[漫画]恋人ごっこは屋上で。「シュノーケルはいらない/ねこかんロマンス」
唐突になんの更新してるのかてそりゃサークル『ねこかんロマンス』の新作として発表された「シュノーケルはいらない」が最高だったという話がしたいからなんですよ。
ゴールデンウィークに開催されたコミティアにいった最大の目的はこれだった(2巻)。大好きなモリタイシ先生もきてたけど今回ばかりは初動ねこかんロマンス一択だった。ぶっちゃけ開幕最初に買ったの俺な!
いきなり熱くるしいオタク口調まるだしで書き出してしまったけれど
本当に「シュノーケルはいらない」という作品が素晴らしくて久しぶりに本の感想をブログにかきたくなったのです。
まぁなにはともあれ、な。サンプルこれです。
どうでしょうか。“”息吹“”、感じ取っていただけたのでは。ビンビンくるでしょ。
目に見えない暗黙のルール、スクールカーストの窒息感。日常からはみ出した愛すべき堕落。何かを紛らわすためだけのセックス・・・この腐ってる感じ!!そして歪んだ少年少女の関係!!大好きなヤツジャンル!!
もともと、ねこかんロマンスさんは前作「ヒロインになれないキミとぼくらの恋」でどっぷりハマったサークルさんでした。こちらも切ない恋愛模様とコミカルなキャラクター描写が冴える一品でしたが、世界観を共通とした新作「シュノーケルはいらない」がジャストミート。かなりヘヴィな人間関係を描き、主人公とヒロインの間にさえ差別的な感情が存在している。主人公がヒロインに向けて「お前って惨めで見てて飽きないわ」と楽しそうに言うわけだ。それを曖昧な、笑顔で受け止める少女。ひどい。まさに息が詰まる世界観。そして「息」こそこの作品のキーワードとなっていたりする。
スクールカースト上位と軽薄な少年、速水。
カーストで言うなら最下層、いじめられっこの燈乃。
とあるきっかけから、屋上で燈乃の秘密を握り、また彼女から好意を寄せられていることを知り、からだだけの関係を結びます。
日々、暇つぶしとして行われる、搾取のようなセックス。
しかし速水に少しずつ変化が訪れていく。
見下していたはずの女にいつしか心を許し、もてあそんでいたはずが心配になり、全部飲み込む彼女を恐れるまでになる。精神的なイニシアティブを握られていく主人公!お互いが自滅していく沼関係!!ヒューたまらねぇ!
ネーミングの部分で言うなら仕掛けがあって、主人公の速水はそもそも苗字にも入っているように水中の住人なんだろうと思う。
水中というのは本来、呼吸ができない場所。例えば教室。
対するヒロインは水中にはいられない。陽や炎といったイメージに繋がる「燈」を苗字に持っていることからも、速水との立場の違いが明確に打ち出されている。
教室から抜け出し、ようやく屋上に逃げ込んだ時にだけ、呼吸ができるという少女。
対して彼女にとっての「水中」の住人である速水。
まずここのポジションが前提としてあり、そして本作の面白さは、このポジションがみるみる崩れていく、変化していくことにあります。
2人だけの屋上の世界。閉じた秘密、牢屋みたいな楽園、透明なきみ、諦めの瞳。
イベント配布のペーパーで明かされた作者公認イメージソングである。お察し。
ペーパーみた瞬間「これは反則でしょ」ってなった。
ニヤニヤが止まらないのが1巻のラストシーン。
見下していたはずの少女にいつのまにか呑まれてしまった。得体のしれない怪物のように、微笑む少女に怯える少年。
少女が口にする、諦めたような言葉もするどく突き刺さる。
「わたしがここから落ちたって 速水くんは普通に生きていけるでしょ」
突き放されたように感じるのは速水の方だ。しかしこのセリフの並々ならぬ痛みに震えが出る。その言葉はどちらを傷つけたのだろうか。どちらも、だ。
2巻の冒頭からは燈乃の独白により、彼女がどのようにして速水を“手中に収めたのか”が明かされる。女の子の巧妙な罠にドキドキするとともに、そうまで自分を曝して傷めつけてまで自分を「誰かの恋人にする」ことを正解にしたい切迫した感情にも胸が締め付けられる。
彼女は思い通りに、からだだけ恋人に成ることができた。
たとえ彼が自分のことを、どんなに酷く想っていたって。どんなに見下されていたって。彼といる屋上の時間だけが酸素をくれた。
自分を救うための犠牲として自分を差し出そうという彼女の精神性こそが
速水に加虐心と、恐怖と、そして最後に救いを与えてくれる。そういう不思議な連鎖や噛み合わせが、なんとなく、この2人らしいなってとても好きになれる。
最終的にはやや共依存的な関係性で決着するのも、ダメ関係性大好きマンである俺のハートを掴んで離さないんですが
『親密なる他者の不在』という心の空白に、互いの存在感を響かせることでつながった2人だ。愛し方をしらない、守り方すら、優しくすることすら不器用だった。互いに酸素を分け合おうという状態も愛おしいものであるよ・・・
とはいえ、そんな彼らを暖かく見守ってくれる友人たちもいる。
2人だけの楽園ではない。息のできない水中でもない。
れっきとした現実の上にたち、彼らは生きていけるようになったのだろう。
酸素というのは、心許せる誰かの存在そのものなのかもしれない。
ゆえに鮮やかに「シュノーケルはいらない」というタイトルが回収されていく。
ここまで「シュノーケルはいらない」にどっぷりハマってしまったのは、主人公とヒロインの造形、精神性、関係のすべてが完全にドツボだったから。
読めば読むほど引き込まれる沼地のようなズブズブコンビ。
けれどちゃんと最後はいい感じでストーリーも走りだし、いい感じで決着してくれる。
そこらへんはもう読んでくれ!頼んだぞ!https://nekokanromance.booth.pm/items/241720?utm_source=pixiv&utm_medium=promotion&utm_content=work-item&utm_campaign=pixiv-promotion
偶然か意図的か、1巻と2巻の表紙の色味を比較すると、2巻のほうがより水面に近づいているような明るい色調となっており、こういう部分にも愛を感じる。
いやほんと、救いある形で終わってくれてよかったですね・・・
ちょいとビターな味わいある、さわやかなエンディングでした。ほんとめっちゃオススメだからみんな何とかして読んでみて欲しいんですよ。コミティアはぼちぼち参加してきていますけども、これまで買ったコミティア本でも1,2を争う面白さだった。
ここで俺の「シュノーケルはいらない」イメソンを貼ります!よろしくお願いしまーす!(ッターンッ)
水の中のナイフ
フリージア
脳内ではすでにOP「水の中のナイフ」ED「フリージア」で映像化しているよ。
個人的には完璧にART SCHOOLなんだよな~~~~~
結ばれたとしても、どこか恋愛感情というものを客観視してすこし低体温のままっぽい感じ。
あとMr.Featherとか単純に、PV的に使われたら本当に泣けそう
以上!ねこかんロマンスさんは夏コミ受かればクロスチャンネル本出すらしいぞ!この2016年の夏に!!すげぇ買うしかねえ!!!
ともかく今後ともぜひ追いかけて行きたいです。
余談ですがダーク系の過去作品で
こちらも最高オブ最高ッて感じで最高にオススメ。とにかく暗い。追い詰められすぎである。
会場で購入した時から大好きだったけど今はネットで公開中です。
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