[漫画]想いはつながりきっと実を結ぶ『1/11 じゅういちぶんのいち』5巻
1/11 じゅういちぶんのいち 5 (ジャンプコミックス) (2013/01/04) 中村 尚儁 商品詳細を見る |
――――またあえるといいなぁ・・・
『1/11 じゅういちぶんのいち』の5巻が発売されました。
前に4巻が出たときに既刊含め一気読みしたのですよ。なのでブログで書くのは今回が初めてですが、もっと早くに読んでおくだったなぁと後悔したものです・・・いい漫画だ!
サッカー漫画というよりは、サッカー選手・安藤ソラを軸に展開していく人間ドラマという色が強い。これがまた泣けるんですよ・・・!サッカーを知らなくても楽しめて、知っていればより楽しめる。そんな作品なんじゃないかなと思います。
毎回主人公を変えてオムニバ連作形式。いろんなお話が読めます。
人と人の繋りが生むこのドラマは、とにかく心を揺さぶってくる!
今回のオビでは曽田正人先生がコメントを寄せています。
●青柳大樹
もとはFWだったものの、有力選手たちに押し出されるかたちでDFへの転向を余儀なくされた青柳選手が主人公。不満を抱きながらセンターバックに就くも、ストレスは積もり積もって、ある日爆発してしまう・・・。
行き詰まる主人公→再起の流れがこの作品の基本ですが、それが毎度綺麗に決められて、毎度とても気持ちよく感動させてくれるんですよね。
このエピソードもこの作品らしい盛り上がりなんですが、分かっていてもジンときてしまいますよ。
自分に人生を託してくれた愛する妻・藍。彼女につい辛くあたってしまった青柳ですが、藍さんの覚悟を知ったことで変われた。
しっかしまぁ藍さんいい奥さんすぎですよ!!
基本いつもニコニコしていて、優しいというかこれはもう強さを感じる程だ。
「私は、あなたの隣に咲く花になるわ」なんて言われたらね。ここまで尽くそうと言ってくれる人がそばにいたらね。そりゃあ、頑張らなきゃ。家族だからさ。男だからさ。
この夫婦はきっと幸せの花を咲かせていけるだろうな。
男にとっての理想像的ヒロインだけど、やっぱ素敵ですわこういうの。
●藪田冬太
この話は安藤ソラとは離れたところにありますね。登場しないし。でもそもそも主人公はサッカー選手を目指さないし。でも間違いなく「1/11」なんだ。
漫画を書くのが趣味の主人公、冬太。彼は学校一に凶暴なクラスメイトの大神にパシリにつかわれています。大神はボクサーとしての相当な実力者であると言う。
そんなある日に公園で冬太が出会ったのが、大神の妹の遥夏。
遥夏に惹かれつつも、サッカー選手として才能を発揮している彼女に距離を感じてしまう冬太ですよ。
才能を持っている人。臆せず勝負の世界に向かっていける人。
それができない人からすれば、それは尊敬と同時に恐ろしさすら感じる存在だよなぁ。
好きなものを好きだと癒えないのは悔しい。でも、自分をアピールすることで周囲のリアクションで傷つけられることだって当然ある。
冬太もそんなトラウマがあって、殻を破れない少年でした。踏み出せない彼にもどかしさを感じる流れをしっかり踏まえるからこそ、クライマックスの展開は王道の熱さがありますな!
さっきにも書きましたが、気をてらうことはしない作品なんですよ。でも面白いしアツい。ストレートだからこそ、キャラクターの熱がダイレクトに伝わる気がする。大神兄のカッコよさにもしびれるな!
ラストはちょっと切ないものでもある。でも大神兄との友情が確かめられた今なら、遥夏ちゃんとも繋がっていられる望みがあるよな。
でもこのまま遠さを保ったまま、見守っていくポジションというのもまた素敵かもしれない。それは失恋とはいわずもっと前向きで暖かなものだと思う。憧れの人ってのはいい言葉だ。
●津吉四季
ソラにとってのヒロインでヒーローでもある四季。
この5巻で第一部完結、ということらしいこのシリーズの、一旦の総まとめにピッタリのお話。第1話の裏側を描いた、アナザーストーリー的エピソード。
女の子だと気づかれないまま、ソラと友情を育んだ四季。
彼女がどんな想いでソラとサッカーをしていたのか。そしてどれだけ再会を待ち望んでいたのか。四季の気持ちを重点的に描いたお話です。
ソラが四季に伝えた『1/11』の意味。それから月日が経ち、ソラがそれを見失ったころに四季は再びソラに『1/11』を伝えに来る。
このサイクルをじっくり考えると、改めて感動しますな。
あとの展開が分かっているだけにけっこう辛かったけれど、でも読めてよかったエピソードですね。1話の流れは素晴らしかったけれど、このエピソードでしっかりと四季サイドの気持ちが補完されました。
これ読んでからまだ第一話読み返したら、またしても目頭が熱くなってきた・・・。
受け取ったこのボールと、ソラはずっと一緒に歩んでいるだよな。
『ラブレター』という練習法は、このエピソードにぴったりだな。
四季なりのラブレターは、形も言葉もないけれど、ソラに胸に刻まれている。
そんな『1/11』第5巻でした。
これにて第一部完ってことで、収まりもいいラストでした。
でも作者的には、連載再開までちょっと開くからってことで第一部完って言っておいた、的意味が強いらしい(あとがきにて)。
第二部はジャンプSQの5月号から始まるとのこと。
ぬくもりを勇気をくれるいい漫画。オススメの人間ドラマですね。
選手の1人1人が大切なものを背負ってピッチに立つ。
サッカーをしない人もめぐりめぐっては誰かの背中を押しているなら
やっぱりみんな、『1/11』としてピッチにいることにもなるのかな。
こじつけみたいですけどね。
これまで描かれてきたキャラクターそれぞれの人生の積み重ねが、さらにこの作品を大切なものに感じさせてくれます。どんどん好きになってきている気がする・・・!
『1/11 じゅういちぶんのいち』5巻 ・・・・・・・・・★★★★
いろんな人に読んでもらいたいアツい人間ドラマが詰まっているシリーズ。
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