[本]確信が創る道 『惑星のさみだれ』9巻
惑星のさみだれ 9 (ヤングキングコミックス) (2010/05/19) 水上 悟志 商品詳細を見る |
走れ 道は確信が創る
今この作品を取り上げないのはウソでしょう。
大好きな「惑星のさみだれ」9巻が先日発売されました。
アワーズで何度も何度も読み返してるのに、単行本で読んでもまだ面白いんです。
作者自身あまりの進行速度にビビっていたらしく、とにかくストーリーが早い!
某なんだと漫画だと10巻位かかりしそうな展開を一気に駆け抜けていきます。
(なんだと漫画も好きですよ。)
今回は表紙にも登場する双子、アニムスとアニマをメインに添えた展開。
9巻で彼らの戦いは終焉を迎えます。
んじゃここで彼らについてまとめていきますかー。
Animusとは女性が持つ男性像。Animaは男性が持つ女性像です。
この辺からも2人の対象的な関係性が示されていますね。
しかしこれらは人間が成長するにつれ、現実を受け入れ1つに同化するそうです。
またAnimusには「敵意」という意味も。調べると面白いことがポンポン出てきますね。
少年・アニムスは神に憧れた。
サイキックの能力で大量の人間を殺め、超能力に自らの存在理由を見つける。
双子の妹のアニマは、兄の超能力をルールでしばりつける。
それこそがこの物語のルーツ。騎士と従者、泥人形の大戦の始まり。
21世紀の現代にいたるまで、アニムスは勝負に勝ち地球を砕き続けた。
しかし、今回の戦いに限って彼は大きなミスをしてしまった。
さみだれの特異性を知らなかったこと。
まさか騎士側の人間に「地球を砕きたい」なんて考える馬鹿がいるなんて知らなかったし
事実彼は知らないまま(?)に勝負に負け、消えていきますが…
彼が地球破壊にかける思いが、あまりにも幼稚だったことが気になります。
さみだれと比べると、その弱さをはっきりと思い知りますね。
ただアニムスの思いは幼稚ではありますが、それと同時に、酷く痛切でもあります。
まぁさみだれの方も子供っぽい考えではありますけれど。
…そういえばアニムスは自分の能力が衰えているのを不思議がっていたけど
どうしてアニムスは弱体化していったんだろう。
(追・よく読めばすぐ分かることでした。こんなことも分からないとか俺やべぇww)
アニマに関して…はまだ10巻に続く部分(別れやら恋やら)があるので
今回はやめとこうかな。
彼女からすると、望んだはずの結果なのに、切ない終わり方をしてしまったなぁ。
ただアニムスには兄として妹を想う気持ちもあったはず。
それは5巻でアニマの様子を探るべくさみだれに接近した時に表れていたのかも。
2人は本当に幸せにはなれなかったのか。戻れなかったのか。
…無理だったろうなぁ…。
さみだれと夕日の過去に関しては、半年ほど前に記事を書いたのでそちらを
→http://omuraisu0317.blog.2nt.com/blog-entry-767.html
55話は読んでて痺れました。とにかくリンクしまくりなんだもの。
そういえば作中で出た21世紀中ごろには教科書に載るような、先祖…とは。
アニムス・アニマは朝比奈一家の遠い遠い未来の子孫です。
医学者→さみだれママ はほぼ当確。
物理学者→氷雨? 教科書に載るには早すぎ? 才女という設定だし、ありうるか。
ではスポーツ選手は?
完全に自分の想像ですけども、「走んのすき」と言ったさみだれかなと。
この予想は正しいのか、さみだれは未来に続いていけるのか、まだ分かりません。
氷雨さんの結婚相手がスポーツ選手…とかってのも強ち無い話でもないかな。
にしても大作家であるさみだれパパんがスルーされるなんて…。ブワワ
では56話からの騎士対アニムス戦について。
戦地に赴く直前の騎士たちを描くワンシーンがあるのですが、
もうアニメでいうと最終回一話前のアバンタイトルにしか見えない。
これが本当に最後の戦いなんだなぁと実感させられます…さびしくなってくる…。
しかし感傷に浸る間もなく戦いは始まります。
で、このガイナ立ちである。
(クリック拡大)
…そして騎士全員による合体領域である
流れ星の矢(ネガイカナウヒカリ)がついにお披露目。
発射時、騎士の口を見るとちゃんと順番にネ→ガ→イ→…ってなってるんだよね、細かい!
しかし106Pの下段、従者たちが一斉に画面に入ると、統一感の無さが凄いw
そしてこれ以上に盛り上がりを見せてくれるのはBDM発動までの流れ。
アニマは「確信が道を創る」と言って夕日を送りだしました。
思えばこの作品はところどころに「確信」という言葉が入り込む。
「流れる世界の束から 望む世界を確信する」―それがこの作品における超能力。
力はすなわち確信。
超能力はデタラメであり、確信でもって形を成す。
圧倒的な力を誇る半月が8巻で「天才とは!」と語る内容にも、確信すること、肯定することが述べられていましたし、どれだけ自分を信じられるか、それが強さのカギとなることは、前々から示唆されてきたことです。
かつての夕日が嫌っていた「信じる」という言葉。
それが今確かな力となって、夕日を突き動かしていく。
未来の夕日も出てきたりしましたね!夕日もずいぶんカッコいい主人公になったww
…でも最後おいしいところを持っていくのは、大魔王様というわけですねw
(クリック拡大)
ちなみに今回のMVPは夕日…と思いきや太陽君です。
ここまで読んできて9巻の太陽君に燃えなかった輩がいるでしょうか?
太陽が課せられた宿題は、おそらく「自らの意思で、(騎士側に付くかアニムス側に付くかは別として)未来を決断すること」だったんじゃないかなぁ。達観しすぎてただ流されている節がありましたし。
風巻さんが他の騎士に黙っていたのは、太陽自身が答えを出すのを待っていたのか。
そして最初はアニムスに付いていた太陽が、どこで変わったのかを考えると
太陽のことがますます好きになってきてしまいますね。
空気よめるぽっちゃりさんですね、風巻さん!
また、大人と子供…そのテーマもこの作品はきちんと描いていっています。
ただ未来を信じ、地球を守り抜く。そこに大人も子供も関係ないだろう。
散りばめられていたほとんどの複線が回収されて
いよいよ残すは本当にラストバトルのみ。彼と彼女と彼らの決戦です。
最後まで、見届けます。
『惑星のさみだれ』9巻 ………★★★★★
満点。短くしようとしたけどムリムリ。激熱。興奮が収まりませんww
ストーリーで魅せるとはこのことです。泣いても笑っても次で最終巻!!
別所の小説ブログの方で、江戸川乱歩の「芋虫」について更新しました。
よろしければそちらも→http://shiori0515.blog57.fc2.com/blog-entry-15.html
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