[漫画]寂しさだって賑やかさに塗りかえられて『僕らはみんな河合荘』 4巻
僕らはみんな河合荘 4巻 (ヤングキングコミックス) (2013/05/30) 宮原 るり 商品詳細を見る |
聞きたい いま 聞きたい
「僕らはみんな河合荘」4巻の感想です。
相変わらず下品だけど、みんな素で遠慮なく笑いあってる空気が素敵!
宮原るり先生は「恋愛ラボ」が今度アニメ化しますけれど、こっちもなってくれないかな…!
単行本の最初のカラー口絵ですが、改めてここを1巻から順番にみてみると、律ちゃんと宇佐くんの関係が着実に縮まっているのが現れていますね。
1巻は宇佐に気づかず読書に熱中する律。
2巻は律の注意をひこうとしてる(ように見える)宇佐と彼に視線を向ける律。
3巻は並んで読書をする2人。
そして4巻では本の内容についての意見交換をしている2人。
ゆ―――っくりと関係を深めていっている2人。うーん微笑ましい。
そこをじっくりと描かれるからこそ、ちょっとした進歩に感動したりして。
4巻はおおっとなるラブコメイベントもあったりして、でもいつもどおりのバカバカしい喧騒。
そしてふと心に刺さる、リアルな人間関係の悩みも包み込まれた内容となっています。
人と人の距離感を慎重にみつめるこの作品ならではの味わい。
ギャグ漫画としても楽しんでいますが、こういう一筋縄ではいかない要素を組み込んでくる部分が大好きだなぁ。
前巻→ここは不思議と心落ちつくんだ。『僕らはみんな河合荘』3巻
今回はシロさんの株が爆アゲする内容だったな!!
大人なのにずーっとヒマそうに家にいて、子供みたいにはしゃいでて、そして超がつくほど変態で面倒臭いマゾヒスト。この作品のギャグにはシロさんが関わることが多いし、実際すげー面白くて大好きな男なんだけれど!
今回はシロさんが普通にすれば普通にカッコいいことが物語で効果的に見せられて、シロさんにときめいてしまった俺は自分が悲しい!!!
シロさんと麻弓さん、息合っているしいい感じじゃねーかとも思うんだけど
あんまりシロさん関連のフラグは信じないようにしてますw
ふざけてるようで、ちゃんとその人が傷ついた時にはさらりとフォローをいれたり、都合よく利用されることすら良しとして人と関係を築く。
シロさんは人と関係することが楽しくてしょうがない、みたいな印象がある。
たまに滅茶苦茶格好いいのも、ふだんバカみたいな言動ばかりのギャップでな。
まぁ大変な目にあいたい、面倒な目にあいたい、というメンタルどMのサガと言ってしまえばその通りなんだけどw
改めてシロさんいい人だなーっと確信した。大好きだわこの人!
上はシロさんがスーツでばっちりキメたエピソードは、それ以外の面でもお気に入り。
麻弓さんが同窓会に行って、学生時代の友人たちと再会するのですが
そこで交わされる女同士に密かな対決と暖かな絆がたまらない。
女二人して酒読んでヘラヘラ笑いながら「ヘーキヘーキ」と言っちゃうシーンいいなぁw 大人になってもこうしてつながりあえている女の友情(愛憎入り乱れた)素敵です。
いちおう主人公の宇佐が高校生なので学生たちがメインのエピソードも多いですが、この作品は群像的な面もあって、こうして時々オトナなドラマも混じってくるのが面白いよなぁ。
いろんな年代・いろんな立場のキャラクターの物語や感情が入り乱れて、それがギャグにしてもシリアスにしても、お互いを引き立てあっている。
そういう様々な要素がゴチャッと一緒に詰め込まれてるのが「河合荘」なんだな。気持ちがスッキリしない話もあるけど、整頓しきれないモノがたくさんあるから面白いんだろう。
ところで麻弓さん、過去の栄光を引きずりまくってるけど納得ですよ。
こりゃ引きずるわ。学生時代、滅茶苦茶かわいいなオイ!
それが今じゃ高校の学祭にもぐりこんで男子たちの視線を浴びて優越感に浸る。
このきもちよさそーな素敵ドヤ顔。
ああ…うん…過去を知ってさらに麻弓さんの残念度が上がった気がするね…。
宇佐くんと律ちゃんにも進展がありました。
ちゃんと関係が進んでいる実感がある。すごく丁寧にそこを描いてくれる。
いつもだったら宇佐が律ちゃんに振り回されることが多い。
でも今回ははっきりと、律ちゃんが宇佐くんに振り回されていました。宇佐くんの知らないところでな…。
宇佐くんが自分の傍にいない。もっと楽しいこと・好きなことを見つけたのかな…なんて、言葉にならない寂しさを募らせる律ちゃん。
明らかに宇佐くんのこと気にしまくりですよ!見てるか宇佐!見てないよな宇佐!残念だなぁおまえ!!
宇佐も宇佐で、「俺のことなんて気にもせず、本に夢中だろうけどなぁ」なんてコイツがぼやいてるそのコマで本に集中できずうなだれる律ちゃん!この切ないスレ違いが終盤に生きてくるわけですよ!!
これまで河合荘という住まいを介してつながっていたように思います。
帰り道が一緒だから。話たいこともあるから。
でも宇佐としてはもっと近くなりたいなと思っていただろう。
そんな中、今回ついにメールアドレスもゲット。そして電話も。
律と宇佐。個人と個人でやっとつながったような気がしますね。
些細なようで、きっと大きな一歩。
そして帰り道。宇佐がやっているゲームに興味を示す。
「どんなゲームなの?」
「珍しいッスねー、先輩が本以外の話なんて。ゲームも好きなんスか?」
「…なんとなく。気になって。」
このシーンすごい好き。夕焼け空の下、ゆっくり育つ心。相手の気持ちも、片方は自分の気持ちすら気付けていないけれど。もどかしー!
明らかな興味を持って、宇佐くんに歩み寄っていった律ちゃん。
ああ~~この地味な、大切な一歩に胸ときめいてしまうよ!!
宇佐ァ!!「珍しいッスねー!」じゃねーよ!「ゲームも好きなんスか?」じゃねーよ!!お前興味もたれてるぞ!
そんな「僕らはみんな河合荘」4巻でした。
いつもどおりキレのあるシモネタの連打に笑わせてもらうと共に、着実に深まるラブがコメる雰囲気にドキドキですよ!
下ネタをガンガン前面に押し出しておきながら、ピュアな恋愛を両立してるのは凄いなw ギャグもちょいシリアスも恋愛もひっくるめて、人の心をしっかり描いていこうっていう姿勢が好きですね。
前の住人・馬淵が帰ってくるエピソードも、ちょっとした厳しさを見せつついっぱいの優しさとぬくもりが広がっていて味わい深い。好きだな。
そしておなじみの描きおろしシリーズ「シロさんと俺」も笑えるw
毒もあり甘酸っぱさもあり、そして呆れるほどバカバカしい。
この河合荘の賑やかさは、ずっと読んでいたいなと思える。
『僕らはみんな河合荘』4巻 ・・・・・・・・・★★★★
安定の、そして進歩の4巻。シロさん活躍!シロさんの目も初登場するよ!
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