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[漫画]不思議がいっぱい、愛する2人の逃避行。『ノケモノと花嫁 THE MANGA』1,2巻

ノケモノと花嫁 THE MANGA ~第一巻~ノケモノと花嫁 THE MANGA ~第一巻~
(2009/12/15)
中村 明日美子

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ノケモノと花嫁 THE MANGA 第二巻ノケモノと花嫁 THE MANGA 第二巻
(2011/06/25)
原作:幾原邦彦 漫画:中村明日美子

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   ねぇ あなた名前を教えて? あなたと愛し合いたいの

いやぁ、「輪るピングドラム」面白いですねえ。
現在放送されているアニメの中でも、トップクラスに楽しみにしてるアニメです。
監督は幾原邦彦さんという、セーラームーンや少女革命ウテナで名を馳せた方らしく、放送前から話題になっていましたが、その両作とも集中して見てはいなかった自分。しかしピングドラムにはハマってしまい、その流れで、幾原邦彦監督が原作をつとめているというこの「ノケモノと花嫁」という作品も購入しました。
作画を担当しているのは中村明日美子先生。色んな雑誌で活躍してる作家さんですが、この作品が連載されているのは「KERA」というファッション誌!そんなところでも描いていたとは。
さて内容は・・・・・・、これまた、1口に説明がしづらいものとなっていますね。
意味わからないまま走り出して止まらない感は、ピングドラムに似ているかも知れません。
では1巻と2巻合わせてのを感想をー。



ドレスをまとった少女・世羅ヒツジ。大きなクマのぬいぐるみ・羽熊塚イタル。
良く分からない組み合わせですが、2人は恋人で、駆け落ちの最中であるというのです。
彼らを狙う謎の組織「燃えるキリン」も登場し、どんどん過激に賑やかに、恋人たちを巡るコミカル・ハードボイルド・ラブストーリーが展開します。

まず気になる大きなクマのぬいぐるみは、実は中に男の子が入っています。(2巻表紙)
ベタベタに2人が甘えてイチャイチャしまくる1巻の序盤にはいきなりニヤケ顔で楽しみましたが、わりと早くにヒツジが連れ去られてしまい、2人は離ればなれに。
みゆたんとまろにえちゃんなどのサブキャラとドタバタ劇を繰り広げつつ、ヒツジの救出に向かうきぐるみイタルくん。救出シーンと、それからの流れはなるほどハードボイルド・・・!?
ともかく、意外ではありましたがなかなか熱い展開に突入していき、楽しめました。中村明日美子先生のバトルシーン(銃撃戦アリ)だぞ!ちょっと新鮮!

さて、いろいろごった返してカオスな作品ですが、メインとなっているのは「恋心」。
メインのヒツジとイタルの恋愛劇は当然としても、注目したいのがまろにえちゃん!
相棒のみゆたんと一緒にコントやったり、、やふおくで怪しいものを売りさばいていたり、わりと人気らしいバンドをやっていたり、この作品を賑やかにしてくれるキャラクターの1人。
ところがまろにえちゃんはこっそりと、イタルに密かに恋心を寄せているみたいです。

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2人きりだとこんなツンケンしちゃいますけど、イタルとの仲を周りから茶化されるとほんのり顔を赤くしてしまったり、彼が危ない目に合えば涙浮かべながら心配したり、はぁーかわゆい!
そして外見も素敵です。黒髪ロングにこの超冴えた眼つき……これは怒られたい。



可愛らしいキャラクターたちが多いのもそうですが、敵となる組織もなぜか動物のきぐるみを来ての登場が多く(組織の規則らしい)、どこかゆる~い空気が漂う、おもしろい世界観です。
しかしそんな、夢の中にいるかのようなふわふわと可愛らしい雰囲気に安心していると
現実味を帯びた鋭い針にぷすりと痛めつけられてしまいます。
チクリと強烈に生々しい毒が、甘い空気の中に入り込んだ作品でもあるのです。

主人公とその父親の間にはどうも近親相姦の要素を匂わせる描写もされていたり
ふとした時に見せるキャラクターが見せる狂気や殺意にドキッとさせられます。
強烈だったのが、傷ついた子どもたちの遺体が無数に並んでいるところと、その1人1人が火葬されていくシーン。彼らは虐待された子供たちということも言及されています。
静かに大量に並べられた子どもたちの亡きがらという、絵的に非常に痛ましい様子をガツンと描いてくることからも、この作品がそこに何らかのメッセージ性を持たせているように感じます。
まず敵組織「燃えるキリン」が子どもたちにのみ構成されたものであり、大人たちとその社会の破壊を目的に行動していることが印象的。
常に傷付けられる側であった子どもたちと、彼らの反逆が表現されています。
考えてみれば、かなりヘヴィーなテーマを背負っていることに気付かされますね。
「大人」の社会。「子ども」の社会。

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「せめて最後 逝り出すときに愛をこめてあげるんだよ」 「愛してる」

愛されないまま命を落とした子どもたちを、きぐるみのイタルは愛を込めて火葬をしていきます。心に残る場面ですが、イタルという少年がどういった存在なのか、一層疑問が浮かびます。なんで組織から抜け追われているのか。なんでずっときぐるみを着ているのか。どうやら死なない身体であるのも不思議です。
そんな彼とヒツジの出会いもまた素晴らしいもので。
「僕は愛されたことなんて1度もない」「誰も僕を愛しようがない」
そう寂しい表情でもらす彼の手をとり、笑顔で純粋な愛をささげるヒツジ。

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「私もあなたを『愛してる』って言うわ。だからあなたも私を『愛してる』って言うの。どう?」

お互いを愛しあおう。寂しい子どもなんていなくなくなるように。笑顔になれるように。
突拍子もない、子供じみた発言から始まった2人の小さく偉大な恋。
始まり方を知るとまた、2人の恋を応援したくなってきますね。
しかしヒツジちゃんも、普通の女の子とは思えない描写がちらほらと。秘密がありそうです。



では総括的なまとめとか、感想とか。
なかなか感想がかきにくい作品ではありましたが、面白いことは間違いなかったです。
しかしやはり抱いた感想の1つとして、分かりにくいというのはありました。
始まったときから謎が多いのにストーリーが進むにつれ増えていき、どんどんと人間関係も複雑になっていきます。1巻の時点では明らかに分かりやすい漫画ではなかったです。
なにしろ謎が多いですし、雰囲気もかなり独特、読むのに結構な時間がかかりました。
すごいいっぱいいっぱいに『何か』が詰まっていることは分かっても、それを上手く飲み込むことができないようなもどかしさは感じていました。
一転、2巻からは展開にスピードも出て派手な展開も続き、ストーリーを追う楽しみがかなり増えました。深まる謎もあれば明かされるもあり、この作品らしさもよい方向に出てきて読み応え十分!不透明だったものが見えてきて、内容も掴みやすかった。
1巻で止めず、2巻まで一気に読んでみることをオススメしたいです。
1度飲み込めてしまえば、この作品の深みを味わい楽しむことができてくるかと。
ゴチャゴチャしてはいますが、心に鋭く突き刺さるものをたくさん持った作品でした。
主人公2人の恋は一体どうなっていくのか!まろにえちゃんはどうするのか!!
3巻はいつになるか分かりませんが、完結までしっかり見届けたい作品です。

『ノケモノと花嫁 THE MANGA』1,2感 ・・・・・・・・・★★★★
かわいらしくも残酷で、耽美なおとぎ話。ラブコメ展開にも注目したい一作です。

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