[漫画]戦争と恋の物語、大空を舞い完結。 『とある飛空士への追憶』漫画版4巻
とある飛空士への追憶 4 (ゲッサン少年サンデーコミックス) (2011/09/12) 不明 商品詳細を見る |
このひとときを 永遠のものにしよう
わたーしのかーれーはー・・・パイローォットォーーーーー(号泣しながら)
と全然関係ない歌で始めてしまいましたが、「とある飛空士への追憶」の漫画版も、この4巻で終了です。1冊の小説をじっくりと描ききってくれた、いいコミカライズだったのでは。
『あのシーン』も、雑誌掲載時同様にしっかりとカラーで再現されていますよ。
・・・しかし感想を書こうにも、ラストバトルは3巻で終わっていて、4巻はまるまるエンディングを描いた内容。また、映画でいうスタッフロールのあとのちょっとしたエピローグ?も収録。
あえて言葉にするのも野暮であるような内容ですし、ネタバレをしてまうことがとても惜しい巻となっているのも確かで、感想がとても書きづらい・・・。
とは言えいい作品であったのも間違いないので、今日はこの本の感想をー。
ネタバレはすこしも絶対にイヤだ!という方は今回見ない方がいい気がします・・・!
だから感想書こうにもストーリーにあまり触れられないんですって!(
ということでちょっと別の切り口から最終巻を取り上げてみたいなと思います。
この巻、かなりの加筆修正がされていました。
増ページはないものの、シャルルとファナのしぐさや表情は、非常に細かな部分まで修正がされています。なかには構図やちょっとコマ割が変わっているシーンすら。
ファナに関しては、登場シーン半分以上に手が加えられているような具合です。
雑誌がまだ手元に残ってる人は、見比べてみるのも面白いと思います。
特に第16話・2人が傍にいられる最後の時間は、本当にささいですが眉の角度をはじめ表情の微調整、髪の動き、動作の変更などがたくさんされており、この時間をよりムードをいいものにしようとする製作の意図を感じます。26話のファナはほとんど修正されているような。
まぁ雑誌とちまちま見比べながらでないと違いが分からないような、本当に些細なことではありますが、そのような努力をこっそりとしてあることに感動してしまったり。
まるっと構図が変わっていたり、コマの構成まで変更されてるのは、単行本33、47ページ、53ページ、77ページ、80ページ、86ページかな、ザラッっと確認した感じだと。
そして心に残った加筆修正個所と言えばここ。
(ゲッサン2011年3月号)
(単行本版・80ページ)
と、シャルルがファナに向かって手を振ることをより強調する加筆がされています。
手を差し伸べているようにも見えるのがいいですよねー!シエラ・カディス群島で「踊ってよ、シャルル」と頼むファナの手を、シャルルは踊るためでなく無茶を止めさせるために掴みました。2人のダンスは、この時は叶えられなかった。
そして今、シャルルはこの最後の大空の舞台で、自分から踊ってみせ、そして彼女に手を差し伸べる。その光景を目に焼きつけ、ファナも一生懸命に背伸びをして、空へと手を伸ばす。
2人のダンスは、黄金の舞う大空で、成し遂げられたのだ。
最高の、はなむけだ。
2人の手は、心は、最後にまた強く繋がれたんだろう。・・・やや妄想解釈かな。
(ゲッサン2011年3月号)
(単行本版・86ページ)
ここも描きなおされていますね。ファナの表情により感情が宿っているのでは。
その時間で、その光景で、彼はすべてを伝え切った。ありったけの想いを全部。
光のような金色が踊る夏空が、忘れられない思い出になる。
そして彼の努力と人知れぬ栄誉は未来にて結実し、世界を駆け巡る。
ああもう、なんて切ない、そして熱い男のロマンが詰め込まれてるんだろうか!
やっぱりこの作品のラストシーンは珠玉!泣いてしまうじゃないですかー・・・!
このコミカライズ版、確かに空戦にやや迫力が足りてない部分もありましたが、自分がもっとも期待していた、「2人の恋物語を丁寧に描いてくれること」を、しっかりやり遂げてくれたという点において、自分はこの漫画版は成功だったと思っています。
風を感じさせてくれる爽やかさと、2人の恋の切なさに、大満足です。
・・・ただ、1巻から思ってましたが、この単行本表紙デザインは・・・!カラーもキレイな作家さんなのにそこをアピールしずらいデザインですよねえ。もうちょっと、なんとかならなかったか!
さて、どうやら「飛空士」だけじゃコミックスにするには足りなかったようで、作画担当の小川麻衣子先生のオリジナル短編が2作収録されています。これは飛空士とは関係ありません。
コミカライズでこういう単行本構成はどうかなぁとちょっと思ってしまいますが、まぁ小川麻衣子先生をサンデー超時代から追っかけてる自分としては、これも実は嬉しいことで。小川麻衣子先生の短編集もいずれ出して欲しいもんですが。
まぁとりあえず、せっかくなので2作それぞれにちろっと個別感想でも。
・8月の面影
この作品は雑誌掲載時、突発的にやった雑誌感想のときに触れたのでこちらもどうぞ。
思い出話や過去との決別シーンなど、ノスタルジックなムードが色濃い一作。
切ない短編ですが、未来へと繋がる新しいお話が始まって〆。
青春らしさがにじみ出るエピソードで結構好きですねえ。ただSF要素をチラつかせてはいるものの、それが本筋に深くかかわってきているわけではないのが不思議。続編があるのか?
・ひとかどのまちかど
宇宙人がたくさんやってくる喫茶店でアルバイトを始めた女の子。彼女と、バイト先の息子であり学校のクラスメイトである男の子の交流を描いた作品です。
まずメイン2人がそれぞれに可愛らしさを持っていて、魅力的です。
ただあえて入れたのであろうファンタジー要素が、ストーリーの本筋とやや上手く噛みあっていない感じはあるかなぁと。それでも主人公2人のおはなしはしっかりしています。
筋だけみると結構少女漫画チックかも?しかし絵柄が中性的であるぶん、それと強くは感じさせない仕上がりになっています。
やろうと思えば続編もできそうですが、綺麗にまとまっているいい短編でした。
・・・感じで「とある飛空士への追憶」漫画版4巻の感想を終わるとします。
総合的に見て、かなり満足のいく一冊になっているのではないでしょうか。
劇場アニメは10月1日ロードショー。公式サイトはこちら。
しかしこの作品、原作小説、今回のコミカライズ、そしてアニメ版と、面白いくらいキャラデザの雰囲気が一致しませんねw アニメ版も動いてるのを見たらまた印象変わるかも。
Youtubeでアニメの冒頭12分が公開されているので、そちらもチェックしてみては。
→映画『とある飛空士への追憶』冒頭12分ノーカット
とりあえずこの漫画版、なかなかいい出来でしたよ。
『とある飛空士への追憶』漫画版 4巻 ・・・・・・・・・★★★★
完結巻。ふたりのラストシーンを感情たっぷりに、丁寧に描ききっています。
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