲気が漂っています。
水中にたゆたっているような・・・という感覚は、魚というモチーフがあるからこそかな。
でもそれは、見たいものがまだ見えてこないもどかしさや不安定さがあることも込みで。
2巻までまた結構かかりそうですが、じっくりと描かれていってほしい作品です。
余談ですが、つぼみ掲載時とい見比べるとだいぶ作画に修正がされています。
単行本のはじめの方なんて、ほとんど描き直ししてるじゃないですか!すごいこだわりです。
表情の微妙な描きなおしがされていることを確認すると、もっと深くこの作品を味わってみたくなりますね。
『魚の見る夢』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
待望(超個人的)の小川先生の百合漫画だぁーウオォ!いい作品になっていきそうです。
[漫画]気が抜けないけど抜けるゾンビ・ラブコメディ、完結!『りびんぐでっど!』4巻
りびんぐでっど! 4 (少年チャンピオン・コミックス) (2012/09/07) さと 商品詳細を見る |
いただきます♥
「りびんぐでっど!」4巻が出ました。最終巻です。
これでラストというのは寂しい。しかし連載スタートから1年と少しの全59話。ダレないまま走りきったという事で、悪くはないタイミングだったかなと思います。
ラブ2割コメ8割、良質な1話完結シリーズでした。最後まで面白かったな!
気が抜けないはずなのに気が抜けてしまう、この絶妙の空気・・・!
今回の表紙は完結巻ということもあってか、ヒロイン全員集合ってな感じ。
表紙の右側にいる新キャラ・あいすちゃんなんかは全然ラブコメに絡みませんけど・・・まぁいっか、表紙は3人寄れば華やかだよ!
それでは最終巻の感想を。
前巻→ゾンビ(に巻き込まれ)ライフはいつも賑やか。『りびんぐでっど!』3巻
なんなのだろうな、この面白さは、不思議な魅力は。
珍しいことをやっていた漫画ではないです。でもとても好きだった。
もなこの無茶苦茶でかつ濃いキャラクターだとか、彼女が暴走してどう日常がかき乱されるかだとか、コメディとして楽しかった。ささいなセリフの1つ1つにも妙なセンスがみなぎっていたり。時々やってくるラブコメモードな彼らもとても可愛らしかった。
いろんな要素が絡み合って、ぬるく気楽に楽しめるいい漫画になっていました。
最後となる4巻。
いつもどーりのお気楽のうてんきなコメディ回が安定の面白さす。
安定というか、思えばこの漫画は明確につまらなかったハズレ回ってのは無かったなぁ。ネタがどうとかより根本的にこの空気にハマっていたんだろうか。
あいすちゃんが本格参戦してから、もなこをめぐる環境に新しい風が吹き込みました。
あいすちゃんは登場したのが遅かったので、じっくりとは描かれていなかったことが残念ですが、いいキャラでした。ゾンビ愛があふれすぎた突拍子もない動きは笑いました。
連載が続いていれば、あいすちゃんも主人公をめぐるラブコメ前線に参加したんじゃないかなーと、46話のラストを見てほんのり想像したりします。
47話が個人的にギャグとしてのベスト。
青山くんがポエマーとしてのその類まれな才能を発揮する!
うわぁ・・・。
この物語のはじまりだって青山くんが書いたアイターなラブレターがあったからでしたね。
ちょっと忘れかけていましたが、所々で青山くんは普通じゃないからな。
巻き込まれ型主人公なのにたまに自分から周囲巻き込んでいく迷惑アクティブさも・・・。
そしてこの作品のクライマックス。ラブコメとして決着させてみせました。
むだにシリアス度の高い展開になったりせず好感触。ちょっと真面目な中でも肩の力をぬかせてくれる。こんな軽やかさが好きだったのです。
アンリちゃんもがんばったんだけどなー。いい盛り上がりを見せたラストでした。
というか終盤にむけてのアンリちゃんのヒロイン力上昇は目を見張るものがあった!でもそれはもなことの恋愛バトルをさらに盛り上げるためであり、つまり当て馬であり・・・・・・だとしてもアンリちゃんは可愛かった。精一杯に恋する女の子はかわいいのである。
とはいえこの作品の看板娘でありメインヒロインはもなこちゃん。
もなこの魅力が十二分に引き出されたクライマックスはたっぷりと甘い・・・!
はー。普段のおとぼけっぷりもかわいいけど、好きな相手を意識してのギクシャクした乙女っぷりも垂涎モノ。
ラスト近辺では青山くんともなこの未来を示唆されていて、幸せなエンディングでした。
コメディとしても面白かったのに、意外なくらいしっかりラブコメ展開がハマってきれいに着地。連載終了は惜しいけど、いい最終話が見れて嬉しいです。
そんな最終巻でした。いい漫画だったなと、最終巻を読み終えて思い返しました。
週刊少年チャンピオンで連載が一時的に再開した「みつどもえ」(今は新しく別冊少年チャンピオンに行きました)と、キレーに入れ替わる形で終了したんですよね。
「みつどもえ」の復活はとても嬉しかったですが、でももっと「りびんぐでっど!」を読んでいたかったなぁという気持ちもあります、当然。
でも最初にも書いたとおり、こういうギャグ漫画でダレずに完結したということで、自分は「りびんぐでっど!」を素晴らしい作品として記憶したいなと。
楽しい漫画でした。全4巻でまとまった良作として、気軽に読まれていってほしいです。
『りびんぐでっど!』4巻 ・・・・・・・・・★★★☆
最終巻。うーん残念・・・でも内容はやっぱり面白く、綺麗に落ち着きました。またたまに読み返してニヤニヤしたいな。どこかズレたキャラクターたちが大好き。
[漫画]正直者はバカをみない!『常住戦陣!!ムシブギョー』6巻
常住戦陣!!ムシブギョー 6 (少年サンデーコミックス) (2012/07/18) 福田 宏 商品詳細を見る |
「約束」を果たしに!!!
「常住戦陣ムシブギョー」第6巻が出ています。
実は週刊少年誌連載作で1巻から欠かさず更新している作品というのは珍しかったりする。
さてかつてない緊迫感と多数の新キャラ登場で賑やかな「蟲奉行様救出作戦編」、クライマックスとなります。いろいろと気になる展開が連続してました。見逃せな一冊。さくっと感想書きます。
前巻→仲間を貶されて許せるか『常住戦陣!!ムシブギョー』5巻
奉行様をおいかけ山頂にやってきた仁兵衛。迫る蟲狩の魔の手から奉行様を守るのだ!まずはこの奉行様のお付きの女の子を守らねば!
・・・と勘違いを続け、超つよい蟲奉行様の戦いをジャマしてしまうという状態に。
あまりにもタイミングよく妨害してくるので蟲奉行様から「こいつ味方といいながらジャマしてくるし、実は敵の一味なんじゃ?」とあらぬ疑いをかけられてしまう始末。
ますます混戦となってしまう虫奉行救出作戦編は、この巻で完結を迎えます。
まず見逃せないのが蟲奉行様の変身でした。
蝶のような羽が生え、全体的に白かったのが服や神まで真っ黒。
表紙でも描かれている姿ですが、この変身のインパクトはデカかった。このモードになってからの無双状態にもワクワクしたものです。
・・・たった1話で無双終わっちゃったけど!封印されちゃったけど!
せっかくカッコいいのに敵に封印されてもとの姿になってしまったでござる。
ということで追い込んだと思ったら追い込まれ、ピンチと思ったら助けが来て、それでもヤバくなったらなにか起きる、とかなりめまぐるしく展開が動いていきます。
さすが連載開始以降で最長のシリーズとなるため、かなり内容を詰めている感じがしましたね。けれど混乱はしませんし、こういう忙しさも好きです。蟲狩メンバーの把握はしておきたいなあ。どうせ再登場するだろうし。
もういっこ、見逃せない展開が仁兵衛自身の身に起きるのですが、これにもビックリ。仁兵衛の髪ってこのために設定されたものだったんでしょうか。
にしてもクライマックスだけあって終盤はかなりの緊張感。面白かったー。
松ノ原さんが今までになく大物にみえたなぁ、6巻。
今回の長編で、重要キャラの蟲奉行様と、何度も登場することになるだろう敵組織「蟲狩」、仁兵衛の秘密、そして今後の展開で大きな意味を持ってくる大阪城を拠点とした西日本の蟲たちの存在など、本当にいろいろな要素がが描かれました。作品として新しい展開に進みだしたなという感じがします。
お春ちゃんといい火鉢ちゃんといい、この作品のヒロインは脱ぎ系ばかりでしたが、蟲奉行様はそれとは違った方面に可愛いですね!彼女がヒロインに数えられるかは微妙かもしれませんがw
でもこの6巻読むと、蟲奉行様の可愛さはかなり染みる・・・!仁兵衛に助けられた直後のぼうっと呆けた表情とか素敵でした。
6巻のラストでは久しぶりのあのキャラも登場し、次のエピソードへの期待を持たせます。
月島家のバカ力はやはりどうかしているな・・・意味がわからなくなるレベル。
と、さくっと感想書いていきましたが以上。
やっぱり王道少年漫画としての面白さがありますねえ。新キャラも気になる新展開もありより物語に深みが増してきそう。
いよいよ話が大きく動き出しそうで、今から続刊にワクワクしています。
蟲奉行様という新ヒロイン(?)も加わったことだすしね!
『常住戦陣!!ムシブギョー』6巻 ・・・・・・・・・★★★☆
救出作戦編完結。大きく動いた一冊でした。蟲奉行改め黒奉行様のカッコよさがなかなかの物。
[漫画]傷ついたらハマる、思春期の光と闇。『空が灰色だから』2巻
最近更新ペースがひどいですね・・・試験期間あけたらもっと更新していきたい。
星なんてひとつもなくて
心がざわめく思春期ショート「空が灰色だから」、第二巻が発売しています。
心の奥深いところに突き刺さったり傷を残したりゾクゾクさせたり・・・とにもかくにも、確かに「ざわめく」。やさしいお話はある。けれど隠そうともしない強烈な毒や絶望もグチャグチャに渦を巻いている。
読む人に何かを残してやろうって気マンマンの漫画なんですよね。消せない傷でもなんでも。
今回はどんな方向に向かう話なのか、最後まで予想ができない面白さ。
表紙カラーは黄色。ポップなデザインですが中身を知ってるとこれが斑の警戒色にしか・・・。
目次ページの斑人間イラストから生理的にムリって人いるんじゃないか。
1話基本12ページのオムニバスショート、ということですが、コメディも純愛も虚無も絶望もホラーも不条理も一緒くたです。ジャンル説明がぜんっぜんできない漫画ですね。
「うまくいかない日常を描くオムニバス・ショート」とありますが、ううん、女の子達の賑やかでハッピーなコメディ期待してると膝から崩れ落ちて頭抱える。
「うまくいかない」というのは間違いないですね。その上で毒が強すぎる。
ということで(?)この2巻もいろんな話が収められており、退屈しません。
一気に読んでるといろんな情報が頭をぐーるぐーるして疲れてしまいますが、それでも1冊の単行本としての満足度は非常に高い。ハマる人はとことんハマるんじゃないかな。
それでは個人的に気に入った短編について、それぞれさくっと感想でも。
●17話 こわいものみたさ
キャーキャー騒ぎたくて苦手といいつつホラー映画とかノリノリで見ちゃう系女子。
と言えばいいのかなんなのか。なんにせよ、終盤の見開きにテンションがおかしくなる。
主人公の女の子も、そして読み手の好奇心をかきたてるエンディングで、なんだかそわそわする。それがこの作品の狙いなんでしょうねえ。「あ、とれちゃった」って・・・なに!なに!
「こわいものみたさ」のタイトル通り、それを読者にも感染させようとするかのような。
いかにも怪しいリアルな風景描写も雰囲気もいい。なにか起こりそうな不安が掻き立てられる。
●18話 信じていた
きたーハートブレイクもの。ブレイクするのは読者の。1巻収録の第6話とも似た構成をしていますが、あれとはまた違ったベクトルの痛さもあるような。
勘違いの押し付けをしていたのが6話なら、すでに取り戻せない失敗を犯してしまっているのがこの18話。途中までは素直に青春ものとして読んでいたのに、クルッと視界が反転しブラックに突き落とすこのテンポのよさはお見事。この作品、最後まで転ぶかわからない短編ばかりなのも大好きです。
照れ隠しの罵倒はおなじみのツンデレらしい流れであるけれど、それで相手が致命的に傷つけられる場合もある。こんな不器用な人間関係が、いつも好意的に受け止められるはずもないんだ。ツンデレなんて漫画だからこそ夢を見れるツンデレのシチュエーションだけど、漫画にそのお約束を真っ向否定されてしまうという、内容の痛々しさと同時に「してやられた」と気持ちよくなってしまう一作。いたきもひい。
でオチもひどい。あのモブの女の子。いい気持ちにはさせられないけど、この作品らしい意地悪さだよなぁと思います。そしてなによりラスト1ページは、うっかり泣けてきてしまった。
●21話 こんなにたくさんの話したいことがある
いろんなタイプ短編を取り揃えた第2巻でも随一の清々しさを持ったエピソード。
いたって普通に始まる平和な作品ですらビクビクしながら読みすすめてしまうこの作品だからこそ、俺は本を思わず放り出す勢いで喜びました。チャンピオン本誌で読んだときの話。
最後の最後まで貫かれ、そして花を咲かせた胸いっぱいのぬくもり。
いい笑顔!キラキラと眩しい友情もので、素晴らしい笑顔が拝める作品。
たまにこういうエピソードも仕込んでくるから侮れないんですよ。毒ばかりじゃない、やさしさが溢れ出すような感動も味あわせてくれる。
言葉のひとつひとつの美しさもときめきました。きっと親友になれた瞬間だ。
この作品には「他者とのコミュニケーションがうまくできない」ことで悩む人々が多く登場します。まぁそんなのは思春期の人間なら、というか年代問わず多くの人が抱える悩みなのかもしれないけれど、何事も不器用な思春期が「空が灰色だから」の土台的な部分。
そして、うまくいかないコミュニケーションが時にちょっとした幸せを運んでくれたり、目も当てられない辛い結末を見せつけてくる。
しかしこの作品は、コミュニケーションがうまくとれないと悩む少女が、その全てを受け入れてもらえる形で終わる。地味ながらも「空が灰色だから」中ではトップクラスにハッピーエンド!
切ない話も大好きだし、ブラックな作品にもドキドキさせられるけど、それらの積み重ねがこういう正のエネルギーを放つ作品をより魅力的にしていますね(1巻の第2話→3話の流れでもこれは思いました)。また、逆もしかりなんですが。正の作品があるから、負が映える。
その凄まじい振り幅がまたドキドキさせてくれます。
●23話 わたしたち
この女の子はかわいいがウザいなぁw
いわゆるラブコメらしいラブコメなんだけれど、コメディとしてのキレがよかった1話。
もともと台詞回しなどのセンスの面白さは感じていましたが。主人公の男の子の冷静なツッコミがとてもいい。それでちゃんとニヤニヤできる!この2人は好きですねえ、再登場しないかな。
●24話 世界の中心
うわぁ、これはまた強烈な。
主人公による一人称視点で展開していく話なのですが、それ故にどんどん病んでいく。
最初はシュールだなと思いながら読んでいたものが、どんどんと悪化していき鳥肌が立ちそうな不気味さになっていきます。でも絵としてはすごく面白いんだよなあこの話。
なんだこれ・・・怖すぎる。
ラストまで来ると本当に意味がわからなくなってきます。こっちの頭がイカれそう。
テーマも面白いのですが、これをこんなおぞましい遊び心で12ページにまとめあげていることもすごいなと。ある意味一発ネタなんですけど、これは間違いなく記憶に残る一話。
いかにもエッジのきいた話ばかりチョイスしてしまって自分でもうひょうって感じですね!
そんなこんなの「空が灰色だから」2巻でした。
1巻と比べてもかなり挑戦的な内容になっていました。挑戦的というか、遠慮なしのむき出しの世界が広がっているというか。キャラクターも個性が強く、楽しませてくれます。
上での5つの話以外も印象に残っていますねえ。それぞれが濃厚で素晴らしい。
16話「金魚」なんかもすごく好き。感想書きづらかったのでやめてしまいましたが、静かにおだやかにとうとうと、乾いた空気が流れていくお話でした。
次にどんなものが飛び出してくるのかわからないのが魅力です。一話完結のショート漫画でこんなに続きが楽しみになる作品というのも珍しい気がするな。
クセのつよい作品だと思いますが、とりあえず1度読んでみて心揺さぶられてみて欲しいですね。
かわいい絵柄でずいぶんエグい漫画。そこが素敵。傷ついたらハマる。
『空が灰色だから』2巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
1巻を上回る秀作ぞろいで充実してます。隠そうともしない悪意と心地よいぬくもりの波状攻撃。
空が灰色だから 2 (少年チャンピオン・コミックス) (2012/07/06) 阿部 共実 商品詳細を見る |
星なんてひとつもなくて
心がざわめく思春期ショート「空が灰色だから」、第二巻が発売しています。
心の奥深いところに突き刺さったり傷を残したりゾクゾクさせたり・・・とにもかくにも、確かに「ざわめく」。やさしいお話はある。けれど隠そうともしない強烈な毒や絶望もグチャグチャに渦を巻いている。
読む人に何かを残してやろうって気マンマンの漫画なんですよね。消せない傷でもなんでも。
今回はどんな方向に向かう話なのか、最後まで予想ができない面白さ。
表紙カラーは黄色。ポップなデザインですが中身を知ってるとこれが斑の警戒色にしか・・・。
目次ページの斑人間イラストから生理的にムリって人いるんじゃないか。
1話基本12ページのオムニバスショート、ということですが、コメディも純愛も虚無も絶望もホラーも不条理も一緒くたです。ジャンル説明がぜんっぜんできない漫画ですね。
「うまくいかない日常を描くオムニバス・ショート」とありますが、ううん、女の子達の賑やかでハッピーなコメディ期待してると膝から崩れ落ちて頭抱える。
「うまくいかない」というのは間違いないですね。その上で毒が強すぎる。
ということで(?)この2巻もいろんな話が収められており、退屈しません。
一気に読んでるといろんな情報が頭をぐーるぐーるして疲れてしまいますが、それでも1冊の単行本としての満足度は非常に高い。ハマる人はとことんハマるんじゃないかな。
それでは個人的に気に入った短編について、それぞれさくっと感想でも。
●17話 こわいものみたさ
キャーキャー騒ぎたくて苦手といいつつホラー映画とかノリノリで見ちゃう系女子。
と言えばいいのかなんなのか。なんにせよ、終盤の見開きにテンションがおかしくなる。
主人公の女の子も、そして読み手の好奇心をかきたてるエンディングで、なんだかそわそわする。それがこの作品の狙いなんでしょうねえ。「あ、とれちゃった」って・・・なに!なに!
「こわいものみたさ」のタイトル通り、それを読者にも感染させようとするかのような。
いかにも怪しいリアルな風景描写も雰囲気もいい。なにか起こりそうな不安が掻き立てられる。
●18話 信じていた
きたーハートブレイクもの。ブレイクするのは読者の。1巻収録の第6話とも似た構成をしていますが、あれとはまた違ったベクトルの痛さもあるような。
勘違いの押し付けをしていたのが6話なら、すでに取り戻せない失敗を犯してしまっているのがこの18話。途中までは素直に青春ものとして読んでいたのに、クルッと視界が反転しブラックに突き落とすこのテンポのよさはお見事。この作品、最後まで転ぶかわからない短編ばかりなのも大好きです。
照れ隠しの罵倒はおなじみのツンデレらしい流れであるけれど、それで相手が致命的に傷つけられる場合もある。こんな不器用な人間関係が、いつも好意的に受け止められるはずもないんだ。ツンデレなんて漫画だからこそ夢を見れるツンデレのシチュエーションだけど、漫画にそのお約束を真っ向否定されてしまうという、内容の痛々しさと同時に「してやられた」と気持ちよくなってしまう一作。いたきもひい。
でオチもひどい。あのモブの女の子。いい気持ちにはさせられないけど、この作品らしい意地悪さだよなぁと思います。そしてなによりラスト1ページは、うっかり泣けてきてしまった。
●21話 こんなにたくさんの話したいことがある
いろんなタイプ短編を取り揃えた第2巻でも随一の清々しさを持ったエピソード。
いたって普通に始まる平和な作品ですらビクビクしながら読みすすめてしまうこの作品だからこそ、俺は本を思わず放り出す勢いで喜びました。チャンピオン本誌で読んだときの話。
最後の最後まで貫かれ、そして花を咲かせた胸いっぱいのぬくもり。
いい笑顔!キラキラと眩しい友情もので、素晴らしい笑顔が拝める作品。
たまにこういうエピソードも仕込んでくるから侮れないんですよ。毒ばかりじゃない、やさしさが溢れ出すような感動も味あわせてくれる。
言葉のひとつひとつの美しさもときめきました。きっと親友になれた瞬間だ。
この作品には「他者とのコミュニケーションがうまくできない」ことで悩む人々が多く登場します。まぁそんなのは思春期の人間なら、というか年代問わず多くの人が抱える悩みなのかもしれないけれど、何事も不器用な思春期が「空が灰色だから」の土台的な部分。
そして、うまくいかないコミュニケーションが時にちょっとした幸せを運んでくれたり、目も当てられない辛い結末を見せつけてくる。
しかしこの作品は、コミュニケーションがうまくとれないと悩む少女が、その全てを受け入れてもらえる形で終わる。地味ながらも「空が灰色だから」中ではトップクラスにハッピーエンド!
切ない話も大好きだし、ブラックな作品にもドキドキさせられるけど、それらの積み重ねがこういう正のエネルギーを放つ作品をより魅力的にしていますね(1巻の第2話→3話の流れでもこれは思いました)。また、逆もしかりなんですが。正の作品があるから、負が映える。
その凄まじい振り幅がまたドキドキさせてくれます。
●23話 わたしたち
この女の子はかわいいがウザいなぁw
いわゆるラブコメらしいラブコメなんだけれど、コメディとしてのキレがよかった1話。
もともと台詞回しなどのセンスの面白さは感じていましたが。主人公の男の子の冷静なツッコミがとてもいい。それでちゃんとニヤニヤできる!この2人は好きですねえ、再登場しないかな。
●24話 世界の中心
うわぁ、これはまた強烈な。
主人公による一人称視点で展開していく話なのですが、それ故にどんどん病んでいく。
最初はシュールだなと思いながら読んでいたものが、どんどんと悪化していき鳥肌が立ちそうな不気味さになっていきます。でも絵としてはすごく面白いんだよなあこの話。
なんだこれ・・・怖すぎる。
ラストまで来ると本当に意味がわからなくなってきます。こっちの頭がイカれそう。
テーマも面白いのですが、これをこんなおぞましい遊び心で12ページにまとめあげていることもすごいなと。ある意味一発ネタなんですけど、これは間違いなく記憶に残る一話。
いかにもエッジのきいた話ばかりチョイスしてしまって自分でもうひょうって感じですね!
そんなこんなの「空が灰色だから」2巻でした。
1巻と比べてもかなり挑戦的な内容になっていました。挑戦的というか、遠慮なしのむき出しの世界が広がっているというか。キャラクターも個性が強く、楽しませてくれます。
上での5つの話以外も印象に残っていますねえ。それぞれが濃厚で素晴らしい。
16話「金魚」なんかもすごく好き。感想書きづらかったのでやめてしまいましたが、静かにおだやかにとうとうと、乾いた空気が流れていくお話でした。
次にどんなものが飛び出してくるのかわからないのが魅力です。一話完結のショート漫画でこんなに続きが楽しみになる作品というのも珍しい気がするな。
クセのつよい作品だと思いますが、とりあえず1度読んでみて心揺さぶられてみて欲しいですね。
かわいい絵柄でずいぶんエグい漫画。そこが素敵。傷ついたらハマる。
『空が灰色だから』2巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
1巻を上回る秀作ぞろいで充実してます。隠そうともしない悪意と心地よいぬくもりの波状攻撃。