[本]ざわめく心。ダンスで味わう青春の苦味と感動! 『BUTTER!!!』2巻
まだ試験中です。が、ちょっとは余裕が持てるようになってきたかも。
・・・・・・しゃる うぃ だんす
アフタヌーンにて連載中の「BUTTER!!!」2巻が発売されました。
作者のヤマシタトモコさんは最新の「このマンガがすごい! 2011」のオンナ編にて1ー2フィニッシュを決めた、今まさに乗りに載っている作家さんです。
「社交ダンス」というちょっと珍しい題材を取り扱う作品なのですが、賑やかな青春の高揚感と独特の暖かくも鋭い空気感とが絶妙に合わさった、親しみやすい作品に仕上がっています。
2巻では登場人物それぞれが新しい表情を見せるようになって来まして、物語の一層の盛り上がりを実感しました。なかなか見所が多い一冊になっているのではないでしょうか。
まぁまずは端場君です。
どうかしてるレベルで端場君が好きな自分ですが、2巻も彼の活躍が止まりません!
一巻でひとつ壁を破って見せた彼ですが、2巻ではパートナーの萩野目と同時に新たな壁にブチ当たってしまいます。それは「パートナーとのコミュニケーション」。ペアで行うダンスでは必須とも言えるであろうこの課題に、彼らが挑みます。
自分だけ技術が追い付いていない焦り・劣等感。ネガティブが爆発して卑屈になりすぎてしまう端場。言葉足らずのせいでもあるけれど、相手の気持ちが分からずカッとなってしまう萩野目。
微妙なズレがどんどんと大きくなっていく2人・・・せっかくの合宿なのに。
けれどそこから何とかしようと、下手糞ながらもきちんと行動に移す端場君がやはり良い!
気まずい沈黙の中、怯えながらもちょっと噛みながらも最初の一歩を踏み出す。

端場君が荻野目さんに向かって「荻野目さん」と呼びかけるのは、実はこれが初めて。
それに気づくと、何でも無いように見える一歩が彼なりに全力の勇気を込めたものなんだと気づかされて、より彼への愛着が湧いてきますね・・・!なんでこうかわいいんだ!
その後始まったダンスでも、ダンスでのリード役を端場君がきちんとこなしていて更にニヤニヤしてしまいました。それにくみ取り、笑顔で応え踊ることができた萩野目もナイス!
まだまだぎこちないけれど、2人の着実な成長にほっこりです。
そして何気なく、けれどきちんと描かれた合宿解散後の萩野目の様子も良かった。
確実な手応えと満足感と、みんなと離れて1人になったことのほんの少しの寂しさ。
みんなで楽しく過ごした後に1人で辿る帰路で感じる、切なさに似た不思議な気持ち。
なんだか自分にも経験があるような無いような。なんとなくノスタルジック。素敵だ。
しかし合宿開け、今度は荻野目がネガティブな方向に落ちてしまう展開へ。
元気でまっすぐな女の子で、物語を突き動かすエネルギーに満ちた女の子だったのですが、2巻ではだいーぶ落ち込みモードな彼女が描かれました。少し意外ではありましたが、これがまた面白い。
しかし彼女の性格が物語の一種の起爆剤になっていてもいたため、かなり不安にもなったり。

1巻にて端場君のために彼の手をとった荻野目。けれど今はダンスへの想いすら揺らぐ。
そうだよなー、人間強いばかりじゃないもんだよな。
彼女は直線系な女の子だと思っていたのですが、それだけじゃない所も見せられてよりキャラの体温がはっきりしてきた感じ。ハッとさせられるキャラクターの2面性。
そうそう、不安定なのが青春ですよ!心苦しいけど、こういうのも好きだなぁと。
原因はささいな失敗。ちょっとカッコよく見せようとして、逆に恥をかいたこと。
けれど一度弱った心には、何でも無いようなことも鋭く刺さりまくる。
失敗の原因を見透かされて、憧れのプロダンサーに「こんなもんだよ」なんて言われて。
そうなるとどんどん深みにはまっていき、自分の駄目な部分ばかり見えてくる。
社交ダンス部に入部をするつもりは無くとももともとダンスが好きだった彼女。それだけにこっそりとダンスへのプライドを胸に潜ませてたのかもしれない。それは彼女の中では完璧に折れた。自分の浅はかな部分をみんなに見せてしまったことへの恥ずかしさ、もしくは屈辱感。
自分ってひょっとしてちょっと凄いんじゃない?そんな、勘違い。
「・・・あたしてフツ―――・・・・・・」と零すシーン彼女は、憤りや情けなさの自己嫌悪で渦巻いているようで、ビリビリと染みました。無茶苦茶イタい。読んでる方が逃げ出したくなるくらいに。
まぁそんなこんなでどん底な彼女。
しかしそんな彼女を再び立ち上がらせたのは、待ってましたの端場君なのですよ!

たどたどしく荻野目に大切なことを伝えていく彼の姿に大興奮・・・!
そして決め台詞「・・・しゃる うぃ だんす」ですよ!
始めて端場君が自分からダンスを誘ったー!!!
ダンスの縁起だけじゃなく、本当の意味で荻野目を「リード」した端場君でした。
1巻では荻野目が彼の手を取ってくれた。今度は彼が彼女の手を取る番なのかも知れない。
不器用男子はたまりませんな!本当かわいいなコイツ!端場くんの進撃が止まらない!
内容紹介はこれくらいにしまして、一個気になったこと。
この作品は、キャラクター達の間にリアルな距離感を感じるなぁと。
先に書いた、端場君が始めて萩野目の名前を呼ぶ・ダンスに誘うということも、本当に少しずつ関係性が向上しているということを実に丁寧に描いています。
端場君と柘さんは同じ部活でわりと話はしているみたいですけども、仲が良いというわけではないみたいです。柘さんはかなり直球に端場君への不満を彼自身にぶつけて見せますし、端場君も彼女に対し特別良い感情は抱いていないような。
深く作中で追及にされてはいないにしろ、キャラ同士の微妙なズレを感じます。分かりやすい人間関係(好感度)をあまり明かさないようにしているようにも見えますねこの作品。
そういう微妙に不安定な空気感もリアルで、この作品の魅力と思えます。
一方柘さんは第11話にて、とある男子生徒を徹底的に嫌って「死ね」なんて超ストレートに罵倒してたりします。作中の曖昧な人間関係の中でこそ光る、強烈な感情ですね。真正面から女の子に「死ね」って言われるとか・・・絵的にも凄いインパクトですが、ヘコむ・・・。
まぁまとめますと、きちんとキャラクターとキャラクターの温度差のようなものが計算されているように感じるなぁ、という話でした。
ささいなズレがあったりそこに居心地の悪さを感じたりもするけれど、そんなキャラクター達だからこそ、真に心通わせた瞬間の一体感が物凄い破壊力になるのです。
2巻での荻野目の発言に掛かりましたが、物語自体もまるでダンスのようだ、なんて上手いこと言おうとして失敗した感を無茶苦茶漂わせながら〆!(逃亡
というわけで「BUTTER!!!」2巻感想でした。
連載も好調なようで、これからの展開にも大変期待です。端場くんの活躍にも!
そういや2巻から結構な人数の新キャラが登場しました。巻末オマケの登場人物紹介ページはありがたいです。知恵熱を出して寝込む端場君も可愛いですよ!(端場君に触れすぎ
結構長々書きましたが、キャラも魅力なんですが、とても雰囲気がいい作品です。
青春の濃ーい部分が詰まってるようで、自分はこの作品大好き。
楽しいことも気持ちいいこともたくさんあるけれど、凄くセンシティブな痛みも伴う。
この作品に閉じ込められている「青春」はとても等身大で、何と言っても魅力的。
3巻の発売が今から楽しみです。あとヤマシタトモコ先生の作品集めたい。
『BUTTER!!!』2巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
端場君への愛がとどまることを知らない!イタ気持ちいい青春ダンス漫画です。
![]() | BUTTER!!!(2) (アフタヌーンKC) (2011/01/21) ヤマシタ トモコ 商品詳細を見る |
・・・・・・しゃる うぃ だんす
アフタヌーンにて連載中の「BUTTER!!!」2巻が発売されました。
作者のヤマシタトモコさんは最新の「このマンガがすごい! 2011」のオンナ編にて1ー2フィニッシュを決めた、今まさに乗りに載っている作家さんです。
「社交ダンス」というちょっと珍しい題材を取り扱う作品なのですが、賑やかな青春の高揚感と独特の暖かくも鋭い空気感とが絶妙に合わさった、親しみやすい作品に仕上がっています。
2巻では登場人物それぞれが新しい表情を見せるようになって来まして、物語の一層の盛り上がりを実感しました。なかなか見所が多い一冊になっているのではないでしょうか。
まぁまずは端場君です。
どうかしてるレベルで端場君が好きな自分ですが、2巻も彼の活躍が止まりません!
一巻でひとつ壁を破って見せた彼ですが、2巻ではパートナーの萩野目と同時に新たな壁にブチ当たってしまいます。それは「パートナーとのコミュニケーション」。ペアで行うダンスでは必須とも言えるであろうこの課題に、彼らが挑みます。
自分だけ技術が追い付いていない焦り・劣等感。ネガティブが爆発して卑屈になりすぎてしまう端場。言葉足らずのせいでもあるけれど、相手の気持ちが分からずカッとなってしまう萩野目。
微妙なズレがどんどんと大きくなっていく2人・・・せっかくの合宿なのに。
けれどそこから何とかしようと、下手糞ながらもきちんと行動に移す端場君がやはり良い!
気まずい沈黙の中、怯えながらもちょっと噛みながらも最初の一歩を踏み出す。

端場君が荻野目さんに向かって「荻野目さん」と呼びかけるのは、実はこれが初めて。
それに気づくと、何でも無いように見える一歩が彼なりに全力の勇気を込めたものなんだと気づかされて、より彼への愛着が湧いてきますね・・・!なんでこうかわいいんだ!
その後始まったダンスでも、ダンスでのリード役を端場君がきちんとこなしていて更にニヤニヤしてしまいました。それにくみ取り、笑顔で応え踊ることができた萩野目もナイス!
まだまだぎこちないけれど、2人の着実な成長にほっこりです。
そして何気なく、けれどきちんと描かれた合宿解散後の萩野目の様子も良かった。
確実な手応えと満足感と、みんなと離れて1人になったことのほんの少しの寂しさ。
みんなで楽しく過ごした後に1人で辿る帰路で感じる、切なさに似た不思議な気持ち。
なんだか自分にも経験があるような無いような。なんとなくノスタルジック。素敵だ。
しかし合宿開け、今度は荻野目がネガティブな方向に落ちてしまう展開へ。
元気でまっすぐな女の子で、物語を突き動かすエネルギーに満ちた女の子だったのですが、2巻ではだいーぶ落ち込みモードな彼女が描かれました。少し意外ではありましたが、これがまた面白い。
しかし彼女の性格が物語の一種の起爆剤になっていてもいたため、かなり不安にもなったり。

1巻にて端場君のために彼の手をとった荻野目。けれど今はダンスへの想いすら揺らぐ。
そうだよなー、人間強いばかりじゃないもんだよな。
彼女は直線系な女の子だと思っていたのですが、それだけじゃない所も見せられてよりキャラの体温がはっきりしてきた感じ。ハッとさせられるキャラクターの2面性。
そうそう、不安定なのが青春ですよ!心苦しいけど、こういうのも好きだなぁと。
原因はささいな失敗。ちょっとカッコよく見せようとして、逆に恥をかいたこと。
けれど一度弱った心には、何でも無いようなことも鋭く刺さりまくる。
失敗の原因を見透かされて、憧れのプロダンサーに「こんなもんだよ」なんて言われて。
そうなるとどんどん深みにはまっていき、自分の駄目な部分ばかり見えてくる。
社交ダンス部に入部をするつもりは無くとももともとダンスが好きだった彼女。それだけにこっそりとダンスへのプライドを胸に潜ませてたのかもしれない。それは彼女の中では完璧に折れた。自分の浅はかな部分をみんなに見せてしまったことへの恥ずかしさ、もしくは屈辱感。
自分ってひょっとしてちょっと凄いんじゃない?そんな、勘違い。
「・・・あたしてフツ―――・・・・・・」と零すシーン彼女は、憤りや情けなさの自己嫌悪で渦巻いているようで、ビリビリと染みました。無茶苦茶イタい。読んでる方が逃げ出したくなるくらいに。
まぁそんなこんなでどん底な彼女。
しかしそんな彼女を再び立ち上がらせたのは、待ってましたの端場君なのですよ!

たどたどしく荻野目に大切なことを伝えていく彼の姿に大興奮・・・!
そして決め台詞「・・・しゃる うぃ だんす」ですよ!
始めて端場君が自分からダンスを誘ったー!!!
ダンスの縁起だけじゃなく、本当の意味で荻野目を「リード」した端場君でした。
1巻では荻野目が彼の手を取ってくれた。今度は彼が彼女の手を取る番なのかも知れない。
不器用男子はたまりませんな!本当かわいいなコイツ!端場くんの進撃が止まらない!
内容紹介はこれくらいにしまして、一個気になったこと。
この作品は、キャラクター達の間にリアルな距離感を感じるなぁと。
先に書いた、端場君が始めて萩野目の名前を呼ぶ・ダンスに誘うということも、本当に少しずつ関係性が向上しているということを実に丁寧に描いています。
端場君と柘さんは同じ部活でわりと話はしているみたいですけども、仲が良いというわけではないみたいです。柘さんはかなり直球に端場君への不満を彼自身にぶつけて見せますし、端場君も彼女に対し特別良い感情は抱いていないような。
深く作中で追及にされてはいないにしろ、キャラ同士の微妙なズレを感じます。分かりやすい人間関係(好感度)をあまり明かさないようにしているようにも見えますねこの作品。
そういう微妙に不安定な空気感もリアルで、この作品の魅力と思えます。
一方柘さんは第11話にて、とある男子生徒を徹底的に嫌って「死ね」なんて超ストレートに罵倒してたりします。作中の曖昧な人間関係の中でこそ光る、強烈な感情ですね。真正面から女の子に「死ね」って言われるとか・・・絵的にも凄いインパクトですが、ヘコむ・・・。
まぁまとめますと、きちんとキャラクターとキャラクターの温度差のようなものが計算されているように感じるなぁ、という話でした。
ささいなズレがあったりそこに居心地の悪さを感じたりもするけれど、そんなキャラクター達だからこそ、真に心通わせた瞬間の一体感が物凄い破壊力になるのです。
2巻での荻野目の発言に掛かりましたが、物語自体もまるでダンスのようだ、なんて上手いこと言おうとして失敗した感を無茶苦茶漂わせながら〆!(逃亡
というわけで「BUTTER!!!」2巻感想でした。
連載も好調なようで、これからの展開にも大変期待です。端場くんの活躍にも!
そういや2巻から結構な人数の新キャラが登場しました。巻末オマケの登場人物紹介ページはありがたいです。知恵熱を出して寝込む端場君も可愛いですよ!(端場君に触れすぎ
結構長々書きましたが、キャラも魅力なんですが、とても雰囲気がいい作品です。
青春の濃ーい部分が詰まってるようで、自分はこの作品大好き。
楽しいことも気持ちいいこともたくさんあるけれど、凄くセンシティブな痛みも伴う。
この作品に閉じ込められている「青春」はとても等身大で、何と言っても魅力的。
3巻の発売が今から楽しみです。あとヤマシタトモコ先生の作品集めたい。
『BUTTER!!!』2巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
端場君への愛がとどまることを知らない!イタ気持ちいい青春ダンス漫画です。