[漫画]覚えていますか、はじめてエロ本を読んだときのこと。『PiNKS』
PiNKS (リュウコミックス) (2013/10/12) 倉金篤史 商品詳細を見る |
僕はけものなのでしょうか?
小学生とえっち本。そんな漫画です。
エロ本の漫画なので最初にへんな話を始めてしまうと、自分がはじめてエロ本を見つけてしまったのは小学生のとき、通学路途中のさびれた公園のすみでした。やっぱり通学路というのはお決まりなのかな。家族のを見つけたパターンもあるものなのかもしれません。
通学路は田んぼと用水路が延々続いているその横を歩くもので、道中たまに薄暗い林も残されており、その中のいつもなんか湿った場所に公園はありました。
エロ本もベチャっとしてたなぁ。破れないよう慎重に、興味本位でどぎつい表紙をめくってみたら、中身も当時の自分にとってはそりゃどぎつかった。
あの不気味なくらいの興奮と、それにまさる嫌悪感にひたすらドキドキしたのを覚えています。
以降ふと見つけるたびに、なんとか読むことは出来ないものかと、ほかの子に見つからないように落ちてるエロ本のもとへ行くのに苦心しました。どぎつい写真とともに書かれたテキストをなぜか暗記したりもしました。最高にお気に入りだったものは今でもなんとなく思い出せます。コリコリに固くなった乳首がイカす!!というものでした。イカすんですね。
家のPCは家族のものでエロサイトを見る勇気はなく、性知識なんてほとんどなかった当時、道端におちてるエロ本はそれはそれは魅惑的なものでした。
持てる知識を上回る過激な内容にクラクラしたな…!
いけないものを見てる背徳感でつらくなったりしたな…!
おもったよりグロそうで吐き気がしたな…!
倉金篤史さんの「PiNKS」はあの頃のしめっぽい通学路の空気と、濡れたエロ本のページを緊張しながらめくるドキドキを思い出す、自分にとって至高のノスタルジック小学生漫画なのです。そしてこの感覚が好きな人はけっこう居ると思うんだ!
性のめばえ、そこに渦巻く愛と葛藤の物語。
人間の体につまった秘密を、少しずつ知っていく男の子と女の子。
もどかしい性愛を扱う作品はもともと大好物なのですが、この作品はなにもかもストライクでした…これはいい…とても良い…!!
表紙もちょっと珍しいデザイン(あらすじの配置場所とか)で格好いいです。
小学5年生。純粋無垢な無知じゃない。なにがエッチか、なにが恥ずかしいのかをなんとなく知っている。でも詳しくはない。
スケベな夢をみてしまって落ち着かない主人公・弥彦はその日、クラスでもちょっと浮いてる不思議な女の子・赤城と不思議な関係を結んでしまう。
そして始まる、ふたりの「エロ本探し」。
ぼくらは見たいのだ。「黄金より淫靡で、国家機密より密かで、七不思議より謎めいている」、そんな見たことないものを見たいのだ。
エロ本をめぐる冒険!
なんてバカらしい、けれど少年心をうずかせるものだろうか。それも気難しいけど可愛い女の子と一緒に。
エロと冒険と女の子!ワクワクが二乗にも三乗にもいくらにでもなってしまうよ!
とは言え楽しいだけのものではありません。赤城さんはけっこう凶暴で、理不尽なことを行ってきたり暴力を振るってきたり。
それだけでなく「エッチなもの」への感じ方もまるで違うふたり。
しだいにグラグラと不安定に、そして落下するようにバランスを失っていく…。
テーマ、キャラクターも素晴らしいのですが、後半のうねりの強い展開もいい。あふれだしそうな熱量と焦燥感を持ったままクライマックスに雪崩れ込む!
子供たち特有の“前のめり感”が気持よく作用してくれていると感じます。
この作品で一番に突き刺さったのが、ヒロインの赤城さん。
まず自分は開始早々の登場シーンで胸打たれました。このイタズラな視線が…たまらない!いかにもなにか始まりそうな予感がする眼!
けれども彼女は潔癖です。
セックスを尊いものであると、美しいものだと言って授業中にさえ性交の絵を描いてしまう女の子です。本心から信じきっているのですよ。
赤城がセックスを美しいものだと信じたのは、彼女の家庭環境がつよく影響していますように見えます。
父と母の不仲に胸を痛め、自分は愛されてるのかを疑問に思っている。だから父と母は美しく愛し合っていて、その結晶として自分は生まれたのだと信じているのでしょう。
セックスは気高く美しいものだと、それは自己防衛のためにも信じていた。自身が受けた愛がウソだったなんて思いたくないから。
けれどそれは騙し騙しな部分があったのかもしれないなぁ…。
例えば途中、彼女はコンドームを知っているような素振りを見せます。弥彦にたずねられてもとぼけますが、それは照れよりも彼女が信ずるセックス像がブレてしまうため認めたくない部分もあるのかなぁと思いました。
年上のお姉さんからエロ本の購入を計画したことを咎められ「いやらしい」と言われた時には、顔を赤くして逃げました。
「え… えっち本は愛の行為を写した本なんでしょ!?だったらそれを恥ずかしがることはないんじゃない!」
そう言うのですが、自分にそう言い聞かせているかのような必死さがある。
やはり本能的な部分で、セックスや性的なことを「いやらしいことだ」「恥ずかしいことだ」と感じる瞬間が彼女にもあったんだろう。でもそれは彼女の防衛本能が許さなかった。セックスは美しい愛の行為だと信じないと、自分の心を守れなかったから。
そこに彼女の揺らぎ、不安定さが垣間見えてかわいいんだよなぁ。
彼女が赤ちゃんへの愛情を示すシーンも印象的です。
愛の結晶である赤ちゃんを身近に関して、その赤ちゃんに自分を重ねているのかな。愛を証明する美しい行為の、その結晶であると。
そして純粋できっと当然の未知への興味。その興味は本当に純粋なまま、セックスという行為への興味でもあります。
「本当に心のそこから美しく愛しあったから赤ちゃんができるんだよね?」
そんな疑問を投げかけているようにも感じます。彼女の不安が映されている。
なにも自己防衛だとか愛の証明だとか不安だから、そういうちゃんとした理由がなくたっていい。知らないものは知りたい。興味があるから見てみたい。
シンプルな好奇心が彼女を突き動かしてもいるように見えますね。
とはいえその好奇心がスケベ心100%の男の子と違うのは、やっぱり女の子だからなのかなぁと思ったり。弥彦より断然ロマンチックで綺麗なものを夢に描いている。そうあってほしいと願っている。
物語後半、彼女は自身の価値基準でいうと、汚れてしまうのですが
「セックス以前の未熟なラブストーリー」としてお話は結実してくれる。モノローグのなかで「いつか」の話もされるんですけど、そこがいい余韻になってるんだよなぁ…!
性的な成長もまじえてセックスをめぐる冒険をする男の子と女の子の物語。
…でも小学生の段階で彼女の「セックス像」が修正されてよかったかもしれない。
何事もなくこのまま中学生になってしまっていたら……中学ともなればクラスや友人の会話の中のところどころにセックスへの下品な興味が溢れ始めて、赤城さんはとてもつらくなっていたのではないかなl.
その時、中学生の赤城さんがどうなっていくかを想像するのは結構楽しいんですが(きっとこじらせまくってると思う、いろいろ)そう思うと、この作品は小学生という時代にだからこそ許される純粋な輝きがあったように思います。
小学生だからこそのもどかしさ、純粋さがキラキラ輝いてるんだなぁ。
赤城さんのことばかり書いてきたけど主人公の弥彦くんもイイのですよ!!
赤城さんがセックスに美しい夢を抱いている横で、「ぼくはなんていやらしいんだ…」と悩んでいたりする。かわいらしい男の子じゃないですか!
エッチなことを考える自分が汚れてしまったように感じて、自己嫌悪に陥ってしまう。
でもそれは当然なことであるわけで。むしろ赤城さんの方が現実離れしているよなぁ。
大人びてるでもなく子供っぽすぎない、等身大の男の子ですね。
こじれた赤城さんを引き戻すのは弥彦くんの正直な言葉です。
そんな子供な主人公2人をとりまく大人たちの世界もしっかり描かれている。
赤城さんの家庭問題はありふれた、けれど心が冷えきってしまうような現実を突きつけてくる。主人公たちはナメてかかっていた本屋のおばあちゃんも、しっかり2人の行動を見抜いていた。大人は子供たちにとって完璧に都合のいい存在ではない。
担任の先生と本屋の代理のおねえさんの会話なんかはシビれたなぁ…!
「なんで子供はエロ本を読んじゃいけないんだろう?」
その疑問にちゃんとした答えを大人は用意できている。
それでも「多分あの子たち間違ったことしてないよ」
それでも「怒らなきゃ…大人なんですから」
いくつかの矛盾を抱えつつも、「大人なんだから子供を叱らなくちゃ」と決意するのが頼もしさを感じました。子供をまもるために子供を叱らなくちゃいけない。
大人の世界にカッコよさや説得力があることが、子供たちの世界をさらに面白くしてくれる!
「PiNKS」の感想でした。
途中にも書きましたが、「セックス以前の未熟なラブストーリー」という感触の物語で、なんともムズがゆく微笑ましい、素敵な物語でした。なんて繊細な性の冒険!!
エロをめぐる小学生の男の子と女の子、それぞれちがった葛藤と痛み……。
やはりテーマがいいし、トーンを一切使わない画風もノスタルジックな気分が掻き立ててくるし、赤城さんはかわいいし…なんとも贅沢な感動を味わえました。あのころのエロへのがむしゃらな熱量をなんとなく思い出した…!
「小学生がエロ本を読もうと頑張るお話」から始まるものの、そこから現実にブチあたって苦しんだり悩んだり迷ったり。
一生モノな記憶を刻みつけるような濃密な物語後半は鮮烈です。
あとゲッスいことを言ってしまうと、あのシーンの赤城さんを見たら、心奪われるしかないですよ、読者も弥彦も!時に暴力的に性を押し流されてしまう脆さ、か弱さ…!!キュンとくる!
この作品の中に描かれている純粋な衝動は、どんな年代に幼少時代を過ごした人でも馴染みあるものではないかなぁ。町並みやエロ本販売機を見るに、リアルタイム2010年代が舞台ではないと思います。今だったらPCや携帯で簡単に見れてしまうわけで、この感覚を共有できないのは結構寂しいですけど、それはそれで過ぎ去りし時代を振り返るいい郷愁感でもあるか。
ドロはついててページは湿ってて、あんまり触りたくないような道端のエロ本にドキドキしていたあの若かりし魂を思い出す、いい漫画です。
そんな美化するような物でもないくだらない記憶ですけど、なぜだか大事にしたくなる体験だよな…w
著者の初単行本であり、初々しさや青臭さも見どころ。追っかけてみたい作家さんです。
『PiNKS』 ・・・・・・・・・★★★★☆
みずみずしくノスタルジックな空気がたまらない、性と小学生の漫画。
もどかしくて痛々しくてかわいらしい、おもいっきりツボな作品でした…。
[漫画]何度もいつまでも幾らでもずっとずっとずっと君に恋する『不死身ラヴァーズ』1巻
不死身ラヴァーズ(1) (少年マガジンコミックス) (2013/09/09) 高木 ユーナ 商品詳細を見る |
お願い 消えないで
毎月なんかしら新連載がはじまっているこの頃の別マガですが
最近はじまったものだと特にこの「不死身ラヴァーズ」が好みです。
凄くエネルギッシュで、胸掻きむしる衝動がある漫画。とにかく読み手を揺さぶってやろう、心乱してやろうと挑みかかってくる作風は、師匠の諫山創さんとも通ずるものがある、かも。
恋愛漫画なのですが、独特の主人公像と設定とよってなかなか新鮮な読み味。
まさにハイテンションとセンチメンタルの怒涛のせめぎ合い…!かと思ったら一体になってこちらに飛び込んでくる迫力。
物語の面白さもありますが、まず作品のパワーに圧倒されますね!
主人公・甲野じゅんは「長谷部りの」という少女に恋をします。
恋をします。また恋をします。またまた恋します。繰り返します。
なにせ彼女は、消えては現れまた消えてはまた甲野の前に現れる、不思議な存在。甲野がその恋を燃えがらせ想いを届けると、それを受け取った長谷部はこの世界から消えてしまうのです。
小学校のときから中学、高校、そして大学生となった現在まで。
いつになれば甲野の恋は実るのか。
「不死身ラヴァーズ」は甲野の人生において何度も巡り来る「長谷部りの」とのひと時を描いていく作品です。
同一人物のはずがどんな世界線のスレか、微妙に違った長谷部が現れる。まずこれがいいですよね。いろんなヒロインとの恋が見られて楽しい。主人公は一途にひとりの女の子に恋をし続けているわけで、彼の高潔さが失われない。
とは言えこの主人公、甲野じゅんがスゴいのです。
冷静に…いや冷静に考えるまでもなく、彼は異常なのです。
読めば一発でわかると思いますが、なんの遠慮もなくがむしゃらにヒロインに突き進んでいく!
そして愛する少女がこの世界から消え、その存在を自分以外だれも覚えていないような残酷な日常になっても、彼はずっと長谷部りのに恋をし続ける。
すさまじいバイタリティの押せ押せ主人公なのです。度を超えたバカなだけなのか…?いやれだけじゃないはず!
なんども長谷部りのが彼の前に現れるのは、運命がどうとかというより、彼の執念が奇跡を成し遂げているのではないだろうか…。
何度も死にそうなくらいの苦しみを受けとめ、それでも恋をできる喜びを噛みしめる。
恋をすることで生きていられる。
とまぁ恋愛至上主義者もきっとまっさおな全力爆進の恋愛少年。気持ちがわるくて気持ちがいい、まっすぐなバカですよ!
このままだと一生のあらゆる時間を長谷部に恋しながら駈けずりまわることになる。恋するリビングデッド。まさしくゾンビのようなのです。
なんど心をボロボロに痛めつけられても。ザクザクと切りつけられても。不屈の精神で彼はなんども立ち上がる。
普通だったら病みそうなものですが、彼はその純粋さをいっさい失わない。
なんともソウルフルな少年です。主人公だからこそ彼の異常性は大々的にアピールはされてはいませんが、やっぱコイツすごいよ。
「不死身ラヴァーズ」でいまのところ一番すきなシーンは、目の前で長谷部が消えてしまい、混乱と傷心で我を忘れんばかりの彼の精神情景ひととおり。
いやぁ、傷つく少年って大好物です。これがまたいい表情するんですよ。読んでてこっちまでズキズキ傷む。ここでカタルシスが生まれる。
妙にファンシーな表現でグロテスクな描写をやってのけたり、ギョッとさせてくれます。
高揚感のあるラブストーリーを突き進み、その代償のようにクライマックスに待ち受けるのは、途方も無い絶望とセンチメンタル。この落差が大好きだなぁ…!
1巻の中だとじっくり描かれている長谷部りのは2人。
高校時代、ギャルっぽいけど書道が得意な長谷部。
大学時代、記憶障害を持ちながらも朗らかな長谷部。
どちらも、少しずつちがった魅力を輝かせる女の子。同じ女の子なのに、こういう所も面白い。
特に大学生の長谷部はいいなぁ。寝ると記憶をなくしてしまうヒロイン。
「長谷部が世界から消えても自分は覚えている」という甲野の境遇もあってか、この時のふたりは記憶というキーワードで強く結ばれていたように思います。
ぜったいに君のことを忘れない。君が忘れても俺が覚えているから、と。これまでの甲野自信が証人なのです。彼はずっと「長谷部りの」を忘れず、忘れられず、追いかけてきたから。
記憶という拠り所のない不安な日々を送ってきた大学生の長谷部は、彼にどれだけ救われただろうか。これだけ力強くこちらに向かってきてくれる、全力で好きといってくれる相手に、どれだけの感謝があっただろうかと。
彼女にとって、「明日の約束」はあまり意味を持たない。だって忘れてしまうから。記録はできても、そこに宿った大切な想いも忘れる。自分の気持ちだって消える。
だから今を生きることをポリシーとしている少女なのです。
でも彼女は甲野の明日の告白を楽しみにする。覚えていなくたって甲野は自分に向かってきてくれるのだと信じることができるから。この長谷部にここまで踏み込むことができたのは、甲野のがむしゃらさがあったからに違いない!
じっさい、彼女は甲野を受け入れる(いろんな意味で)。こんな、あまりに切ない状況なのに、読んでて体の奥底からゾワゾワと、興奮とともに幸福感が湧き上がってきました。
その後に彼が負った心の傷があったとしても、「よかったな、甲野」と言いたくなるわ!
長谷部が消えるときは、甲野の想いが届いたとき。
消えたその時の長谷部たちは、勘違いでなければ、幸せそうでした。
そこからフッ…と急にいなくなる唐突さも残酷で好きなのですが
第3話のラストを見るに、もしかしたら長谷部が消えるタイミングは、望みがかなった瞬間なのかも知れないな。
そんなこんなの「不死身ラヴァーズ」1巻です。
ひたすらハイテンションに突っ切って行く中にも、主人公の必死さ、切実な感情が胸をうつ。しんみりとはさせず狂騒の中にそういう切なさを滲ませている。
この勢いの良さは青春くささそのものでもあり、命も魂も燃やして突き進む少年は眩しいことこの上ない。
女の子のかわいさはもちろんのこと、「男の子」という生物に捧げるロマンを感じるな…!
これからまた次々と新しい長谷部りのとの暴走ロマンスに興じるのでしょう。楽しみ。
あとなにげに気になってるのが主人公の友人のイケメンくん。ホモくせぇ!
イケメンくんは様々な場面でさわやかにホモ臭を香らせてくれる。ナチュラルに甲野のこと大好きっぽいですね!いいよいいよ!
そして何度かガシャコーっと携帯で写真を撮ってましたね。甲野と長谷部が映っていると思いますが、彼が写真をとる場面もなにげに気になったので、もしかして何かの伏線…?
タイトルは「不死身ラヴァーズ」。
ラヴァーズというからには恋人同士なのだ。相思相愛なのだ。
どんな理不尽な運命に引き裂かれようとも、何度だってまた会えるような、そんな世界一むちゃくちゃな不死身の関係。に、なれればいいな。
『不死身ラヴァーズ』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
主人公と設定が濃い!一生を尽くして恋をしそうな勢いのアツい切ない恋愛漫画。
[漫画]黒髪ロングの日らしいので永尾未果子さん(ヒメゴト)についてまとめる
タイトルのとおりです。
今日は9月6日。黒髪ロングの日らしいです。今年も黒ロン祭に参加です。
→【募集】黒ロン祭2013 開催のお知らせ
黒ロン記事を書こうと思い立った段階で、いま一番自分が夢中になっている黒ロン娘はだれだろうなと考え、この娘にしました。
永尾未果子さんが好きだ!!!
漫画「ヒメゴト ~十九歳の制服~」のキャラクター、永尾未果子さんです。
去年の「黒ロン祭2012」もヒメゴトでエントリーしたので、どれだけ熱を上げているかおわかりいただけただろうか…。
とりあえずしばらく俺は黒髪ロング=永尾未果子で推していくつもりです。
去年と代わり映えしませんか?いやいや、愛の証ってやつですよ!
いちばん彼女らしいイラストがカッコいい単行本2巻を張っておく。
「ヒメゴト」には3人の主人公がいるのですが、未果子ちゃんに焦点をあてて、現状のまとめのようなことをしつつ、どこらへんが魅力的な黒ロンちゃんなのかをPRしようと。
なにせ…たぶん知名度とか………超おもしろい作品ですよ!
過去の更新
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
過去の更新でも未果子について語ってきていますが、今回はそのまとめのような形にできればと。発売中のコミックス5巻までの範囲で。
簡単に作品紹介。
「ヒメゴト ~十九歳の制服~」は大学1年生の男女が主人公。
3人が3人とも、「19歳」をこじらせていて最高にめんどくさいのだ、コレが。みんな深いコンプレックスを抱き、悩み、ときに共鳴する。
もう男の子じゃなくなった。もう女の子じゃなくなった。
行き場を失った「自分」を暗闇の中で探す。聞こえをよくするならばまさにモラトリアムまっしぐらな内容です。
でも実質、暗く湿った性欲を主軸にストーリーは進むので、ドロドロした青春模様が繰り広げられます。
魅力的な主人公たちの感情が複雑に絡み合い、倒錯的なヒミツの関係におぼれていく。
続きが気になりすぎてお腹がいたくなってくるよ…!
本当によくキャラクターが練られていて、ドラマの進展が面白すぎる!
そんな主人公たちの中でも、ひときわ黒く輝いてくれているのが未果子。
自分自身、まだ彼女の魅力を噛み砕けていないので、現状の整理も兼ねての更新です。
簡単に言うなら、かわいくて怖い、捻くれこじらせダメ女、です。(ひどい簡略)
変に純粋で暴走しやすい乙女であり、目的のために周囲を利用することを躊躇しない悪党でもあります。そういうギャップが…恋にしたたかな感じが、たまらなく惹かれる!
●「少女」へのこだわりと、年齢へのコンプレックス
「ヒメゴト」は大学生となったことで揺らぐ性意識がテーマなのだと思います。
未果子のこだわりは、うつくしい少女であることを保つこと。
彼女のコンプレックスは大きなものに「年齢」があります。19歳。大学生は、もう大人とも呼ばれるに十分な年齢。彼女は葛藤しているのです。
彼女の最大級の地雷ポイントが、これはもう1巻の序盤で明らかになるのですが
大学生なのに15歳のフリをして、売春を行っています。
相手の男をだますことで、「私はまだ15歳の女の子として通用するのだ」と愉悦に浸る。また大人になることへの恐怖心のようなものも手伝い、とにかく「15歳」のままを生きようと必死です。
本当に15歳だったときに彼女にとってのターニングポイントがあったのかな。
そういう、男を手玉に取り自尊心を満たす、ぶっちゃけとんだクソ女なわけですが
悲痛なほどの彼女の心の痛みは物語の中で少しずつ語られていき、すっかり愛着が湧いてしまいました。
必死にもだきコンプレックスと戦う彼女は、その手段がいかに真っ黒で賛同を得難いものであろうとも、応援したくなってしまう。
自分の価値にすごく敏感なキャラクターなのです。
というか男を相手にしてるときのデビル未果子さんと、好きな相手を目の前にしたときのエンジェル未果子さんのギャップがね。かわいすぎるんです。
●「男」と「男の子」
例えば第8話によく表れていますが、未果子の言う「男」と「男の子」は明らかにニュアンスに違いがあります。「男」には明らかな侮蔑を、「男の子」には甘い憧れを込めて、彼女は使い分けています。
生き方が不器用だとか、性的な接触をしてこないとか、いじらしさとか健気さとか。
彼女がもとめる「男の子」は、清らかでかわいらしい存在のことを指していそうです。
未果子は「ヒメゴト」の女性主人公、由樹のなかの少年性に惚れ込みます。
それはどうにも「由樹は男ではないのだから自分に実害が及ぶ心配のない」という安心感があってのものだろうなと思い、ここの恋慕の情は彼女のよわさの現れなのだろうなとも思えてしまう。彼女のやらしさを感じる部分とも言える。
構図としては百合。ただ未果子は由樹に男の子であってほしいと思っている。女としての由樹はほぼ必要としてない。
その上、由樹は自分の密かな恋のために、未果子を半ば利用している形もとっていました。
騙し合い(双方、相手も自分自身も騙している)の百合、ということでだいぶ入り組んでいますが、こういうめんどくさい人間関係こそ大変美味でございます!!
しかし売春なんてやっておきながら、彼女の心が求めている恋愛とは、非常に幼い。それこそ小学生同士のような甘酸っぱいものだと見えてきます。
性欲の世界にドップリと浸かりながら、しかしというかだからこそというか、真に清らかな世界を求めてしまう。
少年と少女の、性欲のない、美しい世界に手を伸ばす。
男性に嫌悪を抱くに至ったきっかけが過去にあるようですが、まだハッキリとは語られず。
47話冒頭等にチラッと見えるものから予想するのは、レイプ被害によるトラウマでしょうか。
トラウマ描写を踏まえた妄想ですが、未果子の求める恋愛像は、砕け散った青春時代のやりなおしを求めての結果なのかなとも考えられます。
男性を嫌悪し、純真無垢な少年の魂を求める。社会の闇に身を投げても、未果子は心の奥底ではファンタジーを生きている。
大人と子供の境目である「19歳」「大学生」らしい揺らぎだよなぁ。
彼女はまだ大人になりきれていないし、事実それを忌避もしています。しかしどうにも彼女の現状と理想はアンバランスで、もはや崩壊寸前。
そういう悲痛でギリギリな生き様こそ、彼女の大きな魅力だと思いますね…!
●心と体の矛盾
彼女のアンバランスさは、心と体の関係に強く強く表れています。
心が本当に求めていた、「男の子」との清らかな接触。
自己満足のために利用するだけの、「男」との泥まみれの接触。
心が満たされるのは「男の子」。でも体が、満足のために求めてしまうのは、愚かで汚れた、
「男」との遊びの時間。
由樹とじゃ濡れなかった。でも男といると濡れた。
心の充足と体の充足が一致しない…。その事実に、彼女自身がおおきく戸惑う。心と体のバランスが狂ってきていることが分かっています。
清らかなものを求める彼女の心は本当です。でも体が許さない。
かなりの悪女であり人間関係を翻弄するキャラクターではありますが、強い女性として描かれているわけではないのがポイントですね。
複雑な想いを抱えながらも、やはり彼女は恋のために生命を燃やしている乙女である。ビッチであることと乙女であることは矛盾しない。
矛盾といえばもうひとつ。
彼女は15歳だと自分を偽っていますが、2巻で語っていたように、ありのままの自分を受け止めてもらうことが本当の望みです。
けれどその自信がないからこそ臆病になってしまう。自分の快楽のために、自分の理想から遠く離れた世界にいついてしまった。
これもまた彼女の愛おしさを加速させる要因ですよ…!生きづらそうな人だよなぁ。
●やっぱり黒髪ロング
あれだけ少女である自分を保つ、試すことに執着する彼女のこと、
ただなんとなく黒髪ロングにしているわけがないのです。
第30話では、おそらく肉親とみられる人物にむりやり髪を来られ、少年のような風貌の小学生未果子がすこし描かれています。
おそらくこの出来事の反動で、彼女は黒いままの髪を伸ばすのでしょう。
現在の彼女の容姿や行動を形づくる多くの要素は、過去のトラウマが影響している。
彼女の美しさは、彼女の抱えるトラウマやコンプレックスの裏付けでもあるのです。
悲しみをまとっているからこそ美しい。
物語の主人公のひとり、佳人は未果子にあこがれています。
佳人は女装が趣味なのですが、未果子のファッションを真似てなりきってしまうほどの入れ込みぶり。
彼が未果子をみつめる場面で、彼女の美しさが客観的に語られています。
その長い黒髪に漂うのは、無垢であどけない、
とは真逆の、計算しつくされた美―――
「自分の価値を怖いほど分かっているからこそ、彼女は完璧な少女なのだ」と評しています。
これは彼女の美しい顔立ちやガーリーなファッションを指すのではなく、徹底して美しさを貫く、彼女の黒髪をみつめた時の感嘆が現れた言葉です。
彼女の美しさを完璧にしているのは、その黒髪である。
事実、彼女の黒髪は漫画をよみながら読者に鮮烈な印象を与えるアイテム。
人を欺く。秘密を覆い隠す、本音を遮断する。
そういった演出に彼女の黒髪ロングが用いられるこの場面が最高にクール。
カーテンのように2人をしきる、黒髪による断絶。
男の首元に垂れかかる黒髪。それはまるで男を脅かす悪意そのもの。
髪でくびり殺される直前のような恐怖と緊張がある、めちゃくちゃ好きなシーン。
また、少女のままでありたい少女の夢を包み込んだ、ひとつの理想の少女像としての黒髪ロング…その意味合いの奥深さに、黒髪ロングへのロマンが燃えさかる。
彼女の黒髪ロングは、そのまま彼女のすべてを表しているようにも思えます。
まっくろな制服を身にまとい、夜のなかに黒髪ロングを舞わせる彼女の姿は、もうあれだよね、黒の妖精と呼びたい。
自分が彼女を好きな理由に、黒髪ロングへのこだわりとロマンを感じることは大きいです。
哀情、憧憬、情念…それらを宿した黒髪ロングは、一層美しいのだ!
ということで永尾未果子ちゃんについての記事でした!!
たった1人のキャラクターでこれだけ複雑なドラマを抱えているのに
「ヒメゴト」はほかに2人の主人公がいて、ほかサブキャラも結構いて
それぞれの想いや勇気やコンプレックスが響きあい絡み合う。
そりゃもう面白いのです。物語のうねりが半端無く、吸い取られるような心地なのです。
このブログではけっこう頻繁に名前を出していますが、「ヒメゴト」はいまトップクラスにアツい作品のひとつなので、いろんな人に読んでみてほしいなぁと。
クセはつよいですが、とても魅力的な黒ロンちゃんがいるということで
この記事を読む人は黒ロン好きの諸兄方にもおすすめしたい!
読もう!「ヒメゴト ~十九歳の制服~」! (雑な締め方)
あまりに推しすぎてやらしかったですかね。いやもうホント大好きなんです。
作中でも触れられていますが、名前もいいですよね。未果子。
まるで禁断の果実のような、うつくしくも淫らな響き。素敵です。
今日は9月6日。黒髪ロングの日らしいです。今年も黒ロン祭に参加です。
→【募集】黒ロン祭2013 開催のお知らせ
黒ロン記事を書こうと思い立った段階で、いま一番自分が夢中になっている黒ロン娘はだれだろうなと考え、この娘にしました。
永尾未果子さんが好きだ!!!
漫画「ヒメゴト ~十九歳の制服~」のキャラクター、永尾未果子さんです。
去年の「黒ロン祭2012」もヒメゴトでエントリーしたので、どれだけ熱を上げているかおわかりいただけただろうか…。
とりあえずしばらく俺は黒髪ロング=永尾未果子で推していくつもりです。
去年と代わり映えしませんか?いやいや、愛の証ってやつですよ!
いちばん彼女らしいイラストがカッコいい単行本2巻を張っておく。
ヒメゴト~十九歳の制服~ 2 (ビッグコミックス) (2011/08/30) 峰浪 りょう 商品詳細を見る |
「ヒメゴト」には3人の主人公がいるのですが、未果子ちゃんに焦点をあてて、現状のまとめのようなことをしつつ、どこらへんが魅力的な黒ロンちゃんなのかをPRしようと。
なにせ…たぶん知名度とか………超おもしろい作品ですよ!
過去の更新
ヒミツを抱えあう19歳の三角関係。『ヒメゴト~十九歳の制服~』1,2巻歪み絡まる19歳たちの性。『ヒメゴト~十九歳の制服~』3巻
友達でも恋人でも足りない気持ち。色めく19歳の夜。『ヒメゴト~十九歳の制服~』4巻
過去の更新でも未果子について語ってきていますが、今回はそのまとめのような形にできればと。発売中のコミックス5巻までの範囲で。
簡単に作品紹介。
「ヒメゴト ~十九歳の制服~」は大学1年生の男女が主人公。
3人が3人とも、「19歳」をこじらせていて最高にめんどくさいのだ、コレが。みんな深いコンプレックスを抱き、悩み、ときに共鳴する。
もう男の子じゃなくなった。もう女の子じゃなくなった。
行き場を失った「自分」を暗闇の中で探す。聞こえをよくするならばまさにモラトリアムまっしぐらな内容です。
でも実質、暗く湿った性欲を主軸にストーリーは進むので、ドロドロした青春模様が繰り広げられます。
魅力的な主人公たちの感情が複雑に絡み合い、倒錯的なヒミツの関係におぼれていく。
続きが気になりすぎてお腹がいたくなってくるよ…!
本当によくキャラクターが練られていて、ドラマの進展が面白すぎる!
そんな主人公たちの中でも、ひときわ黒く輝いてくれているのが未果子。
自分自身、まだ彼女の魅力を噛み砕けていないので、現状の整理も兼ねての更新です。
簡単に言うなら、かわいくて怖い、捻くれこじらせダメ女、です。(ひどい簡略)
変に純粋で暴走しやすい乙女であり、目的のために周囲を利用することを躊躇しない悪党でもあります。そういうギャップが…恋にしたたかな感じが、たまらなく惹かれる!
●「少女」へのこだわりと、年齢へのコンプレックス
「ヒメゴト」は大学生となったことで揺らぐ性意識がテーマなのだと思います。
未果子のこだわりは、うつくしい少女であることを保つこと。
彼女のコンプレックスは大きなものに「年齢」があります。19歳。大学生は、もう大人とも呼ばれるに十分な年齢。彼女は葛藤しているのです。
彼女の最大級の地雷ポイントが、これはもう1巻の序盤で明らかになるのですが
大学生なのに15歳のフリをして、売春を行っています。
相手の男をだますことで、「私はまだ15歳の女の子として通用するのだ」と愉悦に浸る。また大人になることへの恐怖心のようなものも手伝い、とにかく「15歳」のままを生きようと必死です。
本当に15歳だったときに彼女にとってのターニングポイントがあったのかな。
そういう、男を手玉に取り自尊心を満たす、ぶっちゃけとんだクソ女なわけですが
悲痛なほどの彼女の心の痛みは物語の中で少しずつ語られていき、すっかり愛着が湧いてしまいました。
必死にもだきコンプレックスと戦う彼女は、その手段がいかに真っ黒で賛同を得難いものであろうとも、応援したくなってしまう。
自分の価値にすごく敏感なキャラクターなのです。
というか男を相手にしてるときのデビル未果子さんと、好きな相手を目の前にしたときのエンジェル未果子さんのギャップがね。かわいすぎるんです。
●「男」と「男の子」
例えば第8話によく表れていますが、未果子の言う「男」と「男の子」は明らかにニュアンスに違いがあります。「男」には明らかな侮蔑を、「男の子」には甘い憧れを込めて、彼女は使い分けています。
生き方が不器用だとか、性的な接触をしてこないとか、いじらしさとか健気さとか。
彼女がもとめる「男の子」は、清らかでかわいらしい存在のことを指していそうです。
未果子は「ヒメゴト」の女性主人公、由樹のなかの少年性に惚れ込みます。
それはどうにも「由樹は男ではないのだから自分に実害が及ぶ心配のない」という安心感があってのものだろうなと思い、ここの恋慕の情は彼女のよわさの現れなのだろうなとも思えてしまう。彼女のやらしさを感じる部分とも言える。
構図としては百合。ただ未果子は由樹に男の子であってほしいと思っている。女としての由樹はほぼ必要としてない。
その上、由樹は自分の密かな恋のために、未果子を半ば利用している形もとっていました。
騙し合い(双方、相手も自分自身も騙している)の百合、ということでだいぶ入り組んでいますが、こういうめんどくさい人間関係こそ大変美味でございます!!
しかし売春なんてやっておきながら、彼女の心が求めている恋愛とは、非常に幼い。それこそ小学生同士のような甘酸っぱいものだと見えてきます。
性欲の世界にドップリと浸かりながら、しかしというかだからこそというか、真に清らかな世界を求めてしまう。
少年と少女の、性欲のない、美しい世界に手を伸ばす。
男性に嫌悪を抱くに至ったきっかけが過去にあるようですが、まだハッキリとは語られず。
47話冒頭等にチラッと見えるものから予想するのは、レイプ被害によるトラウマでしょうか。
トラウマ描写を踏まえた妄想ですが、未果子の求める恋愛像は、砕け散った青春時代のやりなおしを求めての結果なのかなとも考えられます。
男性を嫌悪し、純真無垢な少年の魂を求める。社会の闇に身を投げても、未果子は心の奥底ではファンタジーを生きている。
大人と子供の境目である「19歳」「大学生」らしい揺らぎだよなぁ。
彼女はまだ大人になりきれていないし、事実それを忌避もしています。しかしどうにも彼女の現状と理想はアンバランスで、もはや崩壊寸前。
そういう悲痛でギリギリな生き様こそ、彼女の大きな魅力だと思いますね…!
●心と体の矛盾
彼女のアンバランスさは、心と体の関係に強く強く表れています。
心が本当に求めていた、「男の子」との清らかな接触。
自己満足のために利用するだけの、「男」との泥まみれの接触。
心が満たされるのは「男の子」。でも体が、満足のために求めてしまうのは、愚かで汚れた、
「男」との遊びの時間。
由樹とじゃ濡れなかった。でも男といると濡れた。
心の充足と体の充足が一致しない…。その事実に、彼女自身がおおきく戸惑う。心と体のバランスが狂ってきていることが分かっています。
清らかなものを求める彼女の心は本当です。でも体が許さない。
かなりの悪女であり人間関係を翻弄するキャラクターではありますが、強い女性として描かれているわけではないのがポイントですね。
複雑な想いを抱えながらも、やはり彼女は恋のために生命を燃やしている乙女である。ビッチであることと乙女であることは矛盾しない。
矛盾といえばもうひとつ。
彼女は15歳だと自分を偽っていますが、2巻で語っていたように、ありのままの自分を受け止めてもらうことが本当の望みです。
けれどその自信がないからこそ臆病になってしまう。自分の快楽のために、自分の理想から遠く離れた世界にいついてしまった。
これもまた彼女の愛おしさを加速させる要因ですよ…!生きづらそうな人だよなぁ。
●やっぱり黒髪ロング
あれだけ少女である自分を保つ、試すことに執着する彼女のこと、
ただなんとなく黒髪ロングにしているわけがないのです。
第30話では、おそらく肉親とみられる人物にむりやり髪を来られ、少年のような風貌の小学生未果子がすこし描かれています。
おそらくこの出来事の反動で、彼女は黒いままの髪を伸ばすのでしょう。
現在の彼女の容姿や行動を形づくる多くの要素は、過去のトラウマが影響している。
彼女の美しさは、彼女の抱えるトラウマやコンプレックスの裏付けでもあるのです。
悲しみをまとっているからこそ美しい。
物語の主人公のひとり、佳人は未果子にあこがれています。
佳人は女装が趣味なのですが、未果子のファッションを真似てなりきってしまうほどの入れ込みぶり。
彼が未果子をみつめる場面で、彼女の美しさが客観的に語られています。
その長い黒髪に漂うのは、無垢であどけない、
とは真逆の、計算しつくされた美―――
「自分の価値を怖いほど分かっているからこそ、彼女は完璧な少女なのだ」と評しています。
これは彼女の美しい顔立ちやガーリーなファッションを指すのではなく、徹底して美しさを貫く、彼女の黒髪をみつめた時の感嘆が現れた言葉です。
彼女の美しさを完璧にしているのは、その黒髪である。
事実、彼女の黒髪は漫画をよみながら読者に鮮烈な印象を与えるアイテム。
人を欺く。秘密を覆い隠す、本音を遮断する。
そういった演出に彼女の黒髪ロングが用いられるこの場面が最高にクール。
カーテンのように2人をしきる、黒髪による断絶。
男の首元に垂れかかる黒髪。それはまるで男を脅かす悪意そのもの。
髪でくびり殺される直前のような恐怖と緊張がある、めちゃくちゃ好きなシーン。
また、少女のままでありたい少女の夢を包み込んだ、ひとつの理想の少女像としての黒髪ロング…その意味合いの奥深さに、黒髪ロングへのロマンが燃えさかる。
彼女の黒髪ロングは、そのまま彼女のすべてを表しているようにも思えます。
まっくろな制服を身にまとい、夜のなかに黒髪ロングを舞わせる彼女の姿は、もうあれだよね、黒の妖精と呼びたい。
自分が彼女を好きな理由に、黒髪ロングへのこだわりとロマンを感じることは大きいです。
哀情、憧憬、情念…それらを宿した黒髪ロングは、一層美しいのだ!
ということで永尾未果子ちゃんについての記事でした!!
たった1人のキャラクターでこれだけ複雑なドラマを抱えているのに
「ヒメゴト」はほかに2人の主人公がいて、ほかサブキャラも結構いて
それぞれの想いや勇気やコンプレックスが響きあい絡み合う。
そりゃもう面白いのです。物語のうねりが半端無く、吸い取られるような心地なのです。
このブログではけっこう頻繁に名前を出していますが、「ヒメゴト」はいまトップクラスにアツい作品のひとつなので、いろんな人に読んでみてほしいなぁと。
クセはつよいですが、とても魅力的な黒ロンちゃんがいるということで
この記事を読む人は黒ロン好きの諸兄方にもおすすめしたい!
読もう!「ヒメゴト ~十九歳の制服~」! (雑な締め方)
あまりに推しすぎてやらしかったですかね。いやもうホント大好きなんです。
作中でも触れられていますが、名前もいいですよね。未果子。
まるで禁断の果実のような、うつくしくも淫らな響き。素敵です。
[漫画] あなたと死にたい。『不実の男』
ブログ7周年を迎えて8年目に入りました。なんだかんだで結構長くなってきたな。
おまえが死んでからずっと死にたかった
どうしたことでしょう。山田酉子先生、今年入って3冊めの作品集!
各社いろんなところで執筆しているからこそなんでしょうね、この発売ペース。
普段ほとんどBLは読まない俺ですが、この作家さんは追っていますね。
なんといっても溢れ出る言葉のセンスが最高にストライク。リリカルでセンチメンタルでポエミーで…ふわっとしつつ心をグサグサえぐってくるような感触がたまらんです。
今回の短篇集は「死にたがる人」をメインに据えたものが集められている。
全体的に、消えない心の陰りをなんとなく感じます。
悲観主義者ってペシミストって言うらしいですね。ググったら出てきた。そんな感じだと思います。
ペシミストたちの短篇集。女々しい男。情けない男。くだらない男。クズな男。
ほの暗い、ぼんやりとした絶望がずーっと視界を覆っている、脳を支配する…それでいで山田酉子流の軽やかなポエム調デザインで彩られた作品たち!
このポップな憂鬱。爽やかな厭世観。嫌いじゃない。むしろ大好き…!
けっこうエグい傷を見せつける作品もありますけれど、やっぱりオシャレに彩ってしまうね、この作家さん。むしろこの柔らかさに油断して、時に振りかざされる悪意のナイフにヤラれたりして。
個人的には、今年出た3冊の中では今回のが1番好き。
影を背負った暗い男たちばっかりです。
短編が5つに、描きおろし番外編を加えた構成。
短篇集なので順番に感想を書いていこう。
現役の男子高校生(彼氏の甥っ子)に触れたことで、自信の高校時代に思いを馳せ、なんだか懐かしくも苦々しい味わいに心震わせる。
かつての自分に「聞いたか 高校時代の俺よ」と語りかけるシーンが、この作品とこの主人公の全てでもあるかもしれない。
これといった罪悪感もなく、浮気をした。
まるで自然なことなように、大好きな人以外の男と寝た。
それはつまり彼にとって、それは本当に自然なことだったから、なのでしょう。
その子はきれいで繊細で尖っていて、遠いようで近い。
だってきっと似たもの同士だから。彼を愛することは、悩み悔やんで涙をのんだ昔の自分へたむける花だったから。あの頃の自分を救う大切なひと時だったから。未来にはこんなに素敵な日があるんだよと伝える餞だから。
主人公と年下の彼。重なる部分も結構あって、それが読み手にもチクリとした感触をもたらす。
過去の自分をなんとか祝福しようとする姿には、弱々しくも神々しい光がさすような、不思議な感慨がありますなぁ。
それにしてもまーーーー彼氏がクズ!描きおろし漫画「不実の男」はクズ・ラブ!な歪んだ内容となっており、興奮してしまう。ここまで理不尽でいいのかよ、と。
わざと傷つけてるような気もするが、単純に無神経なだけなのかもしれない。計算ずくの悪さなのか天然なのか読めないがどっちにしたってクズいのである。
ともかく彼は時に悪意でもって主人公を縛り付ける。甘い束縛は、むしろ縛り付けるよりもっと強烈に主人公を吸い寄せる。
ダメな恋をしているなって見えるけれど、ダメな恋なりに、なんだかうまくやっていけそうなのが不思議なものだ。もちろん、主人公はこれから何度だってコイツのせいで傷ついて泣いたりするんだろう。でもその度にご褒美をもらって、またすがる。
ああ、主人公もダメ人間なんだな、こりゃ。かわいらしい意地悪な関係。
死を望む少年の暗部に、ぎりぎり手が届かない。手をひっこめたそばから少年はどっぷりと湖に沈んでいき、本当の顔が見えなくなる。
暗いお話だ。冷ややかな余韻を残す。柔らかな失望を浴びるイヤな寒気。
うまく死ぬことができなった男たちの、シンプルな物語ではあるんだけれど、それだけではない、少年と大人の差、みたいな残酷な一面を見せつける。
それでいて少年の横顔に「大人」を見つけるラストは絶品モノの美しさ。
男は情けないね。少年は思い切りがよく、全てを託せたのだ。
仮にどんなに幸せになったってきっと。
貴方とともに死ぬ喜びに代わるものなんて無いと、彼はそう思っていた。
なんという清潔な愛情…。このモヤモヤした感情をどうすれば!でもモヤモヤしたいからこの作家さんの漫画よんでる部分もあるので、ある意味ではこれぞ醍醐味なのである…
言葉の響きのみにまず着目した、吟遊詩人たる山田酉子エッセンス。
弟の死によりスランプになったミュージシャン。彼にスリを仕掛けたクズ男。そこから始まるひねくれた関係は、優しい再生への男たちを導く。
これは比較的明るい話でしたね
ただ死にまつわる短篇集であることから、どうしたって喪失感がのっぺりと存在していて、居心地が悪い。居心地が悪いが、その中で安定を見つけ出していく。どうにかして、生きていく。
そういう意味でこの「ひゅーすとん」は死に立ち向かうためのひとつの結論を探し当てた物語でもあり読後感はすごくよかったです。
死を描くということは、逆説的に生を描くものなのだな。
「死にたがる男」として弟が面白い。
まぁまず死にたがるに理由はないのかもしれない。そういう人種なのだろう。作中には弟が実はとても寂しがりやだったのかも的描写も少しあるが、確証は持てない。やっぱり何故死ぬのかははっきりと見えない。
そういう掴みどころのない、いつ消えてしまうか分からない存在は
きっと誰かの心をかき乱して、そのまま攫っていくものなのかもしれない。
魅惑的で、最高に卑怯な生き様を見せつける死者たちこそ、ダメな男への愛がみなぎる本作「不実の男」の真髄だなと思ったりする。
死こそ不実。だから良いって見方もある。
これは完全に主人公が死にたがり。恋人と心中をはかり、自分だけが生き残った。その後は惰性のまま歩み続けている。
死の香りが濃密なんだけど、ズッシリ重くはならない雰囲気作りがお見事。
それはなにより、もう死んでいて一番ヘビーな状況にある幽霊くんが、なんとも可愛らしいからっていう理由。
「貴方なしでは生きていけないから、はやく呪い殺してよ」
と身勝手なことを思っている主人公だけれど、しかしそんな絶望の淵から少しだけ踏み出すラストの、ほんわかとした心地よさ。祝福感が素敵。
すごく暗い死にたがりの漫画だけれど、優しい漫画でもあるなぁ。
恋は生命を輝かせる。恋は死を誘う。
そのどちらかを選択できるのも生者の特権だな。
一緒に死ぬことでしか満たされなくなるほどとは、どれだけ切迫した恋だったのだろうかと、心中というシチュ自体けっこう萌えたりするもので。
「つめたい恋人」同様に、最愛の人に先立たれ残された男の話。
孤独の者をよそから眺めている視点がけっこう鋭いですね。
タイトルにもあるように孤独。どう癒すか。どう殺すか。生きてる限りずっと孤独であることには限界があるかもしれないけれど、主人公は孤独であることで恋人に操を立ていているような感じ。
孤独を通じて愛する人に想いを捧げる。いじらしい切ない愛情だなぁ。染みる。
ずっと貴方の中で生きていたい。そう祈ったプログラム。
死ぬ側にも残される側にも等しく降り積もるやるせなさに震える。
ストレートに感動で気持ちが昂ぶって泣けるお話です。
ラストシーンの暖かな2人の時間に、スッと胸の氷が溶けて冷たい水になったみたいな、よく分からないけどそういう感覚がした。まだ冷えているけど、もう感情を凍らせる必要もなくなった。
「ワードサラダ」ってオシャレだなぁ。俺も頻繁に使って行きたい。こんなのまるで出来の悪いワードサラダだね、とかうわキザだなこれは。
言葉のチョイスやリズムからくる余韻が全編にまぶされていて、味わい深い短編。
そんな「不実の男」感想でした。
山田酉子先生のBL短篇集では、これまでで1番好きかもしれない。
蔓延する喪失感。コイツがもう垂涎モノってもんです。
全作とにかく「死」のにおいが漂っていて、研ぎ澄まされた緊張感と絶望感がぬるい味の薄い紅茶にでも浸かってるかのようなムードがたまりません。
短いエピソードばかりなのに、たっぷりと甘い、淡い、柔い、切ない余韻を残していく。
山田酉子先生の作品はフラットな体温を持っていると思います。熱くも冷たくもなく、肌にフィットする感じの。だから疲れない。
でも今回の作品は、ちと体温低めな作品が揃っていて、それが印象深い。
今回で確信しましたが、俺は山田酉子作品の、最後の一言が好きだな。
各エピソードのラストを飾る、とっておきの言葉。
これがもう堪らない。これが最高の余韻を残してくれる。
今回もまるで詩集みたいな心地良いリズムがクセになる漫画でございました。
『不実の男』 ・・・・・・・・・・★★★★
死と恋の短篇集。世界は乾いているのに読んでると心潤う、染みる一冊です。
いちど少女漫画雑誌でも読み切り描いたので、また少女漫画も読みたい。
不実の男 (B`s-LOVEY COMICS) (2013/07/13) 山田酉子 商品詳細を見る |
おまえが死んでからずっと死にたかった
どうしたことでしょう。山田酉子先生、今年入って3冊めの作品集!
各社いろんなところで執筆しているからこそなんでしょうね、この発売ペース。
普段ほとんどBLは読まない俺ですが、この作家さんは追っていますね。
なんといっても溢れ出る言葉のセンスが最高にストライク。リリカルでセンチメンタルでポエミーで…ふわっとしつつ心をグサグサえぐってくるような感触がたまらんです。
今回の短篇集は「死にたがる人」をメインに据えたものが集められている。
全体的に、消えない心の陰りをなんとなく感じます。
悲観主義者ってペシミストって言うらしいですね。ググったら出てきた。そんな感じだと思います。
ペシミストたちの短篇集。女々しい男。情けない男。くだらない男。クズな男。
ほの暗い、ぼんやりとした絶望がずーっと視界を覆っている、脳を支配する…それでいで山田酉子流の軽やかなポエム調デザインで彩られた作品たち!
このポップな憂鬱。爽やかな厭世観。嫌いじゃない。むしろ大好き…!
けっこうエグい傷を見せつける作品もありますけれど、やっぱりオシャレに彩ってしまうね、この作家さん。むしろこの柔らかさに油断して、時に振りかざされる悪意のナイフにヤラれたりして。
個人的には、今年出た3冊の中では今回のが1番好き。
影を背負った暗い男たちばっかりです。
短編が5つに、描きおろし番外編を加えた構成。
短篇集なので順番に感想を書いていこう。
クズ彼氏に振り回される主人公が浮気しちゃうお話。●不実の友
現役の男子高校生(彼氏の甥っ子)に触れたことで、自信の高校時代に思いを馳せ、なんだか懐かしくも苦々しい味わいに心震わせる。
かつての自分に「聞いたか 高校時代の俺よ」と語りかけるシーンが、この作品とこの主人公の全てでもあるかもしれない。
これといった罪悪感もなく、浮気をした。
まるで自然なことなように、大好きな人以外の男と寝た。
それはつまり彼にとって、それは本当に自然なことだったから、なのでしょう。
その子はきれいで繊細で尖っていて、遠いようで近い。
だってきっと似たもの同士だから。彼を愛することは、悩み悔やんで涙をのんだ昔の自分へたむける花だったから。あの頃の自分を救う大切なひと時だったから。未来にはこんなに素敵な日があるんだよと伝える餞だから。
主人公と年下の彼。重なる部分も結構あって、それが読み手にもチクリとした感触をもたらす。
過去の自分をなんとか祝福しようとする姿には、弱々しくも神々しい光がさすような、不思議な感慨がありますなぁ。
それにしてもまーーーー彼氏がクズ!描きおろし漫画「不実の男」はクズ・ラブ!な歪んだ内容となっており、興奮してしまう。ここまで理不尽でいいのかよ、と。
わざと傷つけてるような気もするが、単純に無神経なだけなのかもしれない。計算ずくの悪さなのか天然なのか読めないがどっちにしたってクズいのである。
ともかく彼は時に悪意でもって主人公を縛り付ける。甘い束縛は、むしろ縛り付けるよりもっと強烈に主人公を吸い寄せる。
ダメな恋をしているなって見えるけれど、ダメな恋なりに、なんだかうまくやっていけそうなのが不思議なものだ。もちろん、主人公はこれから何度だってコイツのせいで傷ついて泣いたりするんだろう。でもその度にご褒美をもらって、またすがる。
ああ、主人公もダメ人間なんだな、こりゃ。かわいらしい意地悪な関係。
これが今作では1番好き。このどん底感がたまらない…。●誰かと夏
死を望む少年の暗部に、ぎりぎり手が届かない。手をひっこめたそばから少年はどっぷりと湖に沈んでいき、本当の顔が見えなくなる。
暗いお話だ。冷ややかな余韻を残す。柔らかな失望を浴びるイヤな寒気。
うまく死ぬことができなった男たちの、シンプルな物語ではあるんだけれど、それだけではない、少年と大人の差、みたいな残酷な一面を見せつける。
それでいて少年の横顔に「大人」を見つけるラストは絶品モノの美しさ。
男は情けないね。少年は思い切りがよく、全てを託せたのだ。
仮にどんなに幸せになったってきっと。
貴方とともに死ぬ喜びに代わるものなんて無いと、彼はそう思っていた。
なんという清潔な愛情…。このモヤモヤした感情をどうすれば!でもモヤモヤしたいからこの作家さんの漫画よんでる部分もあるので、ある意味ではこれぞ醍醐味なのである…
ヒューストンって響き、面白いな。ってのは自分も思ったことがある。●ひゅーすとん
言葉の響きのみにまず着目した、吟遊詩人たる山田酉子エッセンス。
弟の死によりスランプになったミュージシャン。彼にスリを仕掛けたクズ男。そこから始まるひねくれた関係は、優しい再生への男たちを導く。
これは比較的明るい話でしたね
ただ死にまつわる短篇集であることから、どうしたって喪失感がのっぺりと存在していて、居心地が悪い。居心地が悪いが、その中で安定を見つけ出していく。どうにかして、生きていく。
そういう意味でこの「ひゅーすとん」は死に立ち向かうためのひとつの結論を探し当てた物語でもあり読後感はすごくよかったです。
死を描くということは、逆説的に生を描くものなのだな。
「死にたがる男」として弟が面白い。
まぁまず死にたがるに理由はないのかもしれない。そういう人種なのだろう。作中には弟が実はとても寂しがりやだったのかも的描写も少しあるが、確証は持てない。やっぱり何故死ぬのかははっきりと見えない。
そういう掴みどころのない、いつ消えてしまうか分からない存在は
きっと誰かの心をかき乱して、そのまま攫っていくものなのかもしれない。
魅惑的で、最高に卑怯な生き様を見せつける死者たちこそ、ダメな男への愛がみなぎる本作「不実の男」の真髄だなと思ったりする。
死こそ不実。だから良いって見方もある。
これも大好きだなー!暗い暗い!●つめたい恋人
これは完全に主人公が死にたがり。恋人と心中をはかり、自分だけが生き残った。その後は惰性のまま歩み続けている。
死の香りが濃密なんだけど、ズッシリ重くはならない雰囲気作りがお見事。
それはなにより、もう死んでいて一番ヘビーな状況にある幽霊くんが、なんとも可愛らしいからっていう理由。
「貴方なしでは生きていけないから、はやく呪い殺してよ」
と身勝手なことを思っている主人公だけれど、しかしそんな絶望の淵から少しだけ踏み出すラストの、ほんわかとした心地よさ。祝福感が素敵。
すごく暗い死にたがりの漫画だけれど、優しい漫画でもあるなぁ。
恋は生命を輝かせる。恋は死を誘う。
そのどちらかを選択できるのも生者の特権だな。
一緒に死ぬことでしか満たされなくなるほどとは、どれだけ切迫した恋だったのだろうかと、心中というシチュ自体けっこう萌えたりするもので。
これも、これも素晴らしい…。●中土井さんの孤独
「つめたい恋人」同様に、最愛の人に先立たれ残された男の話。
孤独の者をよそから眺めている視点がけっこう鋭いですね。
タイトルにもあるように孤独。どう癒すか。どう殺すか。生きてる限りずっと孤独であることには限界があるかもしれないけれど、主人公は孤独であることで恋人に操を立ていているような感じ。
孤独を通じて愛する人に想いを捧げる。いじらしい切ない愛情だなぁ。染みる。
ずっと貴方の中で生きていたい。そう祈ったプログラム。
死ぬ側にも残される側にも等しく降り積もるやるせなさに震える。
ストレートに感動で気持ちが昂ぶって泣けるお話です。
ラストシーンの暖かな2人の時間に、スッと胸の氷が溶けて冷たい水になったみたいな、よく分からないけどそういう感覚がした。まだ冷えているけど、もう感情を凍らせる必要もなくなった。
「ワードサラダ」ってオシャレだなぁ。俺も頻繁に使って行きたい。こんなのまるで出来の悪いワードサラダだね、とかうわキザだなこれは。
言葉のチョイスやリズムからくる余韻が全編にまぶされていて、味わい深い短編。
そんな「不実の男」感想でした。
山田酉子先生のBL短篇集では、これまでで1番好きかもしれない。
蔓延する喪失感。コイツがもう垂涎モノってもんです。
全作とにかく「死」のにおいが漂っていて、研ぎ澄まされた緊張感と絶望感がぬるい味の薄い紅茶にでも浸かってるかのようなムードがたまりません。
短いエピソードばかりなのに、たっぷりと甘い、淡い、柔い、切ない余韻を残していく。
山田酉子先生の作品はフラットな体温を持っていると思います。熱くも冷たくもなく、肌にフィットする感じの。だから疲れない。
でも今回の作品は、ちと体温低めな作品が揃っていて、それが印象深い。
今回で確信しましたが、俺は山田酉子作品の、最後の一言が好きだな。
各エピソードのラストを飾る、とっておきの言葉。
これがもう堪らない。これが最高の余韻を残してくれる。
今回もまるで詩集みたいな心地良いリズムがクセになる漫画でございました。
『不実の男』 ・・・・・・・・・・★★★★
死と恋の短篇集。世界は乾いているのに読んでると心潤う、染みる一冊です。
いちど少女漫画雑誌でも読み切り描いたので、また少女漫画も読みたい。
[漫画]嘘と生きていく、弱く惨めなぼくらの『ブラパ THE BLACK PARADE』
ブラパ THE BLACK PARADE(1) (ヤングガンガンコミックス) (2012/04/25) 緑のルーペ、フジワラ キリヲ 他 商品詳細を見る |
ブラパ THE BLACK PARADE(2)(完) (ヤングガンガンコミックス) (2013/04/25) 緑のルーペ 商品詳細を見る |
人間はいくら強がったところで 本当は弱いままだから
久しぶりに脳をガツンと殴りつけられたような衝撃を味わった漫画でした。
緑のルーペ先生(&原作協力フジワラキリオ先生)の一般誌での初連載作品「ブラパ」。
とにかく、心の痛覚を刺激されまくり。
思春期を通過した人たち。とくに、アニメや漫画など2次元にドップリな思春期を過ごした人たちにとって、きっと強烈なダメージを与える。
実際俺はガチ凹みしたし、それで泣いてしまったし、加えて感動に震えた…!
2013年上半期に読んだ漫画では、この「ブラパ」2巻が1番心に突き刺さった。
どう感想かいたものかと悩んでいたらもう6月終わって下半期になっちゃったので、急いでこうして書き始めた次第。
2巻が出たのはもう結構前になりますが、やはりこの作品の感想は書いておきたい…!
1巻2巻同時の扱いにしますが、実質2巻の内容を取り上げたいと思います。
ブラパ1巻の時点では、「緑のルーペ先生、こういうのも書けるんだなぁ」と新境地を見る感覚で楽しんでいました。しかしいやはや、この2巻は凄まじい。
「やっぱり緑のルーペ先生はこういう感じだ!」と大興奮ですよ!
「イマコシステム」で見せたあの曖昧で切実な幸福感。あれに近いものを感じる物語でした。やっぱりこの作者はこういうのが大好きなんだなーと確信。
しかしイマコシステムも好きですが、「ブラパ」はどうしようもない青春の過ちとか痛みとか、そういう色が濃くて俺のドストライクでした。2巻後半からの怒涛の展開はまさに必見!
毒の強い内容ではありますが、愛おしい、大切な作品として自分に刻まれました。
ざっとストーリーを。
思春期こじらせ型・青春ロールプレイ作品。という紹介で合ってるかな。
主人公の少年、留美は迷い込んだ不思議な場所で、「フジノ」という女の子と出会いました。なんとも芝居がかった振る舞いをするミステリアスなその少女と、留美は仲良くなり行動を共にしていきます。
2人は自分たちで決めたルールの中で、冒険をする。ダンジョンと称して建物に侵入したり、テリトリーに侵入してきた不良たちと戦ったり。
そんな2人の日々は、灰色の現実を忘れさせてくれる輝きに満ちていた。
しかしそんな日々を一変させる出来事が……2巻の中盤で起こるのです。
この作品は至る所で俺のツボを指摘してきます。
まずタイトルが「ブラパ」。THE BLACK PARADEですね…!
俺もリアル高校生の時、マイケミよく聞いていたので…まずそこから心揺れますよ!
さらに各話タイトルが既存の曲タイトルから取られているのですが、その多くが、「売れてるJ-POPはちょっとなぁ…」と妙な意識こじらせている10代が聞きそうなラインを見事についてくる。BUMPとかRADとかのロキノン系が主。テレビ露出をあまりしないロキノン系の中ではメジャー級バンド。オマケにアニソンまで混じってきて、ちょっとサブカルな方面に傾倒「しはじめた」くらいのヌルい高校生オタのセンスが見事に作中にパッケージされている。
まぁつまり読んでいて「高校時代の俺のどうしようもなさ」を思い出せられてしまう、という超個人的な面白さと苦痛があるんですよね…!!あああ!!俺は今でも所詮そんなもんなんだけど!!
この辺りの楽曲チョイスは意図的だと思うんですよね。作者の趣味もあると思うけれど、思春期に寄り添う音楽を選んだように感じる。
そしてそんな「しょーもないオタク高校生の現実逃避」を、その幻想を、その恥ずかしい行動の全てをいっきにブチまける。それが2巻の中盤。そこから物語は一気に加速と崩壊を始める。
全ては「ロールプレイ」だったのだと、その稚拙なフィクションを打ち砕く。
フジノの瞳にいつもきらめいていた星にヒビが入り、ガラガラと崩れ、そして輝きを失う……。
15話「羽虫のように」の緊張感には吐き気すらしてきた。
居場所を奪われ、心もへし折られた「フジノ」。壊れた瞳の彼女は、自分の体を留美に捧げることで、よすがを求める。しかし戸惑い流される主人公と、最後は致命的なスレ違いをお越し、幻想は完全に消え去った。
うわ言のように繰り返す「好き」の言葉に、なんの意味も宿っていない。
なんて乾いてるんだ。心を締め上げる切なさに満ちてる…。
「好き」って言わなきゃ、今の自分たちを正当化できないから。結局は言い訳のために「好き」なんて言ってるだけなんだ。ダメダメだわぁこの2人。
こんなグズグズに狂っていく青春模様。見たくない。
けれど嫌悪感と同時にメチャクチャ胸が高なったりして、物語に引きずり込まれたみたいに目をそらすことができなくなってしまう。
浮世離れした楽しいファンタジーだった。甘酸っぱい感動があった。
しかしそこから冷徹なリアルの世界に突き落とされる。この落差。
ストーリーもさることながら読者の心を追い詰める演出面も冴え渡っている。
心踊る冒険ファンタジー。でもそんなものは現実には存在しない。
協力者と舞台とルールを手に入れた、2人で共有する妄想に過ぎなかった。
今まで楽しかったはずの日々が、根本から崩れ去る恐怖。ある種のカタルシスも感じましたが、それはあまりの悲しさと、目を背けたくなるような青春の過ちによるもの…。
ファンタジーだと思っていたはずが、生々しいリアルに突き返される。だってこっちが本来の居場所だから。生きていかねばならない現実は、紛れもなくこの冷えた世界なのだから。
自分を好いてくれた少女が遠くなる。
摩耗しない恋。美しく清潔に保たれる恋。
そういうのも、きっと現実では、出会い難いものなんだろう。
このシーン、泣けたなぁ…。雛ちゃんの描かれ方に関してはなんの不満もない。最終話だって納得できたし爽やかだった。
ただこの場面は、主人公が自分の情けなさに真正面からブチあたって涙する。見てられない…。ただ、名シーンだとも思う…。
僕らは現実の中で、この世界の中で、生きていくしかない。
流さ流され、時に大事な選択をして。少しずつ自分を変えて。
ただ、決して現実が悪いものだとは描かれていない。
つまりは生き方の問題であり、留美は現実の壁を敗れるだけのエネルギーを、フジノの妄想の世界から、そしてフジノ本人から受け取っていた。
壊れてしまった2人の世界は、別の形でまた歩み出せるかもしれない。
そうやって「再生」へと駆けていく留美の姿に、またしても涙。
17話、堂々と現実に立ち向かう覚悟を決めた彼は、むしろ笑いながら遠く遠く駆けていく。
思春期をこじらせた少年の最後につかみとった、現実と戦う覚悟。
世界の秘密が暴かれる第14話以降の展開は、テンションの浮き沈みが激しくまさにジェットコースター気分。
感情を上に下に右へ左でブンブン揺さぶられ、感情の波に酔ってしまいそうな感覚すらした。
だけどもう!とにかく熱い!
なんて傷だらけの、なんて途方も無い痛みを伴う、愛おしい青春の物語なんだろう!
藤野という少女と、少女の結論について。
ようするに、思春期の薄っぺらなセンスや妄想をどこまで痛めつけられるかな、っていう所を鋭く描いた作品なんだと思う。
「変なフリ」としていたフジノなんかまさに象徴的。
現実での自己嫌悪の裏返しが、妄想の世界のまったく別の自分への憧れ。
カッコよくてかわいくて、まるで物語のヒロイン。
他人から求められたら嬉しくて嬉しくて。なりたい自分への自己陶酔。
でも本当に頭イカれたヤツがやってきたら慌てちゃう。ところどころで「フリ」を続けられない所にじわじわと本来の弱さが見えていました。
その弱さ、薄っぺらさがいっきに噴き出るのがあの種明かしのシーン。
どうしようもなくなって、ただ自分を求めてくれる「都合のいい人」に自分の価値を求めて、自爆する。「誰も本当の私を欲しがってはくれない」と心を折る。
妄想の中の自分が輝くほどに、現実に自分が惨めになっていく。そらいつかはぶっ壊れるさ。崩壊のきっかけ外部から、変な漫画家のオッサンに持ち込まれたけれど、それがなくてもいずれ彼女は限界を迎えていたんじゃないかな。
思春期のドロドロした憂鬱と、オタクのクソみたいな自意識でぐっちゃぐちゃになってるフジノを見てると、心の底がムズムズしてくる。本当に…。この気持ちはなかなか言葉にしづらい。
ただ、だからこそ淡い祝福が降り注いだラストシーンは、読んでからしばらくずっと、この作品のことばかり考えてしまったほどに、俺の中身に食い込んだ。
一目惚れでした、と藤野は言う。
「私は彼のことが最初から好きだったのだ」と。それが嘘だとしても。そういう事にして自らを慰めたいだけだとしても。留美を自分につなぎとめておくための、とっておきのフィクションだとしても。
そう口にした藤野の心が、本当に尊いものなのだと、留美は言う。
ああ、なんて美しいエンディング!!
この不安定さ。アンバランス。単なる両思いで終わっただけでは、この作品にここまでのめり込まなかったと思う。
臆病なこの2人は、お互いの「好き」を確信することだって、きっと難しいから。
だからちゃんと言葉を投げかけ合って、抱きしめあって、互いで互いを信じあっていくしかない。いつだって不安はやってくる。
あの夜の廃車両で投げかけあった、なんの意味のない「好き」の言葉。あのどうしょうもなく不毛な、闇に墜落していくような接触にも、後から後から意味なんて加えられる。「あとづけ」でいいんだよ。どうせ弱いんだから。そうやって弱い自分を受け止めて慰めて、騙し騙し、幸せに進んでいければ、十分なハッピーエンド。
愚かでもいい。弱くていい。所詮そんなもんだ。
実際藤野は、留美とセックスしたことを後悔したような口ぶりで「大して好きでもない男の子とするの、本当は嫌だった」とザックリ心えぐる事を言っていました。
それが真意だったのか、留美を遠ざけるためのあの場だけの嘘だったのか、もう分かりません。
でも今の藤野は「一目惚れだった」と言った。ならそれでいい。それを信じればいい。
過去なんて「今」のために都合よく使ってしまえばいいのだ。
藤野が「一目惚れだったの」と言ったように。
あるいは俺が昔を思い出しながら身悶えして苦しみながらブラパを読んだ後、「でもあんな日々があったからこの作品をここまで愛せたんだもんな…」と賢者モードに入るように。
なんだって受け取り方次第なわけで、そこはもう、卑怯なくらい自分を騙してしまったほうが、いい。たぶん。ダメな自分を肯定したっていいんだよ!(キレ顔
そういう開き直り方を発見させてくれた作品だな「ブラパ」。ありがとう。でもきっと俺は痛いまんまなのでブラックパレードは永遠。
いわゆる「打ち切り」の憂き目にあってしまった作品。惜しいなぁ。
この終盤の展開は、もっともっと物語が長くなって、十分な「溜め」を持っていたら、さらに破壊力を増したはず!
2巻完結となった今にこれだけのダメージを負ってしまった俺が、仮にこの作品が予定通りの尺でこの終盤にたどり着いていたらどうなっていたか。あまりに落差が強烈すぎて、俺も壊れてしまったかもしれない…。
しかし結果的に打ち切りになってしまったことを作中でメタっぽく触れてしたりもしてニヤリとさせられる。加えて「妄想が中断され突如終焉する」という唐突さも、このクライマックスの展開の中ではひとつのポイントになっていたとも思う。まさに急転直下なスリリングさがあったよ!
打ち切りを残念なものとして完結させるのではなく、むしろ打ち切りにあったことすら作品に活かしてしまえというガムシャラな姿勢が感じられ、その熱意にまた震える。
そうそう。ちょっとメタ視点を含ませてる本作において、作品のカギでもあり半ば神の視点を持つ漫画家、動物園ひかる氏の存在は面白い。
こんなこと言い出した時には、ラスボス来たーって思った。
うーんいい顔!!
でも彼は、藤野と留美と見守ることで読者よりもっと近くで心を揺さぶられる「大人」の代表キャラでもある。
いけ好かない、気持ちの悪い男。けれどどこか読んでいる自分自身と重なる所があったりして、なんかね。
緑のルーペさんはこの作品を
「大人になれなかった大人の、憧れと諦めによって生まれた物語」
と表現しています。
大人になれなかった大人。もしかしたらこれは緑のルーペ先生を含む製作者たちのことでもあるんだろう。でももっと言えば動物園ひかるのことでもあるんだと思う。
留美のだした結論を聞き届け、情けないくらいに弱々しく「…はは」と笑って手で顔を覆う。きっと最後に彼のことを救ってしまったんだな、藤野と留美は。
表現者として「妄想」を生み出した親でもある彼は、そこから巣立っていく子どもたちを見ることに、どんな思いを抱いただろうか。きっと、そりゃもう。
深読みし過ぎるとアレですが、動物園ひかる氏が緑のルーペ先生の投影キャラだとすると、なんか納得してしまうんですよね。なんとなく。
ちと長くなってしまいましたがそれだけ大好きだという事を詰め込めたかな。
「ブラパ」はズタボロになる少年少女と、思春期のよどみと煌めきと、絶望と再生が高密度に結晶した傑作だと思うんですよ!
面白いんだけど、面白いかどうかよりまず本能を鋭くえぐってくる作品だった。
追い詰められていく主人公たちと、崩れ去る世界。愕然とした気持ちで物語の後半を読み進めましたが、本当に素敵な着地を見せてくれた…!
フィクションに惑わされる少年少女、というメタ視点を見事に表現し、フィクションから踏み出す主人公らに到達する。
けれど二人が生きていく現実は、今も「ブラックパレード」の中。
妄想の世界から飛び立ったって、結局のところ弱く脆い2人は、時に嘘にすがって生きるしかない。でもそれでいいんだろう。幸せなんだろう。
嘘と生きていく、弱く惨めな彼らの「the Black Parade」。
どうかいつまでも夢を。信じられるものを。嘘かもしれないけれど、信じたいものを握りしめられたならそれでいいんだ。
崩壊と再生。徹底的に叩き潰されてからの、かすかな希望。
イタい思春期漫画、と片付けるには毒が強いけれど、間違いなく大好きな漫画で、きっと俺はずっと2人の幸福を願う。
思春期を通過したからこそ全力で楽しめる、あの頃の恥ずかしい僕らの物語、とも言えるかもしれない。痛覚を研ぎ澄ませて、めいいっぱい傷つけられて、最高に楽しかったです。
『ブラパ』1,2巻 ・・・・・・・・・・★★★★★
心がズキズキする思春期の迷走。打ち付けるリアルの脅威。臆病な男の子と臆病な女の子。ひっくるめて全部が愛おしくてたまらない傑作。
これで打ち切られてなかったらもっと大変なことになってたな。俺が。
ザ・ブラック・パレード (2006/12/06) マイ・ケミカル・ロマンス 商品詳細を見る |
元ネタのアルバム。これ聞きながら読む「ブラパ」も格別である。
懐かしいな。中高の時よく聞いていた…。
Welcome to the Black Parade!!