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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[本]左と右の間 地上と空の間 昨日と明日の間 夢と現実の間 『虹ヶ原ホログラフ』

前回の記事との落差がちょっと酷いですな。
虹ヶ原 ホログラフ虹ヶ原 ホログラフ
(2006/07/26)
浅野 いにお

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   今なら僕は 世界を終わらせることだってできるんだ。

はっきりさせない漫画は、自分はあまり好きではありません。
夢オチとか、なんだかはぐらかされた様に、逃げられた様に感じてしまいます。
さてしかし困ったことに、この作品は非常に魅力的なのです。
最後の最後まで、夢とか妄想とか虚像とか、そんなのばかりなのに。
けどこの感情を何かにぶつけたい。その一心。公開オ○ニーもいいとこだ。
この文章打ってる今も、自分が何を書こうとしているのか分かりません。
まぁそんなわけでな酷い漫画に釣られて、俺も酷いテンションで感想書くとします。
この作品の読者を喰らう力は、相当なものです。

まぁ簡単に言っちゃうと、胸糞悪いお話です。
幸福も希望もない、人間のイヤなところしか描いてないような作品。
加えてストーリー自体の読みにくさったらもう無い。
難解、というか意地悪にストーリーを分かりづらくさせているような印象。
時系列も未完のパズルのようなシャッフル感。夢と妄想が入り乱れて真実を覆い隠す。
憤懣と絶望しかない子供たちの世界も凄まじい。
なんて深く暗い世界観だろう。いろんな要素を凄い密度で描いてる。
いろいろ書きたいことあるけど、絞って書かないと記事終われないです…。



とにかくこの作品の核は、蝶。
表紙にも本編にも、とにかく蝶が飛んで飛び交って飛び散って飛びまくる。
ひたすらに死を匂わせながら。
本来はなんとなく幸せなものの象徴のように描かれる蝶なのに
ここまで黒い感情で読まされることになろうとは…。
醜いもの、絶望するもの、欲望を潜ませるもの…いつも周りには蝶が飛ぶ。
加えて人の死に群がるような様子を見ると、嫌悪感しか感じられない。
けれど、思い出してみたい。
「死」という不吉なイメージを漂わせて、ページ中飛び交い続ける蝶だが
20100617113621.jpg

「綺麗過ぎです。」
 
美しいのだ。
人間は意味も分からずその美しさに魅かれ、つい見つめてしまう。
愚かにも、と付け加えてもいいかもしれない。
心の底にある、全ての死への憧れのような、破滅願望の表れか。
それとも、もっと素直な美的嗜好と捉えるべきか。
それにしたって、死を魅力を感じていることには、間違いないのだけれど
読者視点で読むから分かるだけで、登場キャラ本人にその気は全くないのが、また。

しかし、というか、だからこそ。
20100617113630.jpg(クリック拡大)
綺麗だとこぼした女が、ラストで蝶を握りつぶしたのが印象的
彼女の胸にあるのは希望だろうか、諦めだろうか。
前者だと思った人は残念。2ページ後にはそれを否定されるから、ガッカリするといい。
しかしこれは明らかな「選択」だ。何かを知って掴んだエンディングだ。

――――「君はもう 一生ここから出られないのに。」

そう女は告げる。
最後まで嫌なメッセージを叩きつけてくる漫画だなぁ。
逃げ場所もないこの世界で、人間はどう生きればいいのだろうか。
(上の女は、最終的には物語から脱出できているようにも思うが…)
加えて最強はこの言葉。

゛いつまでもお前の寝たふりが通用すると思うなよ"

絶望と向き合え。
強い意志を持て。
世界は永遠に終わらない。
いつまで見ないフリを続けるつもりだ。
嘘だ夢だ妄想だとごまかして、逃げんなよ。

ある意味僅かなメタフィクション的含みを持たせて、物語は幕を閉じる。
同時に醜い現実を突き付けて。
けれど一連のメッセージを受け取ってから、最後のページでひらめく蝶を見ると
「死」以外のイメージが、かすかに訪れるような気がする。
死を超越した、神の存在。
救いもせず見守るだけの、嫌な神様ですが。

そういえば。各話のインタールードで一羽でひらひら舞っていた1羽の蝶が
271ページでは2羽になっております。蝶=有江という証明か。
ここで終わってくれればよかったのに、エピローグであんなことになったから困るんだよなぁ。



魔法の箱

鈴木が持っていた、魔法を閉じ込めた秘密の箱。
結局は同じ男をぐるぐると巡り続けているだけのように思う。
老齢になった自分から、ただ涙を流すだけの、幼き日の自分へ。
この物語の主人公の一人である鈴木君ですが、彼に限って言えば
彼の物語は、完全なる自己完結の世界でのお話でしかないということになる。
けれど、作中唯一と言ってもいい、希望をイメージさせるモチーフであるこの箱。
結局それを開けるシーンは一度も無かったけれど、
「一度だけ魔法を使える」というこの箱は
やはりこの最低な世界を抜け出す、たっ一つの道のようにも思う。
本当に魔法があるかはわからないけれど、その自己暗示で開ける道があるのかも。
けれど11話でのあの見開きが、箱を開けたということを意味するのなら。
結局この話は、終わりのないループだってことなんだろう。

ラストで、鈴木少年に鈴木じいさんが箱を渡す。
「箱を開けるかどうかは君の自由だ」
そしてこう続く。
強い意志を持ちなさい。君の人生の行き先は、君が決めていいんだよ。」
この作品、各所でちょこちょこと「意思」というワードが入ってきます。
みんな口をそろえて「強い意志」を持て、と主人公に言っています。
けれど、最後まで読む面白いんだなぁこれが。
この作品における「強い意志」とは、必ずしも生を肯定するものではないのだ。
次の鈴木少年は、なにか世界を変えられるだろうか。
きっと、無理だ。



ペンダント

あと重要な要素として、蝶のペンダントってのがありますね。
右翼と左翼、2つの蝶のペンダントが漫画にはたびたび登場し
それぞれが本当に様々なルートを辿っていきます。
2つの移動ルートを考察していくだけでも長い記事ができそうなくらいw
けれど巡り巡って、両翼はついに巡りあう。
20100617225235.jpg
ここが、この作品を締めくくるのにベストなタイミングだったと個人的には思います。
けれどこの先にエピローグへと続く。
さらなる混乱と絶望を呼ぶ、救いのないエピローグが。
しかしそのエピローグにも、また面白い仕掛けがあるのですね。
20100617225315.jpg
右のコマに注目。
本当にさらりと描かれているのが、完成系の蝶のペンダント。
作中で完成系のペンダントが登場するのはこのシーンだけです。
それを胸に下げているのは……なんてのは、読んできた人ならすぐ分かったであろう人物。
なーるほど、なんて軽く言えるものではないのですが
さらりと答えをここで出してくれているのです。
全てのルーツと言っても存在が、ついにここで明かされるのですね。
この狂った世界を作り上げたと言ってもいいその存在。
もちろん、これで全てを解決できたというわけでは決してないのですが
というか不可解な謎を残したままなのですが
それでも、本書で唯一と言っていいほど、爽快なシーンでした。



結論から言って、面白い漫画であるとは思えません。
ただ、ひたすら心に、薄く覆いかぶさるような不快感や、絶望や、その他もろもろのできれば味わいたくない沢山のリアルな感情が、べったり張り付いて取れなくなってしまう。
読んでいて本当に精神がやられてきそうな圧迫感、消失感、閉塞感。
これだけ嫌な読後感は、そうそう味わえるものではありません。
受け入れられるかは読者側の問題。
浅野いにおという漫画家の真髄を見たような感じ。
ダメな人は読みだして3分もせずに「勘弁してくれ」と投げ出すでしょう。
それだけ唯一無二の精神世界を紡いだ力作であると言えます。

ちょっと長くなってしまいましたが結論。
傑作。
これだけ濃密な作品を味わえるのは、幸せなことではないだろうか。
浅野いにおという作家が、漫画界に残した大きな傷痕だと思う。
もちろん、いい意味でだ。

『虹ヶ原ホログラフ』 ………★★★★
ホラーサスペンス×哲学。カッコつけて言うとキッチュな魅力のある作品。
呑みんでも呑みこまれても、危険です。メンタル弱い人には絶対お薦めできません。

読んでいる間、RADWIMPSのバグッバイが脳内で鳴っていたので
やや無理矢理感漂いますが、記事タイトルに歌詞を引用しました。

[本]仮面少女meets変態紳士 『アマガミ Sincerely yours』1巻

アマガミ Sincerely yoursシンシアリーユアーズ(1) (ファミ通クリアコミックス)アマガミ Sincerely yoursシンシアリーユアーズ(1) (ファミ通クリアコミックス)
(2010/06/15)
桜 小鉄

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   キス…しちゃった …はじめての

ゲームのパケ絵も飾ったヒロインなのに、まさかの変化球キャラ。
ある意味でいろいろ新しい仮面優等生絢辻さんをメインに添えた漫画版。
ゲーム本編もドラマCDも本当に可愛い絢辻さんですが
この「Sincerely yours」はまた様々な彼女の素晴らしさを味わえる内容となっています。

クリスマスに行われる創設祭の手伝いをすることになった橘さんと正吉。
そしてふとしたきっかけで、創設祭実行委員の絢辻さんと出会う。
献身的に働く橘さんだったが、事故によって絢辻さんを押し倒し、挙句
20100616024214.jpg
むちゅーっとな。
しかもすぐ離れるでもなく、好機とばかりに長時間キープを図ろうとする。流石は橘さんッ
これによりたった一日でとんでもない仲になってしまう二人。
絢辻さんは今回の出来事をネタに橘さんを奴隷にしようとしますが…(語弊あり
導入はこんな感じですね。
単純なゲーム本編の漫画化ではなく、橘さんたちが1年生だったころを描く作品です。
この時点で俺の七咲の出番が無いorほとんど無いので決まりっぽくて
ちょっと残念ですが、絢辻さんがメインなので我慢しましょうw絢辻さんも大好きだし!
お弁当を食べてもらいたかった絢辻さんには大変悶えさせていただきましたよ!

登場ヒロインはメインの絢辻さん、薫、梨穂子、森嶋先輩(と、みゃー)。
どのキャラもそのキャラらしい活躍をしてくれていて面白かったです。
薫は元気一杯で楽しいし、森嶋先輩とのやりとりはヒドかったなぁw
「おッおしりが成っているッッ!!」じゃないよ橘さんw
森嶋さんは天然キャラ兼お色気担当なんでしょうか。
それとぽちゃ子(俺命名)もかわいかったなー、声にならない叫び!
20100616024218.jpg (クリック拡大)
…これ襲ってるとしか思えないですよ橘さん…。でも梨穂子もまんざらじゃないっぽいのがw
梨穂子メインのコミカライズも早く読んでみたいですねえ。
自分も梨穂子の体をぽにょぽにょしたいです(キリッ

それとみゃーラブ炸裂の巻末オマケ漫画も楽しめました。
みゃーかわいいよおおおお!!
20100616024204.jpg
ゲームだとちゃんとルートあるから胸関係ないよ!まぁ自分はまだ出来てませんが。
作画の桜小鉄先生はみゃーちゃんラブな様子で、毎回必ずみゃーが登場してます。
みゃーと橘さんのコンビはやっぱり良いなぁwなんだこの兄妹w
しかしなんとみゃーメインで漫画書くのは却下されてしまったようで…
…そんな不遇っぷりもみゃーの魅力、でしょうか…(ぉぃ

以上、どんなキャラより主人公が濃いという謎すぎるギャルゲーのコミカライズ。
各キャラとても魅力的。絢辻さんはエロいしかわいいしドSだし最高ですね!!
微妙にMっ気もあるのも、加えてポイント高いのです!
ゲームのような仮面キャラ暴露のサプライズはなかったですが、それはしょうがないですね。
シリアスもほとんど無く、気楽に楽しめる作品になっているのではないでしょうか。
橘さんも実にはりきってセクハラを繰り返していますので、橘さんファンにもばっちりお勧めできる一冊になっているかと。どれほどファンが居るのかは置いておきます。
アマガミ全体の盛り上がりにも、作品単体の盛り上がりにも期待していきたいですねー。

『アマガミ Sincerely yours』1巻 ………★★★☆
絢辻さんはかわいいなぁ!期待のアニメも7月より放送開始。要チェックです。

[アニメ]おっぱいとゴゥレム 『ブレイクブレイド』第1章

劇場版ブレイクブレイドについて。
「イヴの時間」と同じ劇場で続けざまに見て参りました。
いろいろ時間がやばいのでちょっと短めな更新になります。
昨日はサッカー見てて更新忘れてましたです…。

原作漫画ブレイクブレイドは、丁度2巻が発売したころに出会って
「こんなに面白いロボット漫画があったのか!」と感動した作品です。
巻を重ねるごとにスケールアップしていくし、とんでもないです。
まぁそんなわけで大好きなブレイクブレイドですが、この度映画化です。
しかも無謀にも全6章の連作映画として!
いろいろ心配もありましたが、なかなか製作陣も気合いの入ったメンバーで
これは原作ファンとしても見に行かなきゃな、と。



進行は2巻収録の第5話途中まで。
ところどころにシーンの追加・削除・順序変更がありましたが
ほとんど原作通りの進行と言っていいです。
第1章で世界観やメインキャラの説明をやりきったと思います。
声優陣も豪華で、そのせいで女性ファンがいろいろ問題も起こしたようですが
自分としてはどのキャラもまったく違和感ありませんでした。
注目のロボットアクションですが、これも迫力あり満足です。
この作品、ド派手な爆発とかはあり得ないのですが、
やはり手書きロボットの重圧感、素晴らしいですね。

原作順守とは言え、気になるシーンもたくさんありましたねー。
デルフィングの、石英を砕け散らしながらの登場シーンは流石に圧巻。
画面いっぱいに煌めく青い水晶と、武骨な黒いアンダーゴゥレム!
これは漫画版よりもかっこいいと感じましたww
あとはシリアスなシーン→おねんねシギュンのおしりドアップの謎コンボ。
これなんのアニメだよ…と本気で思いながらも、男なら凝視せざるを得ませんね。
パンツが純白なのも高得点。まったく人妻なのにどうしてこう可愛いのか…!
いや、人妻だからかわいいのか!!!
というかこの映画、シギュン・クレオの巨乳がやたら強調されてましたねw
特にクレオはほんと12歳とは思えない体つきwスタッフ楽しみすぎw
彼女たちの絡みもアニメで見れると良いなぁ…巨乳2人でいちゃいちゃ!

1時間に満たない上映時間なので「映画」を期待しすぎると
なんだか尻切れトンボみたいに感じてしまうかもしれません。
そういう方は、最後まで見てみようぜ!ってことでw
アニメ作品として、自分はかなり満足です。 
テレビ放送すれば絶対もっと盛り上がったのに…という思いはありますがw
第2章は今月末公開。楽しみです。



すいません、パンフのライガット役☆さんの写真は…ちょっと笑ったww

[本]家族と恋とおべんとう 『高杉さん家のおべんとう』1巻

レポートの書き方がまだいまいち掴めない。
高杉さん家のおべんとう 1高杉さん家のおべんとう 1
(2010/01/23)
柳原 望

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   この感じ 「家族」だ

31歳独身男のもとに、突然12歳の美少女がやってきた。
…と、ちょっと意地悪に設定だけ抜き出せば、わりと流行かつあざとい感じなのですが
作品として読むと、これが実に良い。本当に良い。
萌えがないわけではない、というか萌えまくれる一冊なんですけど
(萌えって言葉はあんまり使いたくないけど、こういう感情が萌えってもんだろう)
家族愛。やはりこれが一番強く感じます。ありきたりだけど。
いきなり家族になる、ではなく、がんばって家族になっていく漫画です。
2人を繋ぐのは、タイトルにもある通り、おべんとう。
一緒にお弁当を作ることで、2人は家族になっていきます。

面白いのが、メインテーマである「おべんとう作り」が
最初全然上手くいかないんですよねw
きんぴらごぼうだけをお弁当箱に詰め込んだり
記憶の中のハンバーグの隠し味を探すために躍起になったり
そのハンバーグだけとかの一品料理弁当を作っちゃったり…
2人とも、全然ダメダメなところからスタートする。
そして料理スキル上昇とともに深まる家族の絆。
地道な一歩一歩がすごく優しく描かれていて、もうずっとニヤニヤしっぱなしw
20100612223229.jpg
そして久留里ちゃんの「もふー」「もふん」がかわいいすぎる!
いじめと戦う勇気はあるけど、一人ぼっちだと不安になってしまう。
彼女にとって家族が、温己が必要になっていっているのが分かって、たまりませんね!

おべんとうで繋がる絆を描く本作ですが
この作品で描かれていくであろうものの真髄はすでに第一話にあるように感じます。
それはまごころと感謝。
おべんとうを作ってくれた人へ、「ごちそうさま」と直接言うのって、あまり無い。
けれど空っぽのお弁当箱から聞こえる、「カラン」という軽い音。
それで伝わる、確かなぬくもり。感謝。
20100612223645.jpg (クリック拡大)
おいしく食べて欲しいという気持ち。
まごころに応えたいという気持ち。
応えてもらえてうれしいという気持ち。
それが最初で、つまるところ最後に行き着く答えでもあるのでは。
ささやかで温かな、繋がるコール&レスポンス。
始まったばかりのこの家族は、これを何度も繰り返して成長していくんだろう。
第5話にもあったとおり、そういう意味でも「おべんとう」というワードは素敵だ。
「ほんの少し未来をしつらえる」んだ、おべんとうは。

人間の繋がりって、びっくりするくらい簡単なことで出来たりする。
偶然に過ぎないようなささいなことでも、意図しなかったことでも。
逆にがんばりすぎて空まわっちゃったり。
けど、近付きたいって気持ちがあれば、きっとなんでも上手くいくんだ。
そういうのが普通になって、どこにでもあって、思いあえるのが家族。
いいなぁ、ホっとする…w
晴れの日の匂いというか、なんだろ、草の香りがする漫画なのです。
上手く言語化出来ないのが歯がゆいw
なんにせよ、すごく心休まる作品だということです。
おべんとうをクローズアップした、ちょっと珍しい家族漫画。
これからも安心できる作品であり続けてほしいですね!

と思ったら
……おや、くるりの ようすが……
20100612223423.jpg (クリック拡大)

(主人公と結婚できることを確認して赤面する久留里ちゃん。)

どうなるんでしょうか(超笑顔)

『高杉さん家のおべんとう』1巻 ………★★★★
心温まるアットホーム・おべんとうストーリー。2巻は今月発売!



[アニメ]タノシイ未来 劇場版『イヴの時間』

劇場版「イヴの時間」見てきましたので、さらっと触れたいと思います。
アニメの記事は漫画で書く時とはずいぶん勝手が違う…。



もともと15分ほどの短編連作をネット上で公開していった作品。
こんかいは1stシーズル総まとめというわけで
既にネットで公開されていた全6篇を新作カットも加えつつシームレスに編集した劇場版です。
自分はネット公開されていた分を見たことはなく、
なんとな~くロボットが出てくるSFアニメーションだという認識だけ持って見に行きました。
たまたま伏見行ったらやってたからさ!

ストーリー。
人型ロボットが家庭内にいることが当たり前になった、いつかの日本。
けれどそこは夢溢れる未来というわけではなく、もっと冷めた、リアルな世界。
人間に近い姿形をしているからこそ、人間はアンドロイドとの明確な境界を欲すのだ。
アンドロイドは、家電である。
逆にアンドロイドに人に向けるべき愛情を持ってしまう人たちを「ドリ系」と呼んでメディアは率先して叩き、一般人もドリ系を忌み嫌う。
主人公のリクオもドリ系的人間を馬鹿にしていたような少年だったが
ふとしたきっかけで、不思議な喫茶店に足を踏み入れる。
名を「イヴの時間」。
そこは、人間と機械の境界がなくなる、異質な空間なのだった。
店の秘密を探るべく何度も通ううち、リクオは少しずつ変化していく…。



出演声優陣がやたら豪華だったのと、単純に評判が良かったので見た映画でしたが
まぁ要約すると泣きました。(超どうでもいい要約)
ラストのテックスは、話の持って行き方が素晴らしすぎた…。
まぁそれだけじゃなくて…
人間であることと、アンドロイドであること。
現代社会で、それこそ人間の男女以上に2分化されたそれ。
では、もしもそれを隔てる境界がなくなったら?
リアルに考えさせられる、深いテーマが魅力的です。

好きなキャラはサミィとアキコかな。
中でもアキコが語ったことがやはり印象的なのです。
違う存在だからこそ、理解したい。
逃げるでもなく差別するでもなく、理解し合いたい。
「だって、家族だから」
けれど後に、アキコはアンドロイドだったと判明します。
ここでリクオは初めてアンドロイドの心情を知るのですね。
アンドロイドが人間に歩み寄りたい、あるいは歩み寄ってほしいと考えていることが。
にしたって、アキコがアンドロイドだって分かった瞬間のリクオは
言葉ではいい表せないほど、怖い顔をしました。
あれだけ明るく話をしたアキコが、外ではアンドロイドとして生活している事実…。
そしてアンドロイドが、人間を「家族」と呼んでいること…。
それを受け止めきれず混乱してしまっている表情です。
あのシーンこそがやはりこの映画のキーであり、転換点でもあると思いますね。
事実あそこからリクオの中の常識は崩れ始めたのですから。
もちろん、社会にとっては間違った崩れ方なんですけど。
ここからのリクオの変化には、注目すると面白いと思います。
あ、サミィちゃんが実にエロかわいいので、その点にも注目ですよ!!ニコリ

イヴの時間では、人間とアンドロイドの区別がつかない。
誰が人間か機械か、なんて考えは、イヴの時間には要らない。
一歩外に出れば、悲しい世界が待っているのですから。
アンドロイドに感情をとりつけて世に生み出したのは人間のはずなのに
逆に人間が、アンドロイドの感情を否定し拒絶する世界が。
だからせめてこの喫茶店でだけは、同じ生き物としての時間を共有しましょう、と。
…感情をプログラムしてあるということは、開発者は望んでいたのではないでしょうか。
「イヴの時間」そのもののような世界を。
この喫茶店は、アンドロイドも人間も、いい方向に変えて行ってくれています。
いつかすべての人がそう変わってくれるといいなぁと。
この1stシーズンだけではまだまだ解決していない問題もたくさんありますが
明るい未来を示して終わってくれて、非常に晴れやかな気持ちになれました。
視点移動や画面演出も斬新で眼に残るものが多かったです。
総じて面白いアニメ作品だったと思います。
早く2ndシーズンが見たいww
ちゃんとやってくれるといいんですけどね~。
パンフレットもページが綴じてない、紙芝居風な仕様も面白いw
20100606102017.jpg

監督の前作「ペイル・コクーン」も見たくなりました。

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引っ越し先

ブログを引っ越しました。 当ブログは更新を停止し、新ブログにて更新をしています。 https://sazanami233.hatenablog.com/

楽園に花束を

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漣

Author:漣
「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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