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[漫画]痛いほど本能で踊って!『ボールルームへようこそ』4巻

ボールルームへようこそ(4) (講談社コミックス月刊マガジン)ボールルームへようこそ(4) (講談社コミックス月刊マガジン)
(2013/04/17)
竹内 友

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   おめでとう 君がフロアの女王だ

バチバチ火花がはじけるライバルとの緊張感!燃え上がる闘志!背筋を這い上がり体震わせる興奮!最高に盛り上がっている「ボールルームへようこそ」第4巻。今こそ読み時というヤツです。内容も注目度も勢いが出てきています。おもっしれー!!
今回で第一部完、みたいな感触でした。それだけまとまりがいい。

まるで炎の嵐のよう。
物語から、絵から、全てから吹き上がる熱風に吹き飛ばされてしまいそうですよ!!
1巻から作品に宿ったこの熱量にゾクゾクしていましたが
今そのアツさはここにひとつの到達点を見せる!

3巻 待ちきれないんだ、体が熱くなりたがっている!『ボールルームへようこそ』3巻



「天平杯」決勝戦に駒を進めた多々良&真子ペア。
引っ込み事案でこれまで特別華のあるダンスをしてらこれなかった真子を、あえて「花」として輝かせようと「額縁」の役割の徹する多々良。
ライバルの賀寿&雫ペアは、そのダンスを見てメラメラと更に激しく燃え上がる。
お互いがお互いだけを見つめて「勝ちたい!」と。
情熱が研ぎ澄まされていく。闘争本能が純化していく。
しかしあくまで優雅に華麗に、美しく情熱的に踊るのだ。だってそれがダンスだろう。

4巻はまるっと天平杯決勝戦。この興奮度は尋常ではない!
ほんとに名シーンが多くてどう感想を書こうか悩みますが最初にこれかな。

とにかくこの漫画は本当に、表情が魅力的です。
集中した凛々しい顔も、ライバル意識バリバリの緊張顔も素敵ですよ。
自分を誇ってみせる不遜な表情も、ダンスの美に酔いしれる表情も
ダンスのあと、全力を出しきった疲労と充実が入り交じる表情も。
でも個人的には1番はこのシーンに代表される表情かな。

ボール43

メッチャクチャ苦しそうないい顔してる!!

まさに必死の形相です。このページだけでも熱気がひしひし伝わってきますね…!!
本当に苦しそうな極限状態。けれど彼らはこんな苦しそうな表情は極力伏せて、あくまでも余裕を感じさせるほほ笑みを周りに見せようとする。
ダンサーって見栄っ張りでカッコつけたがりなのです。痛そうなくらいに全力で、けれど笑ってみせる。だからこそ、本当に痺れるくらいにカッコいい。力の限りカッコつけるんだ。これまでの悔しさも苦しみも血の滲む努力もすべて笑顔の下に押し込めてカッコてつけみせる!



あまりに熱気と迫力がこもりすぎて、読みながらヒリヒリと胸焦がされる!
作中で彼らのダンスを見ている観客同様、本当に自分も魅せられてしまう…!
バチバチ火花ちらしあう多々良と賀寿。互いが互いを焚き付けて、全力全開で競い合う。
でもパートナーの女の子たちも負けてはいない。

多々良とパートナーとして踊る真子。
賀寿の妹であり、彼から一度見放されてしまった少女です。
4巻は賀寿と真子の複雑な感情入り交じる、兄妹のドラマも印象的でした。
賀寿がダンスを始めたきっかけの回想シーンなんかは鳥肌だった。「ダンスを選んでくれてありがとう」なんてさ。そんなの言われたらもう…!
賀寿なりのこだわりと意地がかいま見えて、よりストーリーに熱が入る!
ロリ真子ちゃんもまさに天を仰ぐ可愛らしさであった…ふう…。

真子と賀寿、兄妹のドラマもアツい。しかし仮初めのペアとなった真子と多々良たちのドラマは更にアツい!目指すは大番狂わせ。実力差は歴然。それでも勝ってやると誓ったんだ!

真子は賀寿に、自分を認めて貰いたい。そしてまた兄と踊りたい。
その気持ちを叶えてあげようとする多々良の応え方もカッコいいんだ。
ダンサーの目立ちたがり本能を押しのけ「額縁」に徹するプレイで、いかに真子が魅力的なのかを会場に見せつけようとしました。そして実際に会場を沸かせてみせた。
そして決勝戦にまで到達。この勝負に勝てば、晴れて多々良と真子は『解散』です。

この戦いに勝てば、多々良と真子のペアは解消される。
もともとは賀寿を見返してやるために、半ばあてつけのように組んだペア。
勝ちたい。勝って見返したい。お前の妹はこんなにすごいんだぞと、賀寿に見認めさせたい。真子を認めさせたい。
賀寿との勝負に勝利するという同じ目標を持った多々良と真子は、逆に言えば自分たちのペアを解散するために勝とうとしているんだ。
だからこんな、矛盾を抱えながらも晴れやかな表情を見せてくれる。

ボール41

「もったいないなぁ 踊りたくないなぁ!」
そんなこと言って、なんて踊りたそうな顔してやがるんだ!ワクワクしてんじゃん。
名残惜しさを覚えつつ、しかしその顔は開始直前の高揚に染まっている。

もっとこのパートナーと踊りたい。楽しみたい。興奮したい。
けれどこの勝負に勝って、それで最後だ。だからこれが最高のラストダンス!
きっと本当だったら素晴らしいペアとして絆を磨き高めてきた2人。当然お互いに解散への寂しさはあるんだろう。それでも前に進もうとするこのストイックに惚れる!!

こうして考えると男女ペアが当たり前のダンスは、どんなカタチであれ、男女のドラマが生まれるのだろう。
そしてそれぞれの想いを胸に、男は男らしく、女は女らしく、美しいダンスを踊るのだ。もうね、深く考えるまでもなくロマンチックですわ!

多々良と真子。このペアが解散に向かっていく(勝てばね!)のは見ていて本当に寂しいです。だってこんなに素晴らしいダンスを踊る2人なのに。こんなにお互いを見つめ合えている2人なのに。それに「ラブコメとかしちゃえよ!」と思ってしまったのは確かですよ。
でも個人的には多々良と真子が恋愛感情ぬきの絆の深まりを見せてくれたのが素晴らしかった。
ラブコメを期待していた反面、決してその方向にブレなかった2人が素直にカッコいいと思えたのです。多々良は雫一直線ですが、真子ちゃんはどうなるかなーと見ていましたが。いやはや、下世話な期待をしてしまった己を恥ぢよ!
目標に向かって進んでいこうとする、ダンサーとしてのストイックな清潔さを感じて清々しかった。尊敬と友情でつながりあっていたな。
二人は共に想いも美しさも強さも絆を高めあった、素晴らしい相棒になった。



そしてもう1人のヒロイン。賀寿とペアを組んで大会に出場している雫さん。
彼女は作中でも実力者として描かれていましたが
4巻では改めて、彼女の恐ろしさと美しさを魅せつけられました。
これが花岡雫というダンサーか!

ボール4

優美な中に闘志を燃やす。たおやかな少女なようで、彼女もまたダンサーらしく目立ちたがりやで負けず嫌い!自分の一挙一動が会場を沸かす興奮の虜なのですよ!
ダンサーの誇った顔も素敵な本作ですが、上の雫は本当にゾクゾクさせられた…!なんてまっすぐ「私を見なさい」と訴えているのか。すげえな。真面目に、傲慢だ。
これまでで理解はできていたと思ったんだけど、再度思い知らされましたよ。彼女の強さ、深さ、恐ろしさ、美しさ。ダンサーとしての実力に、多々良と賀寿とはまた違う女性としての魔力も合わさり輝いて、さらに奥深い!

ボール44

そして大好きなのがこのシーン。1人になってから流した悔し涙。
ああ、こうしてまた、彼女は強くなる。



そんな「ボールルームへようこそ」4巻でした。
上に書いてきたように、過去最高潮のハイテンションに圧倒された一冊。

興奮が、高揚が、伝播する。
ダンスは会場に。そしてそれは読者へと!
互いが互いに自分を見せつけ合う。そしてそれを見て、また燃え上がる。
バカみたいな情熱のサイクルが、ライバルと自分をグルグルめぐって、もう勝負の相手がどうとか目的を見失って、ただ「なんかすげーぞこれ!!」とバカになってしまう。
けれど勢いばかりじゃなく繊細な人間描写も光り、とにかく物語にノせられます。言葉の選択も巧みで、人間やダンスをそこに宿るドラマと熱量を絶妙に表現してくれています。『言葉』で人を、読者を煽るのがうまい作品。
ダンサーってのは人を興奮させるのが上手いよね。まったく。

あと改めて、多々良はいい子だなぁと思ったりもした。
競技中まさに自分も踊りながら賀寿を見て、ああこの人はなんてカッコいいんだ、と尊敬していたりする。当然その賀寿に勝つ気持ちは消えないままで。
そして彼のダンスは、技術ではなく本能レベルで周囲を魅了する。
第15話、多々良たちのダンスをみて客席にいるダンサーたちが、「踊りてぇ~~~!!」とウズウズしてしまう。なによりダンスを楽しんで、それを見せつける彼だからこそのワンシーンかもな。まだダンス初心者の多々良だけど、その根っこにはすでにダンサーとしての天性の魅力がきちんと芽吹いて育っているように感じますね!いや、初心者が初心者なりにはしゃいでる姿が、ダンスに夢中になっている根源的なエネルギーが、熟練者の魂をも揺さぶっている。
踊るのが楽しくて楽しくて仕方ない!そう叫ぶような多々良のダンス!

ついにとことん根っこまでこの作品に捕まったような感じです。呑み込まれた。こりゃ面白いわ。5巻早く読みたいー!!

『ボールルームへようこそ』4巻 ・・・・・・・・・・★★★★☆
圧巻!高まるテンションを抑えきれない絶好調の内容。大迫力ですな。

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漫画と邦ロックとゲーム。
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