[本]好きでいてもいい? 『たいようのいえ』2巻
たいようのいえ(2) (デザートコミックス) (2010/12/13) タアモ 商品詳細を見る |
私は どこにいっても 邪魔になってしまう
今日はタアモさんの「たいようのいえ」2巻で。
講談社・デザートで始まったこの連載も順調に進行しております。
年上幼馴染の社会人との共同生活を始めた真魚。
全てが新しいその環境の中で、基への想いも強まっていき・・・ついに告白をしてしまったのが1巻ラスト。2巻が実に気になる引きでした。
そんな感じで要注目の第2巻となります。
2巻は「邪魔」という単語が非常に重要で、重みあるワードになっていたなと思います。
真魚はわりと気が強い性格をしてはいますが、心の中はいつも不安だらけ。
強がっては少しずつ負の感情をため込んでいってしまうタイプでしょうか。
他人の邪魔をしたくない、邪魔になりたくないという一歩引いた関係性を保とうとしてるようにも見えます。傷ついた彼女は踏み込んだ一歩も戻してしまうし、言いたい言葉も伝えたい気持ちも呑みこんでしまう。
基に言えた「好き」も、「冗談だから気にしないで」なんて言葉で逃げてしまう。
安心したような、残念なような・・・。
1巻の告白はあまりにも性急だったとは思いますが
それでもこんな風にごまかしてしまうのは悲しかった。
基も基で、その言葉で安心してしまうし・・・その様子を見て一層ダメージを受ける真魚ちゃん。
自分のこの恋は彼には邪魔なのだと思ってしまう。
本当の気持ちを殺すことなんて慣れてる・・・そう心の中で呟く彼女は
その時かなり冷え切った目をしていて、なんだか保護欲が掻きたてられると言うか。
ちゃんと向き合いたいと思っているんだろうけれど・・・大人びてるし、臆病だ。
そんな女の子だからこそ、幸せになって欲しいなと心から思えたりします。
そうして恋愛感情を打ち消そうとする真魚。
けれど精神的に弱ってしまったのか、熱を出して早退をしてしまいます。
心配かけされてはいけないと基に連絡もせず、ベッドで寝込む彼女ですが
目覚めると首にネギ、そして居間には眠る基と、いくつかの普段見ない料理。
イエス民間療法!帰宅した彼が真魚のためいろいろ頑張ってくれたようです。
寝ている彼女につきっきりで、一緒に眠ってもいた基。
そっと額に触れる、大きな手のひら。
大切にされている実感で、この恋心を無くすことはできないと強く感じる真魚ちゃんでした。
基はやはりやる時はやってくれますね。良い包容力です。
一人で眠っている時の彼女のモノローグにあった、「この家にいると贅沢になる」という言葉は、彼女の性格や今の環境の尊さを、上手く現した言葉だなと感じました。
満たされることが恐いんだ、真魚は。
彼女はかつて、いや今も、大切なものをたくさん失ってしまっているから。
そんな彼女を変えていくのはやはりこの家なんだろう。
冷たくなってしまった心を温めていく、「たいようのいえ」なのです。
2巻ではさらに基の弟・大樹も登場しました。
真魚が家にいることに反対しているという前情報や、鋭い目つきとクールな口調のせいで
最初現れた時は結構ヒヤヒヤしたもんでしたが・・・一安心です。
彼は彼なりに考えがあって、真魚と基の同棲に反対をしていたのですね。
第6話は真魚・基・大樹それぞれの想いが上手く絡み合った秀逸なエピソードだったなと。
中村兄弟の胸に救う巨大な悲しみと、今もなお残る傷痕・・・
真魚だけでなく、彼らもまた色々なものを抱えているのですが
それでも、みんながいればそこは暖かいものなのかも知れません。
真魚の謎な美的センスに共鳴することができるのも面白いw
帯の漫画で本人も言っていますが、2巻では織田君がなかなか活躍。
それでもまだまだ見せ場は少ないのですが、今後物語にどう食い込んでくるのか。
しかし彼に告白を受けても、真魚は基一筋なご様子・・・がんばれ男の子!
まぁ自分は普通に真魚は基と結ばれてほしいんですけども、頑張る男の子は好きさ。
そうそう、ラジカルさんの正体もなるほどと。面白かったですね。
そしてまさかの恋のライバル化。基と彼女は両想いと真魚だけ知ってしまった形に。
自分がいなければ、基と彼女は上手くいく・・・はず。
ならば自分は、そして自分の恋心は「邪魔」なのではないか、なんて再び思ってしまう彼女ですが、ラジカルさんや織田くんの恋と、その吐露に触れて変わりつつあります。
彼らのように、もっとちゃんと自分と相手に向き合おう。
空を見上げる、ちょっと前向きな表情・・・?
恋をする勇気を彼女は得たのかもしれません。
けれどそれは、ラジカルさんと戦う事にもなるわけで・・・続きが気になりますね。
さてまとめ。
相変わらずタアモさんのふわんふわんした優しい絵には癒されますね~・・・。
そしてそれに合った、切なくも暖かな素敵な物語となっています。
まだまだ物語がこじんまりまとまっている感はあるのですが
続きを早く読みたい!と思わせてくれる良い作品だと思います。
しかし、かなり読みやすい作品であるのですが、なんとなく重要なシーンも
さらりと描かれ、若干軽く流れてしまっているような気もします。
読み心地は良いのですが、心のガツンと来る強いインパクトがあるわけではないかなぁと。
それを強く求めすぎるのもちょっと違うかなぁと自分でも思っていますが。
少女漫画ですが、男性も比較的読みやすい作品だと思います。
何より黒髪ロング女子高生が幼馴染とひとつ屋根の下・・・という実に美味しい設定がですね!同棲ということで、あるあるハプニングもきちんと描かれています!
お風呂場で全裸バッタリは基本中の基本です!!
逆だー!
いや、これはこれで・・・という人も?
この後の「見えたかもしんない・・・!」ともじもじする真魚ちゃんには思わず見せたくなりますね。いや冗談ですけども。
・・・そんなこんなで「たいようのいえ」2巻でした。
連載も軌道に乗ってきたのでしょうか、「となりの怪物くん」との合同フェアも開催されています。今後もどんどん伸びていって欲しい作品の1つです。
『たいようのいえ』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆
揺れながらも少しずつ変わっていく主人公。素直に続きが楽しみな作品。3巻は5月発売予定。
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