[漫画]Reborn.『惡の華』9巻
タイトルは大好きなsyrup16gというバンドの、やさしい曲から。個人的には9巻に合う歌。
「時間は流れて 僕らは年をとり 汚れて傷ついて 生まれ変わっていくのさ」
完結となる第11巻が発売だ!ということで、まる1年できていなかった「惡の華」のコミックス感想を再開…。いまさらかよ!でも今やらなかったら本当にタイミングなくなってしまうよ!
書けていなかった9巻と10巻をやっていきます。そのあとに最終巻の感想を書く予定。
今日は9巻の感想記事です。
僕がきみの幽霊を殺す
いつまでも、ひとりぼっちなような気がしていた。
けれど分かち合える人と出会えて、手を取ることができた。
9巻は、そんなふうに、少年が生まれ変わるための物語だった。
もちろん本当にまっさらに生まれ変わることなんて出来ない。
過去と未来は地続きで、過去をなくすことも過去と無関係な未来を歩むこともできない。
けれど生まれ変わる。ここからが、彼の思春期のエンディングだ。
前巻→怯える幽霊と忘れられない華の影。『惡の華』8巻
●幽霊から生まれ変わるのだ
常磐さんの小説にはキーワードとして「幽霊」が使われている。
この言葉は春日の心を貫き、ひたすらに彼を虜にした。
そこにいるのに、こんなにも膨大な気持ちが溢れそうなのに、誰にも気付かれず、誰とも繋がれずにひとりぼっちの存在。
それを一言で「幽霊」と表現し、それはまるで自分のことだと春日は言う。
第44話「罪深い僕の心が求めるのは」は、1話単位で考えるならこれまででトップクラスに好きな一話となりました。
この回は春日の精神世界と、その自問自答、自己嫌悪との戦いが描かれていて、高校生・春日高男のその時点のすべてが炸裂しているような。
畳み掛けるような刺激的な言葉と印象深いカットの連発で、最高のカタルシスがこちらに体当りしてくるエピソードです。ここから彼は生まれ変わった。
仲村の幻影がうしろから見つめてくる。内なる自分が語りかけてくる。過去の罪の汚い嗤い声が響く。それでも春日の胸にいたのはひとりの女の子だった。
この44話では、囚われた屋敷に佇む2人の幽霊が描かれました。
これがそのシーン。春日と常磐がふたり、幽霊となって屋敷にとらわれている。
この時点で春日が、「常磐と付き合いたい」と思っていてそれが具現化したイメージがこれだった…とは思わない。そういう肉体的な欲求とは違う。
ふたりで幽霊となっているというこのイメージを浮かべたということは、
春日がそれだけ、常磐の中に自分とおなじ空気や温度を感じ取ったということだろうなと思う。
「一緒にいたい」というより「一緒にいなきゃいけない」という使命感に突き動かされたような感触ですね。
「キミはずっと…ひとりで悩んで…幽霊みたいに…」
「僕にはできない 一生 幽霊の世界で生きていくなんて」
そして春日は走り、「僕と生きてくれ」と、手を差し伸べる。
春日ってやっぱり行動力はあるよなぁ…!本作トップクラスの燃えシーンですよ!!
「生きてくれ」というのは、プロポーズのような重みを感じるフレーズだし
同時に「幽霊のきみを救ってみせる」という、彼女のナイーヴな部分に言及し、ふたりにしかわからないメッセージ性を宿した、とっておきの言葉だった。
そして春日自身の、幽霊としての自分から変わろうとする意思も含まれている。
ともに幽霊の世界から抜けだして、変わっていこうという強い覚悟が溢れる。
しかし「僕がきみの幽霊を殺す」と告白するのって……すごく……うん…うん!!!!!(身震いしながら) こういう文学的な言葉でやってしまうのが彼らしさであるし、こういう所に、常磐さんも心掴まれてしまったのかもしれないな。
抱きしめあって「あったかい」と言ったら、照れた恋人に叩かれてしまった。
そんな幸福な夜が、春日にもやってきた。
●「ただいま」
あれから影の落ちたままの春日一家。
そっけなく、過去には触れようとせず、恐れるように距離をとった家族。
しかし春日は、ようやく、「ただいま」を言うことが出来た。
それは再生の合言葉だったのかもしれない。
この「ただいま」は、簡単な言葉ではなかった。
外出して戻ってきたからの「ただいま」ではなくて、きっと数年来もの。
1人さまよって、寂しがっても1人で、涙を流したのもきっと1人だった。しかしこれからは違ってくる。誰かをともに生きる、平凡な世界へ、帰っていく。
親からしても、待ちわびた、希望の鐘のような一言だったに違いない。ここから再生する。
●握りつぶした惡の華
印象的だったのが、春日が惡の華を握りつぶした場面。
第44話は先ほども書きましたが彼の内面における葛藤が渦巻いていました。
その最後に、彼は惡の華を握りつぶす。そして常磐への告白へと駆け出すのです。
これが、個人的には、春日の思春期のエンディングのためのカギだった。
それはかつて彼が大切にしていた美しいものであり、魅力的な世界の象徴だった。
心に渦巻く闇や、破滅的な諦観や、暴れ狂う自意識や……様々なものが内包された、彼の思春期の象徴。それを彼は握りつぶした。彼の決意をこれほど強く表したシーンも無い。
第47話では、握りつぶしたあとの右手に惡の華の残骸がこびりついているシーンがあります。これが面白かったですね。「華」を握りつぶしたとて、その手が綺麗になるわけではない。心に黒くこびり付き、過去を忘れさせないための証となる。もしくは、忘れないための戒め。
また単行本巻末には、見開きで3枚のイラストが描かれています。
1枚目は「惡の華」の文庫本。佐伯さんの体操着。そびえ立つ山と降り注ぐ雨。
2枚目は無数に咲いた惡の華。燃え盛る炎。包丁。
これらのアイテムは物語の進行を表しているように思えます。
そして3枚目。これが良い。とてもいい。
「惡の華」の文庫本。バラの花。惡の華の残骸。階段に足をかける少年。
彼を惑わす「惡の華」はもう咲かない。かわりに咲くのは、愛の象徴である、バラの花。けれどかつて拠り所とした文庫本は今もある。そして少年は階段を登る。
春日が過去を乗り越えつつあることがわかる、素敵なイラストなのです。
「惡の華」9巻感想でした。過去最高に、ポジティブな内容だった……!!
わりとすぐに、つぎの10巻の感想にも着手します。
この9巻は、緊張で震えながら読みました…。
雑誌で読んでいたのですが、毎回毎回、凄まじいくらいのストーリーのうねり!
思春期のドロドロとした不安や疑心暗鬼や自意識をこれでもかとページにたたきつけていた中学生編。高校生編はそれよりも趣が違っていました。消せない過去、消せない罪を背負った、静かで残酷な傷だらけの日々。
けれど9巻は、春日が過去最高に前向きで格好良く、自分でなにかをつかみとろうとする必死さが、最高だった。間違いなく彼の人生のターニングポイント。
表情。言葉。心象風景。9巻はどれも絶品でした。
高校生編は特に、その場に流れている時間の流れや感触を描くことに、執念のような情熱を感じます。常磐と散歩して空を見上げたら、春日が泣いてしまう場面なんかは、こっちまで泣けてきた。
中学生編がリビドーと破壊衝動の爆発だったことを考えれば作品としてかなり雰囲気がかわりましたが、そういった面でもテクニックを感じますね。
ああ、もう、幸せそうで、良かったぞ、春日。よかったな。
『惡の華』9巻 ・・・・・・・・・★★★★
幽霊の世界から飛び出した。締め付けられるような切なさと高揚感に、全身震えてしまった巻でした。彼女が出来て幸福恐怖症な春日くんがかわいい。
「時間は流れて 僕らは年をとり 汚れて傷ついて 生まれ変わっていくのさ」
完結となる第11巻が発売だ!ということで、まる1年できていなかった「惡の華」のコミックス感想を再開…。いまさらかよ!でも今やらなかったら本当にタイミングなくなってしまうよ!
書けていなかった9巻と10巻をやっていきます。そのあとに最終巻の感想を書く予定。
今日は9巻の感想記事です。
惡の華(9) (少年マガジンコミックス) (2013/08/09) 押見 修造 商品詳細を見る |
僕がきみの幽霊を殺す
いつまでも、ひとりぼっちなような気がしていた。
けれど分かち合える人と出会えて、手を取ることができた。
9巻は、そんなふうに、少年が生まれ変わるための物語だった。
もちろん本当にまっさらに生まれ変わることなんて出来ない。
過去と未来は地続きで、過去をなくすことも過去と無関係な未来を歩むこともできない。
けれど生まれ変わる。ここからが、彼の思春期のエンディングだ。
前巻→怯える幽霊と忘れられない華の影。『惡の華』8巻
●幽霊から生まれ変わるのだ
常磐さんの小説にはキーワードとして「幽霊」が使われている。
この言葉は春日の心を貫き、ひたすらに彼を虜にした。
そこにいるのに、こんなにも膨大な気持ちが溢れそうなのに、誰にも気付かれず、誰とも繋がれずにひとりぼっちの存在。
それを一言で「幽霊」と表現し、それはまるで自分のことだと春日は言う。
第44話「罪深い僕の心が求めるのは」は、1話単位で考えるならこれまででトップクラスに好きな一話となりました。
この回は春日の精神世界と、その自問自答、自己嫌悪との戦いが描かれていて、高校生・春日高男のその時点のすべてが炸裂しているような。
畳み掛けるような刺激的な言葉と印象深いカットの連発で、最高のカタルシスがこちらに体当りしてくるエピソードです。ここから彼は生まれ変わった。
仲村の幻影がうしろから見つめてくる。内なる自分が語りかけてくる。過去の罪の汚い嗤い声が響く。それでも春日の胸にいたのはひとりの女の子だった。
この44話では、囚われた屋敷に佇む2人の幽霊が描かれました。
これがそのシーン。春日と常磐がふたり、幽霊となって屋敷にとらわれている。
この時点で春日が、「常磐と付き合いたい」と思っていてそれが具現化したイメージがこれだった…とは思わない。そういう肉体的な欲求とは違う。
ふたりで幽霊となっているというこのイメージを浮かべたということは、
春日がそれだけ、常磐の中に自分とおなじ空気や温度を感じ取ったということだろうなと思う。
「一緒にいたい」というより「一緒にいなきゃいけない」という使命感に突き動かされたような感触ですね。
「キミはずっと…ひとりで悩んで…幽霊みたいに…」
「僕にはできない 一生 幽霊の世界で生きていくなんて」
そして春日は走り、「僕と生きてくれ」と、手を差し伸べる。
春日ってやっぱり行動力はあるよなぁ…!本作トップクラスの燃えシーンですよ!!
「生きてくれ」というのは、プロポーズのような重みを感じるフレーズだし
同時に「幽霊のきみを救ってみせる」という、彼女のナイーヴな部分に言及し、ふたりにしかわからないメッセージ性を宿した、とっておきの言葉だった。
そして春日自身の、幽霊としての自分から変わろうとする意思も含まれている。
ともに幽霊の世界から抜けだして、変わっていこうという強い覚悟が溢れる。
しかし「僕がきみの幽霊を殺す」と告白するのって……すごく……うん…うん!!!!!(身震いしながら) こういう文学的な言葉でやってしまうのが彼らしさであるし、こういう所に、常磐さんも心掴まれてしまったのかもしれないな。
抱きしめあって「あったかい」と言ったら、照れた恋人に叩かれてしまった。
そんな幸福な夜が、春日にもやってきた。
●「ただいま」
あれから影の落ちたままの春日一家。
そっけなく、過去には触れようとせず、恐れるように距離をとった家族。
しかし春日は、ようやく、「ただいま」を言うことが出来た。
それは再生の合言葉だったのかもしれない。
この「ただいま」は、簡単な言葉ではなかった。
外出して戻ってきたからの「ただいま」ではなくて、きっと数年来もの。
1人さまよって、寂しがっても1人で、涙を流したのもきっと1人だった。しかしこれからは違ってくる。誰かをともに生きる、平凡な世界へ、帰っていく。
親からしても、待ちわびた、希望の鐘のような一言だったに違いない。ここから再生する。
●握りつぶした惡の華
印象的だったのが、春日が惡の華を握りつぶした場面。
第44話は先ほども書きましたが彼の内面における葛藤が渦巻いていました。
その最後に、彼は惡の華を握りつぶす。そして常磐への告白へと駆け出すのです。
これが、個人的には、春日の思春期のエンディングのためのカギだった。
それはかつて彼が大切にしていた美しいものであり、魅力的な世界の象徴だった。
心に渦巻く闇や、破滅的な諦観や、暴れ狂う自意識や……様々なものが内包された、彼の思春期の象徴。それを彼は握りつぶした。彼の決意をこれほど強く表したシーンも無い。
第47話では、握りつぶしたあとの右手に惡の華の残骸がこびりついているシーンがあります。これが面白かったですね。「華」を握りつぶしたとて、その手が綺麗になるわけではない。心に黒くこびり付き、過去を忘れさせないための証となる。もしくは、忘れないための戒め。
また単行本巻末には、見開きで3枚のイラストが描かれています。
1枚目は「惡の華」の文庫本。佐伯さんの体操着。そびえ立つ山と降り注ぐ雨。
2枚目は無数に咲いた惡の華。燃え盛る炎。包丁。
これらのアイテムは物語の進行を表しているように思えます。
そして3枚目。これが良い。とてもいい。
「惡の華」の文庫本。バラの花。惡の華の残骸。階段に足をかける少年。
彼を惑わす「惡の華」はもう咲かない。かわりに咲くのは、愛の象徴である、バラの花。けれどかつて拠り所とした文庫本は今もある。そして少年は階段を登る。
春日が過去を乗り越えつつあることがわかる、素敵なイラストなのです。
「惡の華」9巻感想でした。過去最高に、ポジティブな内容だった……!!
わりとすぐに、つぎの10巻の感想にも着手します。
この9巻は、緊張で震えながら読みました…。
雑誌で読んでいたのですが、毎回毎回、凄まじいくらいのストーリーのうねり!
思春期のドロドロとした不安や疑心暗鬼や自意識をこれでもかとページにたたきつけていた中学生編。高校生編はそれよりも趣が違っていました。消せない過去、消せない罪を背負った、静かで残酷な傷だらけの日々。
けれど9巻は、春日が過去最高に前向きで格好良く、自分でなにかをつかみとろうとする必死さが、最高だった。間違いなく彼の人生のターニングポイント。
表情。言葉。心象風景。9巻はどれも絶品でした。
高校生編は特に、その場に流れている時間の流れや感触を描くことに、執念のような情熱を感じます。常磐と散歩して空を見上げたら、春日が泣いてしまう場面なんかは、こっちまで泣けてきた。
中学生編がリビドーと破壊衝動の爆発だったことを考えれば作品としてかなり雰囲気がかわりましたが、そういった面でもテクニックを感じますね。
ああ、もう、幸せそうで、良かったぞ、春日。よかったな。
『惡の華』9巻 ・・・・・・・・・★★★★
幽霊の世界から飛び出した。締め付けられるような切なさと高揚感に、全身震えてしまった巻でした。彼女が出来て幸福恐怖症な春日くんがかわいい。
[漫画]まつりだ!じっくりカオスに織り込まれた短篇集『おるたな 宇河弘樹短編集2』
短縮気味。
お前は私の誇りだった
「おるたな 宇河弘樹短篇集2」の感想。
朝霧の巫女を完結させた宇河弘樹先生の短篇集、第二弾。(第一弾はかなり前に出た「妖の寄る家」です)
「おるたな」とくればスピッツだろうという自分の中の常識が覆されたタイトル。ということはどうでもよくて、今回も濃密な世界観を堪能できる、至福の一冊となっています。
メダマは「朝霧の巫女」の外伝。ですがほか二作もすごいので、短篇集としてかなりいい出来!
短篇集ということで3作品が収録されていますので、さくっと個別に。
・『炎上の猫三味線』
これは今回初めて読んだ作品。コミックヴァルキリー掲載。ヴァルキリーまでは追えていなかったなぁ……。
愛に狂いし化け猫が追って達とバトルする、この本の中ではアクション重視な作品。
ドがつくほどシリアスなようで、三味線と同化した謎ウェポンで銃撃戦かましつつ、あっさり生き死にが決する。ハチャメチャなテンションを感じます。
アクションの面白さも設定のエグさや面白さも、物語の疾走感のなか十分に詰め込まれていますね。
愛する男の革で仕立てたであろう三味線。それを愛でる猫女。彼女に執着するもうひとりの猫女。
闇やら病みやら感じるエッセンスも効き、物淋しい結末も味わい深い。
巻末告知によると、どうやらこの作品をたたき台とした新連載がアワーズGHにて開始される予定があるとのことで、読者としてもテンション上がる。
・『THE CINDERELLA SHOES』
ドラゴンエイジpureに掲載された読み切り。これは当時雑誌を買って読んで、かなり気に入っていた作品。ようやく単行本化してくれたか待ってたぞ!
舞台の面白さもさることながら、描かれる親子関係、主従関係、……それらがからみ合って読み応えバッチリ!
ジェンダー的テーマが大きく見えていますが、それだけではなく生きるということへの示唆に富んだ爽快なクライマックスもたまらない。
泥だらけにしたドレスと靴でなお荒野を進み、宇宙にまでだって手を伸ばす。強く美しいその横顔。
「わたしのおっぱい 見る?」のセリフはその文面から漂うムードとはまったく逆方向に心えぐられ、かなりの名シーンとなってるよなぁ。
名シーンといえば父親との決別の場面も、相当に胸が熱くなる。
個人的にはこの本で一番好きな短編で、何度も読み返してしまう傑作。性の面倒くささと向き合い、覚悟と決断をし、未来を切り開く、とてもとても眩しいストーリー。
あとがきではこの作品の続編ネタが放り込まれています……めちゃくちゃ面白そうなアイデアなので、はやく作品として読みたいんですが!!
・『アサギリノミコ』
まつりだ!ということで朝霧の巫女外伝。
かなり遊びを入れているコメディ全開のセルフパロディものとなっています。朝霧の巫女の主要キャラが再登場し、かなり混沌とした進行w
日瑠子陛下がすごく!ヒロインしてる!(大事)
アワーズでときどき、本当に時々掲載され「これ単行本化するのか?」と怪しんで切り取って保存していましたが、ちゃんとコミックスにまとまりました。安心。
連作短編ということでそれならではのドライブ感で暴走しますが、最後にちゃんとオチがつくのはすごいなw
本編完結後だからこそのお祭りパラレルワールドで、なんとなく、これで朝霧が本当に完結したか……と今になって思えてしまいました。
こんなおふざけ漫画でも作画の重厚さには気合が入っていて(特にアクション)、やはり話も絵もセットで噛み合っている作家さんだよなあ。
そんな短篇集。
荒々しさも繊細さも情緒あるタッチに同居させる作画と、人間のヘヴィーな心情を書き綴るストーリーセンス、どちらも非凡なものを感じさせてくれる作家さんの魅力が出ている一冊になったと思います。
この本を手に取る人は「朝霧の巫女」既読者がおおいんじゃないかなぁとは感じますが、ここから宇河作品に入ってもも楽しめるのでは。朝霧とは無関係の読み切り2作品もクオリティ高いです。
今度から新連載が始まるとのことですが、連載ペースはどうなるのか(ビクビク)
『おるたな 宇河弘樹短篇集2』・・・・・・・・・★★★★
「THE CINDERELLA SHOES」が単行本収録されたということが自分にとって価値ありまくり。じっくりカオスに織り込まれた短篇集。
おるたな―宇河弘樹短編集2 (ヤングキングコミックス) (2014/05/16) 宇河 弘樹 商品詳細を見る |
お前は私の誇りだった
「おるたな 宇河弘樹短篇集2」の感想。
朝霧の巫女を完結させた宇河弘樹先生の短篇集、第二弾。(第一弾はかなり前に出た「妖の寄る家」です)
「おるたな」とくればスピッツだろうという自分の中の常識が覆されたタイトル。ということはどうでもよくて、今回も濃密な世界観を堪能できる、至福の一冊となっています。
メダマは「朝霧の巫女」の外伝。ですがほか二作もすごいので、短篇集としてかなりいい出来!
短篇集ということで3作品が収録されていますので、さくっと個別に。
・『炎上の猫三味線』
これは今回初めて読んだ作品。コミックヴァルキリー掲載。ヴァルキリーまでは追えていなかったなぁ……。
愛に狂いし化け猫が追って達とバトルする、この本の中ではアクション重視な作品。
ドがつくほどシリアスなようで、三味線と同化した謎ウェポンで銃撃戦かましつつ、あっさり生き死にが決する。ハチャメチャなテンションを感じます。
アクションの面白さも設定のエグさや面白さも、物語の疾走感のなか十分に詰め込まれていますね。
愛する男の革で仕立てたであろう三味線。それを愛でる猫女。彼女に執着するもうひとりの猫女。
闇やら病みやら感じるエッセンスも効き、物淋しい結末も味わい深い。
巻末告知によると、どうやらこの作品をたたき台とした新連載がアワーズGHにて開始される予定があるとのことで、読者としてもテンション上がる。
・『THE CINDERELLA SHOES』
ドラゴンエイジpureに掲載された読み切り。これは当時雑誌を買って読んで、かなり気に入っていた作品。ようやく単行本化してくれたか待ってたぞ!
舞台の面白さもさることながら、描かれる親子関係、主従関係、……それらがからみ合って読み応えバッチリ!
ジェンダー的テーマが大きく見えていますが、それだけではなく生きるということへの示唆に富んだ爽快なクライマックスもたまらない。
泥だらけにしたドレスと靴でなお荒野を進み、宇宙にまでだって手を伸ばす。強く美しいその横顔。
「わたしのおっぱい 見る?」のセリフはその文面から漂うムードとはまったく逆方向に心えぐられ、かなりの名シーンとなってるよなぁ。
名シーンといえば父親との決別の場面も、相当に胸が熱くなる。
個人的にはこの本で一番好きな短編で、何度も読み返してしまう傑作。性の面倒くささと向き合い、覚悟と決断をし、未来を切り開く、とてもとても眩しいストーリー。
あとがきではこの作品の続編ネタが放り込まれています……めちゃくちゃ面白そうなアイデアなので、はやく作品として読みたいんですが!!
・『アサギリノミコ』
まつりだ!ということで朝霧の巫女外伝。
かなり遊びを入れているコメディ全開のセルフパロディものとなっています。朝霧の巫女の主要キャラが再登場し、かなり混沌とした進行w
日瑠子陛下がすごく!ヒロインしてる!(大事)
アワーズでときどき、本当に時々掲載され「これ単行本化するのか?」と怪しんで切り取って保存していましたが、ちゃんとコミックスにまとまりました。安心。
連作短編ということでそれならではのドライブ感で暴走しますが、最後にちゃんとオチがつくのはすごいなw
本編完結後だからこそのお祭りパラレルワールドで、なんとなく、これで朝霧が本当に完結したか……と今になって思えてしまいました。
こんなおふざけ漫画でも作画の重厚さには気合が入っていて(特にアクション)、やはり話も絵もセットで噛み合っている作家さんだよなあ。
そんな短篇集。
荒々しさも繊細さも情緒あるタッチに同居させる作画と、人間のヘヴィーな心情を書き綴るストーリーセンス、どちらも非凡なものを感じさせてくれる作家さんの魅力が出ている一冊になったと思います。
この本を手に取る人は「朝霧の巫女」既読者がおおいんじゃないかなぁとは感じますが、ここから宇河作品に入ってもも楽しめるのでは。朝霧とは無関係の読み切り2作品もクオリティ高いです。
今度から新連載が始まるとのことですが、連載ペースはどうなるのか(ビクビク)
『おるたな 宇河弘樹短篇集2』・・・・・・・・・★★★★
「THE CINDERELLA SHOES」が単行本収録されたということが自分にとって価値ありまくり。じっくりカオスに織り込まれた短篇集。
[漫画]傷つきやすくて暴れやすい、沸騰気味の思春期ハート『R-中学生』3巻
更新ペース落ちててごめんなさい。いずれ戻れるかなと。
馬鹿だなぁ、お前ら。
バカで下品でリビドー全開な中学生漫画「R-中学生」3巻。完結です。
あーーー終わってしまったーーーー…。大好きな作品でしたよ本当に。
バカバカしくってそれがなんだか愛おしく、性欲に突き動かされてるだけのあの時代を思い出し、かすかにノスタルジックな気分にさせられ、でもやっぱり最高に下らなくて笑えてしまう、素晴らしい純度の思春期漫画でした。
とにかく若々しいエネルギーにあふれた本作。
最終巻となった3巻は、まさに作品の集大成とも言える結実を見せます。
「恥ずかしい」という気持ちとどう向き合うか。
思春期なんて自意識の塊みたいなもので…まぁ思春期でなくても恥への抵抗は人ならある。
そこで「R-中学生」は恥ずかしさを乗り越えて成長する。大人へと駆けていく子どもたちの、その眩しい背中を見つめるような確かな感動がありました。
3巻表紙は読者から見て向こう側へと歩いていくメイン男子3人。バイバイだ。
秘密のカイカン・・・傷だらけの僕らの思春期。『R-中学生』1巻
リビドー全開!とびきりビタースイート!『R-中学生』2巻
個人的にこの3巻は、上でも書きましたが、「恥ずかしさと向き合う中学生」がテーマになっているように感じました。
大きく2つの章に分けられていて、前半が椎名さんと大蔵くんのエピソード。そして後半が伊地知くんのエピソード。
伊地知くんはR-中学生の第一話のメインを務めた少年であり、納得です。
順番に2つのエピソードについて感想書いていきます。ネタバレ込み。
●椎名さん&大蔵くん
女装趣味のある大倉くんが贔屓にしている、衣装のオーダーメイドをしてくれるブランド“α”。実はこれを社長をやっていたのが…というお話。
なんといっても楽しいのが大蔵くんのハッチャケぶりである。
恐らく友達もおらず、こっそりノートに衣装のデザインを描いていた大蔵くん。
しかし幸か不幸か、R-中学生の主人公軍団に女装趣味を発見され…
これはいかんぞ…けっして癒えない心の傷を負ってしまう…!!
と思ったらぽつりと言われた「かわいい」の一言に大興奮。自らを超開放してクラスでファッションショー開いちゃうまで行く。
大蔵くんがいいキャラですよ。恥ずかしさの呪縛から解き放たれてとても楽しそうなんですよ。
「かわいい」という言葉が嬉しかった。その興奮が恥ずかしさを上回った。
今までの「R-中学生」としてもかなり浮いているキャラ(まぁ濃いキャラばっかりだし、みんな浮いてるようなもんか)ですが、周囲とは違うものを持っていても鬱屈していない、キラキラした男の子で好感が持てます。まぁ歪んですれまくりなヤツも大好きですがw
そういうちょっとスレちゃった女の子である椎名さんと、いい組み合わせだと思いますよ。
●伊地知くん
さて、本番。椎名さん編での彼の妙な挙動はここにつながる。
女子の汚物フェチ。それは当然クラスメイトはもとより、仲のいい堀田や吉倉にも知られていない…いなかった。けれど今回彼のその性癖が、学校を揺るがす大騒動へとつながっていきます。
まぁ盗んだナプキンを隠れてクンカクンカしてたらバレちゃったという
どーしようもない現行犯逮捕だったわけですが、これは重大事件です。
リアルにドン引かれ、面白がった奴らから迫害をうける。
先生は「彼はこのままだと性犯罪者。どうすれば彼を救えるか、みんなで意見を出しあいましょう」とクラス会議開いちゃう。居場所なんて学校から消え失せる。
しかしそんな中で少年たちの友情が熱く心に染みる。
普段バカばっかりやってる連中。それはシリアスな展開な中でも変わらない。
彼らはむしろ、バカであることを貫くことで、この危機を打ち破ろうとする。
真面目に、正しいことと信ずるため、バカをやる。
なんだろうなぁ。…この胸がスカッとするよな熱さは…!!
感動というか誇らしいというか、愚かさがそのダメさを失わないまま正当な武器にできてしまうのが素晴らしい。なんとも心突き動かします。
当然なダメなんだよ。いけないことなんだよ。でもあえてバカな方法でしか戦わないこんな奴らが、ほんと大好き。
なにが「チンブラ四天王」だよってみんな呆れたり怒ったりする。
けれどそんなの知ったことではないのだ。バカでいたい。バカなことをしでかした友のために、みんなの底にある汚れた部分だって晒すのだ。
そして熱狂が支配するラストシーンに向かう
全校集会で男女みんなが「オナニー!」と叫びまくる…!!
もう何も言えない。突き抜けた情熱でバカなことをしでかしたら、それはそれは、心はスッキリ晴れ渡るものです。最ッ高に笑えて、感動できる場面ですよ!
オナニーはこんなふうに明るみに出せる話題じゃない。当然。
デリケートな中学生だもの。友達と下ネタで話すことはあっても、例えば異性の目の前で自分のそんな恥部を晒す勇気なんて普通無い。
ましてやここは全校集会の場。こんな注目を浴びてしまえば好奇な注目を集めてしまい、いじめられてしまうかも知れない。
でも。誰か1人だけに傷つかせちゃならないと、自らそんな恥部をさらけ出す連中がたくさんいる。
やがてそんな流れを面白がる人間も乗っかりだして、最終的にはこの意味不明のテンションが支配する、全校集会でのオナニーコールへと突入する。
しかしまっさきにオナニーの告白をした女の子、中田さんの漢っぷりな…!!
普段おっとり、でも怒るとコワい。そんな二面性をもった少女なのですが
この告白をするとき、彼女は至って平然と、いつものおっとり口調で「わたしはオナニーしてまーす」。女の子なんて特に羞恥が強いだろうに先陣切っちゃったよこの娘!
「私は別に、恥ずかしくないです」
「やましい気持ちがあることのが普通で人間らしくて、私はすきです」
これですよ。恥ずかしさとどう向き合うかって、ひとつの答えがここにある。
中学生としてはやや達観しているかもしれない。でも真摯な言葉だ。
こんな立派なこと、きっと男子たちは思ってもいられない。
けれどそれでも立ち上がれたのは、友達を助けるためっていう、すごく純粋な熱意。
自分たちが中心となって巻き起こしたこの前代未聞の珍事。
この日は一生ものの思い出になったろうさ。間違いなく。
沸騰したみたいな物語のテンションに滅茶苦茶ワクワクしながら読んでいて、読み終えたと思ったら、少し泣いてた。
馬鹿だなぁ、お前ら。
全力の愛をこめたであろう担任教師のこの一言は、まさに俺のものでもある。
そんな「R-中学生」最終巻でした。
なんかほぼ話の筋書いてしまったわけですが…この後半の展開は…本当に語りたかった…。大好きな場面です。これぞR-中学生!
最終話、みんなで帰っていく場面の、なんとも言えない寂寥感…。
でもどんな関係に落ち着くのか、もしかしたら示唆されてるような気もして、じんわり胸に染み渡る幸福感…。甘酸っぱい夕暮れが胸に染みる…。
「俺もオナニーしてます!!多分数えきれないほど今までやってます!!」
と絶叫告白したら、好きな稲沢さんから「ちょっとかっこよかった」と言われちゃう吉倉ァ!!!うまくいってね。
最後、みんな伊地知くんにある程度の理解を示して許せたのは
「他の人とちがう欲求を持っている自分」を、少しでも認識しているからかもな。
ひっそりと、誰にも知られないように隠している本心とか欲望とか…みんなあるはず。特に性に芽生えた中学生で、一切無いなんてことがきっと無い。
心の奥深いところで生まれた共鳴が、最後に爆音のオナニーコールに化けた。そう思うと、やっぱり素晴らしいクライマックスだと思います。
思春期の繊細さが、その殻をぶち破る瞬間が見れた。幸せなことです。
「中学のころ学校でさ、全校集会中に男子も女子もオナニーって叫びまくったことあったんだ」
「なにそれ、どういう状況よ」
「よく分かんないけど、でも俺も一緒になって叫んだなぁ。今でも思い出すと興奮してくるわ」
なんて、同僚との何気ない飲み会のネタのひとつになったりするかも知れない。
バカだなぁ、でもあの頃はムチャクチャだったな…なんて苦笑交じりに思いながら、思春期の眩さを思い出して涙が出そうになったりする。
あの日を。それ以外のどうでもいい日も思い出して、胸の奥がキュッとなる。
彼らにも、きっとそんな未来が待ってる。子供は大人になる。忘れ去られる日々があって、ずっと鮮明に刻まれる一瞬がある。
中学生にしか歩めない馬鹿げた日常がある。あったのだ、きっとそれぞれに。
時に逃げ出したり、時に熱くなりすぎちゃったり、暴走したり泣いたり傷ついたり。そんな愛すべきしょーーーもない時間は、中学生にこそ許された宝物のようなひと時。R-中学生に届けられる、あの頃のときめき。
…うん。浸って書きすぎた!反省。
「R-中学生」これにてお終い。エバーグリーンな魅力を放つ思春期漫画。
モヤモヤしてばかりだったあの時代は、思い出になって暫くすると何故だかキラキラしだして困る。自分と重ねて楽しんだり、そうでなくても、思春期を通過した者の心になにかしら感触を残す、傑作だと思います。
『R-中学生』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
素晴らしい最終巻でした。敏感思春期ハートの傷と熱、突き刺さる。
淫らで清々しい、痛くて柔らかくて冷たくて、ちょっと泣ける。こんな青春。
R-中学生(3)<完> (ヤングマガジンコミックス) (2013/07/05) ゴトウ ユキコ 商品詳細を見る |
馬鹿だなぁ、お前ら。
バカで下品でリビドー全開な中学生漫画「R-中学生」3巻。完結です。
あーーー終わってしまったーーーー…。大好きな作品でしたよ本当に。
バカバカしくってそれがなんだか愛おしく、性欲に突き動かされてるだけのあの時代を思い出し、かすかにノスタルジックな気分にさせられ、でもやっぱり最高に下らなくて笑えてしまう、素晴らしい純度の思春期漫画でした。
とにかく若々しいエネルギーにあふれた本作。
最終巻となった3巻は、まさに作品の集大成とも言える結実を見せます。
「恥ずかしい」という気持ちとどう向き合うか。
思春期なんて自意識の塊みたいなもので…まぁ思春期でなくても恥への抵抗は人ならある。
そこで「R-中学生」は恥ずかしさを乗り越えて成長する。大人へと駆けていく子どもたちの、その眩しい背中を見つめるような確かな感動がありました。
3巻表紙は読者から見て向こう側へと歩いていくメイン男子3人。バイバイだ。
秘密のカイカン・・・傷だらけの僕らの思春期。『R-中学生』1巻
リビドー全開!とびきりビタースイート!『R-中学生』2巻
個人的にこの3巻は、上でも書きましたが、「恥ずかしさと向き合う中学生」がテーマになっているように感じました。
大きく2つの章に分けられていて、前半が椎名さんと大蔵くんのエピソード。そして後半が伊地知くんのエピソード。
伊地知くんはR-中学生の第一話のメインを務めた少年であり、納得です。
順番に2つのエピソードについて感想書いていきます。ネタバレ込み。
●椎名さん&大蔵くん
女装趣味のある大倉くんが贔屓にしている、衣装のオーダーメイドをしてくれるブランド“α”。実はこれを社長をやっていたのが…というお話。
なんといっても楽しいのが大蔵くんのハッチャケぶりである。
恐らく友達もおらず、こっそりノートに衣装のデザインを描いていた大蔵くん。
しかし幸か不幸か、R-中学生の主人公軍団に女装趣味を発見され…
これはいかんぞ…けっして癒えない心の傷を負ってしまう…!!
と思ったらぽつりと言われた「かわいい」の一言に大興奮。自らを超開放してクラスでファッションショー開いちゃうまで行く。
大蔵くんがいいキャラですよ。恥ずかしさの呪縛から解き放たれてとても楽しそうなんですよ。
「かわいい」という言葉が嬉しかった。その興奮が恥ずかしさを上回った。
今までの「R-中学生」としてもかなり浮いているキャラ(まぁ濃いキャラばっかりだし、みんな浮いてるようなもんか)ですが、周囲とは違うものを持っていても鬱屈していない、キラキラした男の子で好感が持てます。まぁ歪んですれまくりなヤツも大好きですがw
そういうちょっとスレちゃった女の子である椎名さんと、いい組み合わせだと思いますよ。
●伊地知くん
さて、本番。椎名さん編での彼の妙な挙動はここにつながる。
女子の汚物フェチ。それは当然クラスメイトはもとより、仲のいい堀田や吉倉にも知られていない…いなかった。けれど今回彼のその性癖が、学校を揺るがす大騒動へとつながっていきます。
まぁ盗んだナプキンを隠れてクンカクンカしてたらバレちゃったという
どーしようもない現行犯逮捕だったわけですが、これは重大事件です。
リアルにドン引かれ、面白がった奴らから迫害をうける。
先生は「彼はこのままだと性犯罪者。どうすれば彼を救えるか、みんなで意見を出しあいましょう」とクラス会議開いちゃう。居場所なんて学校から消え失せる。
しかしそんな中で少年たちの友情が熱く心に染みる。
普段バカばっかりやってる連中。それはシリアスな展開な中でも変わらない。
彼らはむしろ、バカであることを貫くことで、この危機を打ち破ろうとする。
真面目に、正しいことと信ずるため、バカをやる。
なんだろうなぁ。…この胸がスカッとするよな熱さは…!!
感動というか誇らしいというか、愚かさがそのダメさを失わないまま正当な武器にできてしまうのが素晴らしい。なんとも心突き動かします。
当然なダメなんだよ。いけないことなんだよ。でもあえてバカな方法でしか戦わないこんな奴らが、ほんと大好き。
なにが「チンブラ四天王」だよってみんな呆れたり怒ったりする。
けれどそんなの知ったことではないのだ。バカでいたい。バカなことをしでかした友のために、みんなの底にある汚れた部分だって晒すのだ。
そして熱狂が支配するラストシーンに向かう
全校集会で男女みんなが「オナニー!」と叫びまくる…!!
もう何も言えない。突き抜けた情熱でバカなことをしでかしたら、それはそれは、心はスッキリ晴れ渡るものです。最ッ高に笑えて、感動できる場面ですよ!
オナニーはこんなふうに明るみに出せる話題じゃない。当然。
デリケートな中学生だもの。友達と下ネタで話すことはあっても、例えば異性の目の前で自分のそんな恥部を晒す勇気なんて普通無い。
ましてやここは全校集会の場。こんな注目を浴びてしまえば好奇な注目を集めてしまい、いじめられてしまうかも知れない。
でも。誰か1人だけに傷つかせちゃならないと、自らそんな恥部をさらけ出す連中がたくさんいる。
やがてそんな流れを面白がる人間も乗っかりだして、最終的にはこの意味不明のテンションが支配する、全校集会でのオナニーコールへと突入する。
しかしまっさきにオナニーの告白をした女の子、中田さんの漢っぷりな…!!
普段おっとり、でも怒るとコワい。そんな二面性をもった少女なのですが
この告白をするとき、彼女は至って平然と、いつものおっとり口調で「わたしはオナニーしてまーす」。女の子なんて特に羞恥が強いだろうに先陣切っちゃったよこの娘!
「私は別に、恥ずかしくないです」
「やましい気持ちがあることのが普通で人間らしくて、私はすきです」
これですよ。恥ずかしさとどう向き合うかって、ひとつの答えがここにある。
中学生としてはやや達観しているかもしれない。でも真摯な言葉だ。
こんな立派なこと、きっと男子たちは思ってもいられない。
けれどそれでも立ち上がれたのは、友達を助けるためっていう、すごく純粋な熱意。
自分たちが中心となって巻き起こしたこの前代未聞の珍事。
この日は一生ものの思い出になったろうさ。間違いなく。
沸騰したみたいな物語のテンションに滅茶苦茶ワクワクしながら読んでいて、読み終えたと思ったら、少し泣いてた。
馬鹿だなぁ、お前ら。
全力の愛をこめたであろう担任教師のこの一言は、まさに俺のものでもある。
そんな「R-中学生」最終巻でした。
なんかほぼ話の筋書いてしまったわけですが…この後半の展開は…本当に語りたかった…。大好きな場面です。これぞR-中学生!
最終話、みんなで帰っていく場面の、なんとも言えない寂寥感…。
でもどんな関係に落ち着くのか、もしかしたら示唆されてるような気もして、じんわり胸に染み渡る幸福感…。甘酸っぱい夕暮れが胸に染みる…。
「俺もオナニーしてます!!多分数えきれないほど今までやってます!!」
と絶叫告白したら、好きな稲沢さんから「ちょっとかっこよかった」と言われちゃう吉倉ァ!!!うまくいってね。
最後、みんな伊地知くんにある程度の理解を示して許せたのは
「他の人とちがう欲求を持っている自分」を、少しでも認識しているからかもな。
ひっそりと、誰にも知られないように隠している本心とか欲望とか…みんなあるはず。特に性に芽生えた中学生で、一切無いなんてことがきっと無い。
心の奥深いところで生まれた共鳴が、最後に爆音のオナニーコールに化けた。そう思うと、やっぱり素晴らしいクライマックスだと思います。
思春期の繊細さが、その殻をぶち破る瞬間が見れた。幸せなことです。
「中学のころ学校でさ、全校集会中に男子も女子もオナニーって叫びまくったことあったんだ」
「なにそれ、どういう状況よ」
「よく分かんないけど、でも俺も一緒になって叫んだなぁ。今でも思い出すと興奮してくるわ」
なんて、同僚との何気ない飲み会のネタのひとつになったりするかも知れない。
バカだなぁ、でもあの頃はムチャクチャだったな…なんて苦笑交じりに思いながら、思春期の眩さを思い出して涙が出そうになったりする。
あの日を。それ以外のどうでもいい日も思い出して、胸の奥がキュッとなる。
彼らにも、きっとそんな未来が待ってる。子供は大人になる。忘れ去られる日々があって、ずっと鮮明に刻まれる一瞬がある。
中学生にしか歩めない馬鹿げた日常がある。あったのだ、きっとそれぞれに。
時に逃げ出したり、時に熱くなりすぎちゃったり、暴走したり泣いたり傷ついたり。そんな愛すべきしょーーーもない時間は、中学生にこそ許された宝物のようなひと時。R-中学生に届けられる、あの頃のときめき。
…うん。浸って書きすぎた!反省。
「R-中学生」これにてお終い。エバーグリーンな魅力を放つ思春期漫画。
モヤモヤしてばかりだったあの時代は、思い出になって暫くすると何故だかキラキラしだして困る。自分と重ねて楽しんだり、そうでなくても、思春期を通過した者の心になにかしら感触を残す、傑作だと思います。
『R-中学生』3巻 ・・・・・・・・・★★★★☆
素晴らしい最終巻でした。敏感思春期ハートの傷と熱、突き刺さる。
淫らで清々しい、痛くて柔らかくて冷たくて、ちょっと泣ける。こんな青春。
[漫画]ギリギリなネタ満載!出版社の擬人化マンガ『飯田橋のふたばちゃん』1巻
飯田橋のふたばちゃん(1) (アクションコミックス) (2013/06/28) 横山 了一 商品詳細を見る |
マンガ界とは一切関係ありません
世の中にはいろんな擬人化漫画がありますが…漫画好きだからこそ楽しめる擬人化漫画としては、かなりの面白さだと思います。「飯田橋のふたばちゃん」1巻がでました。
これは出版社を擬人化した漫画。
ネット上で話題になったりしてるのでそれで知った人も多そう。やっと単行本化ですよ!!
S英社、K談社、S学館にA田書店…などなど他にもたくさんあるもんですが、そんな各社の特徴を盛り込んだ女子高生たちの賑やかな4コマ漫画となっています。
だいぶ危ないネタも飛び出してきて、かわいい&きわどい!
その会社を代表する作品のネタはもちろんのこと、あんまり明るみには出せないようなブラックな一面もばっちり仕込まれています。
だ、大丈夫!実在する出版社とは一切関係ないハズだから!あくまでもソレっぽい名前とそれっぽい特徴の女の子たちがワイワイやってるだけだから!
当然ですがほぼ全ネタ、その出版社らしいオチが付く。
正直メチャクチャ面白い漫画だと思うんですけど、あまりに細かいネタを拾ってくるコアな4コマギャグとなっており、読者にもある程度の知識が求められているよなぁ…!
現実の出版社ごとのカラーを知っているから、この漫画を読んで「どこまで踏み込んでいるのか」というギリギリ感に笑わせられる!
だから知らないと反応できない所もちらほら…。俺はホーム社、銀杏社あたりは「そ、そうなの…?」という感じでした。
特にブラックネタ関係は、「そういうことがあった」ということを知ってないとチンプンカンプンな部分が多いし。(S学館ちゃんやたらとものを無くしちゃう
だからこそか、分かる際どいネタの数々に「大丈夫かよこれwww」と興奮する。
風刺っぽいコメディというのは受け手にも結構求められる要素が大きいかもしれない。「漫画好きだからこそ楽しめる」と思うのは、そういう部分です。
作者的にはギリギリをせめているんでしょうが、まぁほぼアウトだよねこれw
しかしブラックユーモアばかりというわけもなく、徹底的な出版社単位のパロディも輝いていますね。有名作品のパロディの数々…!
ネタのチョイスがお見事ですし、それぞれの女の子もとてもキャラが立ってる!
集英ちゃんは束縛が強く結果次第で即打ち切り、ジャンプシステム丸出し。
小学ちゃんは恋愛面に強いけどおっちょこちょいでたまに物を無くす。
講談ちゃんはデンプシーロールと丸太アタックが得意技。ゴシップ集めも好き。
秋田ちゃんはヤンキー。単行本発売に関してシビア。危ない妹がいる。
そして主人公兼ツッコミ役が双葉ちゃん。地味だが親族エロまみれ。
他にもメインの出版社はあらかた登場して、それぞれに個性的なキャラになってます。ウィキを見たらご丁寧に各キャラごとのブラックな一面に関するリンクまで貼られているのでヒドイとおもいました、まる。
個人的に白泉ちゃん、スクエミちゃんが出てくると賑やかで楽しいなぁ。
というか秋田ちゃんのキャラ立ちはすごいわw
秋田ちゃんの妹の問題児、いちごちゃん。
なにやらアダルトだったりアブノーマルな友達が多いらしい。
いちごちゃんはキャラ的にとても美味しいのか、メチャクチャやってますねw
いろんな特徴を持つ擬人化出版社娘たち。
更にそこからいろんな作品のネタや会社としてのどーのこーのを設定として盛り込んでいくので、一言では語りきれないくらい各キャラ濃ゆーく膨らみ上がっていきます。
芳文ちゃんは似た顔の姉妹がいっぱいいるけど、実は中身はオッサンだったりして面白いw
詰め込みすぎなくらいにネタが放り込まれていて、テンポの良さが凄いな!
ネタのチョイスも楽しいし、4コマ漫画として純粋な流れとかも楽しいのです。単なる一発ネタ漫画に終わらない魅力を感じさせてくれる!
このネタが面白かったよね、これは危なかったよね、と逐一書いていってもキリがない質量感!お腹いっぱいですよ…!
個人的に「おお…これは…」と思ったヨシモトちゃんとガンボちゃん。懐かしいな…。
なんというか、こういう時代ですし、この漫画に登場した擬人化娘がある日とつぜん休学とか転校とかしないでほしいなと願うしかない…!
そして時に話題になる漫画界の「引き抜き」…!!
日文ちゃんはお家芸感あるけど、小学ちゃんも目立ってるからな。スクエミちゃーん!
こんな調子で、漫画業界のちょっと(?)ブラックな所をネタにしていく漫画。
ニヤリとさせられるネタばかりで、がっつり楽しめましたw
こちらのインタビューもみてみると、作者夫婦のコダワリとか面白い裏話とかも見れて嬉しい。
→出版社擬人化4コママンガ「飯田橋のふたばちゃん」はかくして生まれた
このインタビューで「双葉社だからできた内容」という事も語られていましたが、なるほどなぁ。たしかに、他の出版社がメチャクチャにキャラ濃いのに比べれば、…という感じはあるのかもしれないw でも双葉ちゃんだって面白い面はたくさん持ってるからなw
業界裏話なこの漫画がこれからも続くのなら、今後なにかしら漫画業界のニュースがあったときにも、この作品ならネタに反映してくれるんだろうなーという期待をしてしまうw
実際、何かと騒がしいエロ漫画の関連ネタも面白い仕込みをしてくれています(メロンブックスで買ったら描きおろし4コマのリーフレット付いて来ました
せっかくwebコミックでいつでも読めるので、定期的にチェックしないとな。
ギリギリすぎるネタの連発。あまり広まりすぎるとそれはそれで危ない気がする作品だけど、でもとても気に入った作品なのでオススメしたい、複雑な漫画w
『飯田橋のふたばちゃん』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
中身のギッシリ詰まった、漫画好きに送る漫画業界漫画。そのネタはあぶない!
[漫画]激闘で光るメンタルモデルの人間味。『蒼き鋼のアルペジオ』7巻
蒼き鋼のアルペジオ 7巻 (ヤングキングコミックス) (2013/05/30) Ark Performance 商品詳細を見る |
今日はなんて日だ…地球が保たんぞ
祝アニメ化!「蒼き鋼のアルペジオ」第7巻の感想です。
こんどアニメになるらしいですよ。ビックリしました。でもアワーズでも特にプッシュされてる作品の1つだったし、納得ですね。成功するといいな。
自分は未プレイですが「艦これ」も流行しているようですし、戦艦娘ブーム来るんか!
前回の6巻は全体的に「溜め」の展開でした(ショッキングなシーンはいっぱい)が
今回はスカッとするスケールでかい海上バトル!燃える!この作品の醍醐味が詰まった展開の連続で興奮しっぱなし。
アニメ化するってことで、この巻の内容はぜひ映像で見てみたいなぁ…タカオちゃんがめっちゃカッコいい&健気でかわいいぞ…!!
表紙でドドンと登場もしているし、この巻はタカオメイン間違いなし。
401ら主人公チームはアメリカを目指す。
協約を結んだタカオはダミーのコントロール等、401の作戦サポートを担う。
しかし監視をしていたタカオにゾルダン率いるU-2501が接近。
7巻は強襲を受けたタカオとU-2501の激戦が中心となり
久しぶりにド派手にドンパチやる華やかな戦闘が繰り広げられます。
この漫画はこまごまと広く事態が進行していくので、ストーリーの把握に結構時間がかかります。こいつらの現状はどうなっていて、どんな思惑でなにが目標で、と思い出したりする必要がある。
でもそうしてじっくりと読んでいくごとに、静かな展開の中に込められた力強い意思にテンションが上ってくる。
SF戦争漫画でもあり、何かよくわからないけど凄い平気とかいっぱいでてきて、これにまたテンション上がるのです。
あまり理解はできなくても小難しいガジェットがいっぱい出てくるとワクワクしてくるよ!
特にこの7巻のタカオ(&401)VS U-2501のバトルは激アツ!
重巡タカオちゃん大ピンチ!!
追い込まれていく彼女にハラハラしっぱなしで読み進め、上のシーンなんかもう切なすぎてイカン。
Meたんが段々と消えていく例の画像とか弱いんだよ俺…。自意を持ったメカニックがだんだんと壊れていくようなシチュに非常に涙腺が弱いのだ。
群像艦長から便りにされてめちゃくちゃ嬉しそうに舞い上がってこの世の春みたいな状態だったタカオちゃんだって元は霧の重巡。ただでヤラれようとするはずもない。
しかしU-2501らは流石の腕前でタカオを追い詰めていく。
タカオが危機に陥っていることを群像たちも察知していた。
眼前に差し出された選択肢は、このまま作戦を進行し完遂すること。もちろんこの場合タカオは十中八九撃沈する。一方、作戦を中断しタカオの救出に向かう、という手段もある。
作戦を優先するか。タカオを優先するか。
その決断が401艦長群像に迫られます。
この時あくまでも状況を俯瞰的に捉え、作戦の優先を提言したヒュウガが印象的。メンタルモデルらしい合理的な頭脳を持っている。
同じ戦闘艦としてメンタルモデルとして、ヒュウガのこの言葉はとても重いです。
我々は戦闘艦だ。その任務を全う出来れば本望だ。
人型の外見を持ち、自律的な思考も可能なメンタルモデル。
まるで生身の少女のように考えてしまうけれど、でも根本は戦闘艦なのだ。
けれどこの一見冷たいヒュウガの発言は、似た存在としてタカオに最大限の誇りを持たせてあげたいという想いが宿った言葉でもあるように思う。
こうなると仁義より合理性を重視する機械的な主張にさえ、人間味のあるものに感じられてくる・・・。つまり「メンタルモデル」っていう存在が魅力的すぎるんだよ…。
メンタルモデルはあくまでも人工的なAIに過ぎないんだけれど
それだけじゃない明らかな人間性を持っている。
機械みたいな人間。人間みたいな機械。その間に見える彼女たちの心のブレがストーリーに組み込まれていて、やっぱりこの作品は戦争漫画としても面白いけれど、人外生命体漫画としても好きなんだなぁ。
人工AIであるメンタルモデルとのコミュニケーション。
タカオなんて完全に恋する乙女で大変ですよニヤニヤするよ。
思えば群像は6巻第31話で、タカオに「お願い」をしました。
ふつう機械相手にすることはお願いではなく「命令」です。けれど群像はあえてお願いという言葉を選んだ。そのことでタカオはニヤリを笑って、それを受け入れた。この作品における戦艦と人間の関係を示すいい場面だと思います。
「メンタルモデルの人間味」という点で今回すこぶる頭をガツンをやられたシーンがこれ。
まさに絶体絶命。コアを船体から切り離して、完全消滅を防ぐべき場面。
しかし彼女はメンタルモデルを手放さない。401クルーの証が入った服を着ていたから。
「服を着る」という事自体、本来の戦艦では有り得ないこと。その上、自分は壊される危険の中で、その証を守ろうとしたのだ。自分の存在が完全に消えてしまう恐怖をはねのけてこれを貫く勇気。むしろ敗北は確定的なこの場面でこの勇気はもはや愚かですらある。そんな愚かさを握り締める姿が愛おしい…!!
「人」としての姿にこだわったタカオのこの場面は、蒼き鋼のアルペジオの中でも個人的に最高にお気に入りですよ。
もう、どんだけ群像に惚れ込んでいるんだこの娘は。
色んな意味で本当に興奮するし切なすぎるしテンションがおかしくなっちまうよ!
「蒼き鋼のアルペジオ」7巻は過去最高潮の興奮度でした。
メンタルモデルの人間味あふれる感情、彼女たちと人間の関係性。
そういった人物の内面描写も実に深く面白い作品です。
「人工的な少女」という存在そのものが俺の中にもにゃっとした違和感みたいなのを残して、その違和感の正体を探ろうとする作業が好きなのだ。機械娘萌えに近い。
バトルも迫力満点。「衝撃波来ます!」「衝撃波ごと撃ち抜け!」のやりとりとか「今日はなんて日だ…地球が保たんぞ」とか、セリフだけでもゾクゾクしてくるしなー。
ミリタリ知識は無いので戦闘指示中に飛び交う専門用語はあんまり理解できていませんが、「よく分かんないけどすげぇ!」っていう小学生みたいに面白がり方をしてしまっているw
次から次に新しいメンタルモデルの少女たちも登場してきて、もう誰がどの戦艦だったかよく分からくなりつつありますが、これからもじっくり読んで味わっていきたい漫画。
アニメ化、楽しみだなー。PVを見るに戦闘描写に期待できそう。音楽も壮大でカッコいい!
『蒼き鋼のアルペジオ』7巻 ・・・・・・・・・・★★★★
緊迫・充実のバトル巻。タカオちゃんの健気さに心震える…!