[本]少女の毒素 『2週間のアバンチュール』
2週間のアバンチュール (Fx COMICS) (2008/04/24) 中村 明日美子 商品詳細を見る |
約束よ
黒く、美しい。
強烈な一冊でした。
正直言って読むのが少々辛い物語でしたが、胸にのこるものも大きかったです。
中村明日美子さんの短編集。彼女の単行本を買うのは初めてです。
少女の持つ純粋さと、不安と恋と、とびきり大きな悪意。2週間のアバンチュール
それぞれが濃密に絡み合って紡がれる物語は、とにかく黒い。
第一話では水泳の先生に、自分が気に食わない少女をレイプさせたり
2,3話では初潮を向かえ戸惑う少女の身体を、単なる興味で蹂躙していく。
そこでポイントなのが、どちらもやっているのは表紙の黒髪の女の子であること。
女性だからこその女性の傷つけ方が・・・またエグいというか・・・。
秘密の関係の中、また別の感情が生まれていきますが、それを完璧に踏みにじるラスト。
読んでて不快になりそうなギリギリのライン。
もうこのシリーズはずーっとこうもやもやした感じが広がる妖しげな作風で
表紙で広がる青空のような爽快な気分には、決してなれない作品です。
女の子ってなんなんだろう。
こういう作品を読んでると、ほんと、その興味が尽きません。神秘です。
やっぱり自分は女の子が好きです。
一転コミカルなショートショート。チーズトースト考
馬鹿馬鹿しい理論を組み立てていく伯爵にも笑えるし、オチも秀逸w
性転換モノ。ヒメコちゃん
セックス中心に物語が進んでいく32ページは、男と女の繊細な感情がたっぷり。
男として交わった過去と、女として交わる今がシンクロしていきます。
事後「気がすんだっつーかー・・・フツーだったな・・・」とこぼす菊池がなかなか面白いキャラで読ませられますねー。そして深みにハマる自分w
まぁ、男だの女だの、細かいこと気にせずに楽しめればいいんですよ。
それができずに苦しむ姿もまた、見てみたいものでもあるんですけども。
菊池は女を楽しんでいるみたいで、なによりです。
著者の別作品の番外編。こちらはBLモノ。彼の左目
男に集団レイプされるわ目は失うわでなかなかショッキングな過去を持つ男と、彼に惑わされていく医師。
幼い頃からの絆は、歪な形でいまだに残されている…。
これもなかなかエグい描写が光る秀作!
救いを求めていく男の姿とまた切ない・・・でもオチひでぇー!しかしそこがイイ!
これはただの自分語りではありますが・・・BLは円満ハッピーエンドじゃダメなんだ!
もっとこう・・・しがらみとか・・・もどかしさというか現実の厳しさというか・・・大事なものをたくさん失うことを承知した上での愛というか・・・そんな感じが好きなのです。思い通りにいかないんです。そこがいいんです。何を言ってるんでしょうか俺は。
ちなみに百合では完全円満至上主義をとります。
・・・まぁBLものをたくさん読むわけでは無いですが、これはグッとくるシチュというか、心理描写の流れが綺麗で読みやすかったですね。毒も十分。これは本編単行本も買ってみたいところ。
番外編「彼の左目」のまた番外編。Belgian waffle
これはまぁ、とくに語らず、最後の手紙にのみ注目していきたいところ。
一瞬混乱しましたが、これは・・・どう判断すればいいんだろう・・・
しかし自分は、ハッピーエンドであると認識しました。そうでなきゃ意味がない。
日々を生きる上での余韻がたっぷり含まれたラストだったと思います。
『2週間のアバンチュール』 ・・・・・・・・・★★★★
エグくエロい短編集。BL幼女ノーマルプレイどんとこい。毒に魅せられます。
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