[漫画]荒々しく優しくこそばゆい、夢と浪曼の世界!『100-HANDRED- 高畠エナガ短編集2』
100─HANDRED─ 高畠エナガ短編集 2 (高畠エナガ短編集) (2012/12/25) 高畠 エナガ 商品詳細を見る |
あたしが教えてあげる 勉強だけじゃない 人生の面白さ
やったーい、高畠エナガ先生のコミックス第二弾だよー!
amazonだと発売が25日になってますけどもう出てます。
2012年に読んだ新人さんの初コミックスの中でもイチオシしたいのが「Latin」。高畠エナガ先生の短編集第一弾です。
そして年内に二冊目のコミックスまで出ました。これは嬉しいです。
そして単行本オビが1巻と同じ感じでやったらめったらに熱い。目立ちますな。オビでこれだけ書かれる作家さんだというのは確かに頷けます。
表紙は1巻同様、収録作のメインキャラ勢ぞろいで賑やかです。それでは感想へ。
第一弾の感想→世界が広がる。やさしくなれる。『Latin 高畠エナガ短編集 1』
「今回も趣味爆発させているなぁ」というのが大雑把な感想。
それでいい。この趣味に、センスに惹かれたのだから。それを堪能できるすなわちいい本だ!
今回は全4話からなる中編「100-HAND RED-」が目玉。
ほかに短編が3作収録されています。
ザックリ印象を順にかくと、カッコいい・優しい・恥ずかしい×2の構成か。
個別感想。
●「100-HANDRED-」
ハンドレッド=手・赤。英語習いたてに思い浮かぶようなかわいらしいシャレ。迫り来る的はコテコテのゴッツい武装アンドロイド。油臭さが漂ってきそうだ。
そんな一見ダサそうなガジェットやらネタやらを「あれ・・・意外と・・・カッコよくね?」と見直させるパワーがありますよね、この作品。そう、グレンラガンの星型サングラスシモンみたいな(関係ない
荒々しいタッチと相まって、ザラついた世界観が出来上がっています。
舞台は砂漠だらけになった未来に地球。アンドロイドが大半、人間は少数となった世界で、少年はとある少女型アンドロイドと出会います。
それが街をゆるがす大騒動へと発展していく、スケールのデカイお話。
アンドロイドと人間のドラマ。エナガさんはこのテーマ好きですよねw
「Latin」ほど恋愛によっておらず、人間とアンドロイドの「家族」に触れています。
しかも今作はバトル漫画でもあり、アンドロイド少女たちもボロボロになりながら、壊れながら戦う。迫る無数のライバルを蹴散らしていく、ムチャクチャなロボアクション!
この作家さんのロボット趣味がみごとに開放されている印象。
ファンタジーらしいデタラメ感がゴチャッと散らばっていて、それが楽しい。
ストーリーの筋はなかなかに王道少年漫画の香り。マイナー要素はあってもストレートに気持ちのいい展開を描いてくれます。
この短編集の中では一番力強い作品です。バトルの迫力もありますし。
それだけにキャラクターの表情という、この作家さんの大きな魅力も発揮されています。涙をこぼすとき。敵と合間見えるとき。悔しがるとき。笑うとき。不敵な態度のとき。それぞれがキラキラとかがやく。キャラクターがいきいきしている。力いっぱいいきている感じで、やはり好きだ。
アンドロイドとはいっても心は人間と変わらない。機械的なのは身体だけなんですよね。それは「Latin」でもそうだったんですが、夢が込められた設定に感じます。人間くさくて好きだ。
●Bonus gamer coming out!
短編。ハンドレッドとは打って変わっての現代青春劇。ファンタジー要素付き。
少年と少女のまぶしい交流がなんとも瑞々しい、お気に入りの作品です。
頭の固い秀才の主人公が、勉強で勝てない少女を目の敵にするストーリー。
ファンタジー要素はあれど本筋には関係なく。ただ「今を楽しまなきゃもったいないよ」というまさに青春は爆走しろマインドあふれる開放感がいいですな。
ヒロインのむっちり体型もいいですね。健康的で。なんにも気にしてない大らかさを感じます。会話の中でも余裕を見せている子です。なんていったってボーナスゲームやってるしな。
クライマックスでいきなり水着になったのは笑いましたが、バカだなぁこいつら感がとてもかわいい。客観的にみたらおかしなことでも、必死な当人は気づけない。余裕のない主人公と余裕たっぷりヒロイン。いいなぁこういうの。最後のオチも素敵。夏の青が心にやきつく、優しいお話でした。心がくすぐったいぞ!
●女装兄弟
オチに命にかけてる、スピード感たっぷりの短編。
勢いがあるなかにしんみりとした要素を忍ばせる作家さんですが、この「女装兄弟」に憂いはありません。ただただ勢いのみで突っ走る!
初の女装で初の女性下着。こういう表情も力いっぱいかわいく破壊力高い・・・!
こういうバカっぽい一発ネタも面白いですね。結構好きw
●冴島さん
再び一発ネタ。というか単行本オマケの5ページ漫画。
映画見ながらポップコーンをたべる、かすかな物音を立てることにすら居心地の悪さを感じる超小心者・冴島さん。
そんな彼女がうっかりはしゃいでしまうというお話。「イエ――――!!!フ――――!!」のムリヤリ感は思わずニヤッとしましまいますよ!
あと前作「Latin」表題作のペアがひょっこり登場。しかも単行本最終ページのオチまで持っていきます。愛されてるなー!
そんな短編集。「濃い」一冊になっています。
一冊の中で似通ったものがない。しかしそれぞれに違った勢いがあって、サッと読み終わるのにあとをひく読後感。そしてまたもう一度本を開いてしまう。
整理整頓のされていない、ゴチャッとした雰囲気。それが原石としての魅力を放っているように思います。もちろんスッキリまとまった作品でも完成度の高いものを発表しています。
今回で複数回にまたがる中編を描きました。
今度は「人魚の花籠」という長編連載をはじめるようです。
2冊の短編集で様々な世界を魅せてくれた作家さんだけに、長編でどのようなストーリーを紡いでくれるかはとても楽しみ。その連載が始まるSD&GOの表紙がとても可愛いので、手が伸びてしまいそうです。
『100-HANDRED- 高畠エナガ短編集2』・・・・・・・・・★★★★
ファンタジーバトル。青春。男の娘ギャグといろいろ読める一冊。相変わらずいい表情を描いてくれます。人物の生命力をつよく感じる。
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