[本]素朴で不思議で怖くて愛おしい、花のような 『野ばら』1巻
そろそろ更新頻度上げたいなぁ・・・とは思ってます。
しょむたん おはよう
Fellows!連載中、高田築さんの「野ばら」1巻が発売されました。
分かりにくいかも知れませんが「野ばら」とは短編シリーズです。
巻数が打たれていますが2巻以降も短編集になると思いますので、そこは注意、かも。
第1巻は8作の短編を収録。今回はうち4作について。
短編集中全3作がこのしょむたんシリーズで、そのどれもがとても微笑ましいw
まずしょむたんがいい。

なんだこれかわいい……。
作中では特別な説明はなされず、ただ非常に珍しい動物、としか知らされないしょむたん。
番組中によそ見をしたり、なんだかよく分からないイラストを紙に書いてみせてきたり
ドアの隙間からむりやり体を押し込んで部屋に侵入してきたりw
人をおちょくってみせるシーンが多いのですが、それも可愛すぎるw
なんだかよく分からないけど頑張ってるしょむたんにほんわかほんわか・・・。
しょむたんってキャラクターのインパクトが強烈なのですが
もちろんそれだけではなく、物語それ自体もとても魅力あるものです。
そんなしょむたんと一緒に教育番組を担当することになった主人公。
本当は報道をやりたい・・・けれど、「踏み台」として任されたこの仕事。
大した人気もない、もうすぐ打ち切りの、しょーもない番組。
うまく言葉にできない、けれど確実に在る不思議な違和感は降り積もり、
やがて彼女はちょっとした行動に・・・。
しょむたんというキャラクターの濃さに流されがちかもしれませんが
結構シビアな社会を描いていて、ところどころ刺があるのも良かった。
夢も希望もない番組制作現場の様子。ちょっと冷めてる主人公の恋愛。
しょむたんが登場している間のコメディチックな雰囲気もいいですが
ちょっとネガティブというか、ダウナーなムードが色濃く描写されます。
だからこそラストの流れにある、人間たちのちょっとしたの「反撃」に思わずニヤリとしてしまうのです。
本当に些細な、ステキな出来事。
道端に綺麗な花を見つけたような、ちょっと嬉しいあの感覚。
そういうのを味わえるのも、漫画の良いところかな。

なんだかんだでいいコンビ。また続編を描いて欲しいシリーズです。
どうでもいいけど、しょむたんがプレイしてたゲーム・・・「キミプラス」。
明らかにキミキスの菜々ちゃんとゲーム画面でちゅっちゅしてるしょむたんにShit.
そのゲームやらせてください。
ここでまさかの急降下、ガチホラー作品。
雑誌で読んだ時もあまりの前号までとの違いにビビったものですが
単行本になるとより一層、色んな意味で目立ってる作品になってるなぁと。
高田築さんの描く作品の幅広さを象徴する意味でも、特別な作品。
生首。
どんな時間にも、どんな場所にもふいに現れる生首。
それと目が合うとその人は正気ではなくなり、すぐに自殺をしてしまう。
社会問題にもなったこの事件は、主人公の家庭も滅茶苦茶に・・・。

もー酷い漫画ですよこれ。この流れで読んだらどんな人でもドン引きです。
なのにすっごい面白い。
人間がポンポン死んでいく。命の重さなんてもうかーるいかるい。
理由もなければ綺麗なオチもない、まさに不条理。
「生首」のデザインも最低です。なんてことない、本当に「生首」。
見開いた目が、ただじっとこちらを見つめてくる・・・。
シンプルかつ本能的な、「見られる」恐怖。揺さぶられるなぁ、心を。
けれどもそんな中で必死に運命に抗おうとする主人公がまた気持ちいいのです。
やはりこの作品は、ありふれてはいるけど「人間」を描いているなぁと。
あっさり人が死んでいって、嫌らしいほどドラマ性が無し。
この軽さと唐突さで恐怖も更に……狙いすましてるなぁ。
加えて死は軽いのに、死の痛みは脳がしびれるほど伝わってくるという・・・(母の絶叫)。
まぁとにかく、そういう漫画です。
そもそも俺はホラーが苦手で・・・しかしこれ面白いんだよな・・・・・・ああヤダヤダ。
オマケのボーナスショットも、なんだか後味悪くて意味深。
被疑者と直接接触して犯人特定を急ぐという潜入捜査。
主人公はやってきた被疑者(男)の部屋に、彼の友人がサプライズで来させたメイドサービスを偽って新入。なんか流れでお掃除だのなんだのすることに。
特定の条件は左手の傷、肩の刺青、背中の傷、そして特徴的な舌。
主人公は1つずつそれを確認していきますが、しかしどれもシロ。
最後に残ったのは「舌」の条件、さてどうする・・・?
まぁ女の子が脱いだり脱がせられたりでキャッホイなお話なわけですが
最大のエロスはそこではなくてですね!「彼女の意思」にあるのですよ!
無理矢理に押し倒されてるうちに、彼が「舌」の条件にヒットすることが判明するのです。
が、ヒットしてから逮捕までには僅かなラグがあります。
主人公に逮捕権力は無いので、外部組織を呼んで彼らが到着次第その場で逮捕、となるためです。
そう、彼女の捜査はもう終了したのです。あとはもう自由なのです。
自分にのしかかってくる男に暴れて抵抗もよし、逃げるもよし・・・。
しかし彼女は――――

自分から行ったあああああ!!(ガッツポーズ
見ての通り、キスをしたのは明らかに主人公から。
つまり彼女は、捜査関係なしに、男との時間を愉しもうとした、と・・・!!
純情そうな女の子がこんなことになるなんて・・・・・・人間本能には抗えぬのかッッ
そして最後のページの赤面まで、色々ホットな作品でした(笑顔
「くるくる」と呼ばれるサイコキネシスを使える少女、ももと
もものいる場所を常に知れるストーカー超能力「GPS」を持つ主人公・阿部。
とても仲がよく、憎まれ口をたたき合う2人でしたが・・・
しかし彼らの超能力は、とある出来事をきっかけに失われてしまいます。
起承転結しっかりした読みやすい作りで、非常に気持ちのいい短編。
男の子ががんばるお話は、それだけで自分は好きなのです。
己を責めるあまり、ももと上手く接せなくなり、ももを避けるようになった阿部。
彼をひたすら待ち続けるも、それももう叶わないかもと諦めかけるもも・・・。
そんな虚しく冷えた関係が、ふっと溶けていく瞬間の爽快感!
最後は後味良くないとねってことで、本書のラストはそんなお話。
見開きの使い方も突飛だけどなんだか上手い!いい表情だなぁw
好きな女の子を守る、というのは、全男子共通の夢なのか。
だいぶ恥ずかしいですけどね。
以上そんな短編集。
今風ではないにしろ、読みやすく魅力的な絵の雰囲気。
そして独特の物語。王道を描いても、どこか捻くれた部分があるのが良いですね。
作品のジャンルも偏りがなく、短編集としても秀逸かと。
いい買い物したと思います。
平常運転のFellows!連載と合わせて、2巻を楽しみに待つとしますか。
『野ばら』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
高田築さんの初単行本。不思議と何度も読みたくなる、魅力的な作品が詰まってます。
![]() | 野ばら 1巻 (ビームコミックス) (2010/08/11) 高田 築 商品詳細を見る |
しょむたん おはよう
Fellows!連載中、高田築さんの「野ばら」1巻が発売されました。
分かりにくいかも知れませんが「野ばら」とは短編シリーズです。
巻数が打たれていますが2巻以降も短編集になると思いますので、そこは注意、かも。
第1巻は8作の短編を収録。今回はうち4作について。
今のところ代表作と言っていいのでは。しょむたん
短編集中全3作がこのしょむたんシリーズで、そのどれもがとても微笑ましいw
まずしょむたんがいい。

なんだこれかわいい……。
作中では特別な説明はなされず、ただ非常に珍しい動物、としか知らされないしょむたん。
番組中によそ見をしたり、なんだかよく分からないイラストを紙に書いてみせてきたり
ドアの隙間からむりやり体を押し込んで部屋に侵入してきたりw
人をおちょくってみせるシーンが多いのですが、それも可愛すぎるw
なんだかよく分からないけど頑張ってるしょむたんにほんわかほんわか・・・。
しょむたんってキャラクターのインパクトが強烈なのですが
もちろんそれだけではなく、物語それ自体もとても魅力あるものです。
そんなしょむたんと一緒に教育番組を担当することになった主人公。
本当は報道をやりたい・・・けれど、「踏み台」として任されたこの仕事。
大した人気もない、もうすぐ打ち切りの、しょーもない番組。
うまく言葉にできない、けれど確実に在る不思議な違和感は降り積もり、
やがて彼女はちょっとした行動に・・・。
しょむたんというキャラクターの濃さに流されがちかもしれませんが
結構シビアな社会を描いていて、ところどころ刺があるのも良かった。
夢も希望もない番組制作現場の様子。ちょっと冷めてる主人公の恋愛。
しょむたんが登場している間のコメディチックな雰囲気もいいですが
ちょっとネガティブというか、ダウナーなムードが色濃く描写されます。
だからこそラストの流れにある、人間たちのちょっとしたの「反撃」に思わずニヤリとしてしまうのです。
本当に些細な、ステキな出来事。
道端に綺麗な花を見つけたような、ちょっと嬉しいあの感覚。
そういうのを味わえるのも、漫画の良いところかな。

なんだかんだでいいコンビ。また続編を描いて欲しいシリーズです。
どうでもいいけど、しょむたんがプレイしてたゲーム・・・「キミプラス」。
明らかにキミキスの菜々ちゃんとゲーム画面でちゅっちゅしてるしょむたんにShit.
そのゲームやらせてください。
しょむたんシリーズで散々和ませといてこっちを見てる
ここでまさかの急降下、ガチホラー作品。
雑誌で読んだ時もあまりの前号までとの違いにビビったものですが
単行本になるとより一層、色んな意味で目立ってる作品になってるなぁと。
高田築さんの描く作品の幅広さを象徴する意味でも、特別な作品。
生首。
どんな時間にも、どんな場所にもふいに現れる生首。
それと目が合うとその人は正気ではなくなり、すぐに自殺をしてしまう。
社会問題にもなったこの事件は、主人公の家庭も滅茶苦茶に・・・。

もー酷い漫画ですよこれ。この流れで読んだらどんな人でもドン引きです。
なのにすっごい面白い。
人間がポンポン死んでいく。命の重さなんてもうかーるいかるい。
理由もなければ綺麗なオチもない、まさに不条理。
「生首」のデザインも最低です。なんてことない、本当に「生首」。
見開いた目が、ただじっとこちらを見つめてくる・・・。
シンプルかつ本能的な、「見られる」恐怖。揺さぶられるなぁ、心を。
けれどもそんな中で必死に運命に抗おうとする主人公がまた気持ちいいのです。
やはりこの作品は、ありふれてはいるけど「人間」を描いているなぁと。
あっさり人が死んでいって、嫌らしいほどドラマ性が無し。
この軽さと唐突さで恐怖も更に……狙いすましてるなぁ。
加えて死は軽いのに、死の痛みは脳がしびれるほど伝わってくるという・・・(母の絶叫)。
まぁとにかく、そういう漫画です。
そもそも俺はホラーが苦手で・・・しかしこれ面白いんだよな・・・・・・ああヤダヤダ。
オマケのボーナスショットも、なんだか後味悪くて意味深。
お待たせしました紳士の皆様。お次はエロスがメインのSFモノ。秘密のジュンジュン
被疑者と直接接触して犯人特定を急ぐという潜入捜査。
主人公はやってきた被疑者(男)の部屋に、彼の友人がサプライズで来させたメイドサービスを偽って新入。なんか流れでお掃除だのなんだのすることに。
特定の条件は左手の傷、肩の刺青、背中の傷、そして特徴的な舌。
主人公は1つずつそれを確認していきますが、しかしどれもシロ。
最後に残ったのは「舌」の条件、さてどうする・・・?
まぁ女の子が脱いだり脱がせられたりでキャッホイなお話なわけですが
最大のエロスはそこではなくてですね!「彼女の意思」にあるのですよ!
無理矢理に押し倒されてるうちに、彼が「舌」の条件にヒットすることが判明するのです。
が、ヒットしてから逮捕までには僅かなラグがあります。
主人公に逮捕権力は無いので、外部組織を呼んで彼らが到着次第その場で逮捕、となるためです。
そう、彼女の捜査はもう終了したのです。あとはもう自由なのです。
自分にのしかかってくる男に暴れて抵抗もよし、逃げるもよし・・・。
しかし彼女は――――

自分から行ったあああああ!!(ガッツポーズ
見ての通り、キスをしたのは明らかに主人公から。
つまり彼女は、捜査関係なしに、男との時間を愉しもうとした、と・・・!!
純情そうな女の子がこんなことになるなんて・・・・・・人間本能には抗えぬのかッッ
そして最後のページの赤面まで、色々ホットな作品でした(笑顔
直球・青春モノ。くるくるとGPS
「くるくる」と呼ばれるサイコキネシスを使える少女、ももと
もものいる場所を常に知れる
とても仲がよく、憎まれ口をたたき合う2人でしたが・・・
しかし彼らの超能力は、とある出来事をきっかけに失われてしまいます。
起承転結しっかりした読みやすい作りで、非常に気持ちのいい短編。
男の子ががんばるお話は、それだけで自分は好きなのです。
己を責めるあまり、ももと上手く接せなくなり、ももを避けるようになった阿部。
彼をひたすら待ち続けるも、それももう叶わないかもと諦めかけるもも・・・。
そんな虚しく冷えた関係が、ふっと溶けていく瞬間の爽快感!
最後は後味良くないとねってことで、本書のラストはそんなお話。
見開きの使い方も突飛だけどなんだか上手い!いい表情だなぁw
好きな女の子を守る、というのは、全男子共通の夢なのか。
だいぶ恥ずかしいですけどね。
以上そんな短編集。
今風ではないにしろ、読みやすく魅力的な絵の雰囲気。
そして独特の物語。王道を描いても、どこか捻くれた部分があるのが良いですね。
作品のジャンルも偏りがなく、短編集としても秀逸かと。
いい買い物したと思います。
平常運転のFellows!連載と合わせて、2巻を楽しみに待つとしますか。
『野ばら』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
高田築さんの初単行本。不思議と何度も読みたくなる、魅力的な作品が詰まってます。
[本]笑顔が素敵なヒロインズ。あなたに恋したあの季節。 『夏のかけら』
記事のタイトル、ムダに韻を踏んでる感じが我ながら恥ずかしいですね・・・埋まりたい。
夏のかけら
思い出すのは あの日の空
天乃忍さんの短編集「夏のかけら」。
時期を合わせてみたかったのですが、少しズレたかな・・・まぁいいや。
連載作「片恋トライアングル」が大好きな自分ですが、そもそも偶然に手にしたLaLa増刊で「恋のかけら」を読んで天乃さんを知ったことがきっかけだったわけで・・・!そういう意味で自分にはたまらない1冊なのです。
この短編集は天乃さんが過去に執筆した読みきりを5作収録。
どれもこれもが素晴らしく胸がキュンとなる作品ですので、さくっと全部に触れてみます。
夏休み×田舎で強力に郷愁感を誘いつつ、加えて病弱モノ要素を混ぜ込んで
さぁ来い!そして泣け!とやる気マンマンの臨戦態勢。
それだけならどこか引いて読んでしまうのですが、天乃さんの可愛らしい絵も安定しており
文句なしに魅力的かつムダのないストーリー展開にも唸らされる秀作なのです。
意地悪なくらい切ない、王道の恋愛漫画となっています。
ストーリーは分かりやすいです。
夏休み、祖父を見舞いもかねてとある田舎町にやってきた美雪。
祖父の入院先で偶然知り合った少年・円と仲良くなっていくが
彼は重い病を患っており、もはや長い人生を望むことは不可能とも言われてた、
恋心が深まるたび、どうしようもない現実が美雪を苛める・・・。
いわゆる「お約束」をしっかり踏まえた設定をしています。
出会ってからすこしずつ関係を深めていく2人の様子はとても微笑ましい。
けれど美雪の中の円がどんどんと大きくなってき、彼女がそれを意識するたびに
ずっと一緒には居られないんだ、という事実が恋にブレーキをかけようとする。
けれど止められるわけもがなくて、どんどん膨れ上がる感情に戸惑う美雪の姿がかわいくもあるし、キュッと痛みを感じるくらい、切ない。
飄々としている円も円で、ふと弱い部分がムキ出しになってしまってもすぐそれを取り繕ってしまうのも、なんだか痛い。
もっと甘えてしまえばいいのにと思うけれど、多分彼はそうできないんだろうなぁ。
何かを遺してしまえば、自分が居なくなったあと、大事な人が苦しんでしまうだろうから。
そういう2人だからこそ、この物語はとても愛しいものなのです・・・!
そして物語は佳境へ。
叶わない恋だと薄々分かってるのにそれでもお互い僅かな一歩を踏み出した瞬間、つまりはあの風に吹かれたカーテンで隠れたキスシーンは、それはもう飛び上がるほど胸がときめいてニヤニヤしましたが、それを上回るほどのセンチメンタルがLOVEずっきゅん。なんと美しい、儚いキスでしょうか・・・・・・2人とも、これで何かを悟ってしまったんじゃないかなぁ・・・終わりだって。
そして予想通り、ラストシーンでは俺は泣きましたとさ。ちゃんちゃん(´;ω;`)

何も残さないように、未練も後悔もないように生きようとした円。
けれど美雪と出会って、ほんの少しの夢を見てしまった。
一緒に居たい人が、出来てしまった。
大事な大事な、あの夏の、一瞬の思い出。
夏のかけら。
予想以上に長くなってしまいましたが、もう大好きなお話です、これ。
一度読んだらもうこの単行本の表紙を見るだけで胸がいっぱいになります。
こんな綺麗な光景、そう見れるものじゃありません。
これは次の「恋のかけら」とリンクした構成をしており、合わせて読むとより楽しめます。
1つの恋が実れば、それによって人知れず散る恋もまた存在する。
そしてこちらは失恋サイド・・・、といってもあまり重苦しい感じではないのが救いか・・・?
遠野くんはもちろん本気で紺野さんのことを好きだけど、
最初から諦観してるというか、常に切なさを匂わせてくる男の子。
紺野さんには好きな人がいて、それは自分じゃないと分かっていて、でも好きなんです。
主人公の菊池はそんな彼を見守る友人という立ち居地。
失恋ありきのストーリー展開なので、結構辛いです。
作中でたっぷり遠野君の恋してる様子を見せつけておいて、ですから。
けれども、遠野君はカッコいいんだよなぁ。
好きな女の子のために、彼女の恋が実るように行動する。
そりゃ悔しいだろうし、悲しいだろう・・・・・・けれど好きな人には、笑っていて欲しいんだ。
そして彼女のために、彼は自ら失恋したのです。まじ心までイケメン野郎。
そんな彼の姿を見て泣いてしまう菊池さんも、また切ないうえにかわいいのです世・・・。
ジレンマだな・・・幸せになって欲しいけれど、それを叶えられるのは、自分ではない。
そういうモジモジしてきそうな関係が、この作品の魅力です。
タイトルにある「雪」も結構重要な要素として描かれており、季節感も良い感じ。
降り積もるだけで何も残らず、いつしか解けていく・・・・・・上手い表現だなぁと。

そしてコレである。
天乃先生の描く女の子の笑顔は至高です!
3作目にしてようやく最初から最後までほんわかできる恋愛漫画です・・・ふぅ。
しかしこの裏側(雪のかけら)を思うと、これもなんだか切なくなってきてしまう。
まぁ現実にも、感知できない別の物語はどこにだってあるだろうし、そういうものか。
さて、ころころぽてぽての紺野さんがとてもかわいいわけですが
自分はなにより彼女の笑顔がたまらないのです!
本当にやわらかい、ふわっとした笑顔。
終盤の涙を浮かべながらのそれの破壊力はかなりのもので、陥落は当然と言えます(キリッ
(クリック拡大)
雪を桜の花びらに見立てるのが面白いなぁと。
相手の近藤先輩はもう3年で、次の春で卒業です。そして春と言えば桜。
つまり、紺野さんを追いかけて自分の想いを伝えた近藤先輩は
ある意味ではこの瞬間に自分の殻を破った、過去の自分を卒業した、みたいな読み方も。
ちょっと無理矢理な感じはしますが、自分はこれでまたしてもニヤリ。
作家である父の生み出した童話の世界に入ってしまった主人公・日向。
彼女のミスで散らばってしまった、父の遺作を集めにいくお話です。
不思議な童話世界を歩いて回る様子は、ちょっとワクワクしてきますね。
それを通して様々な記憶・感情を取り戻していくのもナイス。
作中ほとんど笑わなかった日向ですが、最後はにっこり微笑んでくれましたし
素直にほっと一息つけて笑顔になれる短編になっているんじゃないかなと。
恋愛漫画だけでなく、こういう作品もあるのが良いですね。
恋愛に憧れる主人公・かのこが偶然電車内で出会ったのは、無愛想な少年。
積極的に仕掛けていく彼女ですが、その少年・伊原は体がかなり悪いとのこと。
無愛想で捻くれものの彼は、かのこをこれっぽっちも相手にしません。
しかし何度も2人の時間を重ねるにつれ、そんな彼らにも互いに少しずつ・・・?
この短編集の中では一番古い作品ですが、それほど違和感はありません。
というか、主人公が前のめりでアホな生き方してるのがいいなとw
「そんなワケでちょっくら告白してくるわ!」と惚れたその翌日に言っちゃうかのこ。
でも伊原との時間の中で、彼女に明らかな変化が生まれるのです
キャーキャー騒ぐだけではなく、相手を想ってちょっと感傷的になったりとか。
恋に恋していた彼女が、本当の恋に落ちていくのがグッときますね・・・!!
そしてこの作品でも、笑顔というのが大事に描かれています。
最初はかのこのことを歯牙にもかけない伊原でしたが、

彼女の笑顔に目を引かれて、彼は初めてかのこと向き合います。
自分という人間に何度も傷つけられただろうに。遠ざけようとしたのに。
それでもいつものように笑いかけてくれた彼女。イイヨイイヨー。
ラストもとても綺麗で、うまくまとまっているなぁと。
舞い散るイチョウの葉も、なかなか味があって素敵です!
以上、そんな感じの一冊。
とても季節感を大切にしている短編集です。
それぞれの季節に合わせた雰囲気が出ているなぁと。特に「夏のかけら」の空は・・・。
そして何より、恋してる女の子男の子の表情が、とくに笑顔が、素晴らしい。
笑顔を持ってくるタイミングも、またよく出来てるというか・・・!
人の表情というのは、とても魅力的なものなんだと再確認です。
切ない恋愛が読みたい方にオススメできると思いますし
とても可愛らしい絵なので、男性もスルリと読める作者さんだと思います。
来て欲しい展開にスコーンとハマる、色々気持ちいい作品集でした!
『夏のかけら』 ・・・・・・・・・★★★★
天乃忍さんの魅力が詰まった一冊。いやはやこの笑顔はたまりませんな。

思い出すのは あの日の空
天乃忍さんの短編集「夏のかけら」。
時期を合わせてみたかったのですが、少しズレたかな・・・まぁいいや。
連載作「片恋トライアングル」が大好きな自分ですが、そもそも偶然に手にしたLaLa増刊で「恋のかけら」を読んで天乃さんを知ったことがきっかけだったわけで・・・!そういう意味で自分にはたまらない1冊なのです。
この短編集は天乃さんが過去に執筆した読みきりを5作収録。
どれもこれもが素晴らしく胸がキュンとなる作品ですので、さくっと全部に触れてみます。
表題作にして、ある意味、卑怯。夏のかけら
夏休み×田舎で強力に郷愁感を誘いつつ、加えて病弱モノ要素を混ぜ込んで
さぁ来い!そして泣け!とやる気マンマンの臨戦態勢。
それだけならどこか引いて読んでしまうのですが、天乃さんの可愛らしい絵も安定しており
文句なしに魅力的かつムダのないストーリー展開にも唸らされる秀作なのです。
意地悪なくらい切ない、王道の恋愛漫画となっています。
ストーリーは分かりやすいです。
夏休み、祖父を見舞いもかねてとある田舎町にやってきた美雪。
祖父の入院先で偶然知り合った少年・円と仲良くなっていくが
彼は重い病を患っており、もはや長い人生を望むことは不可能とも言われてた、
恋心が深まるたび、どうしようもない現実が美雪を苛める・・・。
いわゆる「お約束」をしっかり踏まえた設定をしています。
出会ってからすこしずつ関係を深めていく2人の様子はとても微笑ましい。
けれど美雪の中の円がどんどんと大きくなってき、彼女がそれを意識するたびに
ずっと一緒には居られないんだ、という事実が恋にブレーキをかけようとする。
けれど止められるわけもがなくて、どんどん膨れ上がる感情に戸惑う美雪の姿がかわいくもあるし、キュッと痛みを感じるくらい、切ない。
飄々としている円も円で、ふと弱い部分がムキ出しになってしまってもすぐそれを取り繕ってしまうのも、なんだか痛い。
もっと甘えてしまえばいいのにと思うけれど、多分彼はそうできないんだろうなぁ。
何かを遺してしまえば、自分が居なくなったあと、大事な人が苦しんでしまうだろうから。
そういう2人だからこそ、この物語はとても愛しいものなのです・・・!
そして物語は佳境へ。
叶わない恋だと薄々分かってるのにそれでもお互い僅かな一歩を踏み出した瞬間、つまりはあの風に吹かれたカーテンで隠れたキスシーンは、それはもう飛び上がるほど胸がときめいてニヤニヤしましたが、それを上回るほどのセンチメンタルがLOVEずっきゅん。なんと美しい、儚いキスでしょうか・・・・・・2人とも、これで何かを悟ってしまったんじゃないかなぁ・・・終わりだって。
そして予想通り、ラストシーンでは俺は泣きましたとさ。ちゃんちゃん(´;ω;`)

何も残さないように、未練も後悔もないように生きようとした円。
けれど美雪と出会って、ほんの少しの夢を見てしまった。
一緒に居たい人が、出来てしまった。
大事な大事な、あの夏の、一瞬の思い出。
夏のかけら。
予想以上に長くなってしまいましたが、もう大好きなお話です、これ。
一度読んだらもうこの単行本の表紙を見るだけで胸がいっぱいになります。
こんな綺麗な光景、そう見れるものじゃありません。
季節は変わって今度は冬。雪のかけら
これは次の「恋のかけら」とリンクした構成をしており、合わせて読むとより楽しめます。
1つの恋が実れば、それによって人知れず散る恋もまた存在する。
そしてこちらは失恋サイド・・・、といってもあまり重苦しい感じではないのが救いか・・・?
遠野くんはもちろん本気で紺野さんのことを好きだけど、
最初から諦観してるというか、常に切なさを匂わせてくる男の子。
紺野さんには好きな人がいて、それは自分じゃないと分かっていて、でも好きなんです。
主人公の菊池はそんな彼を見守る友人という立ち居地。
失恋ありきのストーリー展開なので、結構辛いです。
作中でたっぷり遠野君の恋してる様子を見せつけておいて、ですから。
けれども、遠野君はカッコいいんだよなぁ。
好きな女の子のために、彼女の恋が実るように行動する。
そりゃ悔しいだろうし、悲しいだろう・・・・・・けれど好きな人には、笑っていて欲しいんだ。
そして彼女のために、彼は自ら失恋したのです。まじ心までイケメン野郎。
そんな彼の姿を見て泣いてしまう菊池さんも、また切ないうえにかわいいのです世・・・。
ジレンマだな・・・幸せになって欲しいけれど、それを叶えられるのは、自分ではない。
そういうモジモジしてきそうな関係が、この作品の魅力です。
タイトルにある「雪」も結構重要な要素として描かれており、季節感も良い感じ。
降り積もるだけで何も残らず、いつしか解けていく・・・・・・上手い表現だなぁと。

そしてコレである。
天乃先生の描く女の子の笑顔は至高です!
「雪のかけら」のアナザーサイド。今野さん主役。恋のかけら
3作目にしてようやく最初から最後までほんわかできる恋愛漫画です・・・ふぅ。
しかしこの裏側(雪のかけら)を思うと、これもなんだか切なくなってきてしまう。
まぁ現実にも、感知できない別の物語はどこにだってあるだろうし、そういうものか。
さて、ころころぽてぽての紺野さんがとてもかわいいわけですが
自分はなにより彼女の笑顔がたまらないのです!
本当にやわらかい、ふわっとした笑顔。
終盤の涙を浮かべながらのそれの破壊力はかなりのもので、陥落は当然と言えます(キリッ

雪を桜の花びらに見立てるのが面白いなぁと。
相手の近藤先輩はもう3年で、次の春で卒業です。そして春と言えば桜。
つまり、紺野さんを追いかけて自分の想いを伝えた近藤先輩は
ある意味ではこの瞬間に自分の殻を破った、過去の自分を卒業した、みたいな読み方も。
ちょっと無理矢理な感じはしますが、自分はこれでまたしてもニヤリ。
冬に続いては春。春待ち草子
作家である父の生み出した童話の世界に入ってしまった主人公・日向。
彼女のミスで散らばってしまった、父の遺作を集めにいくお話です。
不思議な童話世界を歩いて回る様子は、ちょっとワクワクしてきますね。
それを通して様々な記憶・感情を取り戻していくのもナイス。
作中ほとんど笑わなかった日向ですが、最後はにっこり微笑んでくれましたし
素直にほっと一息つけて笑顔になれる短編になっているんじゃないかなと。
恋愛漫画だけでなく、こういう作品もあるのが良いですね。
ここで秋登場、四季コンプリート。秋色 君色
恋愛に憧れる主人公・かのこが偶然電車内で出会ったのは、無愛想な少年。
積極的に仕掛けていく彼女ですが、その少年・伊原は体がかなり悪いとのこと。
無愛想で捻くれものの彼は、かのこをこれっぽっちも相手にしません。
しかし何度も2人の時間を重ねるにつれ、そんな彼らにも互いに少しずつ・・・?
この短編集の中では一番古い作品ですが、それほど違和感はありません。
というか、主人公が前のめりでアホな生き方してるのがいいなとw
「そんなワケでちょっくら告白してくるわ!」と惚れたその翌日に言っちゃうかのこ。
でも伊原との時間の中で、彼女に明らかな変化が生まれるのです
キャーキャー騒ぐだけではなく、相手を想ってちょっと感傷的になったりとか。
恋に恋していた彼女が、本当の恋に落ちていくのがグッときますね・・・!!
そしてこの作品でも、笑顔というのが大事に描かれています。
最初はかのこのことを歯牙にもかけない伊原でしたが、

彼女の笑顔に目を引かれて、彼は初めてかのこと向き合います。
自分という人間に何度も傷つけられただろうに。遠ざけようとしたのに。
それでもいつものように笑いかけてくれた彼女。イイヨイイヨー。
ラストもとても綺麗で、うまくまとまっているなぁと。
舞い散るイチョウの葉も、なかなか味があって素敵です!
以上、そんな感じの一冊。
とても季節感を大切にしている短編集です。
それぞれの季節に合わせた雰囲気が出ているなぁと。特に「夏のかけら」の空は・・・。
そして何より、恋してる女の子男の子の表情が、とくに笑顔が、素晴らしい。
笑顔を持ってくるタイミングも、またよく出来てるというか・・・!
人の表情というのは、とても魅力的なものなんだと再確認です。
切ない恋愛が読みたい方にオススメできると思いますし
とても可愛らしい絵なので、男性もスルリと読める作者さんだと思います。
来て欲しい展開にスコーンとハマる、色々気持ちいい作品集でした!
『夏のかけら』 ・・・・・・・・・★★★★
天乃忍さんの魅力が詰まった一冊。いやはやこの笑顔はたまりませんな。
[本]左と右の間 地上と空の間 昨日と明日の間 夢と現実の間 『虹ヶ原ホログラフ』
前回の記事との落差がちょっと酷いですな。
今なら僕は 世界を終わらせることだってできるんだ。
はっきりさせない漫画は、自分はあまり好きではありません。
夢オチとか、なんだかはぐらかされた様に、逃げられた様に感じてしまいます。
さてしかし困ったことに、この作品は非常に魅力的なのです。
最後の最後まで、夢とか妄想とか虚像とか、そんなのばかりなのに。
けどこの感情を何かにぶつけたい。その一心。公開オ○ニーもいいとこだ。
この文章打ってる今も、自分が何を書こうとしているのか分かりません。
まぁそんなわけでな酷い漫画に釣られて、俺も酷いテンションで感想書くとします。
この作品の読者を喰らう力は、相当なものです。
まぁ簡単に言っちゃうと、胸糞悪いお話です。
幸福も希望もない、人間のイヤなところしか描いてないような作品。
加えてストーリー自体の読みにくさったらもう無い。
難解、というか意地悪にストーリーを分かりづらくさせているような印象。
時系列も未完のパズルのようなシャッフル感。夢と妄想が入り乱れて真実を覆い隠す。
憤懣と絶望しかない子供たちの世界も凄まじい。
なんて深く暗い世界観だろう。いろんな要素を凄い密度で描いてる。
いろいろ書きたいことあるけど、絞って書かないと記事終われないです…。
表紙にも本編にも、とにかく蝶が飛んで飛び交って飛び散って飛びまくる。
ひたすらに死を匂わせながら。
本来はなんとなく幸せなものの象徴のように描かれる蝶なのに
ここまで黒い感情で読まされることになろうとは…。
醜いもの、絶望するもの、欲望を潜ませるもの…いつも周りには蝶が飛ぶ。
加えて人の死に群がるような様子を見ると、嫌悪感しか感じられない。
けれど、思い出してみたい。
「死」という不吉なイメージを漂わせて、ページ中飛び交い続ける蝶だが

「綺麗過ぎです。」
美しいのだ。
人間は意味も分からずその美しさに魅かれ、つい見つめてしまう。
愚かにも、と付け加えてもいいかもしれない。
心の底にある、全ての死への憧れのような、破滅願望の表れか。
それとも、もっと素直な美的嗜好と捉えるべきか。
それにしたって、死を魅力を感じていることには、間違いないのだけれど。
読者視点で読むから分かるだけで、登場キャラ本人にその気は全くないのが、また。
しかし、というか、だからこそ。
(クリック拡大)
綺麗だとこぼした女が、ラストで蝶を握りつぶしたのが印象的。
彼女の胸にあるのは希望だろうか、諦めだろうか。
前者だと思った人は残念。2ページ後にはそれを否定されるから、ガッカリするといい。
しかしこれは明らかな「選択」だ。何かを知って掴んだエンディングだ。
――――「君はもう 一生ここから出られないのに。」
そう女は告げる。
最後まで嫌なメッセージを叩きつけてくる漫画だなぁ。
逃げ場所もないこの世界で、人間はどう生きればいいのだろうか。
(上の女は、最終的には物語から脱出できているようにも思うが…)
加えて最強はこの言葉。
゛いつまでもお前の寝たふりが通用すると思うなよ"
絶望と向き合え。
強い意志を持て。
世界は永遠に終わらない。
いつまで見ないフリを続けるつもりだ。
嘘だ夢だ妄想だとごまかして、逃げんなよ。
ある意味僅かなメタフィクション的含みを持たせて、物語は幕を閉じる。
同時に醜い現実を突き付けて。
けれど一連のメッセージを受け取ってから、最後のページでひらめく蝶を見ると
「死」以外のイメージが、かすかに訪れるような気がする。
死を超越した、神の存在。
救いもせず見守るだけの、嫌な神様ですが。
そういえば。各話のインタールードで一羽でひらひら舞っていた1羽の蝶が
271ページでは2羽になっております。蝶=有江という証明か。
ここで終わってくれればよかったのに、エピローグであんなことになったから困るんだよなぁ。
結局は同じ男をぐるぐると巡り続けているだけのように思う。
老齢になった自分から、ただ涙を流すだけの、幼き日の自分へ。
この物語の主人公の一人である鈴木君ですが、彼に限って言えば
彼の物語は、完全なる自己完結の世界でのお話でしかないということになる。
けれど、作中唯一と言ってもいい、希望をイメージさせるモチーフであるこの箱。
結局それを開けるシーンは一度も無かったけれど、
「一度だけ魔法を使える」というこの箱は
やはりこの最低な世界を抜け出す、たっ一つの道のようにも思う。
本当に魔法があるかはわからないけれど、その自己暗示で開ける道があるのかも。
けれど11話でのあの見開きが、箱を開けたということを意味するのなら。
結局この話は、終わりのないループだってことなんだろう。
ラストで、鈴木少年に鈴木じいさんが箱を渡す。
「箱を開けるかどうかは君の自由だ」
そしてこう続く。
「強い意志を持ちなさい。君の人生の行き先は、君が決めていいんだよ。」
この作品、各所でちょこちょこと「意思」というワードが入ってきます。
みんな口をそろえて「強い意志」を持て、と主人公に言っています。
けれど、最後まで読む面白いんだなぁこれが。
この作品における「強い意志」とは、必ずしも生を肯定するものではないのだ。
次の鈴木少年は、なにか世界を変えられるだろうか。
きっと、無理だ。
右翼と左翼、2つの蝶のペンダントが漫画にはたびたび登場し
それぞれが本当に様々なルートを辿っていきます。
2つの移動ルートを考察していくだけでも長い記事ができそうなくらいw
けれど巡り巡って、両翼はついに巡りあう。

ここが、この作品を締めくくるのにベストなタイミングだったと個人的には思います。
けれどこの先にエピローグへと続く。
さらなる混乱と絶望を呼ぶ、救いのないエピローグが。
しかしそのエピローグにも、また面白い仕掛けがあるのですね。

右のコマに注目。
本当にさらりと描かれているのが、完成系の蝶のペンダント。
作中で完成系のペンダントが登場するのはこのシーンだけです。
それを胸に下げているのは……なんてのは、読んできた人ならすぐ分かったであろう人物。
なーるほど、なんて軽く言えるものではないのですが
さらりと答えをここで出してくれているのです。
全てのルーツと言っても存在が、ついにここで明かされるのですね。
この狂った世界を作り上げたと言ってもいいその存在。
もちろん、これで全てを解決できたというわけでは決してないのですが
というか不可解な謎を残したままなのですが
それでも、本書で唯一と言っていいほど、爽快なシーンでした。
結論から言って、面白い漫画であるとは思えません。
ただ、ひたすら心に、薄く覆いかぶさるような不快感や、絶望や、その他もろもろのできれば味わいたくない沢山のリアルな感情が、べったり張り付いて取れなくなってしまう。
読んでいて本当に精神がやられてきそうな圧迫感、消失感、閉塞感。
これだけ嫌な読後感は、そうそう味わえるものではありません。
受け入れられるかは読者側の問題。
浅野いにおという漫画家の真髄を見たような感じ。
ダメな人は読みだして3分もせずに「勘弁してくれ」と投げ出すでしょう。
それだけ唯一無二の精神世界を紡いだ力作であると言えます。
ちょっと長くなってしまいましたが結論。
傑作。
これだけ濃密な作品を味わえるのは、幸せなことではないだろうか。
浅野いにおという作家が、漫画界に残した大きな傷痕だと思う。
もちろん、いい意味でだ。
『虹ヶ原ホログラフ』 ………★★★★
ホラーサスペンス×哲学。カッコつけて言うとキッチュな魅力のある作品。
呑みんでも呑みこまれても、危険です。メンタル弱い人には絶対お薦めできません。
読んでいる間、RADWIMPSのバグッバイが脳内で鳴っていたので
やや無理矢理感漂いますが、記事タイトルに歌詞を引用しました。
![]() | 虹ヶ原 ホログラフ (2006/07/26) 浅野 いにお 商品詳細を見る |
今なら僕は 世界を終わらせることだってできるんだ。
はっきりさせない漫画は、自分はあまり好きではありません。
夢オチとか、なんだかはぐらかされた様に、逃げられた様に感じてしまいます。
さてしかし困ったことに、この作品は非常に魅力的なのです。
最後の最後まで、夢とか妄想とか虚像とか、そんなのばかりなのに。
けどこの感情を何かにぶつけたい。その一心。公開オ○ニーもいいとこだ。
この文章打ってる今も、自分が何を書こうとしているのか分かりません。
まぁそんなわけでな酷い漫画に釣られて、俺も酷いテンションで感想書くとします。
この作品の読者を喰らう力は、相当なものです。
まぁ簡単に言っちゃうと、胸糞悪いお話です。
幸福も希望もない、人間のイヤなところしか描いてないような作品。
加えてストーリー自体の読みにくさったらもう無い。
難解、というか意地悪にストーリーを分かりづらくさせているような印象。
時系列も未完のパズルのようなシャッフル感。夢と妄想が入り乱れて真実を覆い隠す。
憤懣と絶望しかない子供たちの世界も凄まじい。
なんて深く暗い世界観だろう。いろんな要素を凄い密度で描いてる。
いろいろ書きたいことあるけど、絞って書かないと記事終われないです…。
とにかくこの作品の核は、蝶。蝶
表紙にも本編にも、とにかく蝶が飛んで飛び交って飛び散って飛びまくる。
ひたすらに死を匂わせながら。
本来はなんとなく幸せなものの象徴のように描かれる蝶なのに
ここまで黒い感情で読まされることになろうとは…。
醜いもの、絶望するもの、欲望を潜ませるもの…いつも周りには蝶が飛ぶ。
加えて人の死に群がるような様子を見ると、嫌悪感しか感じられない。
けれど、思い出してみたい。
「死」という不吉なイメージを漂わせて、ページ中飛び交い続ける蝶だが

「綺麗過ぎです。」
美しいのだ。
人間は意味も分からずその美しさに魅かれ、つい見つめてしまう。
愚かにも、と付け加えてもいいかもしれない。
心の底にある、全ての死への憧れのような、破滅願望の表れか。
それとも、もっと素直な美的嗜好と捉えるべきか。
それにしたって、死を魅力を感じていることには、間違いないのだけれど。
読者視点で読むから分かるだけで、登場キャラ本人にその気は全くないのが、また。
しかし、というか、だからこそ。

綺麗だとこぼした女が、ラストで蝶を握りつぶしたのが印象的。
彼女の胸にあるのは希望だろうか、諦めだろうか。
前者だと思った人は残念。2ページ後にはそれを否定されるから、ガッカリするといい。
しかしこれは明らかな「選択」だ。何かを知って掴んだエンディングだ。
――――「君はもう 一生ここから出られないのに。」
そう女は告げる。
最後まで嫌なメッセージを叩きつけてくる漫画だなぁ。
逃げ場所もないこの世界で、人間はどう生きればいいのだろうか。
(上の女は、最終的には物語から脱出できているようにも思うが…)
加えて最強はこの言葉。
゛いつまでもお前の寝たふりが通用すると思うなよ"
絶望と向き合え。
強い意志を持て。
世界は永遠に終わらない。
いつまで見ないフリを続けるつもりだ。
嘘だ夢だ妄想だとごまかして、逃げんなよ。
ある意味僅かなメタフィクション的含みを持たせて、物語は幕を閉じる。
同時に醜い現実を突き付けて。
けれど一連のメッセージを受け取ってから、最後のページでひらめく蝶を見ると
「死」以外のイメージが、かすかに訪れるような気がする。
死を超越した、神の存在。
救いもせず見守るだけの、嫌な神様ですが。
そういえば。各話のインタールードで一羽でひらひら舞っていた1羽の蝶が
271ページでは2羽になっております。蝶=有江という証明か。
ここで終わってくれればよかったのに、エピローグであんなことになったから困るんだよなぁ。
鈴木が持っていた、魔法を閉じ込めた秘密の箱。魔法の箱
結局は同じ男をぐるぐると巡り続けているだけのように思う。
老齢になった自分から、ただ涙を流すだけの、幼き日の自分へ。
この物語の主人公の一人である鈴木君ですが、彼に限って言えば
彼の物語は、完全なる自己完結の世界でのお話でしかないということになる。
けれど、作中唯一と言ってもいい、希望をイメージさせるモチーフであるこの箱。
結局それを開けるシーンは一度も無かったけれど、
「一度だけ魔法を使える」というこの箱は
やはりこの最低な世界を抜け出す、たっ一つの道のようにも思う。
本当に魔法があるかはわからないけれど、その自己暗示で開ける道があるのかも。
けれど11話でのあの見開きが、箱を開けたということを意味するのなら。
結局この話は、終わりのないループだってことなんだろう。
ラストで、鈴木少年に鈴木じいさんが箱を渡す。
「箱を開けるかどうかは君の自由だ」
そしてこう続く。
「強い意志を持ちなさい。君の人生の行き先は、君が決めていいんだよ。」
この作品、各所でちょこちょこと「意思」というワードが入ってきます。
みんな口をそろえて「強い意志」を持て、と主人公に言っています。
けれど、最後まで読む面白いんだなぁこれが。
この作品における「強い意志」とは、必ずしも生を肯定するものではないのだ。
次の鈴木少年は、なにか世界を変えられるだろうか。
きっと、無理だ。
あと重要な要素として、蝶のペンダントってのがありますね。ペンダント
右翼と左翼、2つの蝶のペンダントが漫画にはたびたび登場し
それぞれが本当に様々なルートを辿っていきます。
2つの移動ルートを考察していくだけでも長い記事ができそうなくらいw
けれど巡り巡って、両翼はついに巡りあう。

ここが、この作品を締めくくるのにベストなタイミングだったと個人的には思います。
けれどこの先にエピローグへと続く。
さらなる混乱と絶望を呼ぶ、救いのないエピローグが。
しかしそのエピローグにも、また面白い仕掛けがあるのですね。

右のコマに注目。
本当にさらりと描かれているのが、完成系の蝶のペンダント。
作中で完成系のペンダントが登場するのはこのシーンだけです。
それを胸に下げているのは……なんてのは、読んできた人ならすぐ分かったであろう人物。
なーるほど、なんて軽く言えるものではないのですが
さらりと答えをここで出してくれているのです。
全てのルーツと言っても存在が、ついにここで明かされるのですね。
この狂った世界を作り上げたと言ってもいいその存在。
もちろん、これで全てを解決できたというわけでは決してないのですが
というか不可解な謎を残したままなのですが
それでも、本書で唯一と言っていいほど、爽快なシーンでした。
結論から言って、面白い漫画であるとは思えません。
ただ、ひたすら心に、薄く覆いかぶさるような不快感や、絶望や、その他もろもろのできれば味わいたくない沢山のリアルな感情が、べったり張り付いて取れなくなってしまう。
読んでいて本当に精神がやられてきそうな圧迫感、消失感、閉塞感。
これだけ嫌な読後感は、そうそう味わえるものではありません。
受け入れられるかは読者側の問題。
浅野いにおという漫画家の真髄を見たような感じ。
ダメな人は読みだして3分もせずに「勘弁してくれ」と投げ出すでしょう。
それだけ唯一無二の精神世界を紡いだ力作であると言えます。
ちょっと長くなってしまいましたが結論。
傑作。
これだけ濃密な作品を味わえるのは、幸せなことではないだろうか。
浅野いにおという作家が、漫画界に残した大きな傷痕だと思う。
もちろん、いい意味でだ。
『虹ヶ原ホログラフ』 ………★★★★
ホラーサスペンス×哲学。カッコつけて言うとキッチュな魅力のある作品。
呑みんでも呑みこまれても、危険です。メンタル弱い人には絶対お薦めできません。
読んでいる間、RADWIMPSのバグッバイが脳内で鳴っていたので
やや無理矢理感漂いますが、記事タイトルに歌詞を引用しました。
[本]少女の毒素 『2週間のアバンチュール』
![]() | 2週間のアバンチュール (Fx COMICS) (2008/04/24) 中村 明日美子 商品詳細を見る |
約束よ
黒く、美しい。
強烈な一冊でした。
正直言って読むのが少々辛い物語でしたが、胸にのこるものも大きかったです。
中村明日美子さんの短編集。彼女の単行本を買うのは初めてです。
少女の持つ純粋さと、不安と恋と、とびきり大きな悪意。2週間のアバンチュール
それぞれが濃密に絡み合って紡がれる物語は、とにかく黒い。
第一話では水泳の先生に、自分が気に食わない少女をレイプさせたり
2,3話では初潮を向かえ戸惑う少女の身体を、単なる興味で蹂躙していく。

そこでポイントなのが、どちらもやっているのは表紙の黒髪の女の子であること。
女性だからこその女性の傷つけ方が・・・またエグいというか・・・。

秘密の関係の中、また別の感情が生まれていきますが、それを完璧に踏みにじるラスト。
読んでて不快になりそうなギリギリのライン。
もうこのシリーズはずーっとこうもやもやした感じが広がる妖しげな作風で
表紙で広がる青空のような爽快な気分には、決してなれない作品です。
女の子ってなんなんだろう。
こういう作品を読んでると、ほんと、その興味が尽きません。神秘です。
やっぱり自分は女の子が好きです。
一転コミカルなショートショート。チーズトースト考
馬鹿馬鹿しい理論を組み立てていく伯爵にも笑えるし、オチも秀逸w
性転換モノ。ヒメコちゃん
セックス中心に物語が進んでいく32ページは、男と女の繊細な感情がたっぷり。
男として交わった過去と、女として交わる今がシンクロしていきます。
事後「気がすんだっつーかー・・・フツーだったな・・・」とこぼす菊池がなかなか面白いキャラで読ませられますねー。そして深みにハマる自分w
まぁ、男だの女だの、細かいこと気にせずに楽しめればいいんですよ。
それができずに苦しむ姿もまた、見てみたいものでもあるんですけども。
菊池は女を楽しんでいるみたいで、なによりです。
著者の別作品の番外編。こちらはBLモノ。彼の左目
男に集団レイプされるわ目は失うわでなかなかショッキングな過去を持つ男と、彼に惑わされていく医師。
幼い頃からの絆は、歪な形でいまだに残されている…。
これもなかなかエグい描写が光る秀作!
救いを求めていく男の姿とまた切ない・・・でもオチひでぇー!しかしそこがイイ!
これはただの自分語りではありますが・・・BLは円満ハッピーエンドじゃダメなんだ!
もっとこう・・・しがらみとか・・・もどかしさというか現実の厳しさというか・・・大事なものをたくさん失うことを承知した上での愛というか・・・そんな感じが好きなのです。思い通りにいかないんです。そこがいいんです。何を言ってるんでしょうか俺は。
ちなみに百合では完全円満至上主義をとります。
・・・まぁBLものをたくさん読むわけでは無いですが、これはグッとくるシチュというか、心理描写の流れが綺麗で読みやすかったですね。毒も十分。これは本編単行本も買ってみたいところ。
番外編「彼の左目」のまた番外編。Belgian waffle
これはまぁ、とくに語らず、最後の手紙にのみ注目していきたいところ。
一瞬混乱しましたが、これは・・・どう判断すればいいんだろう・・・
しかし自分は、ハッピーエンドであると認識しました。そうでなきゃ意味がない。
日々を生きる上での余韻がたっぷり含まれたラストだったと思います。
『2週間のアバンチュール』 ・・・・・・・・・★★★★
エグくエロい短編集。BL幼女ノーマルプレイどんとこい。毒に魅せられます。
[本]極妻だぁあ―――――ッッ 『野ばらの花嫁』

それだけでも、信じられるなら。
女子高生が極妻に!・・・という設定だけで買いの一択。
表紙の雰囲気が素敵なのもあり、迷わずに購入した本作。
内容もなかなかに面白いものがありました。
父親は失踪、母は一億の借金を娘に押し付けどっかに逃亡。
もはや薄汚れたおっさんに身体を売ってしか生きる道はないのか
と思いきやそこに颯爽と現る地味系眼鏡同級生、久世。
彼は日本を牛耳るとも言える超規模極道一家の跡取り息子だったのです。
そして主人公千鶴は一億円の肩代わりをしてもらう代わりに、極妻への道を強要されることに。

新婚さんだぁあ――――――――ッッ

極妻ロリっ娘だぁあ―――――――ッッ

まんざらでもないみたいだぁあ―――――ッッ
以上、内容紹介終わり。
ストーリー的にはかな~りベタなので、これでOKw
ただまぁ、横顔に若干の違和感があったり、表情の変化がちょいとあっさりしすぎてたり
台詞回しがクサかったりキャラにあってなかったり、千鶴の赤面が足りなかったり・・・
と、少し残念な点もあげればあるのですが、自分のように
女の子のかわいさ目的や雰囲気だけでも楽しめればいいよ派にはなんも問題なし!
作品的には、今後もっとオリジナリティある展開があれば、とは思いますがw
一枚絵は大好きなので、もし2巻が出るなら多分買っちゃいます。
もっと千鶴の赤面を・・・赤面を下さい!
『野ばらの花嫁』 ・・・・・・・・・★★★☆
かなりベタだけど雰囲気は◎。和服好き男子ならニヤリとできる一作。
でもほっぺにちゅぅくらいしてもいいだろー!
【2次元】女の子が後ろからおっぱい揉まれてる画像
やっぱ>>40でしょ。
中国発。2歳で体重が41、5㎏もある女の子の画像
ダイナマイトボディ。
姉「妹萌え・・・だと・・・」
誤解されがちだが、俺は姉も大好きです。妹とか眼中にない日もあります。
妹オンリーデイもあるけど。