[漫画]避けられぬ衝突!戦争への加速!『ブレイクブレイド』12巻
ブレイクブレイド(12) (メテオCOMICS) (2013/06/12) 吉永裕ノ介 商品詳細を見る |
初めて人を殴ったが―――… 自分も痛いんだな…
一見ロボット漫画とは思えない表紙に仕上がっている「ブレイクブレイド」第12巻の感想しかし裏表紙のマントを羽織ったデルフィング、格好いいなぁ…!朝靄の中、静かな夜明け。戦いの予感。
なお11巻末に「次巻予告」がありましたが、12巻時点での作者いわく「思ったより進まなかったんだ!予告詐欺とかではないんだ!」とのことw
ということで11巻末のあの通りなシーンはまだ出てきていませんが、大盛り上がり間違いなしのあれやこれやに備えて、着々と物語が暖まってきているのを感じるのが12巻ですね。
避けられぬ衝突に向けて熱は高まる一方ですよ…!
除隊されることになったライガット。同時にデルフィングの解体も決定。
戦争の傷によってライガットは壊れかけ。精神もボロボロ。
そんな彼を癒し守るためにシギュンも彼に付きそい、2人でクリシュナを出ました。療養のため目指すはライガットの故郷。まさにこれは喪失を癒すための時間、旅。
同棲始める気まんまんで静かにウキウキしてるシギュンと、そんなこと露知らない相変わらずの鈍感ライガット。なんとも微笑ましい2人の旅はどうなるのか!
と思いきや、そう簡単に平穏なんて訪れてはくれない。
ふたりきりで故郷へ向かうその途中で出会った、ひとりの少女。
その出会いが、ライガットを新たな運命に巻き込んでいく。
前巻→戦争の傷痕と、喪失を癒すそれぞれの旅。『ブレイク ブレイド』11巻
シギュンさん、夢の中では積極的だったね(笑顔)
いや現実でもちゃんとアタックしかけてるはずなんだが…ライガット相手だともっとストレートに頑張らないといけない…。難儀なものである。
本当だったらあんなこともこんなこともあるハズだったんですが…ライガットとシギュンのふたりきりの旅は、あっさり終焉を迎える。
アッサムでもうすぐ内戦が起こる。
ライガットたちにそう告げたのはアッサム王女のプレデリカ。クリシュナへの亡命のためにやってきたという彼女のために、ライガットたちはクリシュナへ引き換える選択を迫られます。
●ふたりのプレデリカ
12巻で謎を呼んでいるのが2人のプレデリカです。
亡命してきてライガットたちと遭遇したクールなプレデリカ(頭部右に髪飾り)。
アテネス軍・アーレス将軍の指揮下にいる明るいプレデリカ(頭部左に髪飾り)
外見そっくり。けれど性格は結構違いそう…なこの2人。
アッサム王女という肩書きからして重要人物ですが、こうして謎を秘めて2人出てくると、やはり今後のストーリーのカギとなる予感がビシビシしてきますね。
恐らくは双子という事なんでしょうが、複雑な事情もありそうです。
アーレスと一緒にいる明るい方のプレデリカですが、やや影を感じさせる部分もあります。
主に敵ゴゥレムと戦っている時の顔つきだけなんですけどね。
戦っている時の集中力と、その緊張が抜けた時のギャップが面白いシーン。
破天荒な戦闘スタイルを見ても、普通の兵士ではないという感じがします。57話でゼスから評価を受けていたり、「天才」と呼ばれていることを自覚した振る舞いをしていたりする。
新型ゴゥレムのテストを行なっているという腕前。アテネス軍にいる天才少女ということもあり、恐らくこれからクリシュナとの戦闘にも直接関与してくるであろう人物。
今回見せた戦闘センス。戦いたくない相手だなぁ…。かわいいし。うん。
ほらーかわいい!
でもこうしてライガットとの絆を深めるイベントを挟んでくると、これはやっぱり対立する展開に入っていくんじゃないかな…!
王女としての責任から、反乱分子には過激に対応する場面もありました。
いざ敵となったら容赦はしないプレデリカ。もしライガットと戦うことになったとき、彼女はどんな表情を見せてくれるのか。怖いけど今から楽しみでもある。
●シギュンの本当の気持ち
今回の12巻で特に進んだ箇所はシギュン関連かもしれない。
61話「相思相愛」は、ライガット、シギュン、ホズルの3名にとってターニングポイントになったんじゃないかな。
クリシュナに急遽帰国したライガット。危機に陥るシギュン。罪を感じて「殴れ」と言うライガットと、それに応えるホズル…。
学校時代ただの友人だった4人。しかし国がその関係を引き裂き、または男女は結婚をし、昔のままとはいかない事ばかりになってしまった今。
ホズルの感情がグッと前に出てくるこのシーンは、これまで積もり積もった歴史を感じさせ、色んな角度から胸に染みてくる。
「あいつはお前を一番に想っている――― 俺よりも―――…」
これをシギュンの夫であるホズルが言う重みよ…!
明らかな嫉妬に苦しむ表情を見せるホズル。けれど夫としての気持ちより、親友のライガットのために放った言葉なんだろう。
ライガットとの固い友情に涙腺が緩んでしまうのは仕方ない…!
「シギュンはライガットのことを1番考えている、見つめている」
恐らくそんなこと最初からわかっていて彼はシギュンを王女に迎えたんだろうな。
夫婦としてちゃんと関係を持てていたかは疑問が残る2人。というか多分無いんじゃないかな。もちろんシギュンを愛おしく想っていることは間違いないんだけれど、だからこそこのセリフをいうホズルの男心的な部分にグッとくる。
国王として、夫として、親友として。ホズルは立場上とにかくいろんな気持ちに揺さぶられる、ちょっとかわいそうなポジションです。
でもそれ故にこの作品のドラマの面白い部分の中心にいる人物でもあるし、今回ちゃんとホズルに気持ちが語られて嬉しかった。読み応えがありましたね。
今回あたりでシギュンとホズルの結婚に至るエピソードが語られるかと思いましたが、それはまだお預け。
しかしホズルとライガット、シギュンに近しい人物の気持ちが整理されたことで、次のステップに行く準備が整えられた感じ。主にシギュンとライガットの関係が。
●ライガットとゼス。避けられぬ衝突。
キターッ!!とテンション上がるけど…うおぉ、心が苦しくなってくるな…。
やはり幼馴染同士が戦争で対立する、というこの作品の根本がとてもドラマティックで面白い。ゼスがアテネスを率いる将軍になった今、特にそれを感じます
久しぶりに再会したライガットとゼス。いま2人は何を思うのか…?
11巻の予告漫画を見ると、これからの流れはなんとなく察せますが!
ゼスがロキス書記長に逆らえない理由がある。
クリシュナにいるかつての友人たちを相手にしても非情に戦うであろう覚悟は、なぜ生まれているのか。
それをライガットを通じてシギュンやホズルの伝えられましたが、なにが理由なんでしょうねえ。というかシギュン・ホズルは知らずライガットだけが知っていた、ということが何やら意味深。
それにしてもライガットに向けたゼスの視線のこの冷ややかなこと。
母校である士官学校を訪れたことで何か変化はあるのかもしれませんが、少なくとも現時点でライガットをゴゥレムから見下ろす彼は、かつての親友というより敵国の将軍としてのイメージが濃くなります。
一触即発のムードに包まれる悲しい再会。続きが気になりまくる!!
そんな「ブレイクブレイド」12巻。
緊張感みなぎる展開の連続であろう次巻への引きが印象的な巻。
カギを握りそうな新キャラ・2人のプレデリカの登場や、シギュンの本心をライガットが知る恋愛面での進展など、確実に動きのある内容でした。
特にこれまで以上に、「引き裂かれた幼馴染4人のドラマ」を感じさせられましたね。やはりメイン4人のこのもどかしい関係性に惹きこまれる…!
この作品の戦いと、そこに巻き込まれる切なく熱い人間模様!
次の13巻から久しぶりにゴゥレム同士のバトルがたっぷり楽しめそうな予感。
ブレイクブレイド【新装版】(1) (メテオCOMICS) (2013/07/12) 吉永 裕ノ介 商品詳細を見る |
それとなにやら7月から新装版が順番に発売されていくようです。
しかもカバー描きおろしだし内容も加筆修正あり、全巻購入特典あり!
フレコミ版もせっかく1巻からずっと初版でオビ付きで持っているので大事にしますが…新装版の追加要素がちょいと卑怯なくらい豪華なので買いますよ…!
『ブレイクブレイド』12巻 ・・・・・・・・・★★★★
盛り上がってきたー!かつて友人だった4人の運命が加速していく!
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