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正直どうでもいい(移転しました)

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[漫画]取り戻せなくなる前に。『雪にツバサ』3巻

雪にツバサ(3) (ヤンマガKCスペシャル)雪にツバサ(3) (ヤンマガKCスペシャル)
(2012/05/07)
高橋 しん

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   もう二度と私の前に現れるな

高橋しん先生の「雪にツバサ」3巻が発売されました。
うむ、今回の表紙も好き。高橋しん先生のカラーの美しさは素晴らしい。
しかしさて中身はというと、ヘビーでウワアな展開に向かっております。

前巻→声にできない想いを託して『雪にツバサ』2巻



2巻中盤から始まった楽器捜索編は3巻をまるっと使い、そしてまた続いていく。
この章のクライマックスへの過程となる第三巻ですが、正直気が重くなる内容・・・!
しっとりと切ない感情を盛り上げていく感じはさすが上手い。
でもこの巻はその切ない雰囲気とは食い合せが悪いような・・・雰囲気を悪くさせるエゲツなさが込められていたように感じました。
まぁ過去作読んでみればこういう方向になることも十分予想できてましたし、1巻の頃から雪先輩関連でブラックな一面を見せていましたが・・・やっと本性を表したか、という感じ。
どうにも高橋しんさんは、少女に重荷を持たせるんだ。

雪1

「もうこれ以上、私・・・汚れようがないから、大丈夫」

眼鏡の女の子・チコをめぐる一連の流れは痛くて痛くて・・・思わず何度も単行本をおいて読むのを中断したりしました。
この漫画はキャラクターがガンガン周囲にメッセージを飛ばしてきて、それはつまり読者めがけて投げつけてくる刃物みたいなもので。
3巻のあとがきにも書かれていましたが、本当に痛みを伴う物語になってきている。
うすらぼんやりと、優しい青春ボーイミーツガールを期待しつつ読み進めていた自分は、ちょっとやそっとじゃなく心をグサグサ傷つけられております。高橋しん先生だって時点でなんでそんな期待を持っていたのか!

少年少女たちの輝きを時に前向きに、時にネガティブに捉えようとする所がある作家さんだと高橋しん先生を思っているんですが、今度ばかりはやり口がキツい上に状況もひどくて息苦しいったらない。
思春期まっただ中にある「少女」、その幸福や揺らぎや悲しみをすべてひっくるめて少女ロマンを作り出しているんですが、そうする手段として「少女たちをあえて傷つけてみる」といった、サディスティックなイヤらしさみたいなのがある。
サディスティックかどうかは自分の受け取り方次第か。でもなんというか、本当にしんどい漫画なのだ、この「雪にツバサ」は。

なにより、紡がれるこの物語にいまだ何らかの救いも見えて来ない。これが一番辛い。
何故こんな不幸な事になっているのか、という問いがあるとしても、それを「仕方ないだろ、そういう世界なんだ」と消化してしまっていてやるせなさすぎる。作品に諦観が満ちてるような。
だからこそこんな容赦無い世界に、ほんのちょっとのファンタジー(超能力)でもって足掻いて歯向かってみようとする臆病な男の子を、応援してみたくはなるんだけど・・・その前に俺の心が折れそうだ・・・な・・・。がんばってよツバサくん・・・。

そんな「居心地の悪さ」。きっとこれがこの作品の本質なんだろうなと感じてきました。
なんでもないように、ありふれたように、すぐ側に人の「悪意」がある。自分を、自分の大切な人をふいに切りつける邪悪がある。
単なるボーイミーツガールの青春モノに収まり切らないのは確かで、個人的にそのジャンルに収まりきってくれた方が嬉しいなとかちょっと批判的なことを思ってしまうことも事実。
けれどちゃんと、いつか暖かい未来がみんなを迎えてくれることを信じてみる。
なんか作品じゃなくて作家を語りつつあるんだけれど、高橋しんという作家にはなんか好きとか嫌いとかをすっ飛ばして読んじゃう何かがあるんですなあ、個人的に。

雪2

作品の話に戻ると、チコ以外のこの3人も静かに病んでる。
歳相応に賑やかでこんなにかわいい彼女たちが、その影ではムリヤリ○○させられて心ボロボロにしてるってんだからもう何も信じられねえよウワァン!
しかしむしろ恐ろしいのは、それを抱えてもこんな飄々としている女の子マジック。
でも傷つけられた・踏みにじられた少女たちがこれからどう戦っていくのか、ってところに、この作品が描きたいものがあるんだろう。



あんまりストーリーに触れませんでしたが、今回はかなり毒が強くてそっちのことばかり書いてしまいましたね。でもいいか。だいたい思ったことはそんな感じです。
3巻は特に気が滅入る内容でしたが、4巻では見事にこのモヤモヤを吹き飛ばしてくれる爽快な展開があってくれる・・・!んじゃないかなぁ、はぁー・・・。
まぁ正直、レイプ描写って自分はすごくショッキングで(最初からエロい目的で読む漫画でなら話は別です)。本作は初期からその要素を匂わせてくる作品でありビクビクと震えながら読んでます。なぜならこの漫画の気持ち悪さ、いびつさ、それでもなんとなく綺麗で切ない感じ、悪くない。けれどこれを不快だという人の気持ちもわかる。
4巻は秋発売ってことで、ここからし間が空きますが待つとしますか。
・・・蛇足だけど、「思わせぶり」な引きが多すぎるのもなんとなく感じる。「まさかあんなことになるなんて、この時はまだ思いもしなかった・・・」的な感じのアレ。まぁ実際にその後に何かしら起こるんですが、過去の連載作でもこんなしつこい風になってたっけなぁと若干首をかしげる。
色々とアンバランスでグラグラしてる作品だとは思いますね。それでも見守りたくなるのは、いつのまにか作品の魅力を感じ取っているからか。

『雪にツバサ』3巻 ・・・・・・・・・・★★★☆
心にダメージを追う第3巻。切なげでいて良くも悪くもパワフルですよねこの作品。

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