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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[CD]雪ノ下雪乃の内面を描く、アニメ俺ガイルOP『ユキトキ』

珍しくCDの感想なんぞ。

TVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」オープニングテーマ曲「ユキトキ」。
やなぎなぎ5thシングルとして4月17日に発売しました。
まさに春にぴったりの、非常に爽やかなポップチューン!
問答無用に心掴まれる美メロに打ちのめされ、歌詞を読んでまた悶絶!!
原作ファン的にはこれはチェックせねばと買って参りましたよ。
曲単体でもお気に入りなのですが、俺ガイルという作品に添えられた内容だということを加味すると曲の奥深さが増し、より一層美味しく。

ユキトキ

買ったら大きいポスターもらえました。麗しや。

作曲はROUND TABLEの北川勝利。歌うのは化物語「君の知らない物語」の時、スーパーセルでゲストボーカルやってたやなぎなぎさん。近年は個人名義でアニメソングをリリースしてますね。個人的にはmanyoさんとコラボしたアルバム「Tachyon」の音世界がめちゃくちゃ心地よかったですわ。

さて「ユキトキ」です。
曲は軽やかなバンドサウンドにピアノ・ストリングスが絡み合う、お洒落なポップス。どこか憂いを湛えた淡い色彩がパッと花開く、開放感に満ちた一曲です。
歌い出しから完璧ですよね。この美メロ!サビ入り構成は大正解!



歌い出しに掴んで、一気に駆け出す演奏!しかし一旦ブレイクを挟んで、穏やかにAメロへ。そして胸に暖かさがこみ上げてくるかのような、爽快なサビへと向かう。
曲展開がとても気持ちがいいんですよね。メロディがとても甘酸っぱく、そして美しさも感じる。高揚感と開放感もあって、これぞ春歌。
歌詞に出てくる「アザレア」だって、春に咲くあざやかな花ですから。

全体的にリズムの緩急が絶妙に心地いい「ユキトキ」の曲構成は、もしかすると雪ノ下の気持ちともシンクロしている部分があるのかもしれない。
そう、歌詞を見ていれば一発で分かる。
この「ユキトキ」はカンッペキに雪ノ下雪乃の心の内を歌った内容となっているのです。
原作小説などは主人公・八幡の一人称視点となっており、他ヒロインの胸の内は想像するしかない。
しかし「ユキトキ」は、原作者による作詞ではないけれど、この作品を読み解くに欠かせないパーツに成り得る。というか雪ノ下ファンでこの歌詞眺めてニヤニヤできないヤツいるのかよ!ひゃほーっ!!
これね、フルで聞くと歌詞の良さをさらに噛み締めることができますよ。
原作ファンも「ユキトキ」はフルで聞いておかなくちゃ!

1人であることになんの疑問も持たなかった主人公(少女)が
少しずつその世界を広げ、「誰か」と共にいる喜びを知るまでのストーリー。
そこにある深い愛情。恋愛を歌った内容ではありませんが、誰かをつながり会える感動を噛み締められる。原作と重ねると、万感の想いというのだろうか、このアツい震えは…。
物語の即した歌詞内容ではなく、あくまでも「雪ノ下雪乃」というキャラクターの心理と成長・変化のイメージ化に挑んだ内容となっていると思います。



歌詞を見ていきます。
まずイメージとして膨らむのは、雪ノ下が1人でいる奉仕部の部室。
「気づけば俯瞰で眺めてる箱」とは、1人に慣れすぎてしまった雪ノ下が自らを客観的に見ている様子かな。しかしそれで「心は白色不透明」
今ある状況に不満はないけれど、でも気持ちよさはないような、漠然とした寂しさを感じ取れる箇所でもあります。白く不透明→雪、とイメージを繋げられますね。雪に感情が埋まり、喜怒哀楽を曖昧にしてしまっている様子も浮かびます。
その雪を溶かす春を訪れを歌ったのが「ユキトキ」という曲。
冬と春。雪とアザレア(春に咲く花)。
2つの季節の共存、あるいは移り変わりはジャケット写真でも印象的に用いられています。

2番Aメロにも、雪ノ下の1人の時間を思わせるフレーズがあります。
「難しい数式 誰にも頼らず 解いて明かしてきた」
「当たり前だと思っていたから 何も疑わなかったけど」
1人でもなんでもできる能力が、彼女にはあるんですよね。

しかし彼女は、この部屋を出たがります。
「アザレアを咲かせて 暖かい庭まで 連れ出して 連れ出して なんて ね」
春が欲しい。1人のこの部屋から飛び出したい。
「だからそう ひとつずつ ゆっくりと手をつないでいくの(2番サビ)」
誰かと一緒に、暖かな春へ。
雪ノ下にしては「手をつなぐ」とはまた大胆な…!とは思いますが、きっと彼女が望むのはそこなんでしょう。

作詞をしたやなぎなぎさん本人も書いていたように、タイトルが「雪解け」ではなく「ユキトキ」であるのは、自らの意志がそこにあるから。
ちゃんと自分から歩み出すことを主題としたことに、この曲の意味がありますね。

「ひとりで守ってた小さなあの部屋は」
「少しだけ空いている場所があって」
「ずっと知らなかったんだ」

この箇所も好きで。「少しだけ」空いているってのがいいんだ。
何人も入れますよーみたいな規模じゃない。小さなあの部屋はずっと彼女が守ってきた空間。そこに他者を迎えることができる余裕が、ほんのすこしだけあるということ。ここに、まだ全てが変わり切れていないけれど、それでも踏み出した雪ノ下の成長途中な部分が垣間見えて好き。
雪ノ下はその性格的に、多くの人間と親交を深められる人間ではないか。成長途中というのは正しくないかもしれない。それでも、彼女の変化をハッキリ示した箇所です。

ここに前後する間奏では意外なくらい強めにエレキギターのソロが入ってきて、しかも大サビ直前には「ジャジャジャッジャ!」と、派手にかき鳴らすプレイ。カッコいい!
ここでハッとさせられますね。雪ノ下の意識が、視界が、世界が開ける。
春の風が「部屋」に吹き込んで、ふと見た庭先には鮮やかなアザレアの花。そんな風景が浮かびます。きっとその部屋は、ひとりぼっちではないんだろうな。

「胸に貼り付いたガラス 溶けて流れる」
のフレーズも美しい。透明なガラスは、見ただけではその存在がわからない。でも確かに隔たりがあるわけだ。なんの違和感もなく1人の世界で生きてきた彼女のこれまでと、誰かとともに歩み出す彼女のこれから。過去と未来を隔てたガラスは熔けて流れる。だから、前に進める。「ガラス」という表現がお見事だなぁ。



ちなみにアザレアの花言葉。

「あなたに愛される幸せ」
「愛の楽しみ、恋の喜び」


とまぁ清々しいくらい、ラブの匂いがしてきますが!
歌詞は恋愛だけではなく、人間的な成長と明快な視界への爽やかな感動が込められていて、単純な「恋の歌」になっていなかったのが個人的に嬉しい所。
だってね、雪ノ下は恋するとかよりもっと前に、ちゃんと他の人と付き合っていくことで、心を育てていかなきゃならないんだ。春の日差しを浴びて、暖かく柔らかく、やがてそこに花が咲くように。

雪ノ下目線で見るなら、むしろ八幡より由比ヶ浜の方が彼女を新しい世界に引っ張っていってくれているのでは……と、いろいろ解釈はあるかなw
雪ノ下目線で見た「俺ガイル」の世界の断片を楽しめるという意味でも
「ユキトキ」は非常に有意義で、なにより素晴らしい一曲だと思うのです。
やなぎなぎさんの、美しくも凛とした歌声もマッチしていて素敵です。

そういえばアザレアって、川崎市の市花らしいんですが
あれ………川崎…さん…!?



ユキトキ TVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」オープニングテーマユキトキ TVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」オープニングテーマ
(2013/04/17)
やなぎなぎ

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「ユキトキ」関連のインタビュー記事や、やなぎなぎさん本人の言及もあったのでまとめ。
やなぎなぎオフィシャルブログ 「ユキトキ発売日前日」
ナタリー 「俺ガイル」雪乃と寄り添って生まれた雪解けの歌
アニメイトTV 「周りを頼れない雪乃さんを救ってあげたい」

表題曲だけじゃなくカップリング曲もいい仕上がり。
「音のない夢」はタイトルどおりの幻想的で不思議な浮遊感が楽しい。
「Surrealisme」は奇妙なメロディラインを持った複雑な一曲。歌詞の世界観も面白いし、なによりリズムが独特でクセになる。韻の踏み方もすごいことになってますね。

[小説]それでも彼らは当たり前の嘘をつく。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』7巻

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 (ガガガ文庫)
(2013/03/19)
渡 航

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   ―――けれど、一番の大嘘つきは俺だった。

TVアニメ始まったみたいですね。え、いや、愛知県は放送まだですがハハ…
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」7巻感想です。
こりゃあ・・・すげえな・・・。
何がってこのビターっぷり!ほろ苦い、どころじゃなく顔がぐんにゃり歪むレベル。
どうしようもなく愚かで脆くて繊細で、愛おしくもあり憎らしくもある。
コミカルかつシニカルな日常描写から滑り出し、たどり着く先は、またしても……。
『青春ラブコメはまちがってるって言ってもあれでしょ、なんだかんだでハーレムとかだったりなんでしょ』とタカをくくっているとまじでカウンターを食らう。キツイのを食らいますよ。間違えすぎたこんな青春は胸が苦しい。心が痛い。脳が揺らぐ。けれど切実な苦味が理性を貫いてほとほと感服する。
アニメも始まってるっていうのに、原作は原作らしく突き抜けてますわ!

文化祭終わって第7巻。今度は京都へ修学旅行。
舞い込む恋の相談が、奉仕部をさらなる面倒と混乱に突き落とす。
しかし深まる人の想いも見逃せない。
シリーズ後半戦の幕開けに相応しい、激動の一冊。

過去の感想。
青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻
甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻
かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻
憧れだった君を許せない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』5巻
独りの英雄は、ステージの輝きを浴びられない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』6巻
八幡の腐った目もゆきのんの照れ顔もナイスなコミカライズ!『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-』1巻

青春ラブコメではないな。特に今回はラブコメ要素少なかった……!
ただ、素直に、すばらしい青春作品だと思う。
どうしようもなく胸に迫る、若さゆえの不安定で曖昧な人間関係。それに悩まされる人々。自分すらごまかして、それでも壊したくない時間。
この作品に織り込まれるのは、濃厚で濃密で、淡く苦い青春。
木々も色づく秋の頃、彼らの青春模様もまた彩りを変えていく。

ネタバレありありで書いていくので未読の方は読まない方がいいです。




さて感想。
修学旅行篇、いろんな観光地の描写があり、わたりん取材がんばったのかなーと嬉しい出来。色彩豊かな情景が浮かぶ。ちょっと現地に行ってみたくなりますなー。
でもぶっちゃけストーリーにはあんまり関係ないので今回はトバすよ!書きたいこといっぱいあるから!

●ゆきのんが八幡を意識しすぎてヤバいニヤけるヤバい
大変ですよこれは。
7巻しょっぱなから八幡のための紅茶を用意するという異常事態に俺は素で「どういうことだってばよ…」と衝撃。
やはり6巻の出来事は彼と彼女にとってとても大きなことだったんだな。明らかな変化を見つけて、改めて事の重要さを把握できた感じ。
そして紅茶を淹れているとき、なにかを気にしているようだった雪ノ下。
これがもしかしたら修学旅行の夜におみやげコーナーでなにかを見ては考え込んでいたシーンにつながるのかな。もしかして紅茶のカップとかを見てました雪乃さん?やべえ。

そして夜での出来事は凄まじい破壊力でもって読者を撃ちぬく!
おそらく過去最高のデレが拝めましたよ。俺のニヨニヨっぷりヤバい!

「その……こんな時間に、……一緒にいるのを見られると、ちょっと…」

ですってよ―!
おそらくは6巻のアレで他の人に雪ノ下と八幡の不思議な関係を気づかれています。
実行委員の仕事しながら仲良くしてましたからね…カンがいい人には(きっと雪ノ下のクラスの)イジられて困ってるんでしょうねゆきのんw 
だってアレだけいつも冷たい態度のゆきのんが楽しそうにおしゃべりするもんだから…。
それでイジられたことで、客観的にどう見られているかを理解し、さらに八幡との関係に悩んだり…かな。
ゆきのんは八幡との恋愛を意識しているわけでは無いでしょうけれど(あくまでも、お互いの理解者のように感じているように思う)どこかのタイミングでその気持ちが変わることもありえるわな。もしかしたら、既に。
デレゆきのんの破壊力まじハンパない!

今回の相談に関しては、雪ノ下は八幡(といちおう由比ヶ浜)にほぼ全てを任せていました。クラスが違って全然手伝いが出来ないこともあるけれど、これには八幡への信頼が見える。6巻で、全てを救った彼への信頼が。
だからあのラストシーンにつながるんだけども…。



●失ったものは戻らない。
高校の3年間なんて短い。けれどその只中にいる若者たちにとっては、それが全てになる。
そしてその3年間は、いろんなものを変化させていきます。それは成長とも言えるかもしれないし、別の歪みかもしれない。個人が変われば、人間関係だって日々少しずつ変わっていく。
日々は不可逆。失ったものは戻らない。変わってしまったら戻れない。いつだってなんだって、取り返しはつかない。
このことが7巻の大きなテーマだったのかなと思います。

●失うことを恐れた八幡

変わりたくないという、その気持ち。
それだけは理解できた。
理解してしまった。
想いを伝えることが、すべてを打ち明けることが本当に正しいとは限らない。
(略)
もう今の俺は葉山を卑怯だと詰れなかった、臆病だと馬鹿にできなかった。(P242,243)

この場面の八幡の心理描写で「ああ……」と思わず心が震えた。
何かを失うことを恐るようになった。今まで自分の誇りすら捨ててこられた彼が、「変わりたくない」という葉山に同調してしまった。明確で残酷な変化です。

クライマックスの261P、「今回の、俺の、依頼人、海老名姫菜」とやたら勿体つけて八幡は海老名さんを見るわけですが、ここにも現れていますよね。
八幡が依頼を「受け取った」のは、戸部ではなく海老名さんだった。
そして海老名さんの依頼は葉山とも重なっていた。
というか海老名さんは最初葉山に相談を持ちかけていたように描写されていましたね。その後に奉仕部に来て、「八幡なら伝わるであろう」婉曲さで依頼をした。
ある意味、海老名さんは「葉山じゃダメかもしれない」と彼を見限ったようにして奉仕部に依頼に来たわけですから、やはり海老名さんコワイ。
そして葉山はまたしても、本質的に誰かを救うことはできなかった……
まぁそこらへんの海老名さん・葉山さんに関してはまたあとに個別で。

大切なものができると弱くなってしまうんだな、八幡は。
もちろんそれが悪いとは言わない。きっと当たり前のことなんだ。でもそんな「当たり前」を高潔に許さなかったことが、彼の魅力でもあったのに。そしてそのことを八幡は自覚していて、苦々しい想いを抱えている。
これまでの八幡なら、「努力や細工をしなきゃ保てない人間関係なんて本物じゃない。そんなのは要らない。」みたいなことを思ったんだろうなと思う。
でも彼は「自発的な行動でもって現状維持を選択する」という、これまでの彼とは全然ちがった結論を出す。

きっと、壊したくない人間関係を結んでしまったから。
きっと、それはこの修学旅行での時間でも深まったから。
やっと、居心地のいい場所を見つけられたから。

だからそれを守りたくなった。その想いは葉山の抱える気持ちにシンクロした。彼は苦しみながらいつものように、誰かを助けた。
しかしそのことを快く思わなかった少女2人。
奉仕部としての絆が深まることで、彼女たちを悲しませることになった。結果的なものではあるけれど皮肉すぎるラストシーン。このすれ違いには、またしても心持っていかれた……。



●八幡のやり方を嫌う由比ヶ浜、雪ノ下
八幡の嘘告白での解決を不満に思った由比ヶ浜と雪ノ下。
それぞれ違ったショックの受け方をしているように思ったのでまとめてみよう。

・由比ヶ浜の場合

「人の気持ち、もっと考えてよ……」
「なんで、いろんなことがわかるのに、それがわかんないの?」

彼女の場合は簡単ですね。良くも悪くもピュアすぎる恋愛脳ガールなので、「本心じゃない告白」というものにまず嫌悪感があったように見える。
八幡に対しての好感度を隠そうともしないガハマさんなので、「好きな男子が別の女子に告白する」のを目の前で見たことも動揺の原因でしょう。本心かどうか置いておいても、そういう場面ふつう見たくはないだろうから。

というか今回の7巻のこじれは、まず由比ヶ浜が他人の恋愛事に首を突っ込みたがったことも理由として大きいですし。
八幡の告白前に「ここで告白されたいな」とかわかり易すぎるぼやきを入れておいて、ラストで傷つけられちゃうガハマさん……うまく行かないもんですな。

海老名さんの『本当の依頼』を彼女が読み取れていれば状況は違ったんだろうけれど……。おなじグループであり、人間関係に敏感な由比ヶ浜すら欺く海老名さんの対人スキルが凄いのか!

というか八幡の嘘告白は、見方によっては、由比ヶ浜との距離を取ろうとした八幡の作戦のようにも思えてくる。修学旅行中で関係が近づいたことは八幡は感じていただろうし。彼女が抱いている好意に、もしかしたら気がついているのかもしれない。
でも八幡はいまの関係のまま「変わりたくない」。
だから由比ヶ浜の傷つく光景を見せることで、彼女を遠ざけようとした……とか。

ひとつの可能性としてはありそうだけど、自分に向けられた好意を退けるためにある種の自傷行為に及ぶ、というのは八幡にしてはやりすぎかな感はあるか。

・雪ノ下の場合

雪ノ下はなおも、刃のような眼光を緩めない。
「……あなたのやり方、嫌いだわ」
「うまく説明ができなくて、もどかしいのだけれど……。あなたのやり方、とても嫌い」

俺ガイル7

せっかく修学旅行中にまた距離も縮まったのに、最後にはコレだよ!(泣)
というかこんなヒドい目で見られるとか辛すぎる。泣くわ!文章でもダメージでかいけどラストの挿絵のインパクトが凄まじく強烈!この作品は効果的なイラストの使い方をしてくれる……。
ヒロインにここまでシリアスにボロクソ言われる八幡さんに涙を禁じえない。頑張ったのによ……。それでも、きっと八幡は、彼女を裏切ったのだろう。
上の表情は落胆、そして悲しみに似た、泣きそうな表情にも見える。

由比ヶ浜は「八幡への恋愛感情」がある分わかりやすいですが、雪ノ下がどうして八幡の嘘告白を嫌ったのか。けっこうこれは議論を呼ぶというか、難解なポイント。
個人的に1番これかなと思うのは
「八幡が問題解決ではなく現状維持を目指して告白を“流した”から」かな。

告白によって劇的に変化する人間関係。それを回避するため、八幡はまたしても自己犠牲で物事を一旦収束させました。変化させたくなかったから。今の宝物のような日々を、少しでも今のままで止めておきたかったから。
でもそれはこれまでの八幡らしくなかった。当然、雪ノ下が好むやり方でもなかった。これは妥協だからだ。恐怖で身がすくんだ結果の逃避だからだ。
これまでも「弱い自分を肯定する」ことに関して、八幡と衝突していたなぁ。

雪ノ下からすればこんな結論を出す八幡なんて見たくなかったんだろう。だから一方的に失望したような感じか。
これは構図としてはちょうど、5巻末と重なる。
一方的に憧れを抱いて、一方的にそれが裏切られてショックを受ける身勝手な自分。5巻末のときは八幡が雪ノ下に対しての失望でしたが、今後はその逆でしょうか。雪ノ下の勝手な失望。彼女の言う「うまく説明ができない」はそういう複雑で言葉にすればどんどん自分の理想を押し付けが暴かれることを無意識の恐れてのものかもしれないな。
それなら、これから先は雪ノ下自身が自分でちゃんと八幡に迎えるようにならなくちゃならない。今度は彼女の成長が見られるかなぁ。

さて、「これまでとは違った八幡のやり方に失望した」ということが大きな理由のものでしょうがほかにもありそうです。
またしてもまたしても、八幡は自己犠牲で解決してしまった。
そのことに対しての落胆のようなものはあるでしょうね。進んでボロボロになりにいく友人を見て、いい気はしない。八幡に対しての尊敬の念が強まったことで、彼の自己犠牲解決への嫌悪感が、耐え切れないほど膨らんだ。そういうのもありそうだ。

そしてもういっこ。「うまく説明ができない」ということは、きっと色んな理由が複数混ざり合っているってことだろうけれど、そこに1%くらいは『嫉妬』があるのかもな。恋愛感情に慣れない雪ノ下は、自分のその気持ちに混乱して、八幡を攻撃してしまったのかもしれない。
個人的には雪ノ下は八幡に恋をしてほしくないなとは思っていますが、7巻の様子をみるに、十分可能性としてありえますわ。嫉妬原因説は。
唯一無二の大親友とか、尊敬しあうライバル関係とか。そういうのが八幡と雪ノ下にはにあっているように思っているのですが。もうコイツらは恋愛のような性別に縛られた関係はもったいないんじゃねーのかみたいな。



正直言って今回の出来事の原因作った由比ヶ浜に対しても、仕事を任せて(仕方ないけど)一面的な結果だけを見て「嫌いだわ」と告げてくる雪ノ下に対しても、今回はちょいと心がチクリとした。
でもそんな2人の暴力に対して、言い訳すらせずただ受け止める八幡。
最後の最後まで、カッコよすぎでしょうが……!
でも、本当にそれでいいのかよ。仲違いする奉仕部メンバーを見るのは、辛すぎる。

自己犠牲で解決するのは八幡のお決まりパターンでもあった。
今回もそれを踏襲している……ように見せかけて、結果は今までの真逆。
はてさて。どうなるか。後半戦目が離せない!



ここから各メインキャラたちを個別で書いていこうかな。

●海老名さん

「私、ヒキタニくんとならうまく付き合えるかもね」

ここまでクセモノだったとは……マジかよ。でも面白かったな。
きっと本当にBL好きなんだけど、「わたしBL好きなんですよー!!」っていう面を強く見せることで、別の一面を他者に悟らせない。こういう対人テクニックの持ち主だったか。めちゃくちゃ頭がいい女の子ですよねえ。奉仕部への依頼方法にもそれは見える。八幡を利用する気マンマンで八幡だけに伝わるように依頼してきた策士っぷり!

面白いのが最終章のタイトル「彼と彼女の告白は誰にも届かない」。
彼、彼女。それらが誰を指すのかは明示されません。だからこそ考えるのが面白い。「私、ヒキタニくんとならうまく付き合えるかもね」は、冗談か本心か。言ったあとすぐにごまかしちゃったけど、これこそ「彼女の告白」だったのかもな。
本当の気持ちなんて見えないくらい底がふかい海老名さんの心は、でも別に汚いわけじゃないんだ。深すぎて見えないだけで。

いやしかし、総合的に見てナイス糞女でしたね。でも6巻の相模とは違って、好感度が高いクソ女。というかこの作品の主人公は八幡で、もうひとりの主人公は雪ノ下だとすると、海老名さんは隠しプレイアブルキャラみたいな。八幡と似たポジションとひねくれっぷりは、この作品らしさたっぷりのほの暗さ。

●葉山

「すまない」
「謝るんじゃねえよ」
「君はそういうやり方しか、知らないんだとわかっていたのに。……すまない」

八幡に同情する葉山。同情されて飛び出しそうな拳を押さえ込む八幡。
いやぁこの2人は……ラノベらしからぬホモ妄想が捗るな(最低)
一筋縄じゃないかない、嫉妬と憎しみとそれ以外もろもろの想いで抱きあう葉山と八幡。あくまでも目は合わせない。普段は距離を保つけれど、ふとこうして近づいた一瞬には、苦々しい感情をバチバチさせあって、すごくドキドキさせられる。男同士だからこその、クラスの中で真逆の存在だからこそ。エロい。

という冗談(ということにしておくよ!!)はおいといて。
普通の作品だったら主人公にでもなりそうな葉山くんの役立たずっぷりがすごい!お前なんにもできなかったクセに八幡哀れんでんじゃねーよ!クソ!!
ここにきてまで一皮剥けられない葉山くんにガッカリだよ!だからこそ八幡がカッコいいんだけどさ。やはり葉山の成長も見たいところですわ。なにげに大好きなキャラなので。いい意味で八幡とは真逆のポジションにいるので、相対的に八幡の魅力を映す鏡にもなる男(ひどい

●平塚先生

「ちゃんと見ているから、いくらでもまちがえたまえ」

先生の優しさ暖かさ包容力が大爆発!このセリフ最高です!!
ババァ!俺だ!はやく誰かと結婚して幸せになってくれ!式には行く!

●三浦さん
女王様。海老名さんをめぐる今回の騒動に関して、しっかり様子を伺って効果的に八幡にプレッシャーを与えてきました。当然ラブコメヒロインとしては見れませんが、あの深夜のコンビニのシーンで三浦の株は急上昇ですよ!女子クラスカーストの頂点にいるからには、ちゃんと人を見れているんだよな。ガラは悪いけど根はいい人っぽいんだ。

●小町
うわあああああん妹成分が足りないよおおおおお!!
でもドラマCDでたっぷり活躍してくれたのでヨシ!

●川崎さん
ちょろいっっ!!意識しまくりですやん!由比ヶ浜もなんだかんだで複雑なヒロインなので、1番何も考えずにかわいいなーかわいいなー言っていられるサブヒロインですねw
今回でするっとグループに入ってぼっち脱却していたり。

●戸部
初めて挿絵でどんなヤツなのかわかったリア充サブキャラ。
告白の邪魔をされても恋のライバル宣言ができるあたり、根はいいやつなのか、単純すぎるバカなのか。いい意味でも悪い意味でもかるい男なのでそういう感じの描写でした。
でもこういうやつが無自覚にナチュラルに次の火種持ち込んできそうで怖い。

●材木座
あれ?いたっけ?(いました



そんな7巻でした。
本編のビターエンドのあとにくる、ボーナストラック(ドラマCDのシナリオ)がいろんな意味で破壊力高かった…!!
まぁとにかく、見どころは八幡の変化。奉仕部の人間関係。海老名さんの本性。葉山の葛藤。などなど、だいぶ盛りだくさんです。
6巻が折り返し地点ということで、前半戦のクライマックスを飾る大盛り上りがありましたが、7巻は後半戦の開幕に相応しい。
6巻で「八幡らしいカッコよさ」を突き詰めたところで、その「八幡らしさ」が揺ぎだす変調。
まさに今後の展開に期待せざるを得ない、つかみバッチリの内容でしたなー!容赦なさすぎて、またして読者をふるいにかけてる感じですが!
しかしこうしてシリアスな中で、人間関係の緊張感と甘さと切なさと苦さがぜんぶ存在していて、めちゃくちゃ楽しい青春作品になってきていますよ。
たしかにラブコメはしてない。でも、ナイーブでちょいダウナーで、心に突き刺さる青春の匂いに、心揺さぶられっぱなし。

間違えた僕らはやはり間違える。きっとみんなが誤魔化しあった青春の汚い部分を、彼はあえて見つめてきた。そして今度はその数少ない理解者たちに背を向けられ、情けなくも同情さえ受けるという結果に。
うわぁ辛い、心が痛い。でも、八幡のクズがゆえのカッコよさを堪能しました。

きっと変わり続けてそれに抗い続けて、でも現実に飲み込まれる。
嘘なんてつきたくないのに、それでも当たり前の嘘をつく。
自分の心にさえ嘘をついて、きっといつか嘘だと分からなくなる。
それでも臆病者と、曳かれ者と、笑われようと踏みつけられようと。
戦おうとする者がいる。

一瞬しかない大切なものを守るために、彼らはいつだって嘘をつく。



やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫)
(2013/03/19)
渡 航

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ドラマCD付き限定版の話も。
安定のキャスト陣の好演により、今度もいい仕上がりですよ!
声優繋がりのパロディもしつこいくらい投入されていて、ドラマCDならではな感じアリw
ドラマCDのシナリオ自体は巻末にちゃんと小説として載っているんですが、ところどころでドラマCDでしかないセリフ(主にパロ)があってニヤリとさせられます。
陽乃んが中原さんってのは思ったよりピッタリですわ。人あたりいいけどどこか薄気味悪さがあって絶妙!
会話劇の面白さを追求するテキストは、流石に本当に声がつくと面白い面白い。
上司に言われてイヤだったセリフTO3~、とか、わたりんやりすぎw

とり下ろし楽曲「ROCK YOU!!」はゆきのんガハマさんデュエット。
バンドサウンドでバチッと決まった楽曲で、歌詞は完全に八幡に向けてラブソングっぽい感じw 雪ノ下・由比ヶ浜両者の6巻での印象的なセリフが歌詞中に挿入されており、キャラソンっぽさ強めで○。

ひとりぼっちのひねくれ者だって
その不器用な優しさを隠してるんだ
ヒールな役も理不尽なスコールも
逃げない君をずっと見つめてきたんだよ

と、こんな歌詞が実にイイ。小っ恥ずかしいけど!
ROCK→LOOKとも聞こえたりするかも。早見さんも東山さんも歌ウマ声優なので普通に楽曲クオリティ高し。
あえて演奏がちょっと篭って風に録音されていて、生の演奏っぽさが増している。2人の声も重なる箇所でびんみょーにズレていたりして、結構リアルな作り。ちゃんと高音質で聞きたかったけれど、こういう演出は楽しい。
そして歌わないわって豪語したのに演奏始まったら速攻ノリノリで歌いだすゆきのんに草不可避。
相変わらずクオリティ高いドラマCDなので、ファンなら買っとけ物件!

俺ガイル71

そして今回も店舗特典かき集めました。とらとゲーマーズのブックカバー。
アニメイトはメッセージ入りのペーパーでした。

[漫画]八幡の腐った目もゆきのんの照れ顔もナイスなコミカライズ!『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-』1巻

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-(1) (ビッグガンガンコミックス)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-(1) (ビッグガンガンコミックス)
(2013/03/19)
渡 航、佳月 玲茅 他

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   やはり青春は、擬態で欺瞞で虚偽妄言だ

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のコミカライズ第1巻が発売されました。感想を書こうと思います。
発売された原作小説最新第7もすでに読み終えていますが……感想記事を書き上げるのはもうちょいかかりそう。なので同時発売されたこちらの漫画版から。
ビッグガンガンで連載されている本作「妄言録-モノローグ-」は、どうやらアニメ版ストーリーのコミック化であるようです。
といっても今のところ原作第1巻の流れをしっかりと押さえており、原作読者が心配するようなストーリーの改変はありません。これから変更点がわかりやすくなってくるのかも知れませんが。

原作小説感想↓
青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻
甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻
かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻
憧れだった君を許せない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』5巻
独りの英雄は、ステージの輝きを浴びれない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』6巻

今回は原作既読者からの視点でこの作品について書こうかなと思います。



この漫画になって嬉しいことは、表情豊かなキャラクターたちを味わえることです。
作画を担当するのは佳月玲茅さん。とっても絵がかわいいですわ……。
というかこの作家さんはキミキスだったりひぐらしだったり、俺の好きな作品のコミカライズを手がけてきてました。それで今回も好きなラノベのコミカライズを手がけられて、勝手に縁を感じているという謎。
キミキスのコミカライズのときから、ほわほわっと優しいタッチがお気に入りでした。
しかし本作はあの俺ガイル。「はまち」という略称はすっかり衰退してきた俺ガイルです。ヒネクレ者だらけのビターテイスト青春劇場。どのように描くか楽しみにしてましたが、
ちゃんと八幡さんが腐ってていいカンジですよ!!

もうげんろく4

それを言っちゃあおしめえよ!
時折こういうメタっぽい発言もあって面白い。
また下はカッコいいシーンなのに目つきが怪しすぎて笑ったw

もうげんろく1

原作ではこの時の八幡の目つきまでは言及していなかったように思うので、こういう場面でどんな表情をしていたのかなーというのが見れるのも新しい発見になって楽しい!
原作1巻をちゃんと再現しており、イラスト付きとはいえ文章で描かれてきたものを漫画として改めて読み直すと、また味わいが違っていていいですね。

最初にも書きましたが、特に今回のコミカライズで印象的だったのは、キャラクターの表情が豊かなことです。
可愛らしい表情を描いてくれる作家さんだけに、特に女の子たち(ただし戸塚込み)はめちゃくちゃかわいいんだよなー。
「悪意ある表情」もたくさん登場する作品だからこそ、まっすぐにキラめいたり、胸ときめいた瞬間が気持ちよく心に残るような気がします。
大ゴマできめる場面もいいし、小さなコマの中でデフォルメ強めに描かれるのも素晴らしい!このコマ可愛かったなー。

もうげんろく3

ここで自分の立ち位置をはっきりしておくと八幡とのラブコメが見たいという意味でのヒロインでは俺はガハマさん派なので、こうも可愛いとテンション上がってきますな!
ガハマさんは中途半端エロピュアビッチかわいいからな!漫画になるとまー肉感的なナチュラルエロボディで大変です。ガハマさんのには幸せになってほしいんや……想い実らせて欲しいんや……相手は難攻不落の捻くれぼっちですけど。

しかし、しかしですよ。このコミカライズで最も破壊力が高かったのはゆきのんである!
あとがきでぽんかん⑧神も描いてましたが、レアな表情が見れて幸せです。
冷徹ゆきのん、挑発ゆきのん、見下しゆきのんにテレゆきのん!
ここぞという大事なシーンでの彼女も素晴らしいですが、普段からゆきのんって意外とちゃんと表情豊かなんだねーと再確認。

もいげんろく2

ゆきのんが1番可愛いのはガハマさんの百合ってる時なんじゃ疑惑。



いやしかし、原作7巻読了後に一気にこちらの漫画版も読み終えましたが、存外新鮮に楽しむことができましたね!小説/漫画で表現方法が違う以上、その作品の違った部分が新しく見えてくるのがメディアミックスのいい事ですね。
原作ファンですが、これはいいコミカライズ!
絵柄の可愛らしさ・好感度だけでも素直に好きですが、原作を踏まえてのコミカライズということを考えてもこれはなかなかにいい出来。
願わくばもっと八幡の腐ったモノローグたっぷりで展開してほしいかもとも思いましたが、やりすぎるとテンポ悪くなるか。1話2話で八幡というキャラクターをばしっと提示してある分、描写不足という印象はありませんでした。
材木座の描写にずいぶん愛がこもってんなと思ったら、本当の作者のお気に入りだったw リアルピザ体型と全力の喜怒哀楽が賑やかですな材木座。

原作第1巻の途中までが収録。次の2巻でテニス対決は片付くでしょう。
個人的には佳月さんの作画で原作3巻までは少なくともみたいなーと願っております。アニメも漫画も原作6巻の大盛り上りまで行ってくれたら本当に嬉しいですが、まぁ贅沢は言うまい。

「俺ガイル」のコミカライズはほかにも始動しており
サンデーGXには伊緒直道さんによる『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』が
まんが4コマぱれっとでは4コマ漫画の俺ガイルが展開されていくようです。
こちらの単行本化も楽しみにしてます。好きな作品がぞくぞくメディア展開していってる時の興奮はいいね!原作の内容の盛り上がりも素晴らしいのですが、こうして世界が広がっていくのも素晴らしい。
むしろひたすら八幡が1人語りしてるだけでも面白そうなので、それでもいい。

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。-妄言録-』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
いい出来のコミカライズ。絵は可愛いし、漫画ならではの新鮮な表情たち。
さて、小説7巻の感想どうするか……オゥフ……。

[漫画]独りの英雄は、ステージの輝きを浴びられない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』6巻

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)
(2012/11/20)
渡 航

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   安易な変化を、成長だなんて言って誤魔化すなよ。
   俺は、安易な変化を、妥協の末の割り切りを、成長だなんて呼びたくない。
   諦観の末路を「大人になる」だなんて言って誤魔化したくない。


おもしッッッッしれー!

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」6巻感想。
発売からもう3ヶ月くらい経って、来月には7巻も出ますが・・・!
感想書こう書こうと思ってましたが、書く事がまとまらず、こんなに遅刻・・・。

さていきなり大文字でシンプルに言いましたが、6巻は本当に面白かった。
思えば5巻はまさしくこの助走をつけるための内容だった。八幡と雪乃のすれ違いは、心をするどく心を痛めつけた。それはそうだ、この6巻のためのタメだったんだよ。
ストーリーの盛り上がりはまちがいなくシリーズ過去最大。
しかしこのシリーズ特有の苦味あるシナリオも、過去最大に火を噴いている。
すっごいですよ、この痛々しさ。この毒々しさ。そこからにじみ出る青春の素晴らしさ。冷静じゃいられないこの感覚を、なんとか感想にしていきたいです。

過去の感想。
青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻
甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻
かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻
憧れだった君を許せない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』5巻

内容もヤバけりゃ特典商法もヤバい!なんと書店ごとに内容のちがうSS小冊子が4種類!アホか!と思いつつこれだけ惚れ込んでいたら買ってしまうよね(乾いた笑顔

俺ガイル63

画像前列にあるのが特典の冊子。左からとらのあな、アニメイト、ゲーマーズ分。
一般書店用っていうのこり一種類が入手できませんでした、ぐぬぬ。
特典のためにホイホイ買いあさったら6巻が3冊になってましたけど、まぁいいや。

では以下、ネタバレを含んだ第6巻感想。ページ数も多くて「会社にいじめられながらもがんばったんだね、わたりん(ホロリ」と唸らざるを得ない。



八幡カッコよすぎる!!
6巻はとにかくこの一言。いやほかにも色々かきたいことはあるが、まずはこれ。もう八幡さん最高ですよ。キャラクターの魅力ってのは作品そのものの魅力に繋がる。ましてやこの主人公一人称視点のライトノベルにおいて、主人公がここまで魅力ある人物に仕上がっているというは、強力すぎる武器なのだ。6巻の300ページ以降くらいからの展開は何度読んでも震えてくるわー!
好きだからネットでもこの作品についての書き込みとかをよくチェックするんですが、ここまで読者受けのいい捻くれ男の主人公って、すごく珍しい気がする。

過去の俺ガイル感想でも八幡という男についてはけっこう書いてきました。
だから今さらなことは省いて、この6巻で改めて強く感じたことに集中します。

●独りだからこそ出来ること
今回は彼のダークヒーロー的ポジションが最高に輝いた内容となりました。
こんな青春ラブコメはまちがっている。だからこそ出来ることがある。八幡だからこそ救える人がいる。例え救った人からすら嫌われようと、彼はそうして立っている。
このシリーズ最大の魅力は、ヒロインでもなくこの主人公だと思っています。
八幡の自己犠牲をともなった今回の大活躍は、震えるほどアツく、しかし哀愁を漂わせます。なんだろう、素直にダークヒーローともちょっと言えない。だって日陰者だから。弱者だから。
特に今回の307Pの八幡さんの背中!これだよ!なんというカッコよさ!
そこからのテキストの流れも最高でしたよ。308P以降な。読んでてドキドキが止まらない。脳がギュンッギュン研ぎ澄まされて透明になって、八幡の思考が自分に流れこむ。そして圧倒される。なんて強い人間だろうか、と。
どれだけ心を強くすれば、この境地に到れるのか。

安易な変化を、成長だなんて言って誤魔化すなよ。
俺は、安易な変化を、妥協の末の割り切りを、成長だなんて呼びたくない。


このシリーズを好きなの理由の1つ、八幡独自のぼっち哲学。炸裂してます。
ぼっち哲学自分が勝手にいっているけれど、孤独であり孤高である彼のポリシーのことだ。
彼多くの人間が、笑顔でごまかして見ないふりをしてしまう自分を弱さを、八幡は真正面から受けとけ、まだ戦い続けてるんだ。戦うそぶりは見せないんだけど、戦ってるんだ。
彼はニヒリストだ。人を観察してはあざ笑う。
けれどその本質は、ものすっごくピュアなロマンチストなのだ。
5巻で出たようにまさに「潔癖」とも呼べるほどの、凄まじいこだわり。
6巻はさらにぼっちだからこその頭の使い方で事態を動かしていく。ある種のジャイアントキリングな構図は1巻から見られましたが、6巻のクライマックスでの流れはめちゃくちゃ熱く、キレイにハマっていましたね。

●人から嫌われることを恐れない主人公
Q.集団を団結させるために最も効果的なものは?
A.明確な、敵。

「人~よく見たら片方楽してる文化祭~ とか」のシーンは爽快でしたねえ!
目に入ったとたんにすっげぇ気持ちよくなった。アドレナリンドバドバ。
その後の雪ノ下のリアクションとか、かわいすぎでしょうこれ。
P214,215ページは名シーンの多い今回でも、とびきりお気に入り。この一瞬に、凄まじい進歩と、覚悟と、かっこよさがあるよ・・・。
彼女が自分から「また明日」って、バイバイって、手を振るんだ。それだけで。

でもこれで彼は致命的に悪役になる。物語のクライマックスでは、更にその道を進む。

嫌われることを恐れない主人公、八幡。
だけど、それで傷つかないなんてこと、あるものか。
傷ついたって彼は戦うんだ。だからコイツはめちゃくちゃにカッコいいんだ。
八幡がギリギリで報われるのは、本当の彼を知っている人物が、ちゃんといてくれているということ。そんな貴重な彼らにすら、八幡は踏み込ませないんだけどさ。

ともかく、彼だって傷つくんだ。そしてそのことに傷つく人だっているんだ。
誰も傷つかない世界だよ。でも、八幡自身はどうなんだよ。

物語のクライマックス。まばやい輝きがあふれ、歓声がはじけるステージを、じっくり記憶に刻み付ける八幡の姿は、凄まじい悲しみがある。
しかし同時に大きなカタルシスをしっかりと噛み締めることができるシーンでもあると思う。どこまで行っても、比企谷はステージに立てない。彼の頑張りをみんなは知らない。彼の誠実さをみんなは知らない。
嫌われる。失望される。そうして彼は誰かを救ったのに。
スポットライトを浴びないヒーロー。なんだよそれ、カッコよすぎやしないか。

クラスの円陣にも加わらない。「完成された円陣を外から見るのも案外悪くない」なんて言ってしまう。自分の立場を本当によく分かっている。わかっているからこそ、胸が詰まる。

けれどそんな胸が苦しい場面だけじゃない。彼を評価してくれる人も、確かにいる。支えようとしてくれる人もいる。あとは八幡が、それを受け入れられるかどうかだ。「受け入れる」と「甘える」は隣接している。注意深く、用心深く、八幡はほかとの距離をはかっているんだな。



自分を犠牲にするニヒリスト、八幡。彼の理解者たちが、いい活躍をした。

●八幡と雪乃
5巻ラストであんな引きをしたからには、この巻はゆきのんのための一冊と言ってもいい。この作品のメインヒロインが誰かはわからないし八幡にとってのメインヒロインは戸塚だけれど、雪ノ下のための八幡のカッコよさに俺がしびれまくったのは事実。ゆきのんかわいすぎや!

第5章では相模や葉山といったリア充グループの会話を、八幡が脳内字幕を付けてその発言の裏を見るというネタがありましたね。そのエグく高度な会話スキルに旋律しつつ、でもオチは、「字幕が見えない(裏の感情が見えない)相手も、いるにはいるんだよな」と一人で納得する、というシーン。文脈からしてそれは雪ノ下のことだろうなぁと。
八幡にとってのそういうオンリーワンに近い存在に、彼女は近づいているんだよな。

6巻はゆきのんがかわいいシーンがいくつもあって、逐一挙げるのは難しい。
八幡と春乃さんと話しているところに横入りしてくるシーン(P220)とか、おいおいこれは(笑顔)
こんな風にして、苦しんでいた女の子を救うことを、ほかの人は知らないのだ。

あとトロッコで裾を握っちゃうところとか、いつも通り会話してたらインカムで実行委員全員に聞かれたりとかな・・・。普段のクール雪ノ下しか知らない人は、あの毒舌ゆきのんを聴いてビックリしただろ&ぜったい八幡との関係を勘ぐるだろ・・・。7巻以降の伏線となるのか・・・?(ならねーよ

「私も、ああなりたいと思っているもの」
「・・・・・・ならなくていいだろ。そのままで」(P286)


とかナチュラルに口説き文句炸裂させちゃうからね八幡さん。つらいわー。

そして6巻の最終章、ラストはもう絶品だった。ここにたどり着くまでに6巻までかかった。
1巻のセルフパロのような感じ。明らかに似た会話劇と文章構成で、1巻のころとの違いを浮き彫りにする。ゾクゾクしっぱなしですよこれは。

「・・・でも、今はあなたを知っている」

あなたを知っている、まで雪ノ下が言うということの、この言葉にできない感動!
八幡と雪ノ下は、2人揃って人間関係に恐ろしくシビアだから。なんちゃっての友達ごっこなんて許せない2人だから。今だって友達になれていない2人だから。
「知っている」。ただそれだけのことが、それを相手に伝えるということが、どれだけ大切か。



●八幡とガハマさん
今回は出番少なめでしたけど、物語の大きな盛り上がりとなる巻であるだけに、かなり印象的なシーンがガハマさんにもありました。

「違うよ。待たないで、・・・・・・こっちから行くの」
「そうか・・・」
「うん、そうだ」

これとかなー。ニヤニヤするわー!
259ページからの流れは、八幡とガハマさんの今後の距離感の在り方を描いたシーン。

「約束」~「ゆきのんが困っていたら助けること」
「できる範囲でな」
「そっか、なら安心だ」

ここも素晴らしいのです。八幡が言う「できる範囲でな」に対する由比ヶ浜の信頼度の高さにニヤニヤするw めっちゃ信じてますねw



●平塚先生
とっさにベースひけちゃうセンセーかっこいーー!!昔やってたのか!
ゆきのんや由比ヶ浜といった理解者とはまた違った、教育者としての視点から八幡を見守る彼女。6巻のクライマックスでは八幡をやさしく叱咤したシーンが特に印象的。
「誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ」

●城廻めぐり
かわいい。ハーレムラブコメだったらヒロインとして参入もありえた。
でもみんなの敵になってまで比企谷の味方になることはできないのが、彼女なんだよな。彼女の限界がそこ。いい人なのは間違いないしせっかくかわいいキャラデザもしているんだけど、こういう現実的な冷たさを突きつけてくるのが、この作品らしい。この作品のエッセンスをたっぷり持った、ナイスサブキャラでした。だからこそ、比企谷の味方になることができる数少ないキャラクターたちが映えるわけで。

●相模南
いや~すごいね相模さん。虫唾がはしるってのはこういう女子だ。
ラノベでここまでリアルクズな女の子キャラとか出しちゃうのも面白いし、しかもそれを正すこともできないというのがすごい。しかしそれは敗北かと言われると、そうでもない。まさに住む世界が違うという感じで。
友達との遊びののりで委員長に立候補して、でも部下に自分より優秀な人間がいるから丸なげして、進行プランを崩壊に導き、すねて感動的な青春ドラマをほしがっちゃう。生ぬるい友情ごっこで周囲を強烈に迷惑された6巻のA級戦犯。
あああ~~~ムカつくわ~~~。というか俺は恥ずかしながらがっつりと比企谷に感情移入、とは言わなくても応援しながら読んでいるわけで、その視点から見ると、これだけイライラさせてくれる女はこれまでいなかった。すげえよコイツは。自分の話になるけど、学生時代の俺とは絶対に考え方が違ったであろう人物。
てめぇのせいで!!ゆきのんがヘバっちゃっただろうが!!!!
でも本当にムカつくのは相模さんの取り巻きの女子モブABですが・・・。

●葉山隼人
俺ガイルきってのイケメン隊長。まちがいなくカッコいい。でも間違っていないがゆえに、この作品では本当のヒーローにはなれない。
「俺も今日はいいところを見せたいからね。」(P295)を見るに、やはり彼は八幡に対しての対抗心も少々持っているようだよなぁ。
「人~よく見ると片方楽してる文化祭~」と八幡が言った場面の葉山の心情を想像するに少し、いやかなり、葉山なりに悔しいところがあったんじゃないかな。「また俺は助けられなかった」みたいな。
そしてクライマックスで「どうして、そんなやり方しかできないんだ」の一言に、全て理解した上で、八幡の思惑通りに動いてやることで、彼は敗北したことが示される。葉山の心の中だけの敗北感だ。それを悟れるのはきっと誰もいないだろうけれど。 
ヒーローは、物語の主役は、葉山だった。それでも確実にやるべきことをやったのは彼じゃない。目の死んだ、協調性のない、クラスでも浮いている、単なるモブの少年なのだ。

●材木座
サンキュー!愛してるぜ材木座!

●川崎
サンキュー!愛してるぜ川崎!



まとめみたいなこと。
もう書きたいことが多すぎて、ひとつの記事に押し込めるの無茶だったわと反省。
でもマジで面白い。あまりたくさんは読めていないけど、今集めているラノベで1番好き。
とくに主人公の八幡に関しては、俺の読書歴においてもトップクラスに好きな主人公になってきた。6巻の八幡は本気で、本気でかっこよかったし、それゆえに寂しかったのだ。

作品としては大きな盛り上がりを迎えた第6巻。八幡と雪ノ下の2人の関係においても、一区切りがついたと思う。
いや~4月からアニメもやりますけど、なんとか6巻までやってほしいなあぁぁぁぁ!!
たぶん3巻までをやるんじゃないかなーと思っていますが、4巻からのこの作品の急成長っぷりはぜひ多くの人に知ってほしいし、こんなに面白い6巻だから映像で見たいっていうのが本音。

あとがきを読むに、6巻で折り返しに来たとのこと。
全12巻くらいでまとまるのかな。この作品がどこに着地するのが楽しみすぎる!
ソリッドで甘酸っぱくて胸が苦しい、今最高に見逃せない物語ですわ。



やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 (ガガガ文庫)
7巻は来月19日発売。あらすじからしてもう期待度MAX。以下公式のあらすじ。

 修学旅行。それは恋愛とトラウマの多発地帯
京都への修学旅行を前に、どこか浮き足立つクラスの雰囲気。
文化祭以来、教室内でさらに微妙な立ち位置になった八幡だったが、最初から地位なんてないようなもんだしな、と我関せず……。
ところが、奉仕部に持ちかけられた意外な人物からの「恋の相談」。そこにはまた別の人物の思惑も重なって……。
旅行は一気に波乱の予感。クラス内の人間関係、そして複雑な気持ちが渦巻き、答えを出せないまま八幡たちは京都へ。
まちがっている青春模様は、まちがっているラブコメ=恋愛模様を生み出すのか。
TVアニメ化を直前にさらに盛り上がりを見せるシリーズ第7弾。


・・・とのことですが・・・あーやっぱり今回の文化祭でのヒールっぷりが次にもガンガン影響してきそうですわ・・・これは・・・どうなるんだ・・・。あ、3巻の時みたいにドラマCD付き限定版もあるらしいです。

ドラマCDといえば、冬コミでこれ買いましたよ。

俺ガイル62

マーベラスAQLブースでゲットしてきました。コミケ限定ドラマCDとかちょっともったいないよねえ。3巻のドラマCDの続編ということで、時系列としては3巻後のタイミングです。
ちゃんと3巻限定版のドラマCDもセットになっているので安心。

俺ガイル61

キャストフリートークのおまけまであって、なかなか満足度高かったですね。
小町役のあおちゃんがすごく楽しそうでいいなー。キャストもピッタリだし、3巻のドラマCDの出来を見れば最初から面白くしあがっていることはわかっていた・・・!
こういうグッズまで買うほどハマるとは最初思わなかったなぁ。アニメの出来がよかったらBD購入も検討してるし。描き下ろし小説とかつくなら出来がうーんでも買いそうだし・・・。
まぁともかく小説もアニメも、ほかのメディア展開も、今から楽しみですわ!

[小説]憧れだった君を許せない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』5巻

まだ残りはありますが試験期間もひと段落しそう。とゆことでちまちま復帰。
ひとまずこれは早く書いておきたいという作品から。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 (ガガガ文庫)
(2012/07/18)
渡 航

商品詳細を見る

   きっと俺は、憧れていたのだ。

女の子はいないけどヒロインはいる・・・戸塚だ!彼のセクシーさが眩しい表紙の第5巻です。
なんかアニメ化しちゃうらしいじゃないですか!まぁ・・・結構前から喜びを隠しきれていない各方面の反応からなんとなくな想像はしていましたが・・・ともかくおめでとうございます。アニメも面白くなってくれることを期待。
最初手にとったときは「ちょっとうすい・・・」というホンの少しの残念感がありましたが、読んでみればもう。キレッキレじゃないですかわたりーん!!!!(4巻感想と同じ叫び)
ほあああああやっぱりおもしろすぎますね。素直に青春もラブコメもしてくれないんだけど、そんな回りくどさも含めてすごく好き。それでいてどんどんとこちらの心をいじめてくる。
ということでさくっと感想でも。ページ数は少なくても内容はまさにターニングポイント!

・・・の前にどうでもいい話。

俺の

ラノベで複数買いとか、初めてしました・・・。アニメイト版ととらのあな版。この5巻だと正確な出番は非常にすくない雪乃さんですが、さすがの存在感である。ただし胸部には存在感がない。



過去の感想記事。
青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻
甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻
かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻

さってじゃあ5巻の感想へ。ネタバレ含むので注意。
通常版表紙に雪ノ下はおらず、カラー口絵はガハマさん無双が繰り広げられる。うん、ガハマさんかわゆいゆい(本人希望によるニックネーム)。
しかし我々の雪乃さんはいずこへいってしまったのか。「その夏休み。俺と雪ノ下雪乃が再び会うことは、なかった。」と切ない一節で終わった第4巻。本当に全然登場しなかったよガックシ・・・とはならなかった。
なぜなら出番はなくとも話の節々に雪ノ下の存在がチラついているから。雪ノ下の存在感を、彼女自身が不在であろうと認識させられる内容となっていました。

●雪ノ下の嘘
ことあるごとに雪ノ下をおもう八幡。ぼっちの極みを往く彼も、それだけ彼女のことを気にかけている。どんな意味の視線を雪ノ下に向けているのか・・・それが明かされたのが今回のポイント。
つまり雪ノ下は憧れだった。
それは恋としてのものではなく、もっとシンプルな、人間としての。
気高く孤独を貫く。媚びず揺るがず我が道をゆく。単純に、カッコよかった。
だからこそ雪ノ下を一目おいていたんだろう。憎まれ口を叩いても、今まで八幡は雪ノ下を心の底からけなす言葉を吐いてこなかったように思う。周囲の人間にあれだけシビアに評価を下してきた彼にとって、これはすごいことなのだ。
そんな雪ノ下という「幻想」から覚めてしまう。これにゾクッとした人はきっと多い。
彼女の姿を理想としていた。憧れていた。でも、それは勝手な思い込みだったと。
嫌悪するのは勝手な理想を押し付けていた自分自身。でもきっと彼の中で、雪ノ下という少女に向ける感情はいま大きく変化したのだろう。

ここで気になるのが「雪ノ下雪乃ですら嘘をつく」という一節。
彼女が嘘をついたことにより八幡は覚めてしまうわけだが、この嘘というのがなんなのか、5巻の時点では明かされていなかったように思う。(もしかして見落としがある・・・?)
彼女がついた嘘とはなんなんだろうか、ということをちょっと考えてみると、結構難しい。いろんな要素を総合しての「嘘」だと思うのだ。

例えば入学式の日にあった八幡の交通事故。この事故で実は奉仕部で集められる前から八幡、由比ガ浜、雪ノ下がこの一件でつながっていたことが明かされた。けれど八幡がそのことに気づく前から雪ノ下はそのことに気づいていたんだろうな。事件の直接の加害者ではないにしろ、その側にたつ人間として。
あと5巻222-223ページのやりとりとか。八幡と陽乃と会ったことに動揺し言葉を濁らせてるところなんて、八幡が理想とするところの雪ノ下の姿ではなかっただろう。
陽乃の口から語られる、彼女から見た雪ノ下雪乃も八幡にとっては苦々しいものがあったかもしれない。

ともかく「嘘」の正体は6巻で明かされることになるんじゃないかな。
ショッキングなラストだったけれど、「雪ノ下は嘘をついた」を決定的に断言できる要素はまだ自分としては見当たっていないんですよね。そこがモヤモヤするんですが・・・うまいことこの作品に乗せられてしまっているよなぁ。続きが読みたくて仕方ないんだ。
とは言え、アニメ化するのにすっごいシビアな展開をやらかす作品だ。そこが大好き。
主人公がヒロインに失望する。そんな自分に失望する主人公。いい展開来てるよ来てるよ!もどかしさで胸が詰まる!感情がこじれにこじれるほどこの作品は面白くなっていく。
5巻ラストの見開きイラスト、2人の目が死んでるのもねえ。一体どうなるんだよ・・・。
3巻まで由比ヶ浜モードでしたが4巻からは雪ノ下モード入ってますからね。楽しみ楽しみ。



●八幡の潔癖。
何に対しても強い人だと思っていた。けれどそうではないことを知った。
それが許せない・・・そんある種の心の狭さが、八幡という少年の特徴だろうな。
平塚先生が彼のことを「潔癖」と言っていたけど、それはもうまさしく。
汚い人間になりたくないと、1人でいる少年。潔癖と言わずなんといえる。
一般にいう「青春」を謳歌する若者たちに侮蔑の視線を向けるのも、ホントに心の底から楽しんでいるのかおまえら?」という疑心によるもので。ひねくれているけど、実にみにつまされる理論を持つ主人公で、俺は本当に八幡が大好きなんだ。
心の底から純粋に分かち合える誰かを、きっと求めているんだけど、かといって素直に友達探せるようなヤツでもないんだよな。探さなきゃできない友達なんていらないとか言うだろう。そういう打算的なものもとっぱらって上で親友になれるヤツがいれば。
その近いところまで来ていたのが雪ノ下だったんだろうけれど・・・ああもう、本当にうまくいかない作品だよこれは。恋愛においても友達づきあいにしても、肝心なところで真っ当な言い訳してヘタレやがるからさー!もっと踏み込めよ!いやここで一気に踏み込むようだったら八幡さんじゃないな。
ともかく、この5巻も八幡らしさは十分に詰まっていました。
やっぱこの作品は八幡あってこそだよな。本当にいい主人公だ。コイツだからこの作品もこんなに面白いんだろうと思う。



あとは感じたことをつらつらと雑記調に。
みょうなキャラクターがいろいろ登場する本作でも、一際怖いのが陽乃さん。
この5巻ではこれまで以上に彼女と接触するシーンがあり、改めてコイツは一筋縄ではいかないなという認識を強める感じに。陽乃さんよりまだ登場してない母親もヤバそうという・・・雪ノ下家の女みんな強すぎワロタ。子煩悩のゆきのんパパが唯一の癒しと言わざるを得ない。

川崎さんは再登場してくれるとは思わなかったな。ガガガ公式で5巻の情報が出たとき、キャラ紹介に川崎さんが出てきて「なんかの間違いだろこれ」と思ってたけど本当に再登場。
あいかわらずそっけないんだけど、微妙にフラグ立てちゃったりして美味しいキャラだなぁ。
メインキャラではないけど、やっぱ好きなキャラだ。

ガハマさんかわいかったなー。夏祭りの帰りでのやりとりは心臓をズクズクさせた。
平塚先生のラーメン通ぶりも笑った。先生1人で生きていけ。でもなんか先生に対しては哀れみからか八幡の心が揺らいでるっぽいのも面白いwネタだろうけどさ!
あと今回の挿絵は妙に力入ってるように感じました。見開きとか143ページの小町とのイラストとかたまらんすな。わたりんがぽんかん⑧神って呼んでるしいつのまにか俺もぽんかん⑧神と呼んでる。

しっかしアニメでどうなるもんでしょうね。設定だけ見れば最近よくみかける「残念系」ラブコメラノベの一種なんだけど、アニメにして受けるかと言われれば・・・今回の展開を見ても、全体的に殺伐としすぎてて甘さ控えめにもほどがある。MAXコーヒーの甘さを見習えよ。でもこの苦味が好きなのです。
素直にラブコメしてくれないしなぁ。あと八幡の独白が面白いのでそれがカットされると辛い。まぁアニメはアニメ、原作は原作。原作通りじゃなくても面白ければいいや。
わたりんがお仕事のしすぎて死なないよう祈りつつ、早いとこ6巻が読めることを期待。
5巻も面白かった!

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ブログを引っ越しました。 当ブログは更新を停止し、新ブログにて更新をしています。 https://sazanami233.hatenablog.com/

楽園に花束を

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漣

Author:漣
「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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