[アニメ]しっかり生きて。『おおかみこどもの雨と雪』感想。
手元に資料がないものの感想は、記憶が鮮明なうち書かないとなーと。
さて毎月1日は映画の日で1000円で一本見れてしまうってことで、8月1日に細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」を見てきました。感想書いていこうかなと。
「サマーウォーズ」「時をかける少女」といった過去作とは毛色が違った一作でした。
ネタバレあり。
すごく家族を描いた作品だよなぁと。
それは見たまんまなんですが、家族や親子関係といったテーマが力強く提示されていました。
そういえばMAGネットの番組内インタビューでも「母親という存在に注目した物語」について語っていましたが、まさにそういうものに仕上がってたと。
狼男だとか人間と狼のハーフだとかいかにもなファンタジーな存在も登場するのですが、主人公はあくまでも人間の女性。人と狼のハーフの子供2人を育てる母親の姿が描かれます。
子育てに翻弄される母親。痛ましいほどの現実も突きつけられて、この先どう生活するんだろうかとヒヤヒヤさせられた序盤。庭の農園がうまくいかなかった時の絶望感はなかなかのもの。
子育てって本当に大変なんだなぁという思いでいっぱいに。母ちゃん奮闘記です。
そのためか、作中何度もある、主人公が我が子を抱きしめるシーンがとても印象に残る。愛おしそうに子を見つめる暖かな視線。そのたびに涙腺がブルブルっと来てしまう。
しばらく経てばどんどんと季節が巡っていき、今度は子の成長を見守るのがメインに。
成長していく姉の雪と弟の雨。幼稚園に入り、やがては小学校に入学。
人間と狼、半分ずつの血が通っている体。なんのハプニングもなしに、またなんの悩みもなしに普通の小学生でいられる、なんてこともなく。後半は「おおかみこども」としての心の変化や機微を重点をおいて描かれていきました。
人でもある。狼でもある。じゃあ、どんな未来に進もうか。おおかみこどもの2人に選択が大きなポイント。狼であることを面白がっていた雪が人間社会へ溶け込み、狼であることを恐れた雨が野生の世界に見出されていくという、2人の々の選択が面白い。
選択を迫られ、心が離れ、バラバラになりそうな家族。
そんな中でこそ輝いたのが母親の、花の深い愛情でした。
最後の最後までこの映画は母親を描いたものだったと、クライマックスで感じましたね。
「しっかり生きて。」と花がいう。シンプルで、重みがある、やさしい言葉でした。
花という名前は、花のようにいつもに笑顔でいてほしいからという意味が込められていたそうだけれど、それが随所に現れていて面白い。
なんでもできる頼りがいがある人では全然ないし、ハラハラさせられてばかりなんだけど、だからこそか母親の等身大かつ全力の愛情が際立っていたと思います。あの少女が、しゃんと母親になっていった。1人の女性の成長にも爽やかな感動があるのです。
結末としての意外なほどさっぱりとした家族関係もいい。
選択をしたのはおおかみこどもだけではないか。それを見守る親にも選択はあった。
この選択ができるというのは、大きな信頼の証でもあるよな。
本編最後の和らいだ雰囲気の中に、甘酸っぱさと十分な満足感がありました。
ほか静かに胸打たれたのが雪が少年に正体を明かすシーン。
はためくカーテンで姿が見え隠れすることでさらに緊張感がましており見てて息がとまりそうに。単純に映像としても美しいし、「おおかみこどもが人間社会に受け入れられるか」という大きな意味も持つ。社会全体に受け入れられるのはムリでも、受け止めてくれるだれか1人を見つけるための。
雪のもう1つの重要な選択でしたね。おおかみこどもの人としての未来は、もっと見たくなるよなあ。本編は中学に上がった段階で終わってしまうけれど、この先どんなドラマがあるのかって気になってしまう。きっとこの先は描かれることはないだろうけれどなあ・・・!
映像について。いやぁ美しい。おおかみこどもたちがはしゃぎ回る動きはとても楽しいし、自然がたくさん出てくる作品だけあって背景も美しい。すごく奥行きがありそうな。
それにまず開幕最初のカット、風に揺れる花からして「うおっすげえ」と。
音楽もよかったですねえ。中でもエンディング曲でもある「おかあさんの唄」は名曲。
じゃあまとめ的なものでも。
サマーウォーズのような高揚感あるジュブナイルでも、時かけのようなセンチメンタルな青春ものでもなく、細田守監督作品としてはかなり新鮮な作品でした。
あのデジデジしたエフェクト世界も今回出ませんでしたしね。
親子のあいだに流れる不思議な居心地のよさもなんとも魅力的。というかそこメイン。
上で何度も書きましたが、花という女性がとてもいいキャラですよ。最初は自分と同じくらいの年の少女だったんですが、本編ラストで佇む彼女に「あっ、母ちゃんだ」と思いましたよ。老けたとかじゃなく、面白いことですが母親の空気をかもしてました。
現実に溶け込んだファンタジーのバランスもいいですね。おおかみこどもたちにも、彼らを育てる親にも、普通のではありえない苦労がある。でもきっとよくある苦労もある。「あるある」と「そういうこともあるのか」を行ったり来たりの子育て奮闘記。(いや俺はあるあるじゃないけど多分一般的に)
子供らがメインキャラということもあり、おそらくは子供が見ても楽しめるような作品を狙っている感ありますね。実際楽しめると思います。映画館で近くで見ていたよそのお子さんも結構楽しんでいた様子でしたし。
ただこの作品、なにより母親を描いた作品でもあるので、子供たちからすると純粋に楽しめるものなっているのかな・・・ということは感じましたw
親側のリアルな気苦労とかが丸見えですからね。まぁそういう大変さを伝えることは尊いことでしょうけど、だとしても子供の中でもちょっと年齢上目の、小学校高学年くらいからが良さそうな気がする。ほかブログさんでも書かれていましたが、トトロ的ポジションには向かないw
とはいえすごく雰囲気のいい作品でした。何度も涙ぐんだ。
どうでもいいけど個人的にはあのおてんば狼の雪ちゃんが成長したら普通の人間の思春期の女の子になっていろいろ高ぶる捗る興奮する。ずいぶん色っぽくなっちまったなぁ。
キャラの表情なども味わい深いもので、何度も見返して楽しみたい欲が膨らみます。何度も見返して、十分にこの作品を自分に取り込んでみたい。この暖かさをいつでも自分から取り出せたらいい。家族モノっていいよな。
「しっかり生きて」が今も頭に焼きついてます。
さて毎月1日は映画の日で1000円で一本見れてしまうってことで、8月1日に細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」を見てきました。感想書いていこうかなと。
「サマーウォーズ」「時をかける少女」といった過去作とは毛色が違った一作でした。
ネタバレあり。
すごく家族を描いた作品だよなぁと。
それは見たまんまなんですが、家族や親子関係といったテーマが力強く提示されていました。
そういえばMAGネットの番組内インタビューでも「母親という存在に注目した物語」について語っていましたが、まさにそういうものに仕上がってたと。
狼男だとか人間と狼のハーフだとかいかにもなファンタジーな存在も登場するのですが、主人公はあくまでも人間の女性。人と狼のハーフの子供2人を育てる母親の姿が描かれます。
子育てに翻弄される母親。痛ましいほどの現実も突きつけられて、この先どう生活するんだろうかとヒヤヒヤさせられた序盤。庭の農園がうまくいかなかった時の絶望感はなかなかのもの。
子育てって本当に大変なんだなぁという思いでいっぱいに。母ちゃん奮闘記です。
そのためか、作中何度もある、主人公が我が子を抱きしめるシーンがとても印象に残る。愛おしそうに子を見つめる暖かな視線。そのたびに涙腺がブルブルっと来てしまう。
しばらく経てばどんどんと季節が巡っていき、今度は子の成長を見守るのがメインに。
成長していく姉の雪と弟の雨。幼稚園に入り、やがては小学校に入学。
人間と狼、半分ずつの血が通っている体。なんのハプニングもなしに、またなんの悩みもなしに普通の小学生でいられる、なんてこともなく。後半は「おおかみこども」としての心の変化や機微を重点をおいて描かれていきました。
人でもある。狼でもある。じゃあ、どんな未来に進もうか。おおかみこどもの2人に選択が大きなポイント。狼であることを面白がっていた雪が人間社会へ溶け込み、狼であることを恐れた雨が野生の世界に見出されていくという、2人の々の選択が面白い。
選択を迫られ、心が離れ、バラバラになりそうな家族。
そんな中でこそ輝いたのが母親の、花の深い愛情でした。
最後の最後までこの映画は母親を描いたものだったと、クライマックスで感じましたね。
「しっかり生きて。」と花がいう。シンプルで、重みがある、やさしい言葉でした。
花という名前は、花のようにいつもに笑顔でいてほしいからという意味が込められていたそうだけれど、それが随所に現れていて面白い。
なんでもできる頼りがいがある人では全然ないし、ハラハラさせられてばかりなんだけど、だからこそか母親の等身大かつ全力の愛情が際立っていたと思います。あの少女が、しゃんと母親になっていった。1人の女性の成長にも爽やかな感動があるのです。
結末としての意外なほどさっぱりとした家族関係もいい。
選択をしたのはおおかみこどもだけではないか。それを見守る親にも選択はあった。
この選択ができるというのは、大きな信頼の証でもあるよな。
本編最後の和らいだ雰囲気の中に、甘酸っぱさと十分な満足感がありました。
ほか静かに胸打たれたのが雪が少年に正体を明かすシーン。
はためくカーテンで姿が見え隠れすることでさらに緊張感がましており見てて息がとまりそうに。単純に映像としても美しいし、「おおかみこどもが人間社会に受け入れられるか」という大きな意味も持つ。社会全体に受け入れられるのはムリでも、受け止めてくれるだれか1人を見つけるための。
雪のもう1つの重要な選択でしたね。おおかみこどもの人としての未来は、もっと見たくなるよなあ。本編は中学に上がった段階で終わってしまうけれど、この先どんなドラマがあるのかって気になってしまう。きっとこの先は描かれることはないだろうけれどなあ・・・!
映像について。いやぁ美しい。おおかみこどもたちがはしゃぎ回る動きはとても楽しいし、自然がたくさん出てくる作品だけあって背景も美しい。すごく奥行きがありそうな。
それにまず開幕最初のカット、風に揺れる花からして「うおっすげえ」と。
音楽もよかったですねえ。中でもエンディング曲でもある「おかあさんの唄」は名曲。
じゃあまとめ的なものでも。
サマーウォーズのような高揚感あるジュブナイルでも、時かけのようなセンチメンタルな青春ものでもなく、細田守監督作品としてはかなり新鮮な作品でした。
あのデジデジしたエフェクト世界も今回出ませんでしたしね。
親子のあいだに流れる不思議な居心地のよさもなんとも魅力的。というかそこメイン。
上で何度も書きましたが、花という女性がとてもいいキャラですよ。最初は自分と同じくらいの年の少女だったんですが、本編ラストで佇む彼女に「あっ、母ちゃんだ」と思いましたよ。老けたとかじゃなく、面白いことですが母親の空気をかもしてました。
現実に溶け込んだファンタジーのバランスもいいですね。おおかみこどもたちにも、彼らを育てる親にも、普通のではありえない苦労がある。でもきっとよくある苦労もある。「あるある」と「そういうこともあるのか」を行ったり来たりの子育て奮闘記。(いや俺はあるあるじゃないけど多分一般的に)
子供らがメインキャラということもあり、おそらくは子供が見ても楽しめるような作品を狙っている感ありますね。実際楽しめると思います。映画館で近くで見ていたよそのお子さんも結構楽しんでいた様子でしたし。
ただこの作品、なにより母親を描いた作品でもあるので、子供たちからすると純粋に楽しめるものなっているのかな・・・ということは感じましたw
親側のリアルな気苦労とかが丸見えですからね。まぁそういう大変さを伝えることは尊いことでしょうけど、だとしても子供の中でもちょっと年齢上目の、小学校高学年くらいからが良さそうな気がする。ほかブログさんでも書かれていましたが、トトロ的ポジションには向かないw
とはいえすごく雰囲気のいい作品でした。何度も涙ぐんだ。
どうでもいいけど個人的にはあのおてんば狼の雪ちゃんが成長したら普通の人間の思春期の女の子になっていろいろ高ぶる捗る興奮する。ずいぶん色っぽくなっちまったなぁ。
キャラの表情なども味わい深いもので、何度も見返して楽しみたい欲が膨らみます。何度も見返して、十分にこの作品を自分に取り込んでみたい。この暖かさをいつでも自分から取り出せたらいい。家族モノっていいよな。
「しっかり生きて」が今も頭に焼きついてます。
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すごく感動できる話ですよね。
最初グーグルで調べたとき「正直どうでもいい おおかみこどもの雨と雪」って出たので、ああ、自分ではいいな、と思ってる話でも、個人差があるよなぁ・・・。と思いながらページを開いたので、内容が私と同じ感想なのでよかったと思いました。