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正直どうでもいい(移転しました)

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[漫画]色とりどりな世界のお伽話たち 『夜盗姫』

夜盗姫夜盗姫
(2012/01/31)
水谷 フーカ

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   笑って?ロチェ

水谷フーカ先生の「夜盗姫」が出ていたので読了。
司書房からかつて発売したものの絶版となってしまった同名のコミックスの新装版です。
とは言え単純に復刊したものではなく、「ひかり」「手紙吹雪」といった前回には収録されていたなかった作品を追加。さらに以前楽園から出た「GAME OVER」の番外編まで書き下ろされた一冊!
あとがきでも触れられていましたが、実に8年もの時をかける一冊になっていますw



タイトルからは多分わかりませんが、本作は短篇集。ページ数にサはありますが全部で7作。今回は特にお気に入りな作品を個別感想。

●夜盗姫
表題作。本書で最も古くに描かれたもので、確かに今見れば絵も違っていますが、大きな違和感があるものではなく、内容は水谷フーカ先生らしさがすでに感じられるもの。
ファンタジー色の強い舞台設定で、まるでお伽話のような雰囲気を出しています。
とある楽団に所属するカヤは夜盗姫を担当する少年。しかし突然に夜盗姫をクビにされてしまい、次の担当予定の女の子もやってくる。納得がいかないカヤに更に魔の手が迫り・・・。
物語の流れはごく結構シンプルなものですが、特にクライマックスのシーンが好き。
これまでの全てが集約される、神秘的なのに力強さもある不思議な感覚を味わわせてくれる場面。サイレントで雰囲気だけで説得力を持たせてある。いいなぁ。読者も魅せられる。

やとうき3

姫とつくのに主人公は男の子だったり、倒錯的な要素もありニヤリとさせられます。しかし水谷先生の作品は中性的な雰囲気が強いので違和感もまるでありません。
踊りで夜を盗んでしまう子供。そのモチーフもいいですね。

●雪花
雪の国を舞台に男の子と女の子を描く短編。
ボーイミーツガールの王道を行くようなストーリーが展開します。
ただ単純に子供たちの世界だけで進行はせず、理不尽な理由を振りかざす大人たちも登場し、彼らとの対決?も見所でしょうか。まぁピリッと緊張感が効いた部分もあるということです。
でも悪役さんたちも、なんだか憎めない感じなんですよねw
さて「夜盗姫」でもそうでしたが、この作品もクライマックスにあたるシーンが素晴らしい。
カラーページが挿入されて豪華。効果的なカラーの使い方をしてくれているのです。

やとうき1

これまで雪だらけのまっ白な背景だったからこそ、そこに芽吹いた鮮やかな生命が活きる。
個人的に水谷先生の水彩イラストが好きなので、それが効果的にストーリーの中に組み込まれた本作はそれだけでなんだか楽しいというか。

●ひかり
ごくごく短いお話。お話というか、プロローグだけ切り取ったような感じか。
世界観から感じられるムードの心地よさというのが、水谷先生の作品の大きな魅力だと思っているのですが、本作はまさにそれをフィーチャーしたような作品です。
たった5ページ。遠く離れた男子校と女子高の生徒たちが、鏡に光を反射させて遊ぶ。
それだけの内容なのに、いやだからこそか、何度でも手軽に読めてしまって、その度に胸の奥をキュンとさせてくれる作品です。きっとこれから何かが始まる、そんな予感。
同人ならでは遊び心もあって、全て鉛筆で描かれてます。このコミティア感もいい・・・!

●GAME OVER
まさかまたこの作品の新作が読めるなんて!
翔太が高校生の時を描いた番外編で、今度は電車の中が舞台。
朱美と翔太は新しいゲームを始めてるようですが、それがどんな事態を巻き起こすのか。
たっぷりとニマニマすることができる、幸せなエピソードになっているのです!

やとうき2

かわいいなあああもう!

年上なのに守られて顔をまっかにしてる朱美さんにときめく!
ちょこんと隣に座った翔太も、ほんのり頬を赤らめて。
単行本「GAME OVER」でこの2人が気に入った人は必見と言えるのではないでしょうか。
2人の恋の新たなワンシーンを垣間見れる、実に微笑ましい番外編でしたね!



4作を紹介しましたが、他の作品もかなり楽しめました。
特に「手紙吹雪」は過去の水谷フーカ先生の作品を顧みても珍しいBL。
BLとは言っても、恋愛感情とも行かないような淡い想いを「とけて消えずに残るだろう」と受け止める、爽やかな情景が印象的。男性でも抵抗なく読めるはず。ラブレターが散り散りの空を舞うシーンはロマンチックですね。
そうそう、単行本カバーをはずすとと絶版された前のカバーが印刷されてます。
今回から追加された作品群の質もいいためファンなら見逃せないでしょう。
前回の単行本を持ってる人も持っていない人も嬉しい一冊になっているのです。
異世界を舞台にしたファンタジックなものから現代劇まで、紡がれる彩り豊かな物語たち。
それらを一気に楽しむことができ、水谷先生の過去から現在までをも同時に体験できる単行本です。

『夜盗姫』 ・・・・・・・・・★★★☆
やや値段は高め。しかしファンなら見逃せない1冊になってること間違いなし!

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