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正直どうでもいい(移転しました)

マンガ感想を主に書くブログ。移転につき凍結中。

[小説]”終わり”を描く4つの物語。 『4period』

転載記事。詳しくはこちらで→[告知]小説の感想記事に関して
少々の修正を加えただけです。昔に書いたものなので現在とはノリが違うのも多いかも。

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今回は.17による自費出版小説「4period」について。
自分もめったに同人小説は読まないのですが、これはなかなかいい本でしたので。
2人の書き手さんによる、全4編のオリジナル短編集です。
「4period」と題するとおり、一つずつ「終わり」を描いていく構成。
また、それぞれのエピソードが少しずつ別の話で触れられていくので
読み進めるたびにニヤリとできるようになってますw

kobaxさんが手がけたのは「マーメイド、山へ」「ローランダ、空へ」「ガーゴイル、夜へ」。
3篇合わせて120Pほどですが、どれも非常に切ない、より本のテーマらしい作品ばかり。
特に「マーメイド、山へ」のラストシーンは素晴らしい。
恋愛ではない、けれど確かな絆で繋がっていたはずなのに、どうして最後ですれ違うのか!
作品のコンセプトは Period=終わり を描くことだと思うのですが
自分はこの先もあることを、願わずにはいられません。
ただ、2人でいることが本当に正しいのか、それを断言することも、できないよなぁ。
あと「ガーゴイル、夜へ」は落とし所が上手い!
もちろん切ない終わり方なんですけれど、二人は永遠を手に入れた。
哀しい現実であることに間違いはない、けれど決して交わえぬ2人が掴んだものにしては、なかなか、出来たもんじゃないかとも思うのです。
 
広瀬凌さんが手がけたのは中編「スーベニア、夜へ」。
吸血鬼になったものの吸血鬼らしいことはなにもできない青年のお話。
kobaxさんの文はポップで詩的でありましたが、広瀬さんはそれと比べると骨格のがっしりした文章を描く人のようです。
じっくりと読ませる作りの作品で、わりと進行もゆっくり。
けれど文章自体は非常にリズミカルなので、読むことそれ自体がなんだか面白い。
もちろんストーリーも後半には大きく動き、なかなか熱い展開に入ります。
パトリシアを巡るあれこれは、最後はなるほど、と納得。
面白いのが、period、と銘打たれた本なのに、この作品は終わらない。
メインキャラ2人ともが、ほとんど永遠の命を得ているのです。
けれど同時に消えていく存在もあるわけで……如何様にも考えられそう。
スーベニアというネーミングも、なんとなく深みを感じられて良かったです。
消えゆく吸血鬼。けれど2人のおとぎ話は、きっと終わりない旅のまま。



同人小説ですが、なかなか面白い本だったと思います。
ただ購入するチャンスが少ない本でもありますので
偶然見つけることができたら、購入してもよろしいかと。
なんにせよ、切ないお話が好きなら十分にハマる出来かと思います。


スーベニアといい、ローランダといい、ああマーメイドもそうか。
たぶん意図したことでしょうね。スピッツファンとしてニヤリとしましたw

[小説]爽やかすぎるひと夏の恋愛劇 『潮騒』

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少々の修正を加えただけです。昔に書いたものなので現在とはノリが違うのも多いかも。

潮騒 (新潮文庫)潮騒 (新潮文庫)
(2005/10)
三島 由紀夫

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実は三島由紀夫初挑戦。
前知識として、彼の死に様や作品の傾向は頭に入っていましたが
この作品にはそれらから抱いてたイメージとは真逆。
清々しいほど美しく、純粋で直球な青春恋愛小説です。
なんと発表以来5度の映画化も果たしており、根強い人気を誇っているようです。


伊勢湾に浮かぶ小さな島「歌島」を舞台に、
漁師の青年真治と、海女の少女初江がいちゃいちゃしたりモメたりするお話。
人物描写も実に気合いが入っていて面白いですが
なにより素晴らしかったのは情景描写。
特に12章での蝶のシーンは読んでいてぱぁっと世界が見えた、というか開けたようで
その暗喩的な描き方も含め、実に印象的なワンシーンでした。
この他にも海や空、風や人や動物……
浜辺周辺の自然が鮮やかに描き出し、美しい孤島の風景が目に浮かびます。
どれもこれもか「生」を謳歌しているのです。

描写で思い出しました。
この作品のもう一つの魅力、女体描写です。(笑顔)
思春期の少年の溢れんばかりのパッションが…
主におっぱいへの愛がページからキラキラ眩しく輝いて見えるほどなのです。
そこらへんはネットでもよく語られる話ですねw
といってもねっとりエロチックというよりは、健康美という感じです。
さぁこれだけで何かがフルスロットルなアナタは是非読みましょう(何
こんな超有名作品に何をいまさら、という感じですがw

ストーリーについては、とくに述べる必要もないほど王道です。
何の心配もせず読み進めて問題はないかと思います。
落とし穴もなにもないのです。
が、しかし、ストーリーに穴は無いのですが
何でか、このラストの一文に不安を、というか醜さを感じてしまう。
恐らくこれは意図的な仕組み、最後の最後はやはり三島か、ということでしょうか。
自負の行き違い。
ある意味で互いのナルティシズムの…と言ったところ。
最後の最後でこう落とすかー!とちょっとニヤリw面白いw

読みやすい文体、ストレートな展開、現代にも通じる萌え要素もあり
短い小説ですので、かなりおススメしやすい作品かと思います。
海を基軸に展開していく青春物語なので、夏にはピッタリです!

[小説]醜くも強い愛の結末 『芋虫』

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江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)
(1960/12)
江戸川 乱歩

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短編集はどう扱おうなぁと悩みましたが
これは!と思う一遍を別個紹介していくのが分かりやすいかなと。

いろんな本に収録されているので、わりと見つけやすいと思います。
江戸川乱歩と言えば、子供向けミステリー小説の「怪人二十面相」「少年探偵団」や
怪奇小説「人間椅子」などが特に有名ですね。明智小五郎なんかも彼が生み出しました。
まぁそういうイメージが手伝って、なんとなく手を出しずらい作家の一人かと思います。
ホラーとか怪奇とか、そういうのはちょっとなぁ、って人多いかと。
そういう人にこそ読んでほしいのが、この「芋虫」です。
…まぁタイトルからしてこんなんですけど、いい小説なんですよ!
少なくともこの「江戸川乱歩傑作選」の中では
最も美しく、愛を描いた作品だと思います。
また文書の部分削除を求められた大戦時において、乱歩作品唯一の完全な発売禁止を強制されたのも本作。ようするにちょっと刺激的なのですね。

<あらすじ> -Wikipediaより
傷痍軍人の須永中尉を夫に持つ時子には、奇妙な嗜好があった。それは、戦争で両手両足、聴覚、味覚といった五感のほとんどを失い、ただ視覚と触覚のみが無事な夫を虐げて快感を得るというものだった。夫は何をされてもまるで芋虫のように無抵抗であり、また、夫のその醜い姿と五体満足な己の対比を否応にも感ぜられ、彼女の嗜虐心は尚更高ぶるのだった。

障害者への虐待。
まずこの作品を読んで感じる要素はこれです。
絶対にあってはならない、けれど人間の醜い心は、自らと違う存在を見下そうとする時がある。
たとえかつては愛した夫であろうとも。
嗜虐的快楽を求めて非道を繰り返す奥さんの姿は、とても悲しいものです…。
けど勘違いしてはならないのは、これはただグロいばかりの小説では決してないということ。
虐待という非常にヘビーな要素を用いて、この作品は悲しく愛を語りかけます。

夫をただの道具にしてしまいたい。真に何も出来ぬ、肉ゴマにしてしまいたい。
欲情と興奮の最中、時子は恐ろしいことに自らの欲求を叶えてしまった。
夫の目を潰すこと。
そうすることで無常にも時子は、犯した罪の大きさに気付いてしまう。
時を忘れて彼女は、自分が傷つけた夫の看病と、謝罪を続けた。
それは同情か、後悔か、愛情か。
彼の皮膚に繰り返し指でなぞった「ユルシテ」の文字。
けれど夫はなんの反応も示さない―――

結末は圧巻。人間の醜さを見せつけてきたこの物語は、悲しくも実に美しいラストを迎える。
清い愛がページの隅々からあふれてくる…
一言では語り尽くせないほどの、切ない愛情が染みる名シーンだと思います。
人によるかと思いますが、自分は感動しました。泣きました。
こんな綺麗な人間模様も書いてくれるのは乱歩は、という気分でした。
苦悩、欲望、後悔…大きく揺れ動く時子の心理描写も鮮やか。
時に激情に呑まれ、時にナイーヴな人間の気持ちをよくとらえていると思います。
もちろん、醜悪な物語であることに変わりありませんが
ただのグロテスク小説とは一線を画す魅力があふれる名作です。

ホラー・怪奇小説は自分もあまり読みませんが
そういう人にこそ、それらのジャンルの魅力を伝えられる作品。
乱歩作品初めて読むぞー、って人にもいいと思いますし
少し彼の作品を読んだことのある人には、新しい発見があるかと。
一時間もあれば読めてしまいそうな短さの短編ですので
眠れない夜なんかに読んでみるといいのではないでしょうか。
…グロは絶対に無理、って人に薦めるのは酷かもしれませんが…。

[本]ただ高みを目指す戦場へ 『ベン・トー』1巻

GWですね~。
午前は浜松でマイマイ新子見ます。午後はサークル&飲み会。今日は大忙しです。
ベン・トー―サバの味噌煮290円 (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー―サバの味噌煮290円 (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2008/02)
アサウラ

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   俺たちは誇りを持ってここにいる。

半額弁当―――それに魅せられた者たちがいる。
それを巡る闘いに、心揺さぶられた者たちがいる。
自らの誇りをかけ戦場を舞う狩人たち―――人はそれを、狼と呼んだ。

・・・という、血みどろになりながら命がけで半額弁当を狙うハンターたちの物語です。
血みどろだとか、命がけだとか、到底弁当がらみとは思えぬ物騒なワードが並びますが、これは一切誇張などではありません。弁当獲得にマジで死ぬ気で戦います。
そのくだらなさが最高に熱く、そして面白いのが本作です!
主人公・佐藤はある日立ち寄ったスーパーで半額弁当に手を伸ばしますが
次の瞬間には吹っ飛ばされ、そこに戦場があることを知ります。
その場に居合わせた少女、白粉とともに何度も戦場へ赴くうち
「氷結の魔女」と呼ばれる凄腕の少女、槍水に声をかけられます。
彼女はこの地区でトップクラスの実力の持ち主、そしてハーフプライサー同好会会長でもありました。半額弁当を巡る闘いに身を投じ、なにかを感じ取った佐藤はHP同好会に入会。日々スーパーに通う日々が始まりました。

この本の面白さは、その登場キャラクターの本気っぷりです。
時に争い、時に共闘しあう狼達の熱いドラマ・・・それが半額弁当をかけてなんですから
もうしょっぱなからなにかおかしいんですこの作品w
でも読んでいるうちにその勢いに押され、胸を熱くして、ドキドキしながら読みすすめて
いつしか半額弁当が高尚なもののように思えてくるんですね。
なんか感動なんかしてきちゃったりするんです。半額弁当なのに。なんなのこれ。
迫力たっぷりなアクション描写に、キモである弁当もおいしそうに描かれていますし
バカバカしさをがっつり保ちつつ緊迫感を持たせることに成功しており
なかなか作者の技を感じる一冊だったように思います。
ラブ要素も皆無というわけではありませんが
少なくとも物語を動かすほどの影響力はいまのところありません。
バトルコメディーだというふうに理解しておけば間違いありません。

ですがシリアスな日常コメディ的な内容を期待しすぎてしまうと
やや大げさなバトル描写が鼻についてしまうかもしれないのでその点は注意。
人間がかるーく数十メートル吹っ飛んだり、天井に着地したりするので・・・
あくまでのジャンプバトル漫画的なもんだという風に思っておいたほうがいいかも。
ああ、ジャンプで思い出しましたが、SD文庫なので集英社つながりなのか
ジャンプ系作品のネタも大目にあって楽しめましたねw
主人公の愛読書がウルジャンってなんでだよwムダに少しマニアックだよw

とまぁそんな感じのベントー一巻。このラノで興味持ったんですが、アタリましたね。
こんな題材でよくぞここまでライトノベルを突き抜けてくれた!と拍手したいです。
笑いありバトルあり感動ありコメディありの良作です。

『ベン・トー』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
ムダに熱くおおいに笑える話題のラノベ第一巻。2巻も早く読みたいwww

[本]殺人鬼とは呼ばせない 『藍坂素敵な症候群』1巻

中学時代の同級生である詠千詩凪さんと新たにリンクを結びました。
パンでなく米食え米
自分も米派です!(どうでもいい)



藍坂素敵な症候群 (電撃文庫)藍坂素敵な症候群 (電撃文庫)
(2010/01/10)
水瀬 葉月

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   土下座がまだよ

水瀬さんが送る新シリーズ「藍坂素敵な症候群」。C3と同時進行です。
主人公がやってきたのは特殊な病気『耽溺症候群(フィリアシンドローム)』が発生する街。
その病気とは、『好みの資質』を異常発達させる・・・いわばフェティシズム増強病。そしてそれが更に進み重度罹患となると、自らの欲望を満たすために暴走、快楽殺人鬼のような存在となってしまう。
(例えば足フェチが強くなりすぎて、実際に誰かの足を切り落としてコレクションしたり)
それを防ぐための部活『医術部』部長・藍坂に、自らの特殊体質のためにその秘密を知らされる主人公・那霧浩介。じきにフィリアシンドロームをめぐる争いに巻き込まれていきます。

C3と比較すると、やや黒&グロ成分が強めですね。
コメディ、バトル、恋愛、シリアスそれぞれ丁度いい塩梅で面白いです。
とくにシンドロームを発病させた人々の狂気的な描写が過激で格好いい!
自転車ラブな男子にニヤリとしましたw まぁ自転車で殴られたらたまったもんじゃありませんがね・・・。あと忘れてはならないタイガーマスク。シリアスなのにアホらし過ぎるw
もちろん女の子キャラも多く、個性的な面々が揃っていますので
C3がバッチリはまった人なら違和感なくいけると思います。
好きなキャラは陰子(かげるこ)ですかねー。黒髪ニーソドSロングヘア・・・完璧!

この街を守る藍坂の役目と、その決意。
それを知ったとき、浩介もまた決意をする。
殺すことのできない殺人鬼を救うため、殺人鬼と自分を蔑ませないため、告げる。
「―――俺を殺してくれないか?」

言葉遊びをしているかのような独特のシチュエーションですが、これがまた熱いのです。
そしてついにやってくる、このタイトルの由来。

そう、きっと―――藍坂素敵な症候群。

読んでてゾクッときましたねぇここは・・・!
これは読んでみないと意味が全く分からないと思いますが・・・
ラノベの王道というか、欲しいとこにカポッと入ってきてくれたというか
なんとも爽快感のある名シーンだったと思います。これは2巻にも期待できそう。
それとC3では外人さんが多いのでそれほど気になりませんでしたが・・・
作者の妙なネーミングセンスが炸裂していますねw
ラノベ的な流行なんでしょうか。面白いからいいんですが!

『藍坂素敵な症候群』1巻 ・・・・・・・・・★★★★
個人的にはC3よりもピッタリきた水瀬さんの新シリーズ。長く続いて欲しいな。
2巻は5月発売です!

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引っ越し先

ブログを引っ越しました。 当ブログは更新を停止し、新ブログにて更新をしています。 https://sazanami233.hatenablog.com/

楽園に花束を

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漣

Author:漣
「さざなみ」と読みます。
漫画と邦ロックとゲーム。
好きなのは思春期とかラブコメとか終末。

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