[漫画]俺の嫁なんて、いねえ!!『百合男子』2巻
感想書きたくても溜め込んでた本がかなりありますなあ。
百合への愛故に 俺は苦しまねばならないのか・・・!?
独特の百合哲学を炸裂させる「百合男子」待望の2巻が出てますよ。
百合といえば男は介入できない、女の子だけの世界・・・。その百合を遠くから愛する男たちの幸福と苦悩を描いた本作。百合漫画なのに男が主人公・・・というかこれ百合漫画扱いでいいのだろうか。まぁ作中でも百合女子たちは登場するので百合ん百合ん。
2巻の表紙は正二郎。ムサっ!yhコミックスにあるまじき男臭!しかし彼もまた百合を愛する百合男子。1巻にも登場した彼が啓介と激論交わすシーンもあり。
相変わらず小難しいことを小難しく考え込む啓介ですが、そういううっとおしいナイーブさもこのキャラクターらしいですね。というか彼が言うことには時折強烈に共感する。
さくっと2巻の感想を書いていきます。
前巻→我思う、故に百合あり。『百合男子』1巻
どうして男なのに百合を愛してしまうのか。どうして自分はこんな矛盾を抱えた存在なのか。
百合を愛するがために悩み続ける探求者たち・・・百合男子。
その苦悩は一巻のうちでもたっぷりと描かれており、この作品の核となる部分だと思います。
しかし2巻はそんな苦悩からさらに踏み込んだ、2人の百合男子による議論・・・衝突が描かれもしており熱い。ムダに熱いのです。本気の男同士がぶつかり合う!互いの百合論で戦う!
しかしこの正二郎、外見と違ってかなりまともな考えをしていた。
読み進めると主人公である啓介が一番クレイジーであるという結論に。
というか主人公だからこそ啓介に同意しつつ読みすすめていたけれど、ハッとさせられました。よく考えてみればこいついろいろオカシイんだやっぱり。
彼のすさまじい情熱についつい流されていたけど、彼はマナー違反も結構していた。
マナーってなんだよという感じではあるけれど、百合男子は百合男子としてのこだわりがある。
確かに2巻の中で言うと、茜と陽子を仲直りさせようとむりやり2人を観覧車におしこめた場面なんかは、コミカルに描かれはしているけどかなり踏み込んでいる。ようするに余計なお世話だ。
男がその好奇心から百合の世界をかき乱すなんて許されない。
そこには不可侵のおきてがある・・・と考えるのは百合男子共通らしい。だがその掟とどう向き合うのか、というところにはそれぞれに違いがある。
啓介は「なぜ自分は男なのか!」と真剣に悩み込む時点で、許されないということを分かっていても百合の世界を味わい、あわよくば世界を壊さない程度に寄り添ってみたいと考えている様子。
申し訳ないと感じているからこそ、現実の百合カップルたちを応援するような行動をとる。ただ眺めるだけではなく、女の子達の世界にそっと介入してしまう。
これを批判するのが正二郎。2人の議論はかなり印象的です。
「大体百合を愛すると言うけれど、その百合ってなんだ?
セクシャルマイノリティー つまりは他人の苦悩を餌にした妄想じゃねえか」
このセリフはグサッと刺さりましたねえ・・・。能天気に楽しんでいるのもヒドいことだよなあ。
誰も傷つけないために。安全に萌えるために。そんな意味も込めて、無意識に創作物のみに焦点を絞るのかもしれない。自分のことなのでよくわからないけれど、考えとしては正二郎のものに近いと思う。
同じ百合男子でも、違った考えを持った人もいて、対立する。
そういうシーンはちょいと辛くもあるけど、実に興味深くて面白い。
いろんな生き様があるねえ、百合男子。
百合男子としての謎のプライドからか、普通の男の子としての生き様を拒否する啓介。
女の子と付き合いたいとか思うはずもなく、このまま童貞で間違いない。というか童貞すてたら百合男子じゃない、とか思ってる節もある。
どっぷり百合につかり、百合に人生捧げる気マンマンである。覚悟してる。
けれど作中登場するほかの百合男子の多くは、趣味として百合を愛好している。その愛は強烈ではあるけれど、彼らの人生を縛るものではない。家族を得て子供も作る。
百合を愛するのは趣味だけにとどめ、きちんと現実の社会に迎合していく。それは自然なことなんですが、それに納得できないのが啓介。「百合はファンタジー」・・・なんてを認めたくない。
百合への愛を貫く。百合の世界に操をたてることで自分のプライドを守ってる。
それは正しいことなのか間違っているのか。まだ答えは出されていない状態。
啓介は理想家で、現実が見えてない部分もあります。でもだからこそ彼の言葉はときに意味不明に人の心を揺さぶるし、コイツならなにか新しい道を切り開くんじゃ、なんて期待もしてしまうw 狂っていても、アツい魂を持っていることは間違いない。
さて、2巻の限定版はドラマCD付き。キャストは佐倉綾音、戸松遥、茅野愛衣。男はいない。百合男子のドラマCDなのに男がいない。いいぞ、これが正しい姿だ。
百合男子を気持ち悪がる女の子達・・・という、まさしく百合男子の生き様かくあるべしな一幕が収められています。
でもそれだけじゃなく、気持ち悪がる以外の反応もいくつか見れて、楽しかったです。
女の子から見る百合男子とはどんな存在なのか・・・という、ちょっと珍しい視点でしたね。
百合男子は男たちの苦悩を描いた作品なのですが、それと同時進行的に描かれる、現実の百合っぷるたちのドラマも面白いんですよ。宮鳥茜ちゃんがお気に入り。
元気よくてかわいらしくて、でも計算高くしたたかで。ドラマCD内でも彼女が電話をかけてくるタイミングとか、もしかして・・・とゾクゾクしたりもしましたね。
女の子の世界のきらめきも恐ろしさも楽しみたいってのが、自分が百合作品に寄せる期待でもあります。もっとこじれてもっと面白くなって欲しいなー!
男たちのムサくるしい議論も最高に面白いですが、それだけじゃないんですよ「百合男子」!
『百合男子』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
苦悩を深めていく百合男子。一発ネタで歩みを止めずいいテーマを描いています。
百合男子 2巻 限定版 (百合姫コミックス) (2012/06/18) 倉田 嘘 商品詳細を見る |
百合への愛故に 俺は苦しまねばならないのか・・・!?
独特の百合哲学を炸裂させる「百合男子」待望の2巻が出てますよ。
百合といえば男は介入できない、女の子だけの世界・・・。その百合を遠くから愛する男たちの幸福と苦悩を描いた本作。百合漫画なのに男が主人公・・・というかこれ百合漫画扱いでいいのだろうか。まぁ作中でも百合女子たちは登場するので百合ん百合ん。
2巻の表紙は正二郎。ムサっ!yhコミックスにあるまじき男臭!しかし彼もまた百合を愛する百合男子。1巻にも登場した彼が啓介と激論交わすシーンもあり。
相変わらず小難しいことを小難しく考え込む啓介ですが、そういううっとおしいナイーブさもこのキャラクターらしいですね。というか彼が言うことには時折強烈に共感する。
さくっと2巻の感想を書いていきます。
前巻→我思う、故に百合あり。『百合男子』1巻
どうして男なのに百合を愛してしまうのか。どうして自分はこんな矛盾を抱えた存在なのか。
百合を愛するがために悩み続ける探求者たち・・・百合男子。
その苦悩は一巻のうちでもたっぷりと描かれており、この作品の核となる部分だと思います。
しかし2巻はそんな苦悩からさらに踏み込んだ、2人の百合男子による議論・・・衝突が描かれもしており熱い。ムダに熱いのです。本気の男同士がぶつかり合う!互いの百合論で戦う!
しかしこの正二郎、外見と違ってかなりまともな考えをしていた。
読み進めると主人公である啓介が一番クレイジーであるという結論に。
というか主人公だからこそ啓介に同意しつつ読みすすめていたけれど、ハッとさせられました。よく考えてみればこいついろいろオカシイんだやっぱり。
彼のすさまじい情熱についつい流されていたけど、彼はマナー違反も結構していた。
マナーってなんだよという感じではあるけれど、百合男子は百合男子としてのこだわりがある。
確かに2巻の中で言うと、茜と陽子を仲直りさせようとむりやり2人を観覧車におしこめた場面なんかは、コミカルに描かれはしているけどかなり踏み込んでいる。ようするに余計なお世話だ。
男がその好奇心から百合の世界をかき乱すなんて許されない。
そこには不可侵のおきてがある・・・と考えるのは百合男子共通らしい。だがその掟とどう向き合うのか、というところにはそれぞれに違いがある。
啓介は「なぜ自分は男なのか!」と真剣に悩み込む時点で、許されないということを分かっていても百合の世界を味わい、あわよくば世界を壊さない程度に寄り添ってみたいと考えている様子。
申し訳ないと感じているからこそ、現実の百合カップルたちを応援するような行動をとる。ただ眺めるだけではなく、女の子達の世界にそっと介入してしまう。
これを批判するのが正二郎。2人の議論はかなり印象的です。
「大体百合を愛すると言うけれど、その百合ってなんだ?
セクシャルマイノリティー つまりは他人の苦悩を餌にした妄想じゃねえか」
このセリフはグサッと刺さりましたねえ・・・。能天気に楽しんでいるのもヒドいことだよなあ。
誰も傷つけないために。安全に萌えるために。そんな意味も込めて、無意識に創作物のみに焦点を絞るのかもしれない。自分のことなのでよくわからないけれど、考えとしては正二郎のものに近いと思う。
同じ百合男子でも、違った考えを持った人もいて、対立する。
そういうシーンはちょいと辛くもあるけど、実に興味深くて面白い。
いろんな生き様があるねえ、百合男子。
百合男子としての謎のプライドからか、普通の男の子としての生き様を拒否する啓介。
女の子と付き合いたいとか思うはずもなく、このまま童貞で間違いない。というか童貞すてたら百合男子じゃない、とか思ってる節もある。
どっぷり百合につかり、百合に人生捧げる気マンマンである。覚悟してる。
けれど作中登場するほかの百合男子の多くは、趣味として百合を愛好している。その愛は強烈ではあるけれど、彼らの人生を縛るものではない。家族を得て子供も作る。
百合を愛するのは趣味だけにとどめ、きちんと現実の社会に迎合していく。それは自然なことなんですが、それに納得できないのが啓介。「百合はファンタジー」・・・なんてを認めたくない。
百合への愛を貫く。百合の世界に操をたてることで自分のプライドを守ってる。
それは正しいことなのか間違っているのか。まだ答えは出されていない状態。
啓介は理想家で、現実が見えてない部分もあります。でもだからこそ彼の言葉はときに意味不明に人の心を揺さぶるし、コイツならなにか新しい道を切り開くんじゃ、なんて期待もしてしまうw 狂っていても、アツい魂を持っていることは間違いない。
さて、2巻の限定版はドラマCD付き。キャストは佐倉綾音、戸松遥、茅野愛衣。男はいない。百合男子のドラマCDなのに男がいない。いいぞ、これが正しい姿だ。
百合男子を気持ち悪がる女の子達・・・という、まさしく百合男子の生き様かくあるべしな一幕が収められています。
でもそれだけじゃなく、気持ち悪がる以外の反応もいくつか見れて、楽しかったです。
女の子から見る百合男子とはどんな存在なのか・・・という、ちょっと珍しい視点でしたね。
百合男子は男たちの苦悩を描いた作品なのですが、それと同時進行的に描かれる、現実の百合っぷるたちのドラマも面白いんですよ。宮鳥茜ちゃんがお気に入り。
元気よくてかわいらしくて、でも計算高くしたたかで。ドラマCD内でも彼女が電話をかけてくるタイミングとか、もしかして・・・とゾクゾクしたりもしましたね。
女の子の世界のきらめきも恐ろしさも楽しみたいってのが、自分が百合作品に寄せる期待でもあります。もっとこじれてもっと面白くなって欲しいなー!
男たちのムサくるしい議論も最高に面白いですが、それだけじゃないんですよ「百合男子」!
『百合男子』2巻 ・・・・・・・・・★★★★
苦悩を深めていく百合男子。一発ネタで歩みを止めずいいテーマを描いています。
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