「流れ星が消えないうちに」 感想
流れ星が消えないうちに 橋本 紡 (2006/02/20) 新潮社 この商品の詳細を見る |
橋本さんの「流れ星が消えないうちに」を読み終えたので、感想書きたいと思います。
橋本さんといえば、やはり名作「半分の月がのぼる空」の印象が強く残っていて、本作を読んでいてもところどころに半月がチラついて困りました。
しかし、本作は明らかに「半分の月」を意識してかかれていると思います。
「半分の月」が大切な人を失うまでを描いた話だったのに対し
本作は大切な人を失った後になっています。
「半分の月」で描いたテーマの延長線上にはあるのですが、
言い換えれば、「半分の月」では描けなかった部分まで踏み込んでいると言えると思います。
恋人を、大切な人を失った、その先。
橋本さんの作品で貫かれているのが、一人称で話が進むということ。
流れ星では、二人の違った人物の視点から、一人の人間を見ていく構成。
現実5:過去5という風に、高校時代のお話も交えての物語は進みます。
その過去話ってのが、もう最初からその人亡くなってるって知ってるので切ない。
中盤までどことなく、よどんだ水に沈んでいるような感じ(言い方悪い?)。
先の見えない、終わらない絶望を前に、立ちすくんでいるような。
ですがそこから少しずつ進んでいく様子が、とても感動的でした。
終盤に向けての二人の決意とかも、凄く前向きなものでよかったです。
静かな物語だけど、確実に動いている。
ただ美しいだけの物語じゃない。
だけど確かに、残ったものは美しい。そんなお話。
涙が出てくるような悲劇的な内容ではなく、死というものもかなりあっさりと描かれていて。
だからこそ唐突な死によってかきみだされるキャラクターたちの心理描写が胸にきました。
半分の月にくらべると大人っぽい物語になっているかと。
橋本さんの文章は相変わらずととても読みやすいですし、オススメの一冊。
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