[漫画]小学校から大学へ、10年かけて挑む恋のバトル 『ラストゲーム』1巻
ラストゲーム 1 (花とゆめCOMICS) (2012/01/04) 天乃忍 商品詳細を見る |
―――勝負しよーぜ 九条
天乃忍先生の「ラストゲーム」1巻が発売されました。
「片恋トライアングル」という作品を読んで以来この作家さんのファンなのですが、前回の単行本から約2年ぶりに新刊の発売!テンションも上がるというものです。
本作はもともと全3話の集中連載だったらしいのですが、好評だったようで続編の連載が決定しているため1巻して発売されました。続編は現在発売中のLaLade始まってるそうで。
全3話の集中連載ということで、それならではの構成になっている作品です。
第1話が小中学校、第2話が高校編、第3話が大学生編。
順序良くきれいにまとまって、コンセプト的に読みやすかったです。
長い期間を通じて描かれる2人の様子に「腐れ縁」っぽさが上手く出ているのも面白い。
ざっくりとあらすじ。
勉強もスポーツもできてオマケに家もお金持ち、オレ様キャラを貫く主人公・柳。
しかしある日転入してきた九条という女の子が、彼のプライドを折りまくる。
得意としてきたことでも、目標の立派さや人としての格でも敗北感を覚えた柳は、ひとつの計画を考えつくのでした。それは九条を自分に惚れさせて、優位に立った上で彼女をフッてやるというもの。なかなか外道かつムチャなこのプラン、果たして上手く行くのか・・・?
まずメインの2人が、絶妙にかわいらしいキャラクターなのです。
基本的に無表情でカタブツなヒロイン九条さんは、三つ編みがかわいい女の子なんですが、かわいいのはむしろ主人公の柳の方で。
自分を気にしてもらおうと(「好きになってもらおう」じゃなくて張り合いたいだけなのがまたかわいい)頑張るも九条に華麗にスルーされたり、ドキドキさせられてしまったり。
九条の周りをグルグルしてる犬っころみたい。完全に空回りしてる男の子で、あんまりカッコいいところはない(ヒドい)んですけど、ちゃんと九条のことに一生懸命になっている姿が魅力的。オレ様主人公ですがそれでイラつかされるようなことはありませんでした。
九条のピンチの時には、ライバルというより友人として隣にいてあげる。
で、不純に彼女と付き合っている自分に罪悪感を覚えていたりする。
かるい男の子ですけど、根っこの部分の人間味の良さが現れていて好きな主人公。
そしてライバルへの対抗心は、いつしか淡い恋心へ・・・!
でもそんな自分の気持ちを認められない主人公の不器用な様子がまた、ね。
大学生編ではハッキリ恋に落ちたことを認めた柳ですが、天然な九条に見事に振り回されてて笑ってしまうw 根本的に上から目線になってしまうから全然相手を誘えないというw
「試写会のチケットもらった。いいだろう。」
「よかったね」
この2人ダメすぎる・・・。でもそこがかわいいんだなー!
そして最後、「ラストゲーム」と称して九条にとある勝負を持ちかけるのですが、その内容というのが「九条に気持ちを自覚させられたらオレの勝ち」というね。それを宣言されても全然状況が把握できていない九条さんも大概ですけども、これを「ラストゲーム」と言ってる柳にニヤニヤしてしまう。
本当だったら「惚れたほうが負け」というゲームを持ちかけるはずじゃないですか。それを無条件ですっとばしているということは、彼にとっては「惚れたほうが負け」のゲームの勝敗は着いてしまってるんです。もちろん彼の負けですよええ。「今度こそ勝ってやる」って意気込んじゃってる。どんだけ負けず嫌いなの。どんだけかわいいのこいつ。最後の一言「オレが勝ったら・・・」にも悶絶してしまうじゃないですか!
そんなわけで、キャラ愛的には実に色々燃え上がる作品なのです。
ただし、全3話を通しで見てみても若干盛り上がりにかけていたかなという印象。
加えてラブコメとしての進行具合は消化不良に感じた点も。コメディとしての面白さはあれど、ラブの方面のパワー不足。
思うに自分は、ヒロインにはちゃんと自身の恋を自覚して欲しいんですよ!燃え盛る恋心にどうしようもなく身悶える女の子が見たいんです!天然カタブツな九条さんだって、最終的には変化があったのですが、それにしたって足りない!九条さんが思わず顔真っ赤にして照れちゃうような展開が見たい!天乃忍先生の描く赤面女子は最高でござるって叫びたい!
というところで続編ですよ!集中連載からのステップアップ、2巻もきっと出るはず。
とは言えこの集中連載、各話ごとに年代が違っていてそこが面白かったのですが、連載となるとどう続きを書いていくんでしょうね。
大学生編から「ラストゲーム」の過程を描いていくのかな。
なんにせよキャラクターの魅力という面に置いてはかなり気に入った作品なので続編が読めるというのは嬉しいです。どうなるやら。
九条さんは高校生までの三つ編みが可愛いので、大学生編でも三つ編みしてくれないかなー。黒髪ロングでもかわいいんですけども!
んでもってこの単行本には読みきりが2本も収録されています。
どちらも今から8,9年前のもとということで絵柄もだいぶ違っていますが、こういう時期の作品を載せてくれるのはありがたいですね。てっきり最近の読みきり作品が載るかと思ったんですが、それらは今後2巻だったり短篇集等で拾って行かれるんでしょうか。
載っているのは「きみと、しあわせ。」「ひだまりの庭」。
天乃忍先生の作品は報われない恋(少なくとも作中描かれる範囲では)を描くことが多く、今回の「ラストゲーム」はそういう意味ではちょっと珍しい作品だったのですが、読みきりではらしさが現れています。
「きみと、しあわせ。」は切なさ全開でかなりお気に入り。
「春日、知らないでしょ。あたし、春日ばっかり見てるんだよ」の台詞にはやられた・・・。
という感じの1冊。
絵も相変わらず可愛らしく、内容も明るく読みやすかったです。読みきりは切ないけど。
表題作はわんこのように右往左往する主人公と、天然堅物ヒロインの掛け合いが魅力的。
とりあえずどんなふうに続いていくのかが気になりますが、メイン2人が気に入ったので出来れば結構続いて欲しいなーなんて思っています。2巻も楽しみにしています。
『ラストゲーム』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆
10年をかけた恋のバトルの行方はいかに。メイン2人がかわいくてニマニマしちゃう。
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